宅建士試験 コラム

宅建業法:総則(目的、用語の定義)


宅建業とは

宅建業とは、宅地・建物の取引を業として行うことです。宅地建物取引業の略です。

宅地・建物の取引には、

  1. 売買・交換
    (※宅建業者が当事者の場合)
  2. 売買・交換・賃借の代理
    (※宅建業者が代理人の場合)
  3. 売買・交換・貸借の媒介
    (※宅建業者が媒介人の場合)

の3種類があります。

売買や交換などの取引は、通常、売り手・買い手など2者間で行われます。

宅建業者が当事者となって行われる売買・交換とは、買い手もしくは売り手のどちらかが宅建業者である取引をいいます。宅建業者が自ら所有している不動産を売る、もしくは他人の不動産を自ら所有するために買う取引です。売る場合には不動産情報誌などに、取引形態「売主」と記載されます。

まごころう
通常、不動産屋さんは不動産を所有しません。他人の不動産を借りて、売買などをする代わりにお駄賃を頂戴ねというビジネスをしています。

次のケースを解説する前に、代理と媒介について話をします。

代理とは、誰かから代理権を与えらた者が、その者の代わりに取引を直接行うことです。例えば、あなたが母親から「牛乳を買ってきて」とおつかいを頼まれた場合、牛乳を買いに行くのはあなた(代理人)であり、お店の人と直接牛乳の取引をするのも、あなたです。取引による成果物(牛乳)は、依頼者である母親に帰属します。

媒介とは、何らかの取引の間に立って、取引の成立を手助けすることをいいます。例えば、「牛乳を買ってきて」と言っている母親に、「牛乳が余った」と言っているあなたの友人を連れてきて、あなた(媒介人)が母親と友人の間を取り持つことです。あなたは取引にかかわっていますが、直接取引をしているのは母親と友人です。

宅建業者が代理人となって行われる売買・交換・賃借とは、宅建業者が誰かの代理人になって直接取引を行うことです。不動産は宅建業者の所有しているものではありませんが、依頼者に認められた範囲で、取引・交渉のすべてを決定し、完結させます。

宅建業者が媒介人となって行われる売買・交換・賃借とは、宅建業者が取引の仲介人となり取引の手伝いをすることです。不動産は宅建業者の所有しているものではありませんし、取引・交渉の決定も行いません。あくまでも取引・交渉をスムーズに進めるための助言者であり、決定権者にはなりません。

以下は、宅地建物の取引を表にまとめたものです。

売買・交換 賃借
自ら ×
代理
媒介

宅建業者が”自ら賃借”をする場合のみ、宅地建物の取引にならないということを覚えておいてください。

業として行うとは、不特定多数の者に反復継続して行うことです。例えば、販売業では、毎日いろいろな人がお店で買い物をして帰ります。転勤が理由でマンションを売却するような1回限りの行為は業として行ったことにはなりません。

宅建業とは

” 自ら賃借 ” 以外の宅地建物の取引を業として行えば「宅地建物取引業」です。宅地建物取引業か判断するには、

  • 自ら賃借
  • 業(不特定多数の者に反復継続して行うこと)

を覚えておけば問題ありません。

しかし、解説した内容(代理や媒介など)について正確に理解がされていないと、他の箇所で意味が分からなくなるので注意してください。

以下は、宅建業法 2条2号の条文です。覚える必要はありません。興味があれば、目を通しておいてください。

+ 宅地建物取引業法 2条2号

宅地建物取引業とは、宅地若しくは建物(建物の一部を含む。以下同じ。)の売買若しくは交換又は宅地若しくは建物の売買、交換若しくは賃借の代理若しくは媒介をする行為で業として行うものをいう。

宅建業者とは

宅建業者とは、宅地建物取引業を営んでいる者で、免許を受けている者です。免許を受けることなく宅建業を営んでいる者(違法行為)や、免許を受けずに宅建業を営むことができる国・地方公共団体は、宅建業者ではありません。宅建業を営んでいるが、免許を受けていない者は「宅建業を営む者」という表現になります。

まごころう
少しややこしいのですが、”宅建士の免許”と”宅建業の免許”は別物です。宅建士の免許とは、不動産のことについて一定の知識を持っている者であることを証明するものでしかありません。宅建士の免許を持っていたとしても、宅建業を営むためには、宅建業を営むことを許可された者であることを証明する宅建業の免許が必要になります。

国・地方公共団体と宅建業の免許について

国・地方公共団体が宅建業を営むときには、そもそも宅建業法が適用されません。

また、

  • 独立行政法人 ” 都市再生機構 ”
  • 地方住宅供給公社

も、国や地方公共団体とみなされます。そのため、宅建業法が適用されません。

宅建業法が適用されないので、宅建業の免許を受けることなく宅建業を営むことができます。

まごころう
国や地方公共団体が、率先して違法行為を行うはずがないという考えです。宅建業法による制約を受けないというだけで、他の法律によってきっちり制約を受けています。

信託会社と宅建業の免許について

信託とは、委託者(依頼者)の財産について、受託者(依頼を受けた者・信託会社など)が管理・処分して受益者(利益の受け手)に分配することをいいます。委託者は、どのような目的で財産を管理・処分するのか指定することができ、信託目的に従って受託者は管理・処分を行います。遺言を実行するときなどに信託が活用されます。

比較的、身近な例は「相続」です。あなた(依頼者)が亡くなったときのために、信託銀行(受託者)に亡くなったときに財産を管理・処分する方法(信託目的)を事前に伝えて、死後の財産管理を任せます。亡くなったときには、信託目的に沿って、信託銀行が遺産相続人(利益の受け手)に財産を分配します。

信託会社(信託業法3条または53条の免許を受けた者)には、宅建業の免許に関する規定が適用されません。ですが、国土交通大臣への届出が必要です。宅建業法が適用されないのではなく、あくまでも免許に関する規定だけが適用されないだけなので、その他の規定(専任取引士の設置義務など)は、宅建業者と同じことを守らなければいけません。

免許の有効期限満了時および免許が取り消されたときの契約の取り扱いについて

宅建業の免許には有効期限があります。また、業務の内容によっては、免許が取り消されることもあります。免許の有効期限が切れたり、免許が取り消されたときには、当然、宅建業を継続することは許されません。

しかし、通常、不動産の契約は、契約と債務履行(契約内容の実行)の日にちが異なります。あなたが家を購入する契約をしたとして、即日家が建つかというと建ちません。つまり、契約をしてから、一定の期間を待って、ようやく品物が手に入ります。

待っている期間中に、宅建業者の免許が期限切れになったり、免許が取り消されてしまったとします。あなたは契約をして、手付金なども支払ってしまっているので、なんとしてでも品物が手に入らないと困ってしまうはずです。このようなケースでは、宅建業法の目的にあるように、消費者保護の観点で考えて、契約および債務履行は保護されます。宅建業者には、期限切れ前・免許取消前にした契約および債務を履行する責任があるので、完結するまでは宅建業者とみなされます。
(※ただし、消費者の保護が目的であるため、新たな契約などを締結することは認められません。)

宅建業者とは

宅建業者とは、第3条第1項の免許を受けて宅地建物取引業を営む者です。

違法に宅建業を営んでいる者(もぐりの業者)や、国・地方公共団体など宅建業法の適用がない者については、”宅建業を営む者”という表現が使われます。

ある者が一定の行為を行うときに免許が必要か?という問題は頻繁に出題されるので、しっかり理解しておきましょう。

無免許事業等の禁止

無免許で宅建業を営むことは禁止されています。もぐり業者などは、免許を受けることなく宅建業を営んでいるので、無免許営業に該当します。ほかにも、免許の更新を怠り、免許切れになっている状態で宅建業を営んだ場合も、無免許営業です。

また、名義貸しも禁止されています。宅建業の免許を受けるときには、特定の者の名義で免許の申請をします。名義貸しとは、宅建業の免許を受けた者が、自分の名義を他人に貸して宅建業を営ませることです。

あなたの名義で宅建業の免許を受けたときに、あなたの友人に名義を貸して宅建業を営ませると名義貸しになります。仮に友人が友人の名義で宅建業の免許を受けていたとしても、あなたの名義で宅建業を営めば、名義貸しです。顔が似ている弟に運転免許証を貸して、警察に止められた時に、素知らぬ顔で免許証を提示して悪さをするのと同じです。

無免許営業および名義貸しを行った場合には、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金(またはこれの併科)が科せられます(※法人が行った場合には、1億円以下の罰金になります。)。

また、宅建業を営んでいますよー!という表示をしたり、広告を出しただけで、実際には宅建業を営んでいなかった場合でも、100万円以下の罰金が科せられます。

無免許事業の禁止

  • 無免許または名義貸しによる営業
    ⇒3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金(またはこれの併科)
    ⇒※法人は、1億円以下の罰金
  • 無免許または名義貸しによる営業の表示・広告
    ⇒100万円以下の罰金

罰金の額など細かい部分が出題されることもありますが、まずは無免許または名義貸しによる営業をしてはいけない!ということを覚えておきましょう。


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