あなたに最適な「媒介契約」の選び方について解説しています。
媒介契約には、
- 一般媒介契約
- 専任媒介契約
- 専属専任媒介契約
がありますが、状況に応じて選ぶべき媒介契約は変わります。
どの媒介契約を選ぶべきなのかについて、詳しく解説していきます。
大前提として、売れる不動産は、どの媒介契約を選んだとしても売れます。
なぜなら、不動産が売れるかどうかは、
- 不動産仲介業者の売却への熱意
- 不動産そのものが持っている価値
に左右され、上記2点は正比例の関係があるからです。
この記事では、
- 不動産仲介業者の売却への熱意
- 不動産そのものが持っている価値
がまったくわからない状況で、どうすれば最適な媒介契約を選べるのかを解説しています。
売れる不動産には、媒介契約など関係がない
不動産が売れるかどうかは、
- 不動産仲介業者の売却への熱意
- 不動産そのものが持っている価値
に左右されます。
さらに、両者の関係は正比例になっており、
- 不動産そのものが持っている価値が高い
- 不動産仲介業者の売却への熱意が高くなる
という状態を基本的に維持します。
「仲介手数料」を考えれば、上記の関係は当たり前のことです。
仲介手数料は、成果報酬型なので、預かった不動産が売れない限り、不動産仲介業者には利益が発生しません。
ですので、不動産そのものが持っている価値が高く、売れる見込みが高い不動産であればあるほど、不動産仲介業者は売却活動に熱心になります。
その逆も然りで、不動産そのものの価値が低く、売れる見込みが低い不動産であればあるほど、不動産仲介業者は売却活動に熱心になりません。
原則として、最初は「一般媒介契約」を活用すべき
不動産が売れるかどうかは、
- 不動産仲介業者の売却への熱意
- 不動産そのものが持っている価値
に左右され、両者は正比例の関係を持っていることを説明しました。
両者のうち、媒介契約によって、あなたが状況を変えられるのは「不動産仲介業者の売却への熱意」だけです。
媒介契約を変えたところで「不動産そのものが持っている価値」は、絶対に変わりません。
(※「不動産そのものが持っている価値」を変えるには、リフォームなどを施すしかありません。)
一度、不動産仲介業者の視点で考えてみます。
不動産仲介業者が査定など、不動産を預かれるかどうかというタイミングで考えているのは「売れそうな物件なのかどうか?」だけです。
不動産仲介業者の頭の中では、
- 売れそうな物件 → できれば「専任媒介契約(または専属専任媒介契約)」で預かりたい
(※仲介手数料が得られそうで、両手取引ができればよりありがたい) - 売れなさそうな物件 → どちらでもいいが「一般媒介契約」で預かって、賑やかしになればいい
(※直接的な利益には繋がらないが、掲載物件数が「1つでも」増えればいい)
というのが正直なところです。
あなたの視点に戻して考えます。
「不動産そのものが持っている価値」が高かったと仮定すると、
- 一般媒介契約 → もっとも条件の良い(高値および早期での売却)結果を得ることができる可能性が高い
- 専任媒介契約(または専属専任媒介契約) → 得られたはずのよりよい結果を逃してしまう可能性が高い
となります。
「不動産そのものが持っている価値」が低かったと仮定すると、
- 一般媒介契約 → 不動産仲介業者がろくな扱いをしないので、まともな結果を得られない可能性が高い
- 専任媒介契約(または専属専任媒介契約) → 最低限の扱いは受けるが、まともな結果を得られない可能性が高い
となります。
実際には「不動産そのものが持っている価値」は、市場に出してみるまでわかりません。
ですので、原則として、まずは「一般媒介契約」を試して、もっとも条件の良い結果に繋がるかどうか確認するのが基本です。
一般媒介契約から試すことで、「不動産そのものが持っている価値」も知ることができます。
具体的には、
- 不動産仲介業者が熱心に売却活動を行うかどうか
(指定流通機構にすぐに登録され、しっかりとした販売資料が用意されるなど) - 問合せや案内の件数が多いかどうか
を確認することです。
原則として、最初は「積極的に広告掲載をします」は無視していい
「専任媒介契約(または専属専任媒介契約)を結んでいただければ、積極的に広告掲載をします」という不動産仲介業者はたくさんいます。
暗に「一般媒介契約だったら冷遇するからな」と言っているのですが、無視していいです。
思い出していただきたいのですが、
- 売れそうな物件 → できれば「専任媒介契約(または専属専任媒介契約)」で預かりたい
(※仲介手数料が得られそうで、両手取引ができればよりありがたい) - 売れなさそうな物件 → どちらでもいいが「一般媒介契約」で預かって、賑やかしになればいい
(※直接的な利益には繋がらないが、掲載物件数が「1つでも」増えればいい)
というのが不動産仲介業者の頭の中です。
ですので、一般媒介契約を選んだところで、
- 売れそうな物件 → 「一般媒介契約」であっても、積極的に広告掲載をする可能性が高い
(※売り上げをみすみす逃し、他社に利益が渡ってしまうのを避けるため) - 売れなさそうな物件 → 「一般媒介契約」なので、広告の掲載には消極的な可能性が高い
(※直接的な利益には繋がらなさそうなので、できるだけ経費を使いたくない)
となるだけです。
最初から「専任媒介契約(または専属専任媒介契約)」を選ぶべき例外
最初から「専任媒介契約(または専属専任媒介契約)」を選ぶべき例外は、特定の不動産仲介業者を選ぶ理由があるときだけです。
より具体的には、専任媒介契約(または専属専任媒介契約)を結ぶことによって受けられる独自サービスがどうしても受けたいときです。
不動産仲介業者によっては、専任媒介契約を結んだ売主向けに独自サービスを用意していることがあります。
たとえば、ノムコム(野村不動産グループ)であれば、
- 売れなかったときのための「買換保証」
- 最長5年間、最大500万円の「補修保証」
- 第一印象をよくする「ホームステージング」
を提示しています。
大手の不動産仲介業者では、さまざまな独自サービスを展開しています。
かなりメリットが大きく、絶対に逃したくない場合には、最初から目当ての不動産仲介業者と「専任媒介契約(または専属専任媒介契約)」を結ぶべきです。
しかし、
- 地方の不動産仲介業者
- 中小の不動産仲介業者
では、独自サービスというほどのものは基本的に存在しません。
媒介契約の更新時に「専任媒介契約(または専属専任媒介契約)」に切り替える
基本的に、媒介契約は「3ヶ月」で更新が訪れます。
最初の更新が来たときに、
- 一般媒介契約を続行する
- 専任媒介契約(または専属専任媒介契約)に切り替える
のいずれかについて検討します。
判断する基準は、
- 不動産仲介業者の売却への熱意
- 不動産そのものが持っている価値
です。
3ヶ月間様子を見た結果、問合せなどが多かった場合、「不動産そのものが持っている価値」が高いということなので、一般媒介契約を続行してもよいでしょう。
また、目立って熱心な不動産仲介業者がいた場合には、専任媒介契約(または専属専任媒介契約)に切り替えることで、「不動産仲介業者の売却への熱意」をさらに高めるのもひとつです。
3ヶ月様子を見た結果、問合せなどが少なかった場合、残念ながら「不動産そのものが持っている価値」が低かったということです。
ですので、一般媒介契約を続行してしまった場合、不動産仲介業者がろくな扱いをしないので、まともな結果を得られない状態が続きます。
よって、専任媒介契約(または専属専任媒介契約)に切り替えることで、「不動産業者の売却への熱意」に働きかけ、最低限の営業活動を行なってもらう必要があります。
(※つまり、指定流通機構への掲載や、積極的な広告掲載などです。)
「一般媒介契約」から「専任媒介契約(または専属専任媒介契約)」に切り替えるのですが、必ず「一般媒介契約」を試してからです。
なぜなら「専任媒介契約(または専属専任媒介契約)」の効果をより高めるには、「不動産仲介業者の売却への熱意」が高いことが求められます。
一般媒介契約を複数の不動産仲介業者と結ぶことで、3ヶ月間、不動産仲介業者の良し悪しを比べることができます。
比べた結果、もっともよかった不動産仲介業者を選ぶことで「専任媒介契約(または専属専任媒介契約)」の効果を最大限に引き出せるのです。
ですので、「専任媒介契約(または専属専任媒介契約)」を結ぶつもりだったとしても、最初は「一般媒介契約」を試すことで、最良の不動産仲介業者を見極めるべきです。