コラム

【相続税】申告スケジュールと相続の範囲(+節税策)

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1. 誰もが直面する『土地・建物の相続問題』

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急速なペースで高齢化する日本社会は、高齢化社会を飛び越して超高齢社会へと突入しました。さいきんでは、老々介護から派生して老々相続という言葉も生まれています。誰しもにふりかかる相続問題とは、切っても切れない関係にあるのが、土地・建物などの不動産です。

なぜ切っても切れない関係にあるのか。国税庁の統計発表によれば、およそ12兆円ある日本全体の相続財産のうち、およそ6兆円を不動産が占めているという事実があります。さらに、お金に換えにくく、分割共有もしにくい不動産であるケースが非常に多いのです。

これとは逆のケースもあります。ある事業を行うのに適した土地にもかかわらず、運用の仕方が分からないために安値で売却してしまったなど。生前にしっかりと相続対策をしないことのリスクは、年々増加しています。

【用語解説】

超高齢社会・・・その国の総人口にたいして、65歳以上の高齢者が占める割合を高齢化率といいます。どれだけの割合で高齢者がいるかということですね。世界保健機構(WHO)や国連の定義では、7%を超えた社会を高齢化社会としています。これが14%を超えると高齢社会となり、21%を超えると超高齢社会となります。

老々相続・・・ひと昔前であれば、相続が起きたときの相続人の年齢は30代や40代であることが一般的でした。しかし、最近の傾向では、相続人の年齢が50代や60代であることが珍しくなく、70代というケースもみられるようになりました。この状況を老々相続と呼んでいます。


2.相続税の申告期限

相続税の申告には、期限が存在します。3ヶ月以内、4ヶ月以内、10ヵ月以内、1年以内、3年以内と段階ごとに決めなければいけないことがあります。

以下は、相続の基本的なスケジュールです。

  • 3カ月以内に相続放棄するか、限定承認するかを決定する。

    親族が亡くなり、相続人になっても必ず相続しなければいけないわけではありません。あるのは莫大な借金だけのようなときには、亡くなった日の翌日から3ヶ月以内に相続放棄ができます。相続放棄をすると、借金だけではなく、すべての財産を放棄したことになります。

    借金は抱えきれないけれども、今まで暮らしてきた家だけは相続したいというときには限定承認を行います。限定承認では、プラスの財産の範囲内で借金も相続します。相続放棄や限定承認は、一度宣言すると取り消せませないので注意しましょう。

    何もしなければ、自動的に単純承認となり、すべての財産を相続することになります。

  • 4か月以内に準確定申告をして所得税納税をする。

    故人が亡くなった日までの所得とそれ以降の所得を区別するために、準確定申告を行います。これは義務なのでしっかりと行いましょう。

  • 10か月以内にすべての財産と相続人を特定しなければならない。

    相続する財産について、こと細かに確定させる必要があります。同じように、誰がどのように相続するのかも確定させます。これが決まらないと課税などが進まないので必須です。

  • 10か月以内に遺産分割協議を成立させなければならない。

    相続人間でどのようにして遺産を分割することにしたのか、協議を完了させる必要があります。

  • 10か月以内に相続税の申告と納税をしなければならない。

    各相続人が支払う相続税を申告し、納税しなければいけません。原則として現金での支払いを10ヵ月以内に行います。

これらは忘れたではすまされないので、プロのアドバイスなどを受けながら、確実に行いましょう。まだまだ時間はあるからゆっくり考えようと先延ばしをしていると、あっという間に期限が訪れます。

3-1. 相続する遺産の範囲

相続というと、一般的には財産を引き継ぐものだと考えられているかと思います。相続の正しい定義は「被相続人の権利と義務を承継すること」です。

被相続人の権利とは、資産などプラスの承継を意味します。具体的にいうと、現金、不動産、有価証券などですね。

被相続人の義務とは、いわゆる債務や負債などマイナスの承継を意味します。具体的にいうと、借金のことですね。マイナスの承継には、お葬式の費用も含まれます。

資産(プラスの財産)から債務・負債(マイナスの財産)を引いた残りが相続財産となります。資産のほうが多ければ、プラスの相続になります。当然、債務・負債のほうが多ければ、マイナスの相続になります。

【用語解説】

被相続人・・・相続では、亡くなられた方のことを被相続人といいます。財産を相続する遺族側は相続人です。日常生活でよく耳にする被告人などの感覚とは逆になるので、気をつけましょう。

3-2. 債務・負債を活用した節税を考える

相続税は何に課税されるかといえば、最終的に相続する財産に応じて課税されます。つまり、資産(プラスの財産)から債務・負債(マイナスの財産)を引いた残りが多ければ多いほど、税額も膨らむわけです。この仕組みを活用すると、債務・負債(マイナスの財産)を増やすことで税額を減らすことができます。

相続税 = (プラスの財産 - マイナスの財産) × 税率

ケース1)
プラスの財産が2,000万円、マイナスの財産が0円のとき

相続税 = (2,000万円 - 0円) × 10%
    = 200万円

ケース2)
プラスの財産が2,000万円、マイナスの財産が1,000万円のとき

相続税 = (2,000万円 - 1,000万円) × 10%
    = 100万円

ケース1と2を比べると、100万円もの差が出ていることが分かりますね。今回のケースでは、説明を簡単にするために税率は一律して10%を使っていますが、実際には額によって税率は変わっていきます。詳細はのちほどご説明します。

具体的にどうするのかというと、故人のお葬式を盛大に行うのもひとつの手です。また、主に生前の対策になりますが、新たに借入れを起こしてアパート経営などを始める方もいます。ただし、アパート経営は事業ですので、リスクが伴うことをしっかりと肝に銘じておきましょう。

【用語解説】

生前の対策・・・相続が発生する(亡くなる)前に、相続をみこして早めに対策を行うこと。相続税の納入には期限があり、基本的には亡くなった日の翌日から10ヵ月以内という定めがあります。現金対策なら間に合う可能性はありますが、不動産対策は10ヵ月以内では現実的に厳しい側面があります。

4. まとめ

今回は、

  • 相続税の申告スケジュール
  • 相続財産の範囲と節税策

についてお話しました。

相続の意思については3ヶ月以内に表明する必要があります。期限を過ぎれば、選択の余地なくすべてを相続することになるので注意しましょう。

また財産を確定するときには、プラスの財産とマイナスの財産に分けてください。プラスを減らすか、マイナスを増やすかで節税効果が期待できます。

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