農地法 不動産の法律

農用地区域とは:概要、調べ方、転用および除外


農地の利活用には、さまざまな制限がかかります。

中でも、農業振興地域内農用地区域内農地(いわゆる、青地)では、もっとも厳しい「禁止」という農地法上の制限をクリアしなければいけません。

本記事では、農用地区域について詳しく解説しています。

農用地区域を理解するうえで、欠くことのできない用語などについても解説していますので参考にしてください。

この記事からわかること

  • 農用地区域とは
  • 農業振興地域とは
  • 青地とは
  • 農用地区域の調べ方
  • 農用地区域での農地転用
  • 農用地区域における開発行為の制限

農用地区域とは

農用地区域とは、農業振興地域内にある

  • 集団的に存在する農用地
  • 土地改良事業の施行にかかる区域内の土地で生産性の高い農地

です。

まごころう
土地利用には、市街地・農地・林地など様々な形態があります。

農用地区域とは、農地としての利用に著しく適した土地です。

国が、農業上の利用を確保すべき土地として指定する「農業専用」の土地を指します。

農業振興地域

農業振興地域とは、今後10年以上にわたって、総合的に農業振興を図るべき地域として指定された地域です。

農業振興地域の指定は都道府県知事が行いますが、もともと「農業振興地域整備基本指針」という国の定める指針に従って指定されます。

総合的に農業振興を図るという言葉には、

  • 農地としての利用
  • 農地として利用するための補助的利用
    → 農道
    → 採草放牧地
    → 農業用施設用地

など、域内の農地を農地としてフル活用するために必要の施策をするための意味が込められています。

まごころう
たとえ、農地として利用されていなくても、農地のためにある土地であれば、農業振興地域に指定されることがあるということです。

農振地区内農用地区域内農地 = 青地

農振地域内農用区域内農地(青地)

農業振興地域(農振地域)の中にあり、農用区域内にある農地を「青地(あおち)」といいます。

農地転用などの制限がもっとも厳しく「転用禁止」とされています。

まごころう
例外はありますが、条件があまりにも厳しいので99%認められません。

都市計画法との関係

農振地域内農用区域内農地(青地)は、農地法(および関係法)によって管理されています。

つまり、都市計画法とは、まったく別の次元の話です。

ですので、仮に市街化区域内に青地が存在していたとしても、宅地への転用が認められやすいかというと関係がありません。

ある農地が市街化区域内に位置していて、都市計画上、宅地利用が問題がないとします。

しかし、その農地が青地であれば、農地法によって転用が認められない可能性が極めて高いです。

まごころう
矛盾しているように聞こえるかもしれませんが、そもそも関係がないので、矛盾も何もありません。

フィルターが別なのです。

農用地区域の調べ方

土地が農用地区域に位置しているかを調べるときには、市役所の農政課などに問い合わせをします。

農用地区域の管理は、地番によって管理されていません。

ですので、電話での問い合わせは、基本的にできません。

ブルーマップなどで、知りたい土地の場所や周辺のわかる地図を用意して、直接足を運んでください。

まごころう
例外的に、どうしても行くことができない場合には、電話とファックスでの対応をしてくれることもあります。

とはいえ、農地の特定は、公図などを駆使してもなかなか難しく、トラブルの種になりやすいので、対応してくれるかどうかは微妙です。

やや悪意のある言い方かもしれませんが、役場というのは「責任」を追及される可能性があることには非協力的です。

ブルーマップの見方
ブルーマップの見方

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農用地区域での農地転用

農用地区域内の農地を転用したい場合には、

  • 農振除外
  • 農地転用

の2ステップを踏む必要があります。

農振除外

農振除外とは、農業振興地域から除外してもらう手続きです。

先にお伝えすると、農振除外はよほど合理的な理由が存在しない限りできません。

簡単にお伝えすると、

  • 必要性および代替性
    農用地等以外の用途で使うことが必要かつ適当で、農用地区以外に代替すべき土地がないこと
  • 集団性・農作業の効率化・農業上の効率的かつ総合的な利用
    農用地区域内の総合的な利用に支障を及ぼすおそれがないこと
  • 効率的かつ安定的な農業経営を営む者
    地域内の他の農業経営者に影響がでないこと
  • 排水路等施設機能
    農業用排水施設や農道などの利用に支障を及ぼすおそれがないこと
  • 土地改良事業
    土地基盤整備事業が完了してから8年以上経過していること

という農振除外の5要件を満たす必要があります。

もともと、農地としての利用が著しく適している土地を指定しているので、上記5要件を満たすことは極めて困難です。

まごころう
農地転用後に公共性の高い土地利用が図られることは当然です。

公共性が高ければよいと考えているのであれば、間違いです。

ライフライン(コンビニなど)が周辺にない地域であったとしても、要件を満たしていなければ認められません。

大規模商業施設やコンビニなどが認められやすかった時期もありましたが、法改正によって状況は変わっています。

農地転用

無事に農振除外をすることができたら、農地転用の手続きに移ります。

農地転用の手続きについては、以下のリンクを参考にしてください。

農地転用とは:地目変更、第5条、費用、手続き、期間、必要書類
農地転用とは:地目変更、第5条、費用、手続き、期間、必要書類

郊外で土地を探しているときなどは、地目が田になっていることがあります。そのようなときには、農地転用といって地目を変更しなければいけないことがあります。とはいえ、農地転用は誰でもできるものかというと、そうではありません。
今回は農地転用について説明します。定義からはじめて、実際にどのようにすれば農地転用ができるのかまで順番にお話しします。これを読んで、農地転用についての基本をおさえましょう。

農用地区域内における開発行為の制限

農用地区域内においては開発行為の制限もかかります。

農用地区域内において制限される開発行為には、

  • 宅地の造成
  • 土石の採取
  • 土地の形質の変更
  • 建築物の新築
  • 工作物の新築
  • 建築物の改築もしくは増築
  • 工作物の改築もしくは増築

などがあります。

上記の開発行為を行う場合には、農地転用などの手続きとは別に開発行為について都道府県知事の許可を得る必要があります。

農用地区区域内において農地転用をして土地利用をする場合には、地域の特性上、大規模な土地の開発になる可能性が極めて高いです。

大規模な土地の開発をする場合には、ほぼもれなく開発行為に該当することになるので注意してください。

開発許可制度:概要と建築制限
開発許可制度:概要と建築制限

一定の規模を超える土地を開発するときには、開発許可をとる必要があります。市街化区域、市街化調整区域、準都市計画区域など、区域ごとに開発行為となる基準が違うため、なかなか分かりにくいのが開発行為です。とはいえ、自身が行おうとしている行為が開発行為に該当するのか把握していなければ、計画をすることさえできないことがあります。
今回は、開発許可制度について概要と建築制限を解説します。そもそも開発行為や開発許可とは何か?といった基本的な部分と、それに付随する建築制限です。細かい話が多いのですが、開発許可制度の全体を理解するためには避けて通ることはできません。


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