都市計画法は、都市の健全な発展を目指すための法律です。
都市開発に関する法律なので、私たちの生活にはあまり関係がないように思うかもしれませんが、そうでもありません。
家を建てるために土地を探すときには、その土地に都市計画上どのような定めがされているのか、ほぼ必ず確認します。
建築基準法だけではなく、家を建てるためには都市計画法上の制限を意識しなければいけないからです。
本記事では、「都市計画法:目的及び基本理念、都市計画区域(準・外)、区域外の建築確認申請」について解説しています。
都市計画法の目的
都市計画法 第1条
都市計画の内容及びその決定手続、都市計画制限、都市計画事業、その他都市計画に関し必要な事項を定めることにより、都市の健全な発展と秩序ある整備を図り、もって国土の均衡ある発展と公共の福祉の増進に寄与すること。
上記は、都市計画法 第1条に掲げられている「都市計画法の目的」です。
都市計画法は、
- 都市計画の内容及びその決定手続
- 都市計画制限
- 都市計画事業
- その他都市計画に関し必要な事項
を定めることで、
- 都市の健全な発展
- 都市の秩序ある整備
をし、結果として、
- 国土の均衡ある発展
- 公共の福祉の増進
につなげることが目的です。
公共の福祉の増進
都市計画法の目的において勘違いしやすいワードが「公共の福祉の増進」です。公共の福祉とは、社会福祉施設(老人ホーム、児童福祉施設など)を意味する言葉ではありません。公共の福祉を正確に定義するのは、とても難しいのですが「最大多数の最大幸福」だと考えてください。
わたしたち、個人には一定の自由が認められています。違法行為を行わない限り、トラブルが起きたとしても、ある行動をとるという意思決定は自由に行えます。
例えば、たばこ。
吸わない人が増えてきましたが、吸う人もまだまだいます。喫煙者からすれば、喫煙することは違法行為でもありませんし、自由です。しかし、非喫煙者からすれば、受動喫煙による健康被害などがあるので、近くで吸われるのは迷惑です。
このような場合に、非喫煙者の意見を尊重して「完全禁煙」としてしまうのは乱暴です。たばこによる税収など様々なメリットもありますので、社会にとってプラスとはいえません。なので、お互いのメリットが最大化できるように「分煙」という解決策が出てきます。
このようにして、複数の立場・権利が衝突したときに、社会的な利益が最大化されるようにすることを「公共の福祉の増進」といいます。
第一次産業・第二次産業・第三次産業
都市計画法において「公共の福祉の増進」とは、あらゆる産業の共存・共栄と考えて問題ありません。第一次産業(農林漁業)、第二次産業(工業)、第三次産業(サービス業)などが共存・共栄できる都市の発展を目指します。
一般的に、都市には、第三次産業が集中することで高度な商業地域が形成されます。第二次産業や第三次産業は、第一次産業に比べて収益を上げやすい傾向がありますが、さまざまなデメリットも存在します。
例えば、公害などによる環境被害。
第二次産業を重視しすぎて、やみくもに乱開発を進めてしまうと、第一次産業が立ち行かなくなります。第一次産業が立ち行かなくなれば、わたしたちの生活にも支障が出ます。
社会全体がスムーズに回るように、あらゆる産業の共存・共栄を目指すことが、都市計画法の目的です。
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