用途地域がまたがる場合、
- 建築物ごとに個別に規制を適用するもの
- 敷地面積が大きいところの規制を適用するもの
- いずれかのうち、最も厳しい規制を適用するもの
- 敷地面積に応じて、加重平均により適用するもの
に分かれます。

個別に覚えようとすると難しいのですが、隣地との関係性などを考えるとわかりやすいです。
さらに詳しく
建築物ごとに個別に規制が適用されるもの
建築物ごとに個別に規制が適用されるものは、
- 日影規制
(※ 要注意) - 道路斜線制限
- 隣地斜線制限
- 北側斜線制限
- 絶対高さの制限
- 外壁の後退距離
です。
あまりないのですが、
- 敷地A:第一種低層住居専用地域(外壁の後退距離あり)
- 敷地B:第一種中高層住居専用地域(外壁の後退距離なし)
であった場合、建築物について敷地Aにある部分は、隣地境界線から1m以上または1.5m以上、建物の外壁を離さなければいけません。
(※ 敷地Bにある建築物には適用されない)

上記の制限については、制限の目的として隣地への配慮の意味がかなり大きいです。
ですので、「いずれか大きい方の規制を〜」などの画一的な扱いをしてしまうと、隣地とのトラブルに発展しかねません。
制限の意味を考えながら整理してみるとわかりやすいでしょう。
また、日影規制については注意が必要です。
建築物を一体のものとして考えて、影が落ちる地域ごとに日影規制を考慮する必要があります。
結局のところ、規制の厳しい地域のルールが適用されていることと似たような内容になります。
敷地面積が大きいところの規制を適用するもの
用途地域ごとの建築制限は、敷地面積が大きいところの規制を適用します。
つまり、
- 敷地A:第一種低層住居専用地域(敷地面積100㎡)
- 敷地B:第二種低層住居専用地域(敷地面積200㎡)
であれば、第二種低層住居専用地域の建築制限が全体に適用されます。

第一種低層住居地域と第一種中高層住居専用地域が隣接している場合、中高層マンションが建てられてしまうということです。
ですが、第一種低層住居専用地域にまたがる部分に適用される建築規制は、第一種低層住居専用地域のものなので、あまり影響がでないのも確かです。
ほかにも、
- 採光
- 敷地面積の最低限度
などが、敷地面積が大きいところの規制を適用します。
いずれかのうち、最も厳しい規制を適用するもの
いずれかのうち、最も厳しい規制が適用されるのは、
- 防火地域
- 準防火地域
です。
つまり、
- 敷地A:第一種低層住居専用地域(防火地域)
- 敷地B:第一種中高層住居専用地域(準防火地域)
であれば、第一種低層住居専用地域が優先され、全体を防火地域として考えます。

建築コストの面ではセンシティブな話です。
防火地域(または準防火地域)に位置している場合、特殊な建材を使う必要があるので、通常よりも200万円前後建築コストが上がるといわれます。
(※ たとえば、防火窓の設置など)
予算に厳しい制限がある場合には、防火地域(または準防火地域)をまたいでいる土地は避けたほうが無難です。
敷地面積に応じて、加重平均により適用するもの
敷地面積に応じて、加重平均により適用するものは、
- 容積率
- 建ぺい率
です。
つまり、
- 敷地A:建ぺい率60%・敷地面積100㎡
- 敷地B:建ぺい率80%・敷地面積200㎡
であれば、
- 敷地A:60% × 100(㎡) ÷ 300(㎡) = 20%
- 敷地B:80% × 200(㎡) ÷ 300(㎡) = 53%
となり、合計して「建ぺい率73%」が適用されます。
(※ 前面道路幅員や条例なども関係するので、市町村の担当課にかならず確認を行なってください。)
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