都市計画が決定するまでには、一定の流れが存在します。
さまざまな人の生活がかかわるので、できるかぎり平等に意見が反映されるように工夫がされています。
本記事では、「都市計画法:都市計画決定の流れ(都道府県・市町村)および留意点」について解説しています。
どのような流れで都市計画が決定され、わたしたちはどのようにしてかかわることができるのか確認しましょう。
都市計画の決定手続き
都市計画を決めるには、一定の手続きをする必要があります。
都市計画の決定手続きは、決定権者が都道府県か市町村かによっても変わります。
それぞれの場合で、どのような手続きが行われるのか解説します。
都道府県が定める主な都市計画
- 都市計画区域の整備、開発及び保全の方針
- 都市再開発方針等
- 市街化区域と市街化調整区域との区域区分
- 地域地区(都道府県または市町村)
- 都市施設(都道府県または市町村)
- 市街地開発事業(原則として都道府県)
- 市街地開発事業等予定区域(都道府県または市町村)
市町村が定める主な都市計画
- 地域地区(都道府県または市町村)
- 都市施設(都道府県または市町村)
- 市街地開発事業等予定区域(都道府県または市町村)
- 促進区域
- 遊休土地転換利用促進地区
- 地区計画等
- 被災市街地復興推進地区
都市計画決定の流れ(都道府県)
都道府県が都市計画を定めるときの流れについて解説します。
都道府県を中心に、関係市町村や国土交通大臣との協議が進められます。
原案の作成
まず、原案が作成されます。
どのような都市計画を定めるのか様々なところと協議しなければいけないので、たたき台を用意します。
原案作成では、必要に応じて公聴会などが開催されますが、必ずではありません。
また、都道府県が主体となって原案作成を進めますが、市町村にも資料の提出などの協力を求めます。
さらに、市町村も必要に応じて原案に盛り込んでほしい内容を申し出ることができます。ただし、あくまでも主体は都道府県です。
原案の公告・縦覧
原案が仕上がると公告・縦覧を行います。
公告とは、官報や新聞などへ掲載して、政府・公共団体が広く一般市民に事業内容を知らせることです。最近では、インターネットを活用した公告も行われています。
公告されたのち、2週間の縦覧期間が設けられます。
この期間中であれば、関係市町村の住民と利害関係人は意見書を提出できます。「個人の意見」を届けることができる貴重な機会です。
意見書の提出は、縦覧期間満了の日まで可能です。
関係市町村の意見
公告・縦覧が終わると、関係市町村の意見を聴きます。
対象となっている市町村の全体としての意見がどのような状態なのかを確認します。基本的には、市町村長との協議などが行われます。
都道府県都市計画審議会の議
あらゆる方面からの意見が整った段階で、都道府県都市計画審議会において議論が行われます。
議会には、これまでに集まった住民や利害関係者などからの意見書の要旨を提出することになっています。あくまでも要旨であり、写しではありません。
都道府県都市計画審議会で議論した結果、国の利害に重大な関係のある都市計画(区域区分など)であるときには、国土交通大臣との協議が行われます。
都道府県は、都道府県としての利害を鑑みて都市計画を策定しますが、国土交通大臣は国としての利害を勘案する必要がります。国土交通大臣から同意が得られない限り、都市計画が実行されることはありません。
国土交通大臣と協議する主な都市計画
- 都市計画区域の整備、開発及び保全の方針
- 区域区分
- 臨港地区
- 古都市における歴史的風土特別保存地区
- 首都圏近郊緑地保全法における近郊緑地特別保存地区
- 道路法第3条の高速自動車国道または一般国道
- 第1種空港
- 国が設置する公園又は緑地
- 一級河川
- 一団地の官公庁施設(予定区域も含む)
都市計画の決定と告示・縦覧
都道府県都市計画審議会または国土交通大臣の同意が得られたら、ようやく都市計画が決定となります。
都市計画が決定したあとは、告示・縦覧が行われます。実際に施行されることなので、一般に広く知らせる必要があります。
都市計画が効力を生ずるのは、公示がなされた日からです。
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