わたしたちが普段使っている地図は、住宅地図とよばれています。「郵便物を届けるために住所を知りたいなー。」というときには、住宅地図で十分です。しかし、不動産のことを調べるときにはブルーマップという地図を活用しなければ、なかなか調査は進みません。
初めてブルーマップを使うときには、記載されている情報に圧倒されてしまうかもしれません。ブルーマップには、不動産の専門用語がふんだんに使われているので、情報を選ぶだけでも大変でしょう。それでもブルーマップの見方を知りたい、あなた。安心してください。
今回は、ブルーマップの活用方法を徹底的に解説します。最近は、インターネットで閲覧するサービスもあるようですが、見方・読み方がわからなければ使いこなせません。地番など重要な情報を調べることができる便利な地図ですので、マスターしておきましょう!
ブルーマップとは
そもそも、ブルーマップとはなにか?という質問について解説します。一言にすると「不動産屋さんが知りたい基本情報を一発で取得できる便利な地図」です。ですので、一般的な地図には載っていない不動産の専門知識・情報がメインに記載されています。
例えば、地番を知りたいときには法務局で公図を取得するという方法があります。ですが、いちいち公図を取得していては、時間もコストもかかります。「これでは困る!」ということで、住宅地図に公図を重ねて、住所から地番が調べられるようにしたのがブルーマップです。
ほかにも、特定の不動産に関する用途地域、容積率、建蔽率など、不動産屋さんが「すぐ知りたい情報」が記載されています。不動産関連業・官公庁向けに作成されている地図なので、難しい地図なのかと思われるかもしれませんが、決して難しくはありません。一般の方も利用する法務局にも、備え付けられているほどなので、あまり不動産に精通していない人にもわかるように配慮もされています。
地図を読むコツとしても重要なのですが、ブルーマップという名前の由来をご紹介します。とても単純な話で、特殊な不動産情報(地番、用途地域、容積率・建蔽率)などはブルー(青色)で表記しているからです。なので、ブルーマップを活用するコツは、普通の地図を読むように知りたい不動産を探して、見つけたら青い文字に注目するという流れになります。
逆に、地番から現地を特定するということもできます。「登記事項証明書だけ貰えたけど、地番しかわからなくて困った!」というときには逆引きしましょう。
ただ、残念なことにこのブルーマップが発行されているエリアは限られています。つまり、ブルーマップがないエリアも当然出てくるのです。ブルーマップがあるエリアの人は簡単に情報を調べることができますが、ブルーマップのないエリアの人は自分で照らし合わせるという作業が必要になってきます。
ブルーマップからわかること
ブルーマップについて解説しました。ブルーマップは、住宅地図と違って、「不動産について専門的なこともパッとわかる地図」ということでしたね。ここでは、「不動産についての専門的なことって何?」という疑問に答えながら、ブルーマップからわかることについて解説します。
地番と番地(公図)
おそらく、ブルーマップでもっとも頻繁に調べられる情報が「地番と番地」です。似たような言葉ですが、まったく性質が異なります。簡単に解説します。
わたしたちが郵便を出すとき(または受け取るとき)に使っている住所は、番地が使われています。別名「住居表示」といわれるもので、人が住んでいる建物の玄関を基準に割り振られる番号です。なので、人が住んでいない空き地などには番地(=住居表示)が基本的に存在しません。
番地とは別に、すべての不動産を識別するための番号として割り振られているのが地番です。人が住んでいない空き地であっても、売買したくなることもあれば、役所も固定資産税の請求をしたりしなければいけません。正確な地番を調べるのに用いられるのが公図とよばれる地図です。
用途地域と用途地域界
わたしたちが普段生活しているときに意識することはないのですが、ある土地には用途地域というものが決められていることがあります。用途地域が決められている土地では、決められた用途に沿った建物しか建てることができません。「超高層ビルを建てたい!」と思っても、「ここでは背の低い建物しか認めないよ。」と言われてしまうことがあるのです。
用途地域は、ある一定のエリア(=界)に設定されるので、そのエリアのことを用途地域界といいます。
容積率と建ぺい率
ブルーマップからは、容積率と建ぺい率も知ることができます。容積率と建ぺい率は建物を建てる時のルールで、敷地利用に関する制約です。%で表記されます。「ここに建物を建てるなら、敷地面積のA%以内を使って、床面積の合計は敷地面積のB%までにしなさい!」という制約です。
ブルーマップの見方
さて、ブルーマップの基本的な事項について説明してきました。ブルーマップを開いたときに、何が書いてあるのか、あなたが何を知りたいのかはわかるようになったはずです。では、実際にブルーマップを見てみましょう。
ブルーマップの見本
画像引用元:ZENRIN
上に表示されている画像は、ブルーマップの見本です。発行元のZENRIN様より引用しています。
先ほど説明したように...
- 地番
- 住居表示
- 用途地域名
- 用途地域界
- 容積率
- 建ぺい率
がブルーマップからは読み取れるようになっています。
中野2丁目ビル(建)の場合
見本の左上(若干上のほうが切れていますが)に、「中野2丁目ビル(建)」という建物があります。この場所を例に解説します。
住居表示
右中央に記載されている「中野2丁目(赤文字)」より、町村は中野2丁目とわかります。
対象のビルから少し右側を見ると、●(黒丸)の中に「①」と記載されています。これは番地を表しているので、「中野2丁目1番地」までわかりました。
最後に、号を知りたいのですが、ちょうど画像が切れているため残念ながらわかりません。通常、対象の不動産の四隅のどこかに黒文字で番号が振られています。その番号が「号」を表しています。
地番
中野2丁目ビル(建)をみると、上に青文字で「2・3・4・5」という数字が確認できます。青で記載された数字こそが「地番」です。
用途地域名(用途地域界)
中野2丁目ビル(建)の少し右を見ると、青い横長の丸に囲まれて「商業」と書かれています。用途地域を表していて、「商業地域」ということです。
付近を囲むようにして、薄青で少し太めの線が引かれています。このラインが用途地域界(=エリア)を表していて、「線の内側は商業地域ですよー。」という意味です。
容積率と建ぺい率
用途地域名のすぐ下に、カプセルのようなマークに囲まれて数字が記入されています。上が容積率を表していて、下が建蔽率を表しています。容積率と建ぺい率は、用途地域とセットになって決められているので、用途地域名の直下に記載されているということです。中野2丁目ビル(建)は、容積率700%・建ぺい率80%です。
公図番号
たまに役に立つのが公図番号です。これは公図に割り振られている識別番号のことです。これがなぜ役に立つのかというと、ブルーマップに記されている地番はおおよそであり、必ずしも正確な位置に数字が書かれているとは限りません。
大きめの土地や数筆にまたがる土地などでは、数字がばらばらに記載されてはいるものの、その数字の位置はかなり適当です。この時に公図番号が分かっていると、その公図を請求することで正確な地番を知ることができます。
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【登記事項証明書】公図・地積測量図・建物図面の取得方法
登記事項証明書には、不動産に関する情報が細かく記載されていますが、文字情報のみです。不動産について把握するには絵でも理解する必要があります。隣接している土地の状況や、検討している土地の細かい寸法などです。
今回は、万全の下調べを行うために必要な各種図面についてお話します。
番地(住居表示)から地番を調べる
「住所は知っているけど、地番がわからない!」というときの調べ方を解説します。番地(住居表示)から地番を見つける方法ということですね。コツは、「難しく考えずに住宅地図で探すときと同じようにすること」です。
まず、ブルーマップを表紙から数ページ開いてください。すると、最初のほうに住所の索引ページが見つかります。索引ページを使って、すでに分かっている番地が、どのページなのか探しましょう。調べ方は簡単で、市⇒町⇒丁目・字と下がっていきます。
例えば、A市B町C丁目を調べたいとします。ひとつの市だけしか載っていないブルーマップでは、市は気にする必要がありません。しかし、いくつかの市が載っているブルーマップでは、A市がどこにあるのかをまず見つけます。
次にA市の項目の中から、B町を見つけます。見慣れない町名で読み方が分からない場合は、一度インターネットなどで検索して、読み方を調べましょう。分かったら、五十音順になっているので見つけます。
最後に、B町の項目の中から、C丁目を見つけます。丁目・字はないこともあります。ここまでたどり着くと、右側にページ数が書いてあるので、そのページを開きましょう。
周辺施設などをもとに特定の住所を見つける
先ほどのページを開くと、どこか対象の不動産があるエリアの地図が開かれているはずです。あとは住宅地図で探すときと同じようにして、探しましょう。コツは、主要道路や大型施設など目印になるランドマークを見つけて、辿ることです。
見つかりましたか?見つかったら、先ほど見本を使って解説したようにして、情報を読み解きましょう。地番を知りたいのであれば、青い数字を確認です。
ブルーマップの注意点
ようやく地番を見つけることができて一安心だと思います。ですが、ブルーマップに記載されているのは、大まかな地番だということを忘れないでください。
市街地では、正確な地番がわかることが多いですが、田畑ばかりのところでは、かなり大まかなケースが多いです。最終的に正確な地番を調べるためには、公図が必要になるので、もし困ったときには見つけた地番の公図を取ってみましょう。