不動産業者に売却を依頼したけれども、一向に連絡がない!問い合わせがあったのか、案内をしたことがあるのか、広告などを使って販売活動をしてくれているのか、全然わからない!なんていうことはありがちなことです。
この記事では、不動産業者の販売活動についてチェックする方法を解説します。基本的には媒介契約書に記載されている内容が確実に実行されているかどうかを見直すことになります。可能であれば、手元に媒介契約書があるとわかりやすいでしょう。
媒介契約を結ぶときには「一緒に頑張りましょうね!」なんて言いますが、預かった瞬間から雑な対応になる担当者はよくいます。「あれ?」と思ったら担当者や依頼する不動産業者を変えるなどの対応を取らなければ、損するのはあなたです。
この記事からわかること
- 各媒介契約によって定められている不動産業者の義務
- 担当者の質を見極めるポイント
各媒介契約の義務
媒介契約には、一般媒介契約・専任媒介契約・専属専任媒介契約の3種類あります。媒介契約ごとに各種取り決めがされていて、そのなかには不動産業者の義務も記載されています。まずは、各媒介契約に定められている不動産業者の義務について確認します。
一般媒介契約に定める義務
一般媒介契約に定める不動産業者の義務はありません。一般媒介契約を使っているときには、複数の業者に依頼ができるため、不動産業者からすればフワフワと宙に浮いているような状態です。媒介契約には消費者保護の観点が含まれていますが、一般媒介契約では業者側に義務を課すだけの重みは認められません。
専任媒介契約に定める義務
専任媒介契約では、不動産業者に以下の義務が定められています。
- 指定流通機構への物件登録義務媒介契約締結の翌日から7日以内に登録
- 遅滞なく、指定流通機構が発行した登録証明書を依頼者に交付しなければならない
- 2週間に1回以上 文書又は電子メールによる報告
- 売買の契約が成立したときは、遅滞なく指定流通機構へ通知しなければならない
指定流通機構とは「レインズ」のことです。専任媒介契約を締結した不動産業者は、預かった物件について契約締結の翌日から7日以内に「レインズ」に登録することが義務付けられています。
また、レインズに登録すると「登録証明書」が発行されます。一般の方には、レインズに登録されたかどうかを知る手段は「登録証明書」以外にありません。交付してもらいましょう。
専任媒介契約では、2週間に1回以上の頻度で、文章か電子メールによる方向が義務付けられています。電話をしなければならないとはなっていないので注意してください。
最後の義務については、売れたときにはレインズから取り下げるということなので問題はないでしょう。
専属専任媒介契約に定める義務
専属専任媒介契約では、不動産業者に以下の義務が定められています。
- 指定流通機構への物件登録義務媒介契約締結の翌日から5日以内に登録
- 遅滞なく、指定流通機構が発行した登録証明書を依頼者に交付しなければならない
- 1週間に1回以上 文書又は電子メールによる報告
- 売買の契約が成立したときは、遅滞なく指定流通機構へ通知しなければならない
専属専任媒介契約では、より迅速な対応と、より密接な報告が義務付けられています。レインズには、契約締結の翌日から5日以内に登録しなければいけません。また、文章か電子メールによる報告も1週間に1回以上とされています。
いかがですか?媒介契約によって定められている義務は守られているでしょうか?これらは「義務」なので「最低限しなければならない」とされていることです。
担当者の質を見極めるポイント
「媒介契約書に記されている義務はしっかりと行われているな、よし!」とはいきませんよね。あくまでも最低限のことであり、しっかり販売活動を行ってくれているのかは今一つわかりません。
あなたが望んでいるのは、レインズの登録でもなければ、定期的な報告でもありません。あなたが望んでいるのは「売ってくれ」のはずです。物件を売ってくれる担当者かどうか見極めるポイントについて、以下をチェックしてみましょう。
- 物件資料の交付
- 物件の改善点についての報告、提案
- 不明点の確認
- 裁量権の範囲確認
しっかりとした担当者であれば、上記を必ず行っています。
物件資料の交付とは、不動産業者が各自用意している物件紹介のための資料です。問い合わせがあったお客さんや、見込みがありそうなお客さんに紹介するときに渡す資料です。これらの資料の出来も重要ですが、実際にどのようにしてあなたの物件を扱っているのかわかる大事な資料です。
経験豊富で、売るにはどうすればよいのか?を熟知している担当者は、現地確認などをしたあとに何らかの提案をしてくれます。例えば、クロスを張り替えると○○円かかるが、案内したときの印象が良くなるなどです。提案の内容に納得がいく理由があり、コストもセットで報告があれば、かなりよい担当者でしょう。
あなたが全部を伝えたと思っていても、漏れている情報はあるものです。物件をいくつも見てきたプロであれば「あれ?」という疑問がいくつか出てくるものです。そういった質問が一切ない場合には少し注意したほうが良いでしょう。
今後、問い合わせがあったときに案内をするのは基本的に担当者です。あなたが案内に同席していることもあるかもしれませんが、いないときにも商談は進みます。案内時には、購入希望者から金額について突っ込んだ質問が出るものですが、そのときに備えて「裁量権の範囲」を確認してくる担当者は場数を踏んでいると考えてよいでしょう。
ほかにも、実際に掲載された広告資料を見せてくれるなどポイントはいくつかあります。担当者とのコミュニケーションについて見直してみましょう。