第一種低層住居専用地域のメリットは、
- 住環境が大きく変化しにくいこと
- ゆったりとした住空間が確保できること
- コミュニティが成熟していることが多いこと
などが挙げられます。
第一種低層住居専用地域のデメリットは、
- ほかの用途地域に比べると、コストがかかる
- 3階建てなど、高さを出すことは難しい
などが挙げられます。
第一種低層住居専用地域は、閑静な住宅街という言葉がぴったりの地域です。
そのため、周辺に買いまわり施設などが少ないことも多く、生活利便性が高いかというと必ずしも高いとはいえません。
しかし、ほかの用途地域に比べて、家の中での暮らしが穏やかになりやすいことは、ほぼ間違いがありません。
第一種低層住居専用地域のメリット
第一種低層住居専用地域のメリットは、
- 住環境が大きく変化しにくいこと
- ゆったりとした住空間が確保できること
- コミュニティが成熟していることが多いこと
などが挙げられます。
住環境が大きく変化しにくいこと
第一種低層住居専用地域では、建築制限が厳しいので、あまり住環境が変化しません。
第一種低層住居専用地域の建築制限 | |
住宅、共同住宅、寄宿舎、下宿 | ○ |
兼用住宅のうち店舗、事務所等の部分が一定規模以下のもの | ○ |
幼稚園、小学校、中学校、高等学校 | ○ |
図書館等 | ○ |
神社、寺院、教会等 | ○ |
老人ホーム、身体障害者福祉ホーム等 | ○ |
保育所等、公衆浴場、診療所 | ○ |
老人福祉センター、児童更生施設等 | □ |
巡査派出所、公衆電話所等 | ○ |
大学、高等専門学校、専修学校等 | × |
病院 | × |
床面積の合計が150㎡以内の一定の店舗、飲食店等 | × |
床面積の合計が500㎡以内の一定の店舗、飲食店等 | × |
上記以外の物品販売業を営む店舗、飲食店 | × |
上記以外の事務所等 | × |
ボーリング場、スケート場、水泳場等 | × |
ホテル、旅館 | × |
自動車教習所、床面積の合計が15㎡を超える畜舎 | × |
マージャン屋、ぱちんこ屋、射的場、勝馬投票券発売所等 | × |
カラオケボックス、ダンスホール等 | × |
2階以下かつ床面積の合計が300㎡以下の独立の自動車車庫 | × |
営業用倉庫、3階以上又は床面積の合計が300㎡を超える自動車車庫 (※ 一定規模以下の附属車庫等を除く) |
× |
客席の部分の床面積の合計が200㎡未満の劇場、映画館、演芸場、観覧場、ナイトクラブ | × |
客席の部分の床面積の合計が200㎡以上の劇場、映画館、演芸場、観覧場、ナイトクラブ | × |
キャバレー、料理店 | × |
個室付浴場業に係る公衆浴場等 | × |
作業場の床面積の合計が50㎡以下の工場で危険性や環境を悪化させるおそれが非常に少ないもの | × |
原動機を使用する工場で作業上の床面積の合計が50㎡を超えるもの | × |
原動機を使用する工場で作業上の床面積の合計が150㎡を超えるもの | × |
作業場の床面積の合計が150㎡以下の自動車修理工場 | × |
日刊新聞の印刷所、作業場の床面積の合計が300㎡以下の自動車修理工場 | × |
危険性が大きいか又は著しく環境を悪化させるおそれがある工場 | × |
○:建築できる
●:当該用途に供する部分が10,000㎡以下の場合に限り建築できる
□:一定基準以下のものに限り建築できる
▲:物品販売店舗、飲食店は建築できない
☆:当該用途に供する部分が3,000㎡以下の場合に限り建築できる
×:建築できない
上記のように、建築が許可されている建物には、入れ替わりの激しい施設がほとんどありません。
強いて挙げるとすれば、店舗兼住宅ですが、実際に開業する人も少なく、種類としても習い事教室や趣味のお店などコミュニティの楽しみとして開かれるケースが目立ちます。
少なくとも、
- 治安の悪化
- 騒音の発生
などに直結するような建物を建てることはできません。
ゆったりとした住空間が確保できること
第一種低層住居専用地域では、各種規制によってゆったりとした住空間が確保されます。
(※ むしろ、敷地を贅沢に使わざるを得ないような規制内容になっています。)
第一種低層住居専用地域の建ぺい率 | |
原則 | 30%、40%、50%、60% (※ 自治体が都市計画で定める) |
防火地域内の耐火建築物(A) | 原則 + 10% |
特定行政庁指定の角地等(B) | 原則 + 10% |
A + Bの建物 | 原則 + 20% |
第一種低層住居専用地域の容積率 |
50%、60%、80%、100%、150%、200% (※ 各自治体が都市計画で定める) |
第一種低層住居専用地域の斜線制限 | |
道路斜線制限 | ○ |
隣地斜線制限 | × |
北側斜線制限 | ○ (5m) |
第一種低層住居専用地域のその他の制限 | |
日影規制 | 軒高7mを超えるもの、または地上3階以上のもの |
絶対高さの制限 | ○ |
外壁の後退距離 | ○ (※ 1m以上または1.5m以上を敷地境界線から離さなければいけない) |
上記は、第一種低層住居専用地域に適用される制限の内容です。
制限の内容を遵守することが求められますが、それだけで敷地面積に対して、ゆったりとした建物しか建築ができないようになっています。
隣地との境界線を、1m以上または1.5m以上離さなければいけないので、
- 自分の住宅の外壁
- 隣地の住宅の外壁
との間に、最低でも2m以上または3m以上の空間が確保されます。
さらに、
- 日影規制
- 道路斜線制限
- 北側斜線制限
- 絶対高さの制限
により圧迫感が緩和されるので、視界を遮るほどの高層住宅が立ち並ぶことは基本的にありません。
コミュニティが成熟していることが多いこと
第一種低層住居専用地域で家を建てるときには、
- 土地の価格が高いこと
- 敷地をかなり広く確保する必要があること
によって、かなりの資金力が必要になります。
結果的に、余裕のある家庭が集まりやすく、成熟したコミュニティの形成に寄与します。
第一種低層住居専用地域のデメリット
第一種低層住居専用地域のデメリットは、
- ほかの用途地域に比べると、コストがかかる
- 3階建てなど、高さを出すことは難しい
などが挙げられます。
ほかの用途地域に比べると、コストがかかる
第一種低層住居専用地域では、規制や制限の内容によって、必然的に敷地面積を広く確保しなければいけません。
くわえて、土地の価格が高い地域が多いので、ほかの用途地域に比べると、圧倒的に建築コストが高くなります。
3階建てなど、高さを出すことは難しい
第一種低層住居専用地域では、規制や制限の内容が厳しいので、3階建てなどの高層階の建物を建てることはかなり難しくなります。
高さを出すためには、ほかの用途地域に比べて倍くらい敷地を確保しなければいけないのですが、それほど広い敷地が売りに出ていることも少ないです。
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