人はどうしても欲張りなものです。不動産を売るときも、どうせ売るなら「高く!早く!売りたい!」と考える人が少なくありません。あなたもそんな考えを持っているひとりでしょうか?
先にお伝えします。不動産を「高く!早く!売る!」ことはできません。もし、あなたが「私たちに任せてもらえれば、早くて高く売れますよ!」と提案されたなら立ち止まって考えましょう。
この記事では「不動産を高く早く売ることができない理由」について解説します。もし、高く早く売りますという人が目の前に現れたら、大ウソつきだくらいの見方をしても問題ありません。
不動産を「高く!早く!」は売れませんが、「高く売る!」もしくは「早く売る!」のどちらかなら実現することができます。具体的な方法についても解説します。
この記事からわかること
- 不動産を高く早く売ることができない理由
- 高く早く売れるという人は信用してはいけないこと
- 不動産を高く売る方法
- 不動産を早く売る方法
不動産を高く売るとは?
まずは不動産を高く売ることについて考えてみましょう。
あなたはどうやったら不動産は高く売れると思いますか?
掃除をしてきれいにする?リフォームして新築そっくりにする?カッコいい広告を出してみる?
どれも一理あるのですが、正解ではありません。
不動産を高く売るというのは、本来1,000万円の価値しかない物件を1,200万円で売ることです。
掃除をすることは、本来1,000万円の価値がある物件が汚れて800万円になっているので、元に戻すことです。
簡単なリフォームを施すことは、本来1,000万円の価値がある物件に200万円の出資をして、1,200万円の物件にすることです。
カッコいい広告を出すことは、本来1,000万円の価値がある物件を1,500万円に見せかけて、人を集めることです。
どの方法でも、基本的には1,000万円でしか売れません。
では、どうしたら本来1,000万円の価値しかない物件を1,200万円で売れるのか?
答えは「時間をかける」です。
売り出し価格を1,200万円にして「欲しい!」と思ってくれる人を「じーっ」と待つしかありません。
本来1,000万円の価値しかありませんから、ほとんどの人は見向きもしてくれません。
相場より高いことには、ほとんどの購入希望者が気付きます。
時間をかけることで、なぜ相場より高い値段でも売れるのか?
「購入希望者の特別な事情」に巡り合えるからです。
例えば、急な転勤。通勤のことを考えると、一定のエリアで物件を見つけなければいけません。
しかし、そのエリアで出ている物件が、あなたの物件しかなかった。
1,200万円が高いことはわかっているけれども、早く部屋を用意しなければいけないので購入するしかない「特別な事情」があった。
時間をかければ、このような「特別な事情」に巡り合うことができます。
時間をかけることで、市場の状況や買い手の事情が重なって、偶然に稀少性が生まれます。
購入希望者(買い手)が歩み寄ってくるのを待つから高く売れるのです。
不動産を早く売るとは?
つぎは不動産を早く売ることについて考えてみましょう。こちらは簡単に答えが出るでしょう。
不動産を早く売るには「安い値段で売りに出すこと」です。
早く売ろうと思ったら、購入希望者を見つけやすくするしかありません。
「買いたい!」という人を増やすには、お得にするのが一番です。
半額シールが貼られはじめたお総菜コーナーが、瞬く間に空っぽになるのと一緒です。
つまり、高く売るときとは逆で、売り手であるあなたが購入希望者(買い手)に歩み寄ればよいのです。
不動産を高く早く売るとは?
不動産を高く売るには「購入希望者(買い手)の歩み寄りを待つこと」が重要でした。
不動産を早く売るには「あなた(売り手)が歩み寄ること」が重要でした。
つまり、「不動産を高く売ること」と「不動産を早く売ること」は「相反する関係」にあるのです。
「高く早く売れたとき」というのは、高く売るために高値で売りだしたら、奇跡的に特別な事情を持った買い手が早く現れたときしかありません。完全に運です。
高く早く売りたい!という欲が捨てられないのであれば、確率を高める方法はひとつだけあります。
一般媒介契約を使って、考えられる限りすべての大手・地元の不動産会社に依頼を出しておくことです。
ただし、一般媒介契約にはデメリットも相応にあるので注意しましょう。
高く早く売れるという言葉を信じてはいけない
不動産会社に売却の依頼をすると、面談することになります。
査定書やレポートを見ながら説明を受け、売却を依頼するかどうかを決めます。
このとき、不動産会社の営業担当者と話をすることになるのですが「お客様の不動産、弊社なら高く早く売れます!」という人がたまにいます。
もうお分かりだとは思いますが、その担当者と会社は信用すべきではありません。
相手が新人営業マンであれば「熱意だけが先走っていて、実業がわかってないんだなぁ」くらいでみれるかもしれません。
しかし、そのような教育をしている企業風土に問題があることは否定できません。
相手がベテラン営業マンであれば最悪です。
あなたを甘い言葉で誘いこんで、依頼だけ受けてしまえばいいと考えています。絶対に信用してはいけない人です。
高く早く売りたい!というのは、当然の欲なのですが、営業マンからすれば「つけ込みやすい欲」なのです。
高く早く売りたいときには、営業マンが提示する査定額の中でも上限(またはさらに上)の価格で売り出しを始めようとします。
このとき営業マンの頭の中では「高く売り出しさせておいて、現実に気付いたら適正価格に落として売ればいい」と考えています。
すると、時間だけがいたずらにすぎるので、築年数は古くなり、資産価値は下がります。
結果として、高く早くどころではなく、安く遅くになってしまうのです。
不動産を高く売る確かな方法
断言しますが、不動産ビジネスの核は「情報力」です。
情報力とは、ネットワークが広いといったことだけではありません。
不動産ビジネスに求められる情報力とは、
- 他の不動産会社と協力関係が成り立っている
- 金融機関(銀行など)と密接な関係が成り立っている
- 大地主との良好な関係が築けている
- 売りたい顧客を多く抱えている
- 買いたい顧客を多く抱えている
- 社員ひとりひとりの知識レベルが高い
です。
一般個人の方が不動産を高く売るためにできることは「待つこと」以外にありません。
しかし、不動産業者は「情報力」に応じて、様々な手を打つことができます。
例えば、金融機関と密接な関係が成り立っている業者は「任意売却物件」を安く仕入れて、高く売ることができます。
※任意売却物件とは、ローンが払えなくなった人が金融機関に相談しながら売却を進めている物件です。
また、大地主と良好な関係が築けている業者は「相続」などのタイミングで大きな土地を安く仕入れて、高く売ることができます。
一般個人の物件を預かった場合にも、「情報力」がモノを言います。
特別な事情を抱えた購入希望者(買い手)を待つことには変わりがありません。
しかし、「情報力」を持っている業者に預けて待つほうが、当然、巡り合うまでの時間が早くなります。
よくあることですが、「情報力」がある企業の営業マンであれば、預かる話をしている段階で「あのお客さんに紹介してみよう。」というリストができあがっています。
紹介してみると、すぐに気に入ってくれて値下げなどをせずに3日で成約する。
わたしも何度も経験したことです。
不動産に対するニーズがマッチすれば、驚くほどスムーズに取引が完結します。
確かな「情報力」を持った不動産業者を探すという意味では、一括査定はオススメしません。
三菱UFJ不動産販売のような「銀行系」の不動産業者は、何かと融通がききます。
不動産中古物件の取引では、担保価値の判断が難しく、買い手が金融機関から融資を受けにくいという特徴があります。
三菱UFJ不動産販売は、三菱UFJ信託銀行グループの不動産会社なので、交渉もスムーズに進みやすくなります。