グループ3:禁錮刑以上の刑に処せられた者
該当する欠格要件は、
5. 禁固以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、または刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
です。
5. 禁固以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、または刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
刑罰の重さは、
というようになっています。右に行くほど重いです。
「禁錮」以上の刑に処せられるとは、禁錮・懲役・死刑のいずれかの刑に処せられることです。これらの刑に処せられた場合には、その刑の執行を終えるか、刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しなければ、免許を取得することはできません。
禁錮刑以上の判決を受けたとしても、上訴中(控訴・上告)の者は免許を受けることができます。
上の画像は、日本の裁判の進み方を示したものです。
第一審(地方裁判所)の判決が気に入らなかった場合には、控訴することで、第二審(高等裁判所)を受けることができます。第二審(高等裁判所)の判決が気に入らなかった場合には、上告することで、最終審判(最高裁判所)を受けることができます。なので、第一審で禁固刑以上の判決を受けたとしても、控訴・上告をしている間は、刑が確定していないため、免許を受けることができます。(※当然、刑が確定すれば、免許は取消される。)
また、刑の執行猶予期間中は免許を受けることができません。執行猶予期間中に悪いことをせずに、おとなしく過ごせば、言い渡した刑については忘れるよという話なので、執行猶予期間中は刑に処されているのと同義と考えます。
グループ4:暴力団員
該当する欠格要件は、
6. 宅建業法もしくは暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の規定に違反したことにより、または刑法204条(傷害罪)、206条(傷害現場助勢罪)、208条(暴行罪)、208条の2(凶器準備集合及び結集罪)、222条(脅迫罪)、247条(背任罪)の罪もしくは暴力行為等処罰に関する法律の罪を犯したことにより、罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
7. 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律2条6号に規定する暴力団員または同号に規定する暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
です。
6. 宅建業法もしくは暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の規定に違反したことにより、または刑法204条(傷害罪)、206条(傷害現場助勢罪)、208条(暴行罪)、208条の2(凶器準備集合及び結集罪)、222条(脅迫罪)、247条(背任罪)の罪もしくは暴力行為等処罰に関する法律の罪を犯したことにより、罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
傷害罪、傷害現場助勢罪、暴行罪、凶器準備集合及び結集罪、脅迫罪、背任罪、暴力行為等処罰に関する法律の罪のいずれかを犯したことで、罰金の刑に処せられた者は、執行が終わるか、執行を受けることがなくなった日から5年を経過しないと免許を取得することができません。不動産業界は、暴力団を排除するための対策に力を入れているため、上記のような犯罪を犯した者については、禁錮以下の刑である罰金刑であっても許されません。
7. 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律2条6号に規定する暴力団員または同号に規定する暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
先に書いたように、不動産業界は、暴力団を排除するための対策に力を入れています。ですので、暴力団員は、免許を受けることができません。また、暴力団員でなくなった者でも、5年を経過しない限り、免許を受けることはできません。
グループ5:宅建業に関する悪事を働いた者および悪事を働くことが明らかな者
該当する欠格要件は、
8. 免許の申請前5年以内に宅建業に関し不正又は著しく不当な行為をした者
9. 宅建業に関し不正または不誠実な行為をするおそれが明らかな者
です。
8. 免許の申請前5年以内に宅建業に関し不正又は著しく不当な行為をした者
過去に悪いことをしていれば、また繰り返すのではないかと考えるのが普通です。ですので、免許を申請前5年以内に宅建業に関して悪いことをしていれば、当然、免許を受けることができません。
9. 宅建業に関し不正または不誠実な行為をするおそれが明らかな者
8と同じ考えですが、どう考えでも悪いことをしそうな人に免許を与えるわけにはいきません。
グループ6:申請者以外の者によって申請者本人が欠格要員となるもの
該当する欠格要件は、
10. 宅建業に係る営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年で、その法定代理人(法定代理人が法人である場合においては、その役員を含む)が上記1~9のいずれかに該当するもの
11. 法人で、その役員または政令で定める使用人が上記1~9のいずれかに該当する者のあるもの
12. 個人で、政令で定める使用人が上記1~9のいずれかに該当する者のあるもの
13. 暴力団員等がその事業活動を支配する者
14. 法定数の専任の宅地建物取引士を置いていない者
です。上記の欠格要件は、すべて申請者本人が原因ではなく、申請者本人に近しい誰かが原因であるものです。
10. 宅建業に係る営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年で、その法定代理人(法定代理人が法人である場合においては、その役員を含む)が上記1~9のいずれかに該当するもの
通常、未成年者が事業などを行うには保護者などの同意が必要になります。逆に言えば、保護者などの同意を得ることができれば、未成年者であっても、認められた範囲内で事業を行うことができます。しかし、同意をする保護者などが欠格要件(グループ1~5)に該当している場合には、認められないということです。
11. 法人で、その役員または政令で定める使用人が上記1~9のいずれかに該当する者のあるもの
グループ2の内容と似ているのですが、法人主は悪いことをしておらず、役員または政令で定める使用人のみが悪いことをしている点が違いです。この場合、法人主が正当に免許の取得をしようとしても、身内(役員または政令で定める使用人)に悪い人がいるので、免許は認めないということです。
12. 個人で、政令で定める使用人が上記1~9のいずれかに該当する者のあるもの
11のケースが、個人になっただけです。当然、個人であっても、周辺に悪い人がいると、免許は認めないということです。
13. 暴力団員等がその事業活動を支配する者
不動産業界は、暴力団が嫌いです。ですので、暴力団のにおいがする組織は徹底的に排除します。表向きはまともに見えても、実際のところは暴力団等が事業を支配しているときには、当然、免許は認められないということです。
14. 法定数の専任の宅地建物取引士を置いていない者
さきほど少し説明しましたが、宅建業法では、事務所ごとに一定数の専任の宅地建物取引士を設置する義務があります。設置義務に違反している場合には、営業をされては困るということです。
免許の欠格要件
免許の欠格要件は、ボリュームが多いのですが、同じようなことや当たり前のことを言っています。グループ分けをして覚えておきましょう。
- 財産を管理する能力がない者(成年被後見人・被保佐人・破産者で復権を得ない者)
- 免許の取消し処分を受けた者(法人であれば、聴聞の期日・場所の公示日前後60日以内にいた役員を含む)
※取消の日もしくは、廃業の届出をした日から5年間 - 禁錮刑以上の刑に処せられた者(暴力性の強い一定の罪で罰金の刑でも)
※刑を受けることがなくなってから5年間 - 暴力団員
※過去に暴力団員であった場合は、足を洗ってから5年間 - (免許申請から5年以内に)宅建業に関する悪事を働いた者および悪事を働くことが明らかな者
- 申請者以外の者によって申請者本人が欠格要員となるもの
免許の条件
宅建業の免許は、免許権者(国土交通大臣又は都道府県知事)によって付与されます。このとき、免許権者は、一定の条件付きで免許を付与することができます。また、設定した条件を変更することもできます。
条件を付けるときには、宅地建物取引業の適正な運営並びに宅地及び建物の取引の公正を確保するために必要最小限度のものに限り、かつ当該免許を受ける者に不当な義務を課することとならないようにしなければいけません。あまりにもバランスを欠いた条件を付けてしまえば、業者間が不平等になり、競争が阻害されるなど、社会全体にとって良くないことが起こってしまいます。
条件に違反したときには、免許権者は、宅建業の免許を取り消すことができます。
もし、宅建業者が条件に違反したときには、免許を取り消すことができます。