不動産投資 コラム

好条件で空室リスクがないワンルームマンションでも値下がりはする

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好条件で空室リスクがないワンルームマンションでも値下がりはする

良いワンルームマンションがないかと探していたら、

  • 駅から近い
  • 人気がある
  • 空室リスクがない

だから、資産価値が下がりません!といって不動産仲介業者に物件を紹介されたことはありませんか?

今、まさに紹介を受けているのなら注意が必要です。

今回は、ワンルームマンション(および収益物件)の価格について、ケースを用いて解説します。

S.Kou
そもそも「将来の不確実な事象」について「断言」をしている不動産営業マンは、不動産営業マン失格です。

この記事からわかること

  • ワンルームマンション(および収益物件)の価格の決まり方
  • 収益還元法による価格の基本
  • 原価法による価格の基本
  • 宅建業法 第47条の2による業務に関する禁止事項
    (将来の不確実な事象に関する断言の禁止)

相談の内容:条件の良いワンルームマンションは値下がりしないのか?

ケイコさん
Kouさん!資産価値の下がらないワンルームマンションの情報をゲットしたのだけれども、買いかな!?
S.Kou
今回は、どんな不動産業者に騙されているんですか?
ケイコさん
決めつけてかかるのはヒドくない?
S.Kou
わかりましたから、条件とかいろいろ聞かせてくださいよ。

不動産仲介業者から中古物件の提案を受けたケイコさん。

物件の内容は、

物件種別 ワンルームマンション
面積 23㎡(6階部分)
構造 鉄筋コンクリート(RC造)
築年数 築10年
物件所在地 都内(都心)
管理会社 あり
施工会社 中堅デベロッパー
賃料など 85,000円/月(管理費・修繕積立金:15,000円)
最寄駅までの距離 徒歩5分ほど
物件価格 2,100万円

です。

S.Kou
確かに、なかなか条件のいいワンルームマンションですね。
ケイコさん
でしょ!?
S.Kou
でも、「資産価値が下がらない」って何ですか?
ケイコさん
紹介してくれた不動産仲介業者の人が、

「場所がとても良いから、空室リスクがないんです!」

「長く収益が見込める好物件です!」

「立地条件・収益性ともに良好なので、20年後でも2,100万円で売れますよ!これ!」

って教えてくれたの。

S.Kou
なるほど。

で、鵜呑みにしたと。

ケイコさん
そのあとに続く言葉は聞きたくないから、本当に資産価値が下がらないかどうかだけ教えてね。

結論:好条件で空室リスクがないワンルームマンションでも値下がりはする

S.Kou
結論から言えば、どんなに条件(立地など)が良くて、空室リスクがないワンルームマンションでも、時が経過すれば、資産価値が下がる可能性は極めて高いです。
ケイコさん
世の中、おいしい話なんてどこにもないのね。

でも、どうして資産価値は下がるの?

S.Kou
今回のケースでは、2つの観点からお話ししたほうがよさそうですね。

賃貸物件の価格を決めるのは「収益価格(収益還元法による価格)」

将来の見込み総収益 = 物件価格

S.Kou
まずは、収益価格(収益還元法による価格)の観点から説明しましょう。

といっても、上の画像で説明はすべて終わっているようなものですが。

ケイコさん
どういうこと?お魚さんかわいいね。
S.Kou
...説明します。

画像を見ながら、以下の解説を読み進めてください。

今回は、便宜上、賃貸マンション(ワンルームマンション)から得られる賃料が1年間で500万円と想定します。

つまり、ドルコイン1束(500万円)は、1年分の賃料を表しています。

左に「余命○年」と書いてあるのは、賃貸マンションの寿命です。

余命5年は、あと5年でマンションは崩壊する(物理的価値が保てなくなる)という意味です。

賃貸物件の価格のことを「収益価格」といいます。

収益価格は、「将来見込める賃料収入などを総合した価格(総収入)」です。

画像を見てもらえばわかるように、余命が短くなればなるほど、総収入(つまり、物件価格)が下がっています。

これを収益還元法による価格というのですが、賃貸物件の価格を考えるときの根底にある考え方です。
(※より詳細に考えると、現在価値への割り戻しなど利率などもかかわるのですが、ややこしいので割愛します。)

ケイコさん
年収500万円で、あと15年生きる予定だった夫が事故死したときに、7,500万円もらえるのが、あと10年だと5,000万円になるのと一緒ってことね。
S.Kou
素晴らしく的を得ているのですが、感性も素晴らしすぎてコメントしにくいです。
ケイコさん
で、この収益価格と20年後の資産価値に何の関係があるの?
S.Kou
大ありですよね。

今の寿命だから「2,100万円」という価格(価値)があるのであって、20年の時が過ぎれば、20年分の収益価格は差し引かれます。

仮に月々85,000円の賃料を維持し続けることができたとしても、

85,000円 × 12ヵ月 × 20年 = 2,040万円

の収益を消費してしまっているのですが、20年後に何らかの力が働いて2,040万円をカバーするほどの価値が増大していると思いますか?

ケイコさん
20年以内に昭和バブル級の高度経済成長が10回くらい起こらないと無理そうね。
S.Kou
あとはケイコさんみたいな人が現れるのを祈祷しながら待つくらいですかね。
ケイコさん
事故死するか?

経年劣化の観点(原価法による価格)からみても下がる可能性が高い

S.Kou
気を取り直しまして。
ケイコさん
もう1つの観点は何?
S.Kou
経年劣化(年月の経過で建物が古くなること)の観点から考えても、資産価値が下がる可能性が高いです。
ケイコさん
これはわかるわ。

同じマンションでも、新築時よりも10年後のほうが古くなるから安くなるってことね?

S.Kou
そういうことです。

スーパーのおつとめ品や、ワゴンに入っている投げ売りをイメージしていただければいいかと思います。

ケイコさん
古くなれば、安くなってるってことね。
S.Kou
そういうことです。

不動産の価格は、

  • 原価法による価格
    (建築費用やエアコンの価格など建物の物理的な価値を足し算して考える価格)
  • 取引事例比較法による価格
    (対象となる不動産の周辺で売りに出ている似ている不動産の価格を参考にして考える価格)
  • 収益還元法による価格
    (不動産から得られる収入を足し算して考える価格)

の3つの観点から判断します。

物件の種類によって、どの価格に重きを置くのかが変わりますが、収益物件の場合には、収益還元法による価格が重視されます。

不動産投資家の方々が、利回りが~、賃料収入が~、といっているのが、まさに収益価格です。

取引事例非核法による価格は、今回のケースでは、20年後の話なので、参考にできる不動産が見つけられませんから、考えていません。

補足的にですが、原価法による価格は考えることができるので考えてみました。

ケイコさん
で?
S.Kou
総合的に考えて、やはり資産価値が下がる可能性が高いといえるでしょう。

将来の不確定な要素について「断定」をする不動産業者には気を付けましょう。

ケイコさん
「可能性が...。」って歯切れが悪いけど、断言できないの?
S.Kou
99%断言できますが、断言してはいけないので、断言しないだけです。
ケイコさん
どういうこと?バカにしてるの?
S.Kou
いえ、違います。

宅地建物取引士の資格を持っている者であれば、将来の不確実な事象に対して「断言」をしないのは、常識です。

ケイコさん
え?そうなの?
S.Kou
はい。

不動産に関することは、生命および財産の安全を大きく左右する可能性がとても高いです。

ですので、宅建業法でも、将来に関する不確実な事象に対して「断言」を禁止しています。

宅建業法 第47条の2

宅地建物取引業者又はその代理人、使用人その他の従業者(以下この条において「宅地建物取引業者等」という。)は、宅地建物取引業に係る契約の締結の勧誘をするに際し、宅地建物取引業者の相手方等に対し、利益を生ずることが確実であると誤解させるべき断定的判断を提供する行為をしてはならない。

ケイコさん
宅地建物取引業者の使用人が不動産仲介業者の営業マンで、宅地建物取引業の相手方がわたしね。
S.Kou
はい。

今回の「将来の価格に関する断言」は、「利益を生ずることが確実であると誤解させるべき断定的判断を提供する行為」に該当します。

完全にルール違反です。

ケイコさん
契約の欲しさに軽口をいうような人は信用してはいけないのね。
S.Kou
往々にして起こることなのですが、誠意に欠ける行為です。

予測は、あくまでも、予測の範囲を超えないというスタンスを守れているかどうかは、営業マンを見極めるポイントにもなるので、注意深く観察しましょう。

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