中古住宅を購入する時の購入費用についての記事です。
中古住宅を購入する時には、物件代金以外にも、さまざまな費用が必要です。
大きく分けて、
- 売主に支払う費用
- 不動産業者に支払う費用
- 金融機関に支払う費用
- 保険会社に支払う費用
- 司法書士に支払う費用
- 国に支払う費用(税金)
の6項目あります。
それぞれ、節約方法や費用の性質が異なります。
くわしいシュミレーションを用いながら、購入費用について細かく確認していきます。
税制の特例など、絶対に活用したい制度についても触れているので、購入費用を理解する助けにしてください。
さくっと要点を知る
- 中古住宅の購入時には、物件代金以外の費用(いわゆる、諸費用)が5%〜10%ほど必要
- 3,500万円の中古住宅を購入すると、2,725,825円の諸費用が必要(※一定条件下において)
- 諸費用を低く抑えるために利用したい制度がたくさんある
さらに詳しく
中古住宅の購入ガイドでは、
- 良い中古住宅の効率的な見つけ方
- 割安・割高をしっかりと見分ける方法
- すこしでも安く中古住宅を購入する方法
- 中古住宅にかかる全費用(購入後も含めて)
- 売却や建て替えに適した費用性の高い築年数
など、より賢く、よりお得に、中古住宅を購入する方法についてまとめています。
中古住宅の購入にかかる費用(諸費用を含む)
中古住宅の購入にかかる費用は、
売主に支払う費用 | 中古住宅の物件代金 |
固定資産税の清算金 (※1月1日引き渡しでは不要) |
|
不動産業者に支払う費用 | 仲介手数料 |
事務手数料 | |
金融機関に支払う費用 |
住宅ローン融資事務手数料 (※住宅ローンを借りる場合のみ) |
住宅ローン保証料 (※住宅ローンを借りる場合のみ) |
|
団体信用生命保険料 (※住宅ローンを借りる場合のみ) |
|
保険会社に支払う費用 | 火災保険料 |
地震保険料 | |
司法書士に支払う費用 | 所有権移転登記費用 |
抵当権設定登記費用 (※住宅ローンを借りる場合のみ) |
|
国に支払う費用(税金) | 不動産取得税 |
登録免許税 | |
印紙税 | |
消費税 (※不動産業者が売主の場合のみ) |
があります。
売主に支払う費用
売主に支払う費用は、
- 中古住宅の物件代金
- 固定資産税の清算金
の2つです。
中古住宅の物件代金
購入する中古住宅が、
土地の代金 | 2,250万円 |
建物の代金 | 1,250万円 |
合計 | 3,500万円 |
であれば、中古住宅の物件代金は3,500万円です。
固定資産税の清算金
中古住宅を購入するときには、通常、固定資産税の清算を行います。
固定資産税は、毎年1月1日の所有者が納税義務者となります。
つまり、通常の取引では、引き渡しを受ける年の固定資産税の納税義務者は「売主」です。
もし、中古住宅の引き渡しを、12月31日に受ける場合には、清算の必要はありません。
しかし、12月31日以外の日に引き渡しを受ける場合には、あなた(買主)は、あなたが負担すべき分の固定資産税を売主に支払う必要があります。
このページでは、
固定資産税評価額(土地・住宅用地) | 1,125万円 |
土地の面積 | 100㎡ |
固定資産税評価額(建物) | 625万円 |
建物の床面積 | 100㎡ |
を条件とします。
この場合、
固定資産税額(土地・住宅用地) | 26,250円 (1,125万円 × 1/6 × 1.4%) |
都市計画税額(土地・住宅用地) | 11,250円 (1,125万円 × 1/3 × 0.3%) |
固定資産税額(建物) | 87,500円 (625万円 × 1.4%) |
都市計画税額(建物) | 18,750円 (625万円 × 0.3%) |
合計 | 143,750円 |
となり、固定資産税は143,750円(1年あたり)かかっています。
(※住宅用地に対する課税標準の特例を受けているものとする。)
ですので、中古住宅の引き渡しを7月1日に受けた場合、
中古住宅の引き渡し日 | 7月1日 |
売主が負担すべき額 | 71,875円 (※1月~6月分) |
買主(あなた)が負担すべき額 | 71,875円 (※7月~12月分) |
となり、買主(あなた)は、売主に71,875円(7月~12月分)の清算金を支払います。
不動産業者に支払う費用
不動産業者に支払う費用は、
- 仲介手数料
- 事務手数料
の2つです。
仲介手数料
仲介手数料は、
物件代金 × 3% + 6万円 = 仲介手数料の上限額(税別)
という定めがあります。
(※物件代金が400万円以上の場合)
このページでは、
土地の代金 | 2,250万円 |
建物の代金 | 1,250万円 |
合計 | 3,500万円 |
を条件とします。
この場合、
3,500万円 × 3% + 6万円 = 111万円(税別)
となり、あなた(買主)が支払う仲介手数料の上限額は1,110,000円(税別)です。
税金が8%であれば、
1,110,000円 × 1.08 = 1,198,800円
となり、あなた(買主)が支払う仲介手数料の上限額は1,198,800円(税込)です。
さらに詳しく
事務手数料
事務手数料は、不動産業者によって変わりますが、おおむね10万円前後です。
金融機関に支払う費用
金融機関に支払う費用は、
- 融資事務手数料
- 保証料
- 団体信用生命保険料
の3つです。
金融機関に支払う費用は、中古住宅の購入で住宅ローンを使うときのみかかります。
このページでは、
借入金額 | 2,500万円 |
借入期間 | 20年 |
借入金利 | 1.05% |
団体信用生命保険 | 機構団体信用生命保険 |
借入金融機関 | ARUHI(フラット35S) |
を条件とします。
融資事務手数料
融資事務手数料は、住宅ローンを借りるときの、様々な事務作業に対して支払う費用です。
支払い方には、
- 定率型(融資金額に対して一定割合を支払う)
- 定額型(融資金額は関係なく、一定の額を支払う)
の2種類あります。
(※金融機関により異なる。)
ARUHI(フラット35S)を利用した場合、融資事務手数料は、「融資金額の2%に相当する金額に消費税額を加算した金額」です。
借入金額が2,500万円なので、
25,000,000円 × 2.0% = 500,000円
となり、消費税が8%であった場合、
500,000円 × 1.08 = 540,000円
となり、あなた(借主)が支払う融資事務手数料は540,000円(税込)です。
保証料
保証料は、住宅ローンを借りるときに、保証会社に支払う費用です。
以前は、連帯保証人制度による保証が一般的でした。
しかし、今では、保証会社を保証人にする制度が一般的です。
万が一、あなた(借主)が住宅ローンを支払えなくなったときに、保証会社が金融機関に住宅ローンの残債を支払います。
保証会社が支払ってくれたからといって、あなたが住宅ローンを支払わなくてもよくなるわけではありません。
あなた(借主)の支払い先が、金融機関から保証会社に変わるだけです。
保証料は、
- 一般銀行
- ネット銀行
- 住宅金融支援機構(フラット35)
のいずれの金融機関を利用するかによって変わります。
一般銀行の場合には、
- 外枠方式(一括支払い):借入金額、期間などにより変動
- 内枠方式(分割支払い):借入利息に0.2%上乗せ
など、それなりの保証料を支払うものが多いです。
ネット銀行では、保証会社を利用しないところが多いため、保証料を支払う必要がありません。
(※ただし、保証会社を利用しない分、一般銀行に比べて審査基準が厳しい。)
住宅金融支援機構(フラット35)は、住宅金融支援機構(国の住宅ローンのようなもの)というバックボーンがしっかりしているので、保証料は必要ありません。
ARUHI(フラット35S)を利用した場合、保証料はゼロ円です。
団体信用生命保険料
団体信用生命保険とは、あなた(借主)が、特定の事象(死亡・病気など)に該当したときに、住宅ローンをすべて支払ってくれる保険です。
いわば、住宅ローン専用の生命保険です。
団体信用生命保険には、
- 団体信用生命保険
- 三大疾病特約付き団信
- 八大疾病特約付き団信
など、基本となる3種類の団体信用生命保険のほかに、
- ワイド団信
- 全疾病保障団信
など、受入緩和型団体信用生命保険が、金融機関ごとに独自パッケージとして用意されています。
もっとも基本的な「団体信用生命保険」では、ほぼすべての金融機関で保険料がかかりません。
より保障が手厚い団体信用生命保険を選ぶと、借入金利に0.2%上乗せなどの条件が付与されます。
ARUHI(フラット35S)を利用した場合、機構団体信用生命保険料はゼロ円です。
保険会社に支払う費用
保険会社に支払う費用は、
- 火災保険
- 地震保険
の2つです。
このページでは、
中古住宅(建物)の価値 | 2,000万円 |
中古住宅の築年数 | 築10年 |
中古住宅の構造 | 省令準耐火構造ではない |
家財保険 | 1,000万円を付加 |
地震保険 | 40%前後 |
保険会社 | 損保ジャパン日本興和 |
選択プラン | 標準プラン |
支払い方法 | 10年長期一括払い |
を条件とします。
火災保険(および地震保険)
条件により試算をすると、
標準プラン | |
地震保険料 (※年払い) |
44,920円 |
火災保険料 | 465,130円 (※年あたり:46,513円) |
合計 (※火災 + 地震) |
510,050円 (※地震保険は1年分のみ) |
オプション | 火災 落雷 風災・ひょう災・雪災 水災 破裂・爆発 建物外部からの物体の落下・飛来・衝突 漏水などによる水濡れ 盗難 |
自己負担額 | 5万円 |
臨時費用保険金 | 支払割合30% 限度額100万円 |
となり、火災保険(および地震保険)にかかる費用は510,050円です。
(※地震保険は1年分のみ)
火災保険は、
- 1年一括払い
- 5年長期年払い
- 5年長期一括払い
- 10年長期一括払い
の4種類の支払い方法があります。
長期間を一括で支払うほど、保険料は割り引かれます。
地震保険は、1年更新でしか加入できないことに注意してください。
司法書士に支払う費用
司法書士に支払う費用は、
- 司法書士報酬(所有権移転登記に係るもの)
- 司法書士報酬(抵当権設定登記に係るもの)
の2つです。
住宅ローンを使わない場合には、抵当権設定登記をしないので、司法書士報酬(抵当権設定登記に係るもの)は必要ありません。
司法書士報酬(所有権移転登記に係るもの)
所有権移転登記をするときには、
- 登録免許税(所有権移転登記に係るもの)
- 司法書士報酬(所有権移転登記に係るもの)
の2つがかかります。
(※登録免許税については、後述します。)
所有権移転登記を司法書士に任せた場合の報酬(相場)は、
基本費用(1,000万円までの売買) | 15,000円前後 |
1,000万円から1億円まで | 基本費用 + 2,500円前後(※1,000万円ごとに) |
1億円を超えるもの | 37,500円前後 + 2,000円前後(※1,000万円ごとに) |
です。
(※司法書士報酬のみ)
(※ほかに登録免許税がかかる)
このページの条件は、
中古住宅の物件代金(売買契約書の記載価格) | 3,500万円 |
なので、
司法書士報酬 | 22,500円前後 (15,000円前後 + 7,500円前後) |
となり、あなた(依頼主)が支払う司法書士報酬(所有権移転登記に係るもの)は22,500円です。
抵当権設定登記費用(報酬)
抵当権設定登記をするときには、
- 登録免許税(抵当権設定登記に係るもの)
- 司法書士報酬(抵当権設定登記に係るもの)
の2つがかかります。
(※登録免許税については、後述します。)
抵当権設定登記の司法書士報酬(抵当権設定登記に係るもの)は、およそ5万円です。
さらに詳しく
国に支払う費用(税金)
国に支払う費用(税金)は、
- 不動産取得税
- 登録免許税
- 印紙税
- 消費税
の4つです。
不動産取得税
不動産取得税とは、不動産を取得(購入など)したときに課税される税金です。
このページでは、
中古住宅(土地)の固定資産税評価額 | 1,125万円 |
土地の面積 | 100㎡ |
中古住宅(土地)の1㎡あたりの価格 | 112,500円 |
中古住宅(建物)の固定資産税評価額 | 625万円 |
中古住宅(建物)が新築された日 | 平成10年4月1日 |
中古住宅(建物)の床面積 | 100㎡ |
中古住宅(土地 + 建物)の固定資産税評価額 | 1,750万円 |
を条件とします。
さらに、不動産取得税の特例として、
- 宅地評価土地の課税標準の特例
- 住宅用土地を取得した場合の特例
が適用できたものとします。
この場合、
中古住宅(土地)の不動産取得税 | 168,750円 (1,125万円 ÷ 2 × 3% ) |
中古住宅(土地)の不動産取得税 (※減額される分) |
337,500円 (112,500円 × 1/2 × 100㎡ × 2 × 3%) |
中古住宅(土地)の不動産取得税 (※最終的な課税金額) |
0円 (168,750円 - 337,500円) |
中古住宅(建物)の不動産取得税 | 0円 (625万円 - 1,200万円 × 3%) |
合計 | 0円 |
となり、あなた(買主)が納める不動産取得税はゼロ円です。
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登録免許税
登録免許税とは、登記をしたときに課税される税金です。
中古住宅を購入するときには、
- 所有権移転登記
- 抵当権設定登記
により、登録免許税を納税する可能性があります。
(※住宅ローンを使わないのであれば、抵当権設定登記をする必要がない。)
このページでは、
中古住宅(土地)の固定資産是評価額 | 1,125万円 |
中古住宅(建物)の固定資産税評価額 | 625万円 |
中古住宅(土地 + 建物)の固定資産税評価額 | 1,750万円 |
住宅ローンの借入額 | 2,500万円 |
を条件とします。
さらに、登録免許税の特例として「一定の住宅用家屋の税率の軽減」を受けることができた場合、
所有権移転登記(土地) | 168,875円 (1,125万円 × 1.5%) |
所有権移転登記(建物) | 18,750円 (625万円 × 0.3%) |
抵当権設定登記 | 25,000円 (2,500万円 × 0.1%) |
合計 | 212,625円 |
となり、あなた(買主)が納める登録免許税は212,625円です。
印紙税
印紙税とは、特定の契約書を作成したときに、その契約書の記載金額に応じて課税される税金です。
中古住宅を購入するときには、
- 不動産売買契約書
- 金銭消費貸借契約書
により、印紙税を納税する可能性があります。
(※住宅ローンを使わないのであれば、金銭消費貸借契約を結ぶ必要はない。)
このページでは、
不動産売買契約書に記載されている代金 | 3,500万円 |
金銭消費貸借契約書に記載されている借入 | 2,500万円 |
を条件とします。
この場合、
売買契約書にかかる印紙税 | 10,000円 |
金銭消費貸借契約書にかかる印紙税 | 10,000円 |
合計 | 20,000円 |
となり、あなた(買主)が納める印紙税は20,000円です。
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消費税
中古住宅を購入するときには、基本的に、消費税はかかりません。
ただし、不動産業者が「売主」となる取引では、消費税がかかります。
不動産業者が「売主」となる取引とは、
- 不動産業者が、特定の住宅を買い取る
- 不動産業者が、リフォームなどをして販売する
- あなた(買主)が、不動産業者が販売している中古住宅を購入する
となるような取引です。
今回の中古住宅の購入は、
- 売主:個人
- 買主:個人
- 仲介:不動産業者
となる、個人間売買なので、消費税はかかりません。
(※あくまでも物件代金に対する消費税です。)
中古住宅の購入費用(まとめ)
購入する中古住宅の条件をまとめると、
土地に関する条件 | |
土地の代金(契約書記載金額) | 2,250万円 |
固定資産税評価額(土地・住宅用地) | 1,125万円 |
土地の面積 | 100㎡ |
土地の価格(㎡単価・固定資産税評価額) | 112,500円 |
建物に関する条件 | |
建物の代金(契約書記載金額) | 1,250万円 |
固定資産税評価額(建物) | 625万円 |
建物の再調達価格(再建築価値) | 2,000万円 |
建物の床面積 | 100㎡ |
建物の間取り | 4LDK |
建物が新築された日 | 平成10年4月1日 |
築年数 | 築10年 |
建物の構造 | 省令準耐火構造ではない |
中古住宅の引き渡し日 | 7月1日 |
住宅ローンに関する条件 | |
借入金額 | 2,500万円 |
借入期間 | 20年 |
借入金利 | 1.05% |
団体信用生命保険 | 機構団体信用生命保険 |
借入金融機関 | ARUHI(フラット35S) |
火災・地震保険に関する条件 | |
家財保険 | 1,000万円を付加 |
地震保険 | 40%前後 |
保険会社 | 損保ジャパン日本興和 |
選択プラン | 標準プラン |
となっています。
該当条件において、中古住宅の購入にかかる費用は、
土地に関する条件 | |
土地の代金(契約書記載金額) | 2,250万円 |
固定資産税評価額(土地・住宅用地) | 1,125万円 |
土地の面積 | 100㎡ |
土地の価格(㎡単価・固定資産税評価額) | 112,500円 |
建物に関する条件 | |
建物の代金(契約書記載金額) | 1,250万円 |
固定資産税評価額(建物) | 625万円 |
建物の再調達価格(再建築価値) | 2,000万円 |
建物の床面積 | 100㎡ |
建物の間取り | 4LDK |
建物が新築された日 | 平成10年4月1日 |
築年数 | 築10年 |
建物の構造 | 省令準耐火構造ではない |
中古住宅の引き渡し日 | 7月1日 |
住宅ローンに関する条件 | |
借入金額 | 2,500万円 |
借入期間 | 20年 |
借入金利 | 1.05% |
団体信用生命保険 | 機構団体信用生命保険 |
借入金融機関 | ARUHI(フラット35S) |
火災・地震保険に関する条件 | |
家財保険 | 1,000万円を付加 |
地震保険 | 40%前後 |
保険会社 | 損保ジャパン日本興和 |
選択プラン | 標準プラン |
となり、総額で37,725,825円になります。