はじめて住宅ローンについて考えるときには、聞いたことのない言葉や難しそうな手続きがたくさんあるため頭がパンクしそうになります。しかし、一番重要なのは住宅ローンを好条件で借りることです。言葉を理解するのにいっぱいいっぱいで、肝心の内容に手が回らない!なんてことにはなりたくありませんよね?
今回は、住宅ローンの話をするときに登場する基本的なことについて解説します。基礎中の基礎ですので、しっかり理解しておきましょう。この記事の内容が理解できれば、言葉とにらめっこではなく、数字とにらめっこする時間が作れるはずです。
住宅ローンは人生を左右する大事な借入です。もう何でもいいです...なんて選び方にだけはならないようにしましょう。
住宅ローンとは
住宅ローンというのは、住宅を購入する際に多くの方が利用することになるローンのことです。住宅というのは「人生におけるもっとも大きな買い物である」と表現されるほどのものです。当然、まとまったお金が必要になってきます。
大金持ちの方であれば住宅を現金で一括購入できるかもしれませんが、そういったことが可能なのはごく一部の方のみです。何千万、場合によっては何億というお金を用意することは難しいですので、そのお金を金融機関から借りて、金利を上乗せして返済していくというのが住宅ローンになります。
「住宅ローンがまだ30年残ってるのに・・・」といった表現をよく見聞きしますが、まさに何十年と付き合っていくことになる長期のローンになります。
仮審査と本審査
住宅を購入する際に利用する住宅ローンですが、住宅ローンを利用するためにはまず審査を通過しなければいけません。住宅ローンには仮審査と本審査というものがあります。仮審査は事前審査と呼ばれることもあるのですが、基本的に住宅ローンを借り入れする金融機関が仮審査をおこなっていきます。
仮審査において重要になってくるのは個人信用情報と年収です。過去の借り入れで問題を起こしておらず、年収と返済金額のバランスが取れていれば仮審査を通過することができるでしょう。逆に、過去の借り入れで延滞や未納があり、年収から考えても難しい返済金額であれば仮審査を通過するのは難しくなってきます。
仮審査を通過することができればいよいよ本審査です。本審査は金融機関が提携している保証会社がおこなっていくことになります。本審査では、借り入れ金額に問題がないか、それを問題なく返済していくことができるのか、団体信用生命保険に加入できる健康状態であるかといったところが見られることになります。これらで問題なしと判断されれば、本審査を通過することができるでしょう。
このように2段階の審査になるのですが、仮審査を通過できても本審査で通過できなかったというケースもよくあります。そもそも審査する場所が違いますので、そういった可能性もあるということを頭に入れておきましょう。
団体信用生命保険とは
さて、本審査のほうで団体信用生命保険に加入できる健康状態であるかということについて触れましたが、ここでは団体信用生命保険について説明していきましょう。一般的には「団信」と呼ばれることが多い保険です。団体信用生命保険というのは住宅ローン専用の保険で、住宅ローンの借り入れの条件となっていることも多いものです。
住宅ローンを借り入れした後に何が起こるかというのはわからないものです。借り入れした本人が亡くなってしまうかもしれないですし、高度障害になってしまって収入が途絶えてしまうこともあるかもしれません。そういったときに団体信用生命保険に加入していれば、金融機関が残りの住宅ローンを支払ってくれるのです。
生命保険というと借り入れした本人にお金が入るイメージかもしれませんが、団体信用生命保険の場合には保険金の受け取りが金融機関になります。
保証料とは
住宅ローンを利用するにあたっては諸費用が必要になってくるのですが、その中でも結構な割合を占めてくるのが保証料です。しかしながら、保証料の意味もわからないままにお金を払っている方も少なくありません。そもそも保証料とは何のためのお金なのでしょうか。
一般的に金額の小さな借り入れの場合、お金を貸す代わりに担保となるものを渡したり、連帯保証人を立てたりするものです。しかしながら、住宅ローンの場合には借り入れする金額が大きくなりますし、その返済期間も長くなりますので担保や連帯保証人では心もとないのです。そこで代わりになってくれるのが保証会社です。
保証会社は借り入れする本人から保証料をもらうことによって、万が一のときの保証をしてくれるわけなのです。住宅ローンのような大きな金額の借り入れをするにあたっての保証をしてくれるからこそ、ある程度まとまった金額を保証料として保証会社に支払っていくのです。
住宅ローン控除とは
住宅ローン控除は住宅ローン減税と同じものです。正式には「住宅借入金等特別控除」と呼ばれるものになります。住宅を購入する際には住宅ローンを利用することになるかと思いますが、一定の期間、住宅ローンの残りに応じた金額が所得税から還付されるというのが住宅ローン控除になります。
基本的には納税した金額以上は戻ってきません。住宅ローン控除の対象となるローンや物件の条件というものがありますので、そういったものを満たした方のみが利用できるものです。確定申告をする必要がありますので、多少手続きは面倒になるかもしれませんが利用することができればかなり経済的には助けられることになるでしょう。
固定金利とは
住宅ローンを利用するにあたって金利というのは非常に重要なポイントになってきます。固定金利というのは、文字通り金利が固定されるタイプのものになります。金利が固定されているため、借り入れをする際に毎月の返済金額と総返済金額が明確になります。そのため、返済計画を立てていきやすくなります。
金利が固定されていますので、世の中の金利が急上昇した場合にも影響を受けないという部分もあります。こういったところは固定金利のメリットになりますし、そのため固定金利は安定性があるといったイメージを持たれるのです。
ただ、やはりいいことばかりというわけではありません。固定金利の場合には金利が高めの設定になっていることも多く、毎月の返済金額や総返済金額の負担が大きくなってしまうというところもあります。また、将来的に世の中の金利が下がったときに損をしてしまうという可能性もあります。
フラット35
フラット35というのは、民間の金融機関と住宅金融支援機構が提携し、提供している長期固定金利住宅ローンになります。固定金利タイプの住宅ローンのひとつになります。フラット35は最長で35年の長期固定金利住宅ローンになりますので、借り入れの際の金利はもちろん、返済金額が確定することになります。返済計画を立てやすく、具体的な返済金額が確定することによって安心感も得られるのではないでしょうか。
さらに、一般的には住宅ローンを利用する際に保証料や繰上返済手数料などで結構なお金が持っていかれることになるのですが、フラット35の場合には保証料や繰上返済手数料などが無料になっているのです。特に、保証料は結構な割合を占めるものになりますのでこれが無料となると、必要となってくるお金もかなり違ってくるのではないでしょうか。
このように非常に魅力的なフラット35ですが、やはりデメリットもあります。まず住宅金融支援機構における技術基準に適合した住宅でなければ利用できないのです。また、保証料や繰上返済手数料は無料になっているものの融資事務手数料が必要になってきます。さらに借り入れ期間が短い場合には、フラット35以外の住宅ローンを利用したほうがお得になるということもあります。
フラット35s
先ではフラット35についてお話しましたが、フラット35sというものもあります。これはフラット35に申し込んだ方が省エネルギー性や耐震性、バリアフリー対策などに優れた住宅を取得する場合に、フラット35の金利を一定の期間引き下げる制度になります。
フラット35sを利用するためには、フラット35の技術基準に適合するだけではなく、フラット35sの技術基準に適合することも求められます。適合していることを証明するために検査を受ける必要がありますので、その点は少し面倒かもしれません。基本的にはその住宅で生活する人や環境により優しい住宅を取得するのであれば、少しお得になりますよという制度なのです。
10年国債とフラット35
住宅ローンを利用するにあたって、気になるのが金利です。特に大きな金額を借り入れすることになる住宅ローンですから、少しでも金利が安いときに申し込みたいと思う方も多いでしょう。しかしながら、金利が上がるか下がるかというのは予想ができないものです。ただ、フラット35の場合には10年国債から予測できる可能性もあります。
フラット35というのは長期の取引になるわけですが、このときの金利を長期金利と呼びます。この長期金利というのは、日本では新発10年国債の流通利回りを指標にしているのです。新発10年国債は新聞にも載っていますので、チェックしていきましょう。
新発10年国債の利回りが上昇し、その影響でフラット35の金利も上昇するという可能性は高いのです。基本的には住宅ローンの金利は予測できるものではありませんし、実際に予測するのは難しいことです。10年国債とフラット35に関係があることを知った上で、新聞などでその数値をチェックし、目安にしていくといいでしょう。
変動金利とは
住宅ローンの金利タイプには固定と変動の2種類があります。固定金利については先でお話しましたので、今度は変動金利についてお話していきましょう。
変動金利というのは文字通り、金利が変動していくタイプのものになります。基本的には半年ごとに金利が見直されることになります。固定金利に比べると、設定されている金利が低いため、金利だけを見ると変動金利のほうが非常に魅力的に見えるものです。ただ、変動する金利によって返済金額も変わっていきます。
見通しが立てにくいというデメリットもあります。特に、計画的に返済をしていきたい方にとっては金利が変わることによって返済金額が変わってくるという部分はやはりネックになってくるでしょう。金利が上昇していけば、返済金額も増えていくことになりますので思っていた以上に返済に時間がかかる、返済にお金がかかるということも出てくるでしょう。
景気との関係
金利が変わっていく変動金利の場合、その金利の上がり下がりが景気と関係していると考えている方も多いことでしょう。景気がいいと金利が上がり、景気が悪いと金利が下がるといったイメージの方も多いのではないでしょうか。実際に、金融機関や不動産会社などでは「今は景気が悪いから金利は上がらない」といった案内をするところもあるようです。
しかしながら、景気と金利の関係というのはそのように一概には言えないものなのです。景気がよくなるとお給料などもアップして世の中の生活水準が全体的にアップします。その生活水準に連動する形で金利がアップすることは当然あるでしょう。しかしながら、だからといって景気が悪くなってその生活水準の低下に連動して金利が下がるとは言い切れないのです。
景気が悪くとも金利がアップしてしまうという可能性もあります。今の日本は格差が広がっており、景気がいいのか悪いのか微妙なところですが、金利自体は低水準だといわれています。ただ、この金利がいつ上がるかはわからないのです。
店頭金利と優遇金利幅
店頭金利は基準金利と呼ばれることもあります。住宅ローンはさまざまな金融機関が展開している商品になるのですが、その金利というのはそれぞれの金融機関によって異なります。それぞれの金融機関が自由に決めた金利のことを店頭金利と呼ぶのです。
一方で、一定の条件を満たすことによって適用される優遇金利といったものもあります。店頭金利と優遇金利との金利差を優遇金利幅と呼ぶのです。例えば、同じ商品であっても店舗によってその価格というのは違ってきます。
同じ商品でも120円、110円、100円と価格が違ってくるのと同じように、住宅ローンも金融機関によって金利が3パーセント、2パーセント、1パーセントと異なってくるのです。これを見たときにそれなら間違いなく1パーセントの金利を選ぶのではないかと考える方も多いでしょう。しかしながら、ここで優遇金利が登場するのです。
これは一種の割引と考えることができます。同じ商品でも店舗によっては「うちのポイントカードを持っている方であればさらに20パーセントオフになります」ということもあるでしょう。住宅ローンにおいても「うちの銀行口座を持っている方であれば、住宅ローンの金利をさらに引き下げますよ」といったことがあるのです。これが優遇金利になります。
銀行口座を持っているというのはあくまでも一例で、それぞれの金融機関で「この条件を満たせばもっとお得になりますよ!」というものを展開しています。優遇金利幅によって適用される金利が変わってきますので、店頭金利だけではなく、優遇金利まで見て、トータルで考えていく必要があります。
まとめ
住宅ローンを借りるためには、仮審査と本審査に通過する必要があります。仮審査と本審査では、審査する機関も違いますし、審査の基準も異なります。仮審査は比較的通過しやすいのですが、本審査は過去の履歴などを詳細にさかのぼるため、滞納などの履歴があると難しい傾向にあります。
ほとんどの住宅ローンでは、団体信用生命保険への加入が義務付けられています。借主であるあなたが事故などで死亡してしまったときや、病気で働くことができなくなってしまったときのための保険です。この保険に加入していないと、残された家族に多額の借金がかぶさることになるので、できるだけ加入するようにしましょう。
以前は、連帯保証人や保証人などによって保証料を支払う必要はありませんでした。しかし、最近では保証会社への加入を条件としている銀行が増えました。銀行としては安心して貸付が行えることが何よりだからです。
住宅ローン控除は、住宅ローンを借りている人だけが受けることができるものです。毎年、住宅ローンの残債の1%が還元される制度です。ただし、所得税などの納税額が限度となるので、気をつけましょう。
固定金利は、借入期間中の金利がずっと同じになっている住宅ローンの金利です。代表的な住宅ローンは、フラット35です。フラット35には、一定の基準を満たした人だけが好条件で借りることのできるフラット35sというものもあります。
変動金利は、借入期間中の金利が一定のスパンごとに変わる住宅ローンの金利です。2年固定、5年固定などが変動金利のプランになります。金利の変動については、景気連動性も認められるのですが、必ずしも景気だけかといえばそうではありませんのでご注意ください。