建築物を建てるときには、建築基準法などに適合しているかどうか審査を受けなければいけません。
建築基準法に適合しているかどうかを判断する審査のことを「建築確認」といいます。
建築確認には、
- 工事前の審査
- 工事中の審査
- 工事後の審査
があります。
この記事では、建築確認について詳しく解説しています。
建築確認の基本的なことや、申請から使用開始までの流れなどについて解説しているので、参考にしてください。
この記事からわかること
- 建築確認とは
- 建築確認の特例について
- 建築確認が必要・不要な建築物について
- 建築確認の流れ(申請から使用開始まで)
- 型式適合認定
- 中間検査
- 違反建築物への措置
建築確認とは
一定の建築物の新築・改築などをする場合には、定められた機関に建築確認申請書を提出しなければいけません。
建築確認申請書を提出する機関は、
- 建築主事
- 指定確認検査機関
のいずれかです。
指定確認検査機関とは、
- 国土交通大臣
- 都道府県知事
から建築確認について指定を受けた機関です。
建築確認申請書の提出を受けた
- 建築主事
- 指定確認検査機関
は、その建物の建築計画について、建築基準関係規定に適合しているかどうかを判断します。
提出された建物の建築計画が、建築基準関係規定に適合している場合には、確認済証が交付されます。
建築確認制度の目的は、違反建築物が建てられることを未然に防ぐことであり、住む人の安全および都市全体の安全を守ることです。
建築確認の特例
建築確認には特例があり、建築基準法6条1項の規定により、
- 国
- 都道府県
- 建築主事をおく市町村
が、建築物の建築する場合は、建築確認申請書の提出が不要です。
ただし、確認済証の交付を受けなければ、工事に着手することができず、
- 国の機関の長
- 都道府県の機関の長
- 市町村の機関の長
- いずれかの委任を受けた者
は、工事に着手する前に、その建築計画を建築主事に通知しなければならない。
確認審査などに関する関する指針
国土交通省大臣は、確認審査などの公正かつ的確な実施を確保するため、確認審査などに関する指針を定めなければならない。
建築確認が必要・不要な建築物について
建築確認は、一定の建築物の新築・改築などをするときに必要になりますが、全ての建物が建築確認を受けなければいけないわけではありません。
建築確認が必要・不要な建築物について、
- 新築および(10㎡を超える)増改築移転
- 10㎡以下の増改築移転
- 大規模修繕・模様替え・昇降機の設置
- 用途変更
の4つのケースに分けて解説します。
なお、建築確認を受けた後に、計画を変更して、以下に紹介するケースに該当する場合には、もう一度、建築確認を受ける必要があります。
新築および(10㎡を超える)増改築移転
都市計画法で定められている、
- 都市計画区域
- 準都市計画区域
の区域内において、新築および(10㎡を超える)増改築移転を行う場合には、建築確認が必要になります。
また、区域外であっても、
- 特殊建築物
- 木造の大規模建築物
- 木造以外の大規模建築物
のいずれかに該当する場合には、建築確認が必要になります。
なお、増築をする場合には、増築後にできあがる予定の建築物が適合しているかどうかについて判断が行われます。
-
-
都市計画法:目的、都市計画区域(準・外)、区域外の建築確認申請
都市計画法は、都市の健全な発展を目指すための法律です。 都市開発に関する法律なので、私たちの生活にはあまり関係がないように思うかもしれませんが、そうでもありません。 家を建てるために土地を探すときには ...
特殊建築物
特殊建築物とは、
- 劇場
- 病院
- ホテル
- 共同住宅
- 学校
- 百貨店
- バー
- 遊戯場
- 倉庫
- 自動車車庫
などのうち、各建築物の特殊な用途に使用する部分の床面積の合計が100㎡を超えるものをいいます。
木造の大規模建築物
木造の大規模建築物とは、
- 階数が3以上
- 高さ13mを超えるもの
- 軒高9mを超えるもの
- 延べ面積500㎡を超えるもの
のいずれかに該当する木造の建築物のことをいいます。
木造以外の大規模建築物
木造以外の大規模建築物とは、
- 階数が2以上
- 延べ面積200㎡を超えるもの
のいずれかに該当する木造以外の建築物のことをいいます。
10㎡以下の増改築移転
都市計画法で定められている、
- 防火地域
- 準防火地域
の区域内において、10㎡以下の増改築移転を行う場合には、建築確認が必要になります。
なお、増築をする場合には、増築後にできあがる予定の建築物が適合しているかどうかについて判断が行われます。
大規模修繕・模様替え・昇降機の設置
- 特殊建築物
- 木造の大規模建築物
- 木造以外の大規模建築物
のいずれかに該当する建築物について、大規模修繕・模様替え・昇降機の設置を行う場合には、建築確認が必要になります。
特殊建築物
特殊建築物とは、
- 劇場
- 病院
- ホテル
- 共同住宅
- 学校
- 百貨店
- バー
- 遊戯場
- 倉庫
- 自動車車庫
などのうち、各建築物の特殊な用途に使用する部分の床面積の合計が100㎡を超えるものをいいます。
木造の大規模建築物
木造の大規模建築物とは、
- 階数が3以上
- 高さ13mを超えるもの
- 軒高9mを超えるもの
- 延べ面積500㎡を超えるもの
のいずれかに該当する木造の建築物のことをいいます。
木造以外の大規模建築物
木造以外の大規模建築物とは、
- 階数が2以上
- 延べ面積200㎡を超えるもの
のいずれかに該当する木造以外の建築物のことをいいます。
用途変更
建築物には、あらかじめ用途(使い方)が定められています。
用途が体育館として建築された建物は、原則として体育館としての使用しか認められません。
しかし、住宅として建てられた建築物であっても、店舗として使いたくなる場合があります。
現在決められている用途から別の用途に変更することを「用途変更」といいます。
建築確認では、各建物の用途に合わせた判断が行われます。
ですので、用途が変更される場合には、変更後に予定している用途に建築物が適合しているかどうかを、もう一度判断する必要があります。
ただし、すべての用途変更について建築確認が必要なわけではありません。
「特殊建築物以外の用途」から「特殊建築物の用途」へと変更する場合のみ建築確認が必要になります。
特殊建築物
特殊建築物とは、
- 劇場
- 病院
- ホテル
- 共同住宅
- 学校
- 百貨店
- バー
- 遊戯場
- 倉庫
- 自動車車庫
などのうち、各建築物の特殊な用途に使用する部分の床面積の合計が100㎡を超えるものをいいます。
建築確認から使用開始までの流れ
建築確認を受けてから、建物を使用開始するまでには、
- 建築確認の申請
- 建築主事の確認
- 知事の判定
- 工事着手
- 完了検査の申請
- 完了検査・検査済証の交付
- 使用開始
の7ステップを踏みます。
建築確認の申請
建築主は、工事に着手する前に、建築主事に対して確認の申請書を提出します。
建築主から建築確認の申請を受けた建築主事は、建物の建築計画について、建築基準関係規定に適合しているかどうかを判断します。
建築主事の確認
建築主から建築確認の申請を受けた建築主事は、申請を受理した日から、
- 特殊建築物
- 木造の大規模建築物
- 木造以外の大規模建築物
は、35日以内に申請された建築物の計画が建築基準確認規定に適合するかどうか審査し、結果を交付しなければいけません。
そのほかの建築物については、7日以内に申請された建築物の計画が建築基準関係規定に適合するかどうか審査し、結果を交付しなければいけません。
建築確認の申請を受けた建築物が建築基準関係規定に適合している場合には、建築主に対して確認済証を交付しなければいけません。
審査の結果、適合していると判断した計画については、確認済証の交付が義務付けられているので、口頭での通告は認められていません。
知事の判定
建築主は、
- 木造の大規模建築物
- 木造以外の大規模建築物
について建築確認を申請する場合、都道府県知事に対して構造計算適合性判定を求めなければいけません。
(※ただし高さが60メートルを超える建築物を除く。)
構造計算適合性判定を求められた都道府県知事は、14日以内に判定結果を記載した通知書を、建築主に交付しなければいけません。
ただし、審査が比較的容易にできる場合において、
- 構造計算に関する高度な専門知識および技術を持った建築主事
- 指定確認検査機関の確認検査員
のいずれかが確認審査をする場合のみ、都道府県知事の判定は必要ありません。
工事着手
建築主は、確認済証の交付を受けた後でなければ、その建物に関する工事に着手してはいけません。
また、確認済証の交付されたときには、その建物の施工者が、工事現場の見やすい場所に、
- 建築確認があった旨の表示
- その他の事項の表示
をしなければいけません。
完了検査の申請
建築主は、工事が完了してから4日以内に建築主事に対して完了検査を申請しなければいけません。
なお、完了検査の申請は、4日以内に建築主事に到達することとされているので、4日目に申請書を提出し、5日目に建築主義に到達した場合には、完了検査の申請の義務に違反していることになります。
完了検査・検査済証の交付
完了検査の申請を受けた
- 建築主事
- 委任を受けた職員
は、申請を受理した日から7日以内に、
- 建築物
- 敷地
が、建築基準関係規定に適合しているかどうかを検査しなければいけません。
申請を受けた建築物が建築基準関係規定に適合している場合には、建築主に対して検査済証を交付しなければいけません。

使用開始
原則として、
- 特殊建築物
- 木造の大規模建築物
- 木造以外の大規模建築
は、検査済証の交付があった後でなければ使用を開始してはいけません。
ただし、
- 特定行政庁などから仮使用の承認があった場合
- 完了検査の申請が到達してから7日を経過した場合
には、使用を開始することができます。
そのほかの建物に関しては、検査済証が交付される前であっても使用を開始することができます。
型式適合認定
確認検査には「型式適合認定」という制度があります。
型式適合認定とは、
- 建築材料
- 建築物の部分の型式
について、技術的基準に関する一連の規定に適合するものであることの認定をするものです。
国土交通大臣は、申請によって、型式適合認定を行うことができます。
型式適合認定を受けた建築物を建築する場合には、建築基準関係規定のうち、一定のものについての確認を受ければよいとされています。

テンプレートをあらかじめ作成しておくことで、建築確認を簡略化することが狙いです。
ただし、型式適合認定を受けたからといって、建築確認が不要になるわけではないので注意してください。
中間検査
3階以上の共同住宅の床および梁(はり)に、鉄筋を配置する工事の工程のうち、
- 政令で指定する工程
- 特定行政庁が、区域、期間および建築物の構造、用途、規模を限り指定した工程
のいずれかを含む場合において、建築主が、その特定の工程に関する工事を完了したときには、建築主事による中間検査を申請しなければいけません。

違反建築物に関する措置
特定行政庁は、違反建築物に対して、相当の猶予期間を与えたうえで、
- 除去
- 移転
- 改築
- 増築
- 修繕
- 模様替え
などの命令を出すことができます。
ただし、措置命令を出すことができるのは、建築基準法令の規定または許可条件に違反するときのみです。
ですので、建築基準関係規定に違反しているだけでは、措置命令を出すことができません。
建築基準法令と建築基準関係規定
建築基準法令とは、建築基準法および建築基準法に基づく命令や条例のことです。
建築基準関係規定とは、建築基準法令および政令で定める法律およびこれらに基づく命令や条例のことです。
建築物が工事中の場合には、
- 建築主
- 工事請負人
- 現場管理者
に対して工事の施行の停止を命じることができます。
建築物の工事が完了している場合には、
- 所有者
- 管理者
- 占有者
に対して使用禁止および使用制限を命じることができます。