再建築不可物件であっても、住宅ローン(ノンバンク・フラット35含む)を利用することは可能です。
ただし、実際に融資が受けられる可能性は極めて低くなります。
本記事では、
- 再建築不可物件の購入で融資利用を受けるのが難しい理由
- 再建築不可物件の購入で融資利用を受けるには、どんな手段があるのか?
について解説しています。
再建築不可物件で融資を受けるために求められる条件や提示される条件について解説していますので、参考にしてください。
基本的に再建築不可物件を購入する事が、あまり積極的に勧められることではありません。
再建築不可に陥っている原因を把握して、再建築不可を解消できないかも検討してみてください。
再建築不可物件の購入で融資利用を受けるのが難しい理由
再建築不可物件を購入するときに、融資を利用するのはかなり難しくなります。
融資利用が難しい主な理由は、
- 再建築不可物件は担保価値が非常に低くなる
- 物件の特性上、債権者が抱えるリスクが非常に大きくなる
です。
融資が受けれるかどうかを考えるときには、貸す側の立場で考えてください。
より具体的に言えば「返済ができなくなったときに回収できる見込みがどのくらいあるのか?」です。
再建築不可物件は担保価値が非常に低くなる
再建築不可物件は、
- 敷地が道路に接していない(いわゆる、未接道)
- 道路に接しているが「建築基準法上の道路」ではない
- 建築基準法上の道路に接しているが、道路幅員が4m未満
- 建築基準法上の道路に接しているが、接道距離(いわゆる、間口)が2m未満
- 市街化調整区域など建築制限がある地域に位置している
など、解決が困難な理由によって、建物の新築ができない土地です。
建物が新築できないとなれば、
- 売りたいと思っても、買いたいと思う方が現れない
- そもそも再建築不可に陥る土地の立地条件は悪い事が多い
- 新築ができないので、既存建物を活用するしかないが、老朽化が著し
- 土地活用をしようにも、新築できないので建物から収益を上げる事が難しい
など土地活用に致命的なダメージを与えます。
住宅ローンでお金を貸すときには、最悪の場合、物件を売却する事で融資が回収できるのか?を考えます。
再建築不可物件では、不動産の条件が悪いため、担保価値が極めて低くなります。
担保価値が低ければ、
- 融資できる金額が少なくなる
- そもそも融資ができない
といった結論にならざるを得ず、借りたい人の属性がどれだけ優れていても難しいという判断になりがちです。
物件の特性上、債権者が抱えるリスクが非常に大きくなる
再建築不可物件の担保価値が非常に低いことにも関係しますが、債権者が抱えるリスクが非常に大きくなる傾向にあります。
たとえば、
- 借り手が返済難に陥ったとしても、買い手が見つからず、資金が回収できる見込みが薄い
- 建物が老朽化していることが多く、地震や火災で消失した場合、新居を用意するなどの負担増に伴い返済難に陥る可能性が高い
などが挙げられます。
言い方が悪いかもしれませんが、再建築不可物件への居住を検討される方は予算に余裕がなく、元々の生活がギリギリである傾向があります。
融資を受ける際には、
- 不動産の価値
- 債務者(借りたい人)の属性
などから総合的に判断しますが、双方で条件が悪い事が多く、断らざるを得ないという流れです。
再建築不可物件の購入で融資利用を受けるには、どんな手段があるのか?
再建築不可物件を購入するときに融資利用を受ける手段は、
- 銀行融資(住宅ローン)
- ノンバンク(フラット35含む)
- 事業向け融資
- フリーローン
が考えられます。
それぞれのローンについて、
- 利用できる可能性
- 利用の課題・問題点
について解説していきます。
再建築不可物件の購入に銀行融資(住宅ローン)は使えるのか?
再建築不可物件の購入に銀行融資(住宅ローン)が使える可能性は低いです。
融資をしてくれる金融機関がないわけではないですが、
- 融資してくれる金融機関が極めて少ない
- 融資をしてくれたとしても条件が極めて悪い
- 一都三県(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)のみしか扱わない
といった傾向にあります。
よくある条件としては、
- 物件価格の7割ほど頭金を求められる
- 融資金利が極めて高い(平均的な金利より3%ほど高い)
- 融資期間が極めて短い(5年〜10年)
です。
はっきり言えば、
- ノンバンク
- フリーローン
で融資を受けたのと条件が変わりません。
再建築不可物件の購入にノンバンク(フラット35含む)は使えるのか?
再建築不可物件の購入にノンバンク(フラット35含む)が使える可能性は低いです。
銀行機能を持たず、貸金業のみを専門に取り扱っているノンバンクといいます。
よく耳にするノンバンクといえば「フラット35」です。
ノンバンクといえども、住宅を担保にして融資をする以上、銀行系の融資判断と変わりません。
むしろ、貸金業に専念している分、より厳しい審査を通過しなければいけないと言えます。
融資承認を受けられたとしても、
- 物件価格の3割〜5割ほど頭金を求められる
- 融資金利が極めて高い(銀行金利より3%〜4%ほど高い)
- 融資期間が極めて短い(10年前後)
といった条件になる傾向にあります。
再建築不可物件の購入について、ノンバンク(フラット35含む)で融資を受けることは、銀行系に比べると使える可能性はあります。
しかし、使える可能性が高いかと言われれば、依然として低いです。
また、一都三県(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)に限ることが多く、土台に乗る物件がそもそも少ない傾向にあります。
再建築不可物件の購入に事業向け融資は使えるのか?
再建築不可物件の購入に事業向け融資が使える可能性は、
- 事業内容
- 事業規模
- 物件規模
などによりますが、見込みはあります。
先述の通り、
- 銀行融資(住宅ローン)
- ノンバンク(フラット35含む)
では、
- 不動産の担保価値
- 借入希望者の状況(いわゆる属性)
などが主な判断材料になります。
しかし、事業向け融資の場合、
- 事業内容
- 事業規模
が判断材料に加わるため、状況次第では可能性が広がります。
たとえば、
- 長年の付き合いがあり、返済も滞った事がなく、良好な関係が築けている
- 事業規模(業績などを含む)も良好で、キャッシュフローや資産に問題がない
- 老朽化建物の再生事業、建設業で資材置き場が必要など再建築不可物件の取り扱いと事業内容がマッチしている
といった条件が整っている場合、金融機関は融資がしやすくなります。
条件に合致することが難しいかもしれませんが、合致している場合には、好条件で融資承認を受けられる可能性が一番高いかもしれません。
再建築不可物件の購入にフリーローンは使えるのか?
再建築不可物件の購入にフリーローンを使うことは可能です。
ただし、フリーローンの審査では、基本的に借入希望者の状況や属性のみで融資可否を判断します。
そのため、
- 融資金利が極めて高い(6%〜12%など)
- 融資期間が極めて短い(5年〜10年前後)
- 融資金額が極めて少ない(数十万円〜数百万円ほど)
といった条件を提示される傾向にあります。
再建築不可物件の購入でのフリーローン活用はあまり積極的に勧められるものではありません。
条件も悪く、負担も重いので、先々の重荷になる事が予想されます。
再建築不可について