宅建士試験 コラム

宅建業法:免許の基準(欠格要件)・免許の条件


この記事では「宅建業法:免許の基準(欠格要件)・免許の条件」について解説しています。

免許の基準(欠格要件)は、かなり高確率で試験に出題されます。

ボリュームも多くややこしいのですが、要点さえ押さえれば、さほど難しいことは言っていません。

また、宅地建物取引士の欠格要件にも共通することなので、しっかり学習しておけば一石二鳥です。

他の受験生に一歩も二歩も差がつけられるところなので、気を引き締めて取り掛かりましょう。

この記事からわかること

  • 免許の欠格要件
  • 免許の条件

免許の欠格要件

免許の欠格要件には、形式的欠格要件と実質的欠格要件があります。欠格要件とは、一定の内容に該当することで免許が受けられなくなることです。運転免許証でいえば、一定以上の視力がなければ、免許がもらえないのと一緒です。

形式的欠格要件とは、申請書や添付書類に関する欠格要件です。重要事項について記載漏れがある場合や、虚偽の記載がある場合をいいます。虚偽の記載をして申請をした場合には、免許が拒否されるとともに、100万円以下の罰金に処せられます。

本試験上、重要なのは実質的欠格要件です。かなりのボリュームがありますが、頻出するところなのでしっかりと覚えるようにしましょう。

実質的欠格要件

実質的欠格要件は、

  1. 成年被後見人・被保佐人・破産者で復権を得ない者
  2. 宅建業法66条1項8号または9号に該当することにより免許を取り消され、その取消しの日から5年を経過しない者
    (※法人の場合は、取消しに係る聴聞の期日・場所の公示日前60日以内にその法人の役員であった者を含む)
  3. 2の場合において、免許取消処分の聴聞の期日・場所の公示日から処分するかしないかを決定する日までの間に、解散、廃止の届出をして処分を免除された者で、届出の日から5年を経過しない者
  4. 3の期間内に合併により消滅した法人または解散・廃業の届出があった法人の聴聞の公示日前60日以内に役員であった者で、その消滅または届出の日から5年を経過しない者
  5. 禁固以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、または刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
  6. 宅建業法もしくは暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の規定に違反したことにより、または刑法204条(傷害罪)、206条(傷害現場助勢罪)、208条(暴行罪)、208条の2(凶器準備集合及び結集罪)、222条(脅迫罪)、247条(背任罪)の罪もしくは暴力行為等処罰に関する法律の罪を犯したことにより、罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
  7. 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律2条6号に規定する暴力団員または同号に規定する暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
  8. 免許の申請前5年以内に宅建業に関し不正又は著しく不当な行為をした者
  9. 宅建業に関し不正または不誠実な行為をするおそれが明らかな者
  10. 宅建業に係る営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年で、その法定代理人(法定代理人が法人である場合においては、その役員を含む)が上記1~9のいずれかに該当するもの
  11. 法人で、その役員または政令で定める使用人が上記1~9のいずれかに該当する者のあるもの
  12. 個人で、政令で定める使用人が上記1~9のいずれかに該当する者のあるもの
  13. 暴力団員等がその事業活動を支配する者
  14. 法定数の専任の宅地建物取引士を置いていない者

です。

まごころう

かなりボリュームがありますが、おおむね6つのグループに分類ができます。

  • 財産を管理する能力がない者
  • 免許の取消し処分を受けた者
  • 禁錮刑以上の刑に処せられた者
  • 暴力団員
  • 宅建業に関する悪事を働いた者および悪事を働くことが明らかな者
  • 申請者以外の者によって申請者本人が欠格要員となるもの

グループごとに解説していきます。

グループ1:財産を管理する能力がない者

該当する欠格要件は、

1. 成年被後見人・被保佐人・破産者で復権を得ない者

です。

1. 成年被後見人・被保佐人・破産者で復権を得ない者

成年被後見人・被保佐人・破産者で復権を得ない者は、自分で財産を管理することができません。

成年被後見人・被保佐人は、精神上の障害による制限行為能力者であり、正常な判断によって金銭を使うことができる者ではないとみなされます。破産者で復権を得ない者は、破産管財人によって財産を管理されているので、判断が制約されます。ですので、事実上、宅建業を営む能力がなく、免許を受けることができません。

成年被後見人・被保佐人は、それぞれ後見開始・保佐開始の審判が取り消されれば、その翌日から免許を受けることができます。同様に、破産者で復権を得ない者は、復権を得ることができれば、その翌日から免許を受けることができます。

制限行為能力者のなかでも、未成年者と被補助人は欠格要件に含まれていないことに注意しましょう。

グループ2:免許の取消し処分を受けた者

該当する欠格要件は、

2. 宅建業法66条1項8号または9号に該当することにより免許を取り消され、その取消しの日から5年を経過しない者(※法人の場合は、取消しに係る聴聞の期日・場所の公示日前60日以内にその法人の役員であった者を含む)

3. 2の場合において、免許取消処分の聴聞の期日・場所の公示日から処分するかしないかを決定する日までの間に、解散、廃止の届出をして処分を免除された者で、届出の日から5年を経過しない者

4. 3の期間内に合併により消滅した法人または解散・廃業の届出があった法人の聴聞の公示日前60日以内に役員であった者で、その消滅または届出の日から5年を経過しない者

です。

2. 宅建業法66条1項8号または9号に該当することにより免許を取り消され、その取消しの日から5年を経過しない者(※法人の場合は、取消しに係る聴聞の期日・場所の公示日前60日以内にその法人の役員であった者を含む)

宅建業の免許は、

  1. 不正の手段により宅建業の免許を受けたとき
  2. 業務停止事由に該当し、情状が特に重いとき
  3. 業務停止処分に違反して、宅建業を行ったとき

に取消処分をうけることがあります。
(※上記は、建業法66条1項8号または9号に該当する内容であり、他にも取消事由はあります。)

上記3つの条件によって取消処分を受けた者が、もう一度、宅建業の免許を取得したいときには、取消しの日から5年を経過していなければいけません。

法人であった場合には、取消しに係る聴聞の期日・場所の公示日前60日以内に、その法人の役員であった者も同様に扱われます。免許の取消処分は、いきなり通知があるわけではなく、言い分を述べる機会が与えられます。言い分を述べる機会の日程や場所の指定を、取消しに係る聴聞の期日・場所の公示といい、公示された日を公示日といいます。

例えば、あなたが代表を務める法人で、友人を役員として雇っていたとします。友人が「ちょっと悪いことだけど、こうすると儲かるよ!」と悪事を提案し、あなたが実行しました。しかし、悪事がばれてしまい、あなたは「取消処分について検討するから、ちょっと来い。」と役所から通知を受け、免許が取り消されました。

しかし、友人は、嫌な予感がしたので事前に役員を辞めていました。辞めていた日が、役所から呼び出しのあった日の61日前だった場合、友人は逃げきれます。しかし、呼び出しのあった日の60日以内であったときには、友人は逃げきれないということです。

3. 2の場合において、免許取消処分の聴聞の期日・場所の公示日から処分するかしないかを決定する日までの間に、解散、廃止の届出をして処分を免除された者で、届出の日から5年を経過しない者

2の例を続けると、呼び出しがあった日から処分が決定するまでの間に、あなたが「そうだ、廃業してしまおう!」とひらめき、実行したとします。この場合、免許取消しをする宅建業者が消えてしまうので、処分はできなくなります。しかし、すぐに復活されては意味がないので、あなたは、廃業の届出をした日から5年を経過するまでは、免許を取得できません。

4.3の期間内に合併により消滅した法人または解散・廃業の届出があった法人の聴聞の公示日前60日以内に役員であった者で、その消滅または届出の日から5年を経過しない者

2の例と同様、合併や廃業によって法人を消滅させた場合にも、法人主だけではなく、役員もまとめて裁かれるということです。組織で悪事を働いたときには、組織の上層部は連帯責任だと覚えておきましょう。

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