不動産の正確な所在地を教えてくださいとたずねられた時に、あなたはどのように答えますか?おそらく大半の方は住所(住居表示)を答えるでしょう。ですが、これは不動産を調査するときには正解ではありません。
不動産の調査をするときには、正確な住所は地番を使って答える必要があります。では、どのようにすれば地番を正確に知ることができるのでしょうか。簡単な方法はブルーマップを活用する方法があります。ですが、ブルーマップは正確な地番を教えてくれるとは限りません。
ブルーマップを使ってみたけれど、どうやら正確な地番ではないようだ。そもそもブルーマップにも地番が記載されていないような地域だった。このような悩みを解決するのが、今回のテーマである公図の活用です。この記事で公図をマスターしてしまいましょう。
この記事からわかること
- 公図とは
- 公図の取得方法
- 公図の活用方法
公図(こうず)
そういうときには公図を活用しましょう。
ブルーマップは公図をベースに作成されています。
公図の基本情報
公図は法務局で取得することができます。備え付けられている申請書に公図を取得したい不動産の地番を記入して、係員に提出すれば手に入れることができます。写しの入手に限らず、閲覧することもできるので使い分けるとよいでしょう。
公図には2種類あるので、注意が必要です。ひとつは地図としての精度が高いもので、もうひとつは地図としての精度が低いものになっています。前者のことを「地図」と呼び、後者のことを「地図に準ずる図面」とよびます。
公図に三角スケールをあてて、おおよその長さを測ったりすることがあります。家を建てるなど細やかなプランニングが必要な場合には、別に確定測量図を取得して、現地で実測するのがよいでしょう。
地籍調査にもお金がかかりますから、全国津々浦々行っていてはお金がいくらあっても足りないのですね。
「地図に準ずる図面」はどうなの?
ただし、測量されたのは明治初期以降なので、かなり昔の測量結果に基づいています。
それでも「地図」がない地域では、貴重な資料には変わりがないわね。
公図の活用方法
はじめて見たときには驚くかもしれませんが、ただの白地図です。
公図だけではどこなのかさっぱりわからないわ。
公図の活用について
公図を取得すると、白地図に番号が振られています。この番号が地番を表しています。ブルーマップに比べて、区切られた土地境界の中に正確に地番が記載されているはずです。ブルーマップとセットで使うと、対象地の正確な地番がわかりやすくなります。
公図を取得したときに一緒に確認したいことがあります。まず、調べている土地の正しい現況を確認しましょう。1筆の土地だと思っていたが、公図を確認してみると、実は分筆された2筆の土地だったということがあります。
また、公図を取得したあとに現地にいくのであれば、公図と現地の状況を照らし合わせてみましょう。公図通りに区画が分かれていることがほとんどではありますが、たまに食い違っていることがあります。このような土地では、売買をして権利を取得したあとに、近隣の住民と揉めるといったことにもなりやすいので注意が必要です。
公図の取得方法
地図・各種図面用 申請書の記入
上に表示しているのが、地図・各種図面用 申請書と呼ばれるものです。法務局に備え付けられています。公図を取得するときには、この申請書を使います。
記入する内容は、
- あなたの住所
- あなたの氏名
- 公図を取得したい不動産の所在地
- 証明書か、閲覧か
- 取得したい図面の種類(今回は公図)
となります。これらを記入して、受付に提出することで公図が取得できます。
公図を取得するときの注意点①:そもそも地番がわからない
公図を取得するときには、公図を取得したい不動産の所在地を記入する必要があります。しかし、「そもそも公図を 取得したい不動産の所在地がわからないんだ!」という方もいると思います。そのような時には、ブルーマップを活用して、近くの地番を記入してください。
公図を請求すると、一定のエリアの地番が記載された地図がもらえます。その中から、本当に知りたい不動産の情報を見つけましょう。
公図を取得するときの注意点②:証明書と閲覧
証明書と閲覧にチェックを入れるときには、基本的に証明書で構いません。閲覧にチェックを入れると、見るだけになってしまいます。証明書にチェックをいれると、公的に内容が保証された書類を出してもらえます。
公図を取得するときの注意点③:図面の種類
図面の種類は「地図・地図に準ずる図面」にチェックを入れます。先ほど説明したように、この二つは精度が違うものなので、できれば精度の高い地図が欲しいと思いますよね。しかし、欲しいほうに丸をつけて囲むなどをしても意味はありません。
明治以降に区画整理事業が行われたりした場所では、その時に地積測量を行っているので、正確な公図が用意されています。しかし、区画整理事業などが行われていない地域では、正確な測量が行われていないことが多々あります。なので、正確なものがあれば地図が提供されますし、なければ地図に準ずる図面が提供されるということです。
見分けるには、提供された書類の下のほうにある出力縮尺を確認しましょう。ここに数字が記載されていれば、ある程度正確なものです。不正確なものは縮尺の記載がありません。
そもそも公図は、精度の高いものではありません。精度の高いものが必要な時には、地積測量図を請求するのが正解です。公図は、正しい地番の確認や位置関係の確認のために使いましょう。
公図をインターネットで取得する
公図は登記情報提供サービスを活用して取得することもできます。ただし、注意点があります。登記情報提供サービスを活用して取得できる登記関連の書類はたくさんありますが、一つとして証明書は取得できません。
証明書とは、その書類の内容が公に証明されているものであり、公共機関などで正式な書類として通用するものです。登記関連の書類で、証明書を取得するには法務局を活用するしかありません。そのほかのサービスで取得できるものはすべて閲覧といって、紙で書類をもらえますが、証明書としての効力は備わっていないものです。
公図の見方
上の画像は、公図のサンプルです。実際にわたしが取得したものですが、個人情報になりそうな部分は白抜きしてあります。上のサンプルを使って、公図の見方を解説します。
まず、全体の70%ほどを占めて描かれている地図がメインとなる「地番が記載されている地図(=公図)」です。黒く囲ってある部分がありますが、この公図を請求するときに記入した不動産の所在地です。見てわかる通り、請求した不動産の所在地付近(それなりに広域)の地番がわかるようになっています。
下部に記載されているのは、対象の公図についての細かい情報です。重要なところだけ解説すると、「所在・地番・出力縮尺」の3つです。ほかの情報については、あまり使うことはありません。
所在には、申請書に記入した不動産の所在地が記載されています。地番にも、同じことが書かれています。今回は「○○市△△丁406番」の公図を請求したということです。
出力縮尺ですが、地図の縮尺を表しています。この地図は、「600分の1の地図ですよ」ということになります。三角スケールなどをお持ちであれば、おおよその尺を調べることができます(正確なものではないので、目安程度にしましょう)。
まとめ
公図を取得することで、正確な地番や隣接地との位置関係などがわかるようになります。法務局で取得することができますが、最近のものもあれば、古いものしかないこともあります。あなたの求めている情報として十分な公図かどうかを、まずは確認しましょう。
公図は、法務局に行くか、登記情報提供サービスでインターネットから取得する方法があります。法務局で取得するときには、備え付けの申請用紙に必要事項を記入して受付に提出してください。支払いは収入印紙で行います。
登記情報提供サービスを活用するときには、注意点がひとつあります。証明書は発行できないということです。公に効力をもつ正式な書類が必要な時には、法務局で直接請求しましょう。
公図を取得したら、まずは地番を確認しましょう。白地図に書かれている数字が地番です。ブルーマップよりも正確な情報が記載されています。
そのほかにも、分筆などがされている土地ではないか。現地の状況と照らし合わせて、公図と同じようにして土地が活用(区切られて)されているかなどを確認しましょう。公図と現況にずれが生じている場合、より慎重な調査を行わないと、あとあとトラブルに発展する恐れがあります。
また、公図の縮尺を信用して、前面道路の幅員や間口を測るときには参考程度にしておきましょう。建築計画を練るときには、現地で実測するのが一番です。