中古住宅の値引き交渉について解説している記事です。
中古住宅の値引き交渉について、
- 値引きができる可能性が高い中古住宅
- 値引きできない可能性が高い中古住宅
- 値引きできる可能性が読めない中古住宅
- どのくらい値引きできるのか?
- 値付けの意識から値引きの可能性を判断する方法
- 中古住宅の値引き交渉術:上手な進め方とコツ
- 中古住宅の値引き交渉術:失敗を引き寄せるタブー
の順に解説しています。
そもそも値引きが狙える中古住宅なのかどうかについて、
- 値引きができる可能性が高い中古住宅
- 値引きできない可能性が高い中古住宅
- 値引きできる可能性が読めない中古住宅
から判断できるようになっています。
より具体的な値引き額の判断方法について、
- どのくらい値引きできるのか?
- 値付けの意識から値引きの可能性を判断する方法
にて解説しています。
一般的な値引き額の目安からタブーについて解説したのち、売主が決めた売出価格に潜む特徴について解説します。
「どのくらい値引きできそうな売主なのか?」について、より具体的な金額を推測するテクニックをお伝えします。
具体的な値引き交渉の進め方については、
- 中古住宅の値引き交渉術:上手な進め方とコツ
- 中古住宅の値引き交渉術:失敗を引き寄せるタブー
にて解説しています。
交渉をうまく進めるために知っておきたい取引関係者の心理(欲求)を理解した上で、
- 問い合わせ
- 内覧
- 検討
- 値引き交渉
において、何をすべきで、何をすべきではないのか具体的に紹介します。
交渉の進め方次第では、新居の家財道具が揃えられるくらいの値引きを実現することは十分に可能です。
一方で、
- 値引き交渉のチャンスは一度しかないこと
- 値引き交渉に失敗すると、購入さえできなくなってしまうこと
など、リスクが潜んでいることも事実です。
確実な値引き交渉の進め方について解説しているので、あなたも良い結果を手にしてください。
さらに詳しく
中古住宅の購入ガイドでは、
- 良い中古住宅の効率的な見つけ方
- 割安・割高をしっかりと見分ける方法
- すこしでも安く中古住宅を購入する方法
- 中古住宅にかかる全費用(購入後も含めて)
- 売却や建て替えに適した費用性の高い築年数
など、より賢く、よりお得に、中古住宅を購入する方法についてまとめています。
「いい中古住宅」を見つけるなら
力のある不動産業者には、自然と多くの情報が集まります。
彼らには優れた販売力があるので、一般的なポータルサイトに頼ることなく、自社サイトで売却ができてしまいます。
結果として、一般的なポータルサイトに「いい中古住宅」が公開されることなく、大手不動産業者のホームページで消えていくのです。
「いい中古住宅」を見つけるのであれば、三菱UFJ信託銀行グループの三菱UFJ不動産販売が運営する不動産ポータル情報サイト「住まい1」の利用がおすすめです。
三菱UFJ不動産販売が預かっている不動産情報を得ることができます。
「住まい1」を活用することで、ほかのポータルサイトには載っていない情報をより多く集めることができます。
また、会員登録(無料)をするだけで、
・お気に入り物件の保存
・検索条件の保存
・新着物件メールサービス
・最近見た物件の表示
・物件比較
・お問い合わせ物件の保存
などのサービスを受けることができます。
登録は5分で終わります。
値引きができる可能性が高い中古住宅
値引きができる可能性が高い中古住宅について解説します。
値引きができる可能性が高い中古住宅について、
- 中古住宅の状況から判断する方法
- 売主の状況から判断する方法
にわけて解説するので、あなたの状況に合わせて考えてみてください。
(値引きできる可能性が高い物件を)中古住宅の状況から見極める方法
(値引きできる可能性が高い物件を)中古住宅の状況から見極める方法について解説します。
値引きできる可能性が高い中古住宅は、
- 住宅ローンが使えない(使いにくい)中古住宅
- 売り出してから時間が経過している中古住宅
- リフォームがされていない中古住宅
です。
値引きできる可能性が高い中古住宅は、
- 担保価値が低い
(※住宅ローンの借入限度額が低くなりやすい) - 法的な制約により建て替えが難しい
(※購入のリスクが高く、買い手がつきにくい) - 売主が焦っている
(※次の交渉はいつかわからない) - 営業努力があまりされていない
(※魅力的に見えないので、買い手がつきにくい)
といった条件を備えています。
住宅ローンが使えない(使いにくい)中古住宅
値引き交渉を持ちかける対象の中古住宅が、
- 借地
- 再建築不可
- 接道していない(未接道)
- 既存不適格建築物
である場合には、購入時に住宅ローンが使えない可能性があります。
借地(所有権が買主にない土地)
中古住宅は、
- 土地
- 建物
によって構成されています。
土地が借地の場合、購入時に住宅ローンを活用したくても、
- 土地:あなたの所有物ではないので、担保に組み込むことができない
- 建物:あなたの所有物なので、担保に組み込むことができる
となり、借入限度額を左右する担保価値が半分以下になります。
また、あなた(買主)にとっても、
- 購入後に土地の賃料を払い続けなければいけない
- 建て替えをしたくても、地主の許可が得られるかわからない
といったリスクがあるので、積極的に買いにいける中古住宅ではなくなります。
結果として、売主は、
- そもそも購入希望者が現れない
- 具体的な話になっても、頓挫する可能性が高い
ことになり、値引き交渉に対して「弱気の対応」になります。

土地が借地の中古住宅は、
- 担保価値が低い
(※住宅ローンの借入限度額が低くなりやすい) - 法的な制約により建て替えが難しい
(※購入のリスクが高く、買い手がつきにくい)
に該当しているので、上記が値引き交渉のカギになります。
中古住宅を評価するときには、
- 土地
- 建物
を合算して考えます。
しかし、築20年が経過した建物は、
- 年々評価が下落した部分
- 築20年で迎えるリフォームにかかる費用
を加味すると、担保価値がゼロ円と考えられるのが一般的です。
結果として、中古住宅の評価は「土地が大半を占める」ということになります。
再建築不可
再建築不可の中古住宅では、
- 建築基準法
- 都市計画法
などによる制約により再建築(建て替え)が認められません。
再建築不可の理由は「土地」にあるのですが、難のある土地と判断されるため、
- 土地:担保価値が低い
- 建物:担保価値が低い
という状態になり、住宅ローンの借入限度額が極端に落ちます。
当然、あなた(買主)にとっても、
- 建物が寿命を迎えた時に住む場所がなくなる
- 残った土地を売ることができずに、固定資産税などコストだけがかかる
といったリスクがあるので、積極的に買いにいける中古住宅ではなくなります。
結果として、売主は、
- そもそも購入希望者が現れない
- 具体的な話になっても、頓挫する可能性が高い
ことになり、値引き交渉に対して「弱気の対応」になります。

再建築不可の条件が付いている中古住宅は、
- 担保価値が低い
(※住宅ローンの借入限度額が低くなりやすい) - 法的な制約により建て替えが難しい
(※購入のリスクが高く、買い手がつきにくい)
に該当しているので、上記が値引き交渉のカギになります。
接道していない(未接道)
建物を建てるときには、接道義務を満たす必要があります。
接道義務とは、敷地が「道路法上の道路」に2m以上接していなければ、建物を建ててはいけないという法律です。
敷地が接道していない土地で建て替えを行う場合には、
- (自費で)新しく道路を引き込む
- 2項道路(みなし道路)の認定を受ける
- 43条但し書きの道路(位置指定道路)の認定を受ける
などの対策をしなければいけません。
(※つまり、無理矢理にでも「道路法上の道路」に接道させる必要がある)
あなた(買主)にとっては、
- 道路を引き込む場合には、数千万円の費用がかかるので現実的ではない
- 特殊な道路としての認定は、必ずしも受けられるわけではない
といったリスクがあるので、積極的に買いにいける中古住宅ではなくなります。
当然、担保価値も落ちるので、住宅ローンの借入限度額も低くなります。
結果として、売主は、
- そもそも購入希望者が現れない
- 具体的な話になっても、頓挫する可能性が高い
ことになり、値引き交渉に対して「弱気の対応」になります。

接道していない(未接道)の中古住宅は、
- 担保価値が低い
(※住宅ローンの借入限度額が低くなりやすい) - 法的な制約により建て替えが難しい
(※購入のリスクが高く、買い手がつきにくい)
に該当しているので、上記が値引き交渉のカギになります。
既存不適格建築物
既存不適格建築物は、
- 建築当初の法律 → 適合していた
- 現在の法律 → 適合していない
という状態の建物です。
建て替えのときには、現在の法律に適合させなければ建築を認めてもらえない可能性が高い建物です。
特に多いのは、前面道路幅員に関するルールが変更になり、
- 2項道路(みなし道路)
- 43条但し書きの道路(位置指定道路)
の認定を受けた結果、敷地が道路にはみ出している状態になっている中古住宅です。
(※いわゆる「下町」でよくある状態です。)
建て替えを行う場合には、セットバック(新しい道路幅員に合わせて、敷地を下げる)を行う必要があります。
当然、敷地面積が減るので、
- 容積率
- 建ぺい率
を掛け合わせた時の有効宅地面積が小さくなり、建築の制約が増えることになります。
当然、担保価値も落ちるので、住宅ローンの借入限度額も低くなります。
結果として、売主は、
- そもそも購入希望者が現れない
- 具体的な話になっても、頓挫する可能性が高い
ことになり、値引き交渉に対して「弱気の対応」になります。

既存不適格建築物の中古住宅は、
- 担保価値が低い
(※住宅ローンの借入限度額が低くなりやすい) - 法的な制約により建て替えが難しい
(※購入のリスクが高く、買い手がつきにくい)
に該当しているので、上記が値引き交渉のカギになります。
「500万円以上の値引きができた!」といった話は、上記のような取り扱いが難しい中古住宅であることが多く、
- 売主が考えていた相場(販売価格)
- 実際に目の当たりにした現実(適正価格)
のギャップがあまりにも激しかったため、大幅な減額が受け入れられたという流れです。
売り出してから時間が経過している中古住宅
売り出してから時間が経過している中古住宅は、値引きができる可能性が高いです。
より詳しくいえば、
- 売出後、1ヶ月を経過した中古住宅
- 売出後、3ヶ月を経過した中古住宅(※要注意)
- 売出後、半年を経過している中古住宅
です。
売出後、1ヶ月を経過した中古住宅
売出後、1ヶ月を経過すると、
- 問い合わせ数
- 内覧者数
などによって、売主は中古住宅の人気をなんとなく意識し始めます。
反応が少ない場合には、
- 値段が高いのだろうか?
- 時期が悪かったのだろうか?
- 建物の見た目が悪いのだろうか?
などを考え始めるので、値引き交渉に対して「弱気の対応」になります。

当然ですが、反応が多い中古住宅は値引きが難しくなります。
売出後、3ヶ月を経過した中古住宅(※要注意)
売出後、3ヶ月を経過すると、媒介契約の期限が切れます。
媒介契約の期限が切れたときには、
- 新しい不動産業者と契約し直す
- 同じ不動産業者と契約を更新する
などが行われますが、ほとんどの場合、同時に価格の見直しが行われます。
心機一転、値下げをした新価格で今度こそ売るぞ!と売主は意気込んでいるので、この時期の値下げ交渉は難しくなります。
売出後、半年を経過している中古住宅
売出後、半年を経過すると、ほとんどの売主は「諦めモード」に入っています。
中古住宅を売る場合、
- 問い合わせ数
- 内覧者数
が多いのは、最初の数ヶ月だけです。
時間が経過するごとに、反応はだんだん鈍くなっていきます。
売り始めてから半年も経過していると、ほとんど問い合わせがない状態になっていることが多いです。
売主は「次の交渉でいいか」と考えられなくなっているので、値引き交渉に対して「弱気の対応」になります。
リフォームがされていない中古住宅
中古住宅の売却可否については、
- 立地条件(需要があるかどうか)
- 見た目の綺麗さ(建物が魅力的かどうか)
によって、それなりに経験がある不動産業者は判断ができます。
立地条件は変えられませんが、見た目の綺麗さは努力で引き上げることができるので、不動産業者は、
- 退去(空室状態)
- クリーニング
- リフォーム
などを売主に対して必死に促します。
にも関わらず、リフォームをしていない中古住宅は、
- 売主にリフォームをする予算がない
- 売主の売却への意欲(関心)が低い
といった可能性が高いです。
いずれの場合であっても、結果として、売主は、
- そもそも購入希望者が現れない
- 次を待っている余裕がない
ことになり、値引き交渉に対して「弱気の対応」になります。
値引き交渉の理由に「リフォーム費用」を挙げられると、納得せざるを得ないので交渉も進めやすくなります。

リフォームがされていない中古住宅は、
- 営業努力があまりされていない
(※魅力的に見えないので、買い手がつきにくい)
に該当しているので、上記が値引き交渉のカギになります。
(値引きできる可能性が高い物件を)売主の状況から見極める方法
(値引きできる可能性が高い物件を)売主の状況から見極める方法について解説します。
値引きできる可能性が高い売主は、
- 転勤が迫っている売主
- 離婚を控えている売主
- 相続(単独)をした売主
- すでに住み替えが完了している売主
です。
値引きできる可能性が高い売主は、
- ほかに集中したいことがあるので、早期売却したい
- なかなか時間を作れなくなるので、早期売却したい
- 生活の見通しがつかないので、できるだけ現金を確保したい
- たまたま手にした財産なので、あまり執着心がない
といった条件を備えています。
転勤が迫っている売主
転勤が迫っている売主は、
- 転勤して、新生活に集中できるように早く売却したい
- 転勤して、手間がかかるようになる前に売却したい
など、早期売却を意識していることが多いです。
あまりにも大幅な値引きに応じることは考えにくいですが、
- 余裕を持って引っ越しができるようになること
- 不安材料を新生活に持ち込まなくていいこと
- 契約などにより休日に移動しなければいけないこと
などを天秤にかけたときに、妥当だと思えるような値引き額であれば応じてくれる可能性は十分にあります。

あくまでも目安ですが、
- 端数値引き
- プラス50万円
くらいを提示してもよいかもしれません。
また、手間をかけたくないと考えているので、
- 残置物の処理を引き受ける
- すぐに契約および引き渡しに応じる準備がある
といったことを提示できると、より良いでしょう。
離婚を控えている売主
少し良心が痛むかもしれませんが、離婚を控えている場合、
- 養育費を確保したい
- 離婚後の生活資金を確保したい
- 離婚後の関わりを絶ちたい
といった気持ちが強く働きます。
また、持分が半分ずつなどになっている場合には、
- 100万円の値引き → それぞれ50万円ずつの痛み分け
- 200万円の値引き → それぞれ100万円ずつの痛み分け
といった認識にすり変わるので、許容の幅が広がります。
気持ち強めに値引き交渉をしてみても、成約する可能性は十分に見込めるでしょう。

離婚を控えている売主の場合には、
- 残置物の処理を引き受ける
- すぐに契約および引き渡しに応じる準備がある
といったことを提示できると、より良いでしょう。
相続(単独)をした売主
相続(単独)をした売主は、
- 自己裁量で売却を決めることができる
- 降って湧いた話なので、あまりこだわりがない
- 売却するくらいなので、住んでおらず、愛着もあまりない
といった気持ちがあります。
とくに、
- 本人は都会に住んでいる
- 中古住宅は田舎にある
といった場合には、かなり強気の交渉でも成立しやすくなります。

わたしが不動産業者として買付を行なったときの話になりますが、
- 売出価格:2,250万円
- 成約価格:1,650万円
といった値引き交渉が成立したこともありました。
業者買付なので、そもそも買い叩かれる意識が働いていることもありますが、それでも大きな値引き額です。
売主の話を聞いた限りでも、
「かなり安いのはわかっているが、田舎ではなかなか買い手もつかず、できるだけ早く処分したかった。」
ということでした。
すでに住み替えが完了している売主
すでに住み替えを完了している売主は、
- 売却益で新居の設備を整えたい
- 売却益で住宅ローンを繰り上げ返済したい
といった気持ちが働きます。
とくに、
- 建売住宅に引っ越した売主
- 賃貸住宅に引っ越した売主
は、十分な生活資金を確保せずに先走りしてしまったことが多く、まとまったお金を確保したがっています。
新生活が始まり、
- 住宅ローンの返済
- 賃料の支払い
が目の前で着々と進むと、その負荷を毎日感じることになるので、多少の値引きをしたとしても、当面の資金を確保したいと考えるのが普通です。
通常であれば、相場価格が判断の根底に座るのですが、確保したい資金が判断の根底に座ることになります。
ですので、
- 売出価格:2,100万円
- 相場価格:2,000万円
- 確保したい資金:1,500万円
であれば、1,800万円(300万円の値引き)を提示しても、成立してしまう可能性が十分にあるということです。

ただし、
- しっかりとした注文住宅に引っ越した売主
- しっかりとした分譲マンションに引っ越した売主
などは、値引き交渉に応じてくれる可能性は低いです。
住み替えについて、
- 売却益に期待している売主
- 売却益に期待していない売主
の違いです。
値引きできない可能性が高い中古住宅
値引きできない可能性が高い中古住宅について解説します。
値引きできない可能性が高い中古住宅について、
- 中古住宅の状況から判断する方法
- 売主の状況から判断する方法
にわけて解説するので、あなたの状況に合わせて考えてみてください。
(値引きできない可能性が高い物件を)中古住宅の状況から見極める方法
(値引きできない可能性が高い物件を)中古住宅の状況から見極める方法について解説します。
値引きできない可能性が高い中古住宅は、
- 人気があり、反応のよい中古住宅
- 売り始めてから日が浅い中古住宅
- リフォームがしっかりされている中古住宅
です。
値引きできない可能性が高い中古住宅は、
- 担保価値が高い
(※住宅ローンの借入限度額が高くなりやすい) - 売主に焦りがない
(※反応があるので、また次でいいと考えている) - 営業努力をしっかりしている
(※投資をしている分、価格に厳しい)
といった条件を備えています。
人気があり、反応のよい中古住宅
人気があり、反応のよい中古住宅は値引き交渉が難しくなります。
購入希望者が多く、反響があるので、売主の心に余裕があります。
かなり強気に出れるので、売主の希望額以外はすべて却下されることが多いです。
売り始めてから日が浅い中古住宅
売り始めてから日が浅い中古住宅は、売主の気持ちが前向きです。
売り始めてから1ヶ月も経っていない場合、「値引きしてまで売らなくても、まだ次がある」と考えるのが普通です。
どうしても買いたい場合には、時間が経つのを待って、売れ残っていたら再交渉をするようにしましょう。
リフォームがしっかりされている中古住宅
リフォームがしっかりされている中古住宅は、
- しっかりとした反応が得られている
- 営業努力をするだけのお金を持っている
- 投資をしているので、値段に厳しい
といった特徴があり、値引き交渉が難しくなります。
(値引きできない可能性が高い物件を)売主の状況から見極める方法
(値引きできない可能性が高い物件を)売主の状況から見極める方法について解説します。
値引きできない可能性が高い売主は、
- 賃貸の募集もしている売主
- 相続(複数)をした売主
- 相続(複数)を控えている売主
- 住み替えを検討している売主
です。
賃貸の募集もしている売主
売却と同時に、賃貸の募集を行なっている売主がいます。
賃貸の募集もしている売主は、基本的な考え方が「不動産投資家」です。
売却価格について、絶対的な指標を持っていることが多く、想定以上の値引きには断固として応じません。
また、買い手がつかなかったとしても、借り手がつけばいいと考えているので、選択肢が豊富です。
当然、借り手がつけばいいと考えているということは、資金に焦りもありません。
売主も交渉慣れしていることが多く、値引き交渉が難しい相手になります。
相続(複数)をした売主
相続(複数)をした売主は、持分が分散しているので意思決定が難しくなります。
例えば、中古住宅を1,980万円で売り出している場合、
- 持ち主A:1,900万円でよい
- 持ち主B:1,980万円しか認めない
と考えている場合には、1,950万円(30万円の値引き)であっても、両者が合意できないので、値引き交渉は決裂します。

不動産業者としても合意形成がしにくく、
- 持ち主A:実家だが、さほど愛着はない
- 持ち主B:実家であり、愛着が深い
などの事情であれば、下手なことをいえば、持ち主Bの信用を失ってしまうので、突っ込んだ話がしにくくなります。
相続(複数)を控えている売主
相続(複数)を控えている売主も、相続の権利が分散しているので意思決定が難しくなります。
相続(複数)をした売主と同様の状況であり、相続協議の真っ最中なので、不動産業者としてもお金の話をずばずばとはしにくくなります。
住み替えを検討している売主
住み替えを検討している売主は、
- 住み替えをしたいと考えている
- 一定以上の売却益が確保できなければ、住み替えをすることができない
- 仮に住み替えられなくても、売らなければ家はある
という状態なので、基準以下の値引きは絶対に応じません。

住み替えを検討している売主の場合、売りに出している中古住宅に住宅ローンの残債があるケースが多いです。
住宅ローンの残債がある場合には、残債がきっちりと返せる金額以下では売ることができません。
(※銀行が了承してくれないため)
よって、値引き幅も小さくなりやすく、相場価格よりも高値が付いている可能性さえあります。
値引きできる可能性が読めない中古住宅
値引きできる可能性が読めない中古住宅について解説します。
値引きできる可能性が読めない売主
値引きできる可能性が読めない売主は、
- すでに転勤をしている売主
- すでに離婚している売主
- 相続(単独)を控えている売主
- 残債を抱えている売主
です。
すでに転勤をしている売主
すでに転勤をしている売主は、
- そもそも早期売却を目指していなかった
- 早期売却に失敗したが、とくに困らなかったので焦りがなくなった
といった状況になることが多いです。
上記に該当する場合には、値引き交渉に対して「強気の対応」であることが多いです。
しかし、転勤をして新生活が始まったが、やはり早く現金化がしたいと考えている売主もいます。
その場合には、焦りがあるので、値引き交渉に対して「弱気の対応」であることが多いです。

「転勤が迫っている売主」と同じように、手間をかけたくないと考えているので、
- 残置物の処理を引き受ける
- すぐに契約および引き渡しに応じる準備がある
といったことを提示できると、より良いでしょう。
すでに離婚している売主
すでに離婚している売主は、
- 持ち主が「元夫」
- 持ち主が「元妻」
によって変わります。
持ち主が「元夫」の場合には、値引き交渉に対して、柔軟であることがあります。
持ち主が「元妻」の場合には、値引き交渉に対して、柔軟にはなれないことがあります。
相続(単独)を控えている売主
相続(単独)を控えている売主は、
- 相続税の支払い資金が確保できている
- 相続税の支払い資金が確保できていない
によって変わります。
相続税の支払い資金が確保できている場合には、ゆっくり売ればよいと考えているので、値引き交渉に対して「強気の対応」になりやすくなります。
相続税の支払い資金が確保できていない場合には、できるだけ早く現金化をしたいので、値引き交渉に対して「弱気の対応」になりやすくなります。
(※相続税の支払いには期限があるので、早期売却に対する意識が強まる)
残債を抱えている売主
残債を抱えている売主は、
- 支払いに困っていない売主
- 支払いに困っている売主
によって変わります。
支払いに困っていない売主の場合には、
- 残債が値引き幅の上限になる
- 別に現金化できなくても、問題がない
ので、値引き交渉に対して、強気の対応になりやすいです。
支払いに困っている売主の場合には、
- 任意売却
- 差し押さえによる競売
などが脳裏によぎっているので、値引き交渉に対して、弱気の対応になりやすいです。

住宅ローンの支払いが滞った場合、
- 任意売却
- 差し押さえによる競売
のいずれかの敬意を辿って、資産の現金化が半強制的に行われます。
任意売却の場合には、売主と金融機関が相談をしながら、現実的なラインで売却を試みようとするので、
- 売主:少しでも高く売って借金を減らしたいが、無理を通して破談にはしたくない
- 金融機関:少しでも高く売ってお金を回収したいが、無理を通して破談にはしたくない
という意識があるので、値引き交渉に対して「弱気の対応」になります。
(※とはいえ、限度はあります。)
お互いに「競売」になれば、回収できるお金が少なくなることもわかっているので、バランス感覚次第では、よい条件を引き出せるでしょう。
どのくらい値引きできるのか?
どのくらい値引きできるのか?について、
- 一般的な値引きの目安
- 破談を招くリスクがある値引きに関する勘違い
- 「住宅ローンの残債」から値引きの限界を見極めるテクニック
を解説します。
一般的な値引きの目安
中古住宅の値引き交渉では、
- 50万円〜100万円前後
- 端数値引き
が、一般的な値引き幅の目安になります。
通常、売主が売出価格を決めるときには、

査定依頼を受けた住宅ですが、相場価格などを参考に査定した結果、1,900万円前後での売却が見込めます。
1,900万円前後で売却をするのであれば、指値(値引き交渉)を見込んで、売出価格1,980万円が妥当です。
売出価格が1,980万円であれば、
- 30万円の値引きであれば、1,950万円
- 80万円の値引きをしても、1,900万円
となるので、希望価格で売却できる可能性を残しつつも、相場価格からも離れません。
いかがでしょうか?

それならスムーズに話も進みそうなので、お願いします。
といった流れが一般的です。
売主(および不動産業者)としては、値引きを前提に売出価格を決めているので、
- 50万円〜100万円前後
- 端数値引き
の値引きがあることは想定内であり、あなた(買主)が値引きを求めないことは「損」といっても過言ではありません。

わたしの経験上、
- 弱気な値引き交渉:50万円以下
- 普通の値引き交渉:50万円〜100万円以下
- 強気の値引き交渉:100万円〜200万円以下
という印象です。
100万円を超えるような値引き交渉になってくると、一般的な物件および売主では拒否されることが多くなります。
逆に、100万円以下の値引き交渉であれば、あらゆる物件で応じてもらえる可能性が十分に見込めるので提案してみても良いでしょう。
破談を招くリスクがある値引きに関する勘違い
値引き交渉には、強気に行きすぎると「破談」を招くリスクがあります。
売主の逆鱗に触れてしまった場合、売ってもらうことができなくなります。
破談になりやすいのは、
- 「値引き額」ではなく、「値引率」で考えている買主
- 100万円を大幅に超え、無茶な値引きを要求をする買主
です。

ダメ元で信じられないような値引き額を要求する方がいますが、できるだけ控えた方が無難です。
「ダメだったら、再交渉して、適当なところで落ち着けばいいや〜」と考えているかもしれませんが、売主の意識は違います。
別の章で解説しますが、売主は「売却後のトラブル」を避けたいという意識が強く働いています。
「この人は信用できないからやめておこう」と思えば、断固拒否する売主は思っている以上に多くいます。
「値引き額」ではなく、「値引率」で考えている買主
もし、あなたが「値引率は5%〜10%が相場らしい」と考えているなら、かなり危ないです。
一体、何を根拠にしているのでしょうか?
中古住宅は「安価な財産」ではありません。
まぎれもない不動産であり、スーパーで買えるような一般消費財ではありません。
1,000円の果物であれば、
- 5%引き:50円
- 10%引き:100円
の話です。
しかし、3,000万円の中古住宅では、
- 5%引き:150万円
- 10%引き:300万円
です。
にも関わらず、「10%が相場らしいから300万円の値引きを要求しよう!」となれば、結果は火を見るより明らかです。

そもそもパーセントによる値引きは、
- 50円引き!
- 100円引き!
では、インパクトのでない安価な商品の目玉感をごまかす手法です。
不動産の場合には、
- 50万円値下げ!
- 100万円値下げ!
などの表示が主流であり、おそらくパーセント表記の広告は見たことがないでしょう。
100万円を大幅に超え、無茶な値引きを強要する買主
100万円を大幅に超える値引きを要求するときには、相応のリスクを覚悟してください。
値引き交渉では、売主の目線で考えることも重要なのですが、
- 大切な家族と長年一緒に暮らしてきた家
- 成人するまでの間を親と共に過ごした家
- 一念発起して購入し、住宅ローンも頑張って返済した家
など、いろいろな思い入れが売主にはあります。
無茶な値付けをしている売主であっても、
- 相場価格から大きく差があること
- 築20年以上になると家には価値がなくなること
- 時間が経つほど、売却には不利に働くこと
については、意外と認識をしているものです。
それでも売出価格を高値にしてしまうのは、家に思い入れがあるからです。
ですので、100万円を大幅に超え、無茶な値引きを要求する買主は嫌われてしまいます。
「あなたに売らなければいけない理由はない!」と思われてしまえば、おしまいです。

100万円を大幅に超える値引きを要求してはいけないということではありません。
相応の理由があって、正当に値引きを要求することは全く問題がありません。
しかし、「得したいから!」という理由だけで大幅な値引きを要求すれば、必ず破綻を招きます。
「住宅ローンの残債」から値引きの限界を見極めるテクニック
「住宅ローンの残債」から値引き幅の限界を見極めることができる場合があります。
住宅ローンの残債から値引き幅を見極めるためには、
- 中古住宅の登記事項証明書(建物)を取得すること
- 売主が住宅購入時に住宅ローンを使っていること
が求められます。
売主が住宅購入時に住宅ローンを使っているかどうかは、登記事項証明書を取得することでわかります。
売主が住宅ローンを使って家を購入している場合には、抵当権設定登記が行われているので、権利部に詳細が記載されます。
抵当権設定登記とは、住宅ローンなどを借りるときに、担保となる不動産に抵当権を設定するための登記です。
抵当権が設定されていることが登記によって公に証明されることで、金融機関は融資を安心して行うことができます。
ですので、住宅の購入時に住宅ローンを使っている場合には、必ず抵当権設定登記がされています。
抵当権設定登記がされると、登記事項証明書の権利部に、
- 住宅ローンが実行された日(返済が始まった日)
- 住宅ローンの借入額
- 住宅ローンの金利
などが記載されます。
たとえば、
- 住宅ローンが実行された日:2010年
- 住宅ローンの借入額:4,000万円
- 住宅ローンの金利:1.2%
であった場合には、
- 4,000万円 ÷ 35年 = およそ115万円/年間
- (2018年 - 2010年) × 115万円/年間 = 920万円
- 4,000万円 - 920万円 = 3,080万円
となるので、およそ3,000万円くらい住宅ローンの残債があると判断できます。
(※新築年月日が2005年前後の物件であれば、35年ローンを使用しているだろうと考えます。)
ですので、中古住宅が3,150万円で売り出されている場合には、3,000万円くらいが値引きの限界だろうと推測できます。

ちなみに、なぜ売主は残債を意識しなければいけないのかというと、契約および引き渡しの流れが関係しています。
住宅ローンの残債がある中古住宅を売るときには、
- 売主の銀行口座に、あなた(買主)から契約代金が振り込まれる
- 契約代金を使って、売主が住宅ローンを借りている銀行に残債を全額返済する
- 売買契約の対象である中古住宅の抵当権設定が外れ、引き渡しが完了する
という流れになります。
ですので、住宅ローンの残債を大幅に割り込むような値引きには応じられない可能性が高くなります。
値付けの意識から値引きの可能性を判断する方法
値付けの意識から値引きの可能性を判断する方法について解説します。
値付けとは「売出価格の決め方」です。
売出価格の決め方は、
- 個人が売主の場合
- 法人(不動産業者)が売主の場合
で明確に異なり、成約価格に対する意識も変わってきます。
ここでは、
- 値付けの基準や流れ
- 各値付けに対する交渉スタンス
について触れていきます。
個人の値付け
個人の値付けには、
- 値引きを前提とし、相場観のある売主
- 値引きを前提とし、相場観のない売主
- 値引きをNGとし、相場観のある売主
- 値引きをNGとし、相場観のない売主
の4種類があります。
値引きを前提とし、相場観のある売主
値引きを前提とし、相場観のある売主が売出価格を決めるときには、

査定依頼を受けた住宅ですが、相場価格などを参考に査定した結果、1,900万円前後での売却が見込めます。
いかがでしょうか?

んー、悪くはないけど、1950万円くらいで売りたいのが本音よね...。

でしたら、売出価格を1,980万円に設定してみてはいかがでしょうか?
売出価格が1,980万円であれば、
- 30万円の値引きであれば、1,950万円
- 80万円の値引きをしても、1,900万円
となるので、希望価格で売却できる可能性を残しつつも、相場価格からも離れません。

その価格なら無視されてしまうこともなさそうだし、そうしましょう。
といった流れで売出価格が決められます。
値引きを前提とし、相場観のある売主は、いわゆる「端数値引き」が成立しやすくなります。
たとえば、1,980万円であれば、
- 弱気の交渉:30万円の値引き額を要求する
- 普通の交渉:80万円の値引き額を要求する
- 強気の交渉:130万円の値引き額を要求する
といったスタンスです。

相手は「相場価格」を理解しています。
あまりにも相場価格からかけ離れた値引き額を提示すると、売ってもらえなくなることがあるので注意してください。
値引きを前提とし、相場観のない売主
値引きを前提とし、相場観のない売主が売出価格を決めるときには、

査定依頼を受けた住宅ですが、相場価格などを参考に査定した結果、1,900万円前後での売却が見込めます。
いかがでしょうか?

んー、悪くはないけど、2,150万円くらいで売りたいのが本音よね...。

でしたら、売出価格を2,180万円に設定してみてはいかがでしょうか?
売出価格が2,180万円であれば、
- 30万円の値引きであれば、2,150万円
- 80万円の値引きをしても、2,100万円
となるので、希望価格で売却できる可能性があります。
ただし、相場価格から離れているので、反応があるかどうかはわかりません。
しばらく様子を見て、反応がなければ、相場価格に設定し直すという流れでいかがでしょうか?

交渉の回数はあまり多くないかもしれないけど、やるだけやってみましょう。
といった流れで売出価格が決められます。
値引きを前提とし、相場観のない売主は、いわゆる「端数値引き」は成立しやすくなります。
たとえば、1,980万円であれば、
- 弱気の交渉:30万円の値引き額を要求する
- 普通の交渉:80万円の値引き額を要求する
- 強気の交渉:130万円の値引き額を要求する
といったスタンスです。
しかし、元々が相場から離れているので、高値で購入することになってしまう可能性が高くなります。
すべての状況で重要なことですが、かならず相場価格を調べるようにしてください。
値引きをNGとし、相場観のある売主
値引きをNGとし、相場観のある売主が売出価格を決めるときには、

査定依頼を受けた住宅ですが、相場価格などを参考に査定した結果、1,900万円前後での売却が見込めます。
いかがでしょうか?

じゃぁ、売出価格1,900万円にするわ。
でも、値引きは一切受け付けないから。

わかりました。
といった流れで売出価格が決められます。
値引きをNGとし、相場観のある売主を相手にするときには、値引き交渉を長引かせることがリスクです。
最悪の場合、「あなたには売らない」と言われてしまいます。
不動産業者から「値引きは難しい」と強めに告げられ、買主から拒否の返答が早かった場合には、早々に諦めてください。
値引きNGとし、相場観のない売主
値引きをNGとし、相場観のない売主が売出価格を決めるときには、

査定依頼を受けた住宅ですが、相場価格などを参考に査定した結果、1,900万円前後での売却が見込めます。
いかがでしょうか?

いや、2,150万円で売って。
値引きも一切受け付けないから。

...売出価格を決められるのは売主様ですので、問題はありませんが、買い手が現れる可能性はかなり低いと考えられます。

そんなことはわかってるわ。
それをなんとかするのが営業の仕事でしょ。
といった流れで売出価格が決められます。
はっきりいって値引きはできません。
売主のスタンスも問題ですが、不動産業者も「この案件はあまり関わらないようにしよう。」と考えています。
取りつく島がなく、相手にするだけ無駄なので、ほかの中古住宅を探しましょう。
法人(不動産業者)の値付け
法人(不動産業者)の値付けには、基本的に無駄がありません。
法人(不動産業者)の意識としては、
- 値引き交渉があることは当然
- 適正な利益が確保できればよい
- 過剰に利益が出たら、なお良し
といった考えがあるので、値引きに応じられるラインがあらかじめ決まっています。
例えば、1,980万円の中古住宅であれば、
1,980万円 × 15% = およそ300万円
を値引き幅として設定していることがあります。
(※業者によりますが、10%〜20%を粗利に設定していることが多い)
値引き交渉をするのであれば、10%〜15%付近を提示するだけしてみるのがよいでしょう。
値引きに応じるかどうかは、
- 目標としている利益
- 売り始めからの経過時間
- 集客(反応)のギャップ
などにより、不動産業者がどれだけ焦っているか次第です。

拒否された場合には、
「もしも売れなかったときには連絡をしてほしい」
とだけ伝えて、一切の連絡を絶ちましょう。
改めて連絡が来たときには焦っている証拠なので、以前よりは良い交渉ができる可能性が高いです。
中古住宅の値引き交渉術:上手な進め方とコツ
中古住宅の値引き交渉術:上手な進め方とコツについて解説します。
値引き交渉の進め方について、
- 各取引関係者の心理(何を考えているのか?)
- 中古住宅の価格を知る
- 不動産業者への問い合わせ時にすべきこと
- 中古住宅の内覧時にすべきこと
- 中古住宅の検討時にすべきこと
- 中古住宅の指値交渉(申込み)時にすべきこと
- 契約後の値引き交渉について
を順番に解説していきます。
各取引関係者の心理(何を考えているのか?)
中古住宅の売買では、
- あなた(買主)
- 売主
- 不動産業者
の3者が関係してきます。
それぞれの立場で何を考えているのか?を理解してください。

何を考えているのか?が理解できていると、
- 相手にとって適切に利益を伝えられるので、交渉が成立しやすくなる
- 相手がされたくないことがわかるので、交渉が破談しにくくなる
といったメリットがあります。
相手の立場への理解が薄い状態だと、まったく検討外れな提案をしてしまうことになるので注意してください。
買主(あなた)
あなた(買主)は、
- できるだけ安く買いたい
- トラブルは避けたい
が、主に気になることでしょう。
売主
売主は、
- できるだけ高く売りたい
- できるだけ早く売りたい
- トラブルは避けたい
が、主に気になっていることです。
値引き交渉のポイントですが、
- できるだけ高く売りたい
- できるだけ早く売りたい
は、基本的に同時に満たされることはありません。
不動産売買は需給バランスによって成立しているので、
- 高く売りたければ、高値でじっくりと待つ
- 早く売りたければ、安値ですぐに終わらせる
しか、ありません。
ですので、あなたが「できるだけ安く買いたい」のであれば、売主の欲求のうち、
- できるだけ早く売りたい
- トラブルは避けたい
を、いかに満たすことができるか?がポイントになります。
不動産業者
不動産業者は、
- 確実に売りたい
- 仲介手数料をしっかりと得たい
- 信用を失いたくない
- トラブルは避けたい
が、主に気になっていることです。
中でも最大の関心ごとは、
- 確実に売りたい
- 仲介手数料をしっかりと得たい
です。
不動産仲介業は「成果報酬ビジネス」なので、売れないことには利益が発生しません。
ですので、
- 買主の意見
- 売主の意見
について、どちらに偏るでもなく、とにかく取引が成立するために最善な選択はどれか?を常に考えています。
値引き交渉のポイントですが、
- 不動産業者は「敵」でも「味方」でもない
- 不動産業者を「味方」にできるかは、あなた(買主)次第
ということをしっかりと覚えておくことです。
不動産業者の最大の関心ごとは、
- 確実な取引の成立
- 仲介手数料の獲得
ですので、できるだけ満たすようにしてください。
たとえば、「確実な取引の成立」が怪しくなったときに、不動産業者目線で、
- あなた(買主)は、アドバイスをしているにも関わらず、不当な要求ばかりで厄介だ
- 売主は、アドバイスをきちんと聞いてくれ、取引の成立に向けて尽力してくれている
と感じている場合には、売主の「信用の獲得」を優先するので、あなた(買主)とのやりとりを停止します。
売主に対しては、
「今回の購入希望者は、強引で不当な要求がすぎるので、トラブルの可能性が高く、残念ですが次に期待しましょう。」
と告げて、双方に共通する「トラブルを避けたい」という考えによって、話が消えます。
値引き交渉についても、同じことが言えるのですが、
- 買主の提案を売主が承諾すること
- 売主の提案を買主が承諾すること
について、どちらが簡単で利益が大きいのか?で動き方を変えるということです。
中古住宅の価格を知る
中古住宅の価格には、
- 査定価格
- 相場価格
- 売出価格
- 成約価格
の4種類があります。
ちなみに、中古住宅に適正価格は存在しません。
世間一般に言われている適正価格にもっとも近いのは、
- 相場価格
- 成約価格
です。
どのような中古住宅であれ、
- 買主の希望価格
- 売主の希望価格
が、合致した価格が適正価格です。
査定価格
査定価格とは、不動産業者が「このくらいの価値がありますよ」と売主に提示した価格です。
不動産業者の査定では、
- 土地の相場価格
- 土地の条件(面積や形状なども含めて)
- 建物の現在価値
- 中古住宅としての相場価格
などを勘案して、今の市場で売れる(であろう)価格を算出しています。

査定価格は、あくまでも不動産業者の意見ということです。
相場価格
相場価格とは、過去の成約価格をベースにして、今の市場で形成されている売出価格です。
たとえば、
- 中古住宅A:4,000万円
- 中古住宅B:3,500万円
- 中古住宅C:3,000万円
があったとして、中古住宅BとCが売れたのであれば、
- 中古住宅A:4,000万円 → 3,600万円
- 中古住宅D:3,500万円
(新たに売り出された中古住宅)
というように、中古住宅BとCの成約価格を基準にして相場価格が動きます。
値引き交渉においてもっとも重要な価格は「相場価格」です。
実際に値引き交渉をするのは、不動産業者ですが、
「相場価格で考えてみても、妥当な範囲だと思いますよ。」
という一言を売主に告げることができるかどうかは、交渉を大きく左右します。
「そうか...そのくらいが相場なのかぁ。」
という不思議な説得力を「相場価格」は持っているからです。
相場価格からの距離が遠ざかった分だけ、
「相場価格からは○○万円ほど下がりますが、△△なども提案いただいていますし〜...」
となり、あなた(買主)が用意する「△△」が増えるということです。

中古住宅の売買では、
- 買主
- 売主
ともに、相場価格を意識しながら売買を進めます。
もちろん、相場価格を無視することはできますが、
- 買主:相場価格より安すぎる提案は受け入れられない
- 売主:相場価格より高すぎる提案は受け入れられない
ので、何も成立することがありません。
売出価格
売出価格とは、売主が決めた市場への提示価格です。
売出価格には、ほとんど意味はありません。
しかし、売主の考え方は確実に反映されています。
売出価格を決めるまでに、不動産業者から
- 査定価格
- 相場価格
について、売主は一通りの説明を受けています。
あなた(買主)が査定価格を知ることはできませんが、相場価格は調べればわかります。
ですので、売出価格から、
- 高値売却がしたい売主:相場価格よりも150万円以上高い
- 適価売却がしたい売主:相場価格よりも高いが、150万円以内
- 早期売却がしたい売主:相場価格よりも安い
といった判断をすることができます。
(※あくまでも経験則での目安です。)
値引き交渉をスムーズに進めるのであれば、
- 適価売却がしたい売主
- 早期売却がしたい売主
と話をするのがよいでしょう。
成約価格
成約価格とは、今までに成立した売買取引の価格です。
国土交通省 土地総合情報システムのページから確認することができます。

相場価格の参考になるので、一度確認しておくと良いでしょう。
不動産業者への問い合わせ時にすべきこと
購入を検討している中古住宅について、不動産業者に問い合わせるときには、
- 売出期間および反響の確認
- 居住状況の確認
- リフォーム歴の確認
を行なってください。

上記以外に、物件資料に掲載されている情報で不明な点があれば、問い合わせ時点で確認するようにしましょう。
解説する内容は、物件資料に掲載されている情報の取得を前提として、さらに確認すべき情報です。
売出期間および反響を確認する
中古住宅の売出期間および反響を確認してください。
会話例ですが、

問い合わせている中古住宅について、売り始めてからどのくらい経過しているのでしょうか?

お預かりをして売却を開始してから、2ヶ月ほど経過しています。

3ヶ月で更新されると聞いたのですが、更新は一度もなく、売り始めから2ヶ月ですか?

はい、一度も更新は行なっていません。

今までにどのくらいの人が内覧されたのでしょうか?
人気があるのであれば、すこし早めに見に行った方がいいのかなと考えています。

今までに3名の方が内覧されています。

具体的に検討している最中の方はいるのでしょうか?

気になっている程度ですが、1人の方に検討をいただいています。
といった感じです。
不動産業者から得られた情報は、あまり鵜呑みにしないようにしてください。
「まずは内覧してもらうこと」を不動産業者は意識しているので、すこし大げさに表現したりします。
とくに、
- 内覧者数
- 検討者数
については、「そうらしい。」くらいのつもりで聞いておきましょう。
売出期間について正確な情報を手に入れるのであれば、3社くらいに同様の問い合わせをしてみてください。
(※ただし、一般媒介の中古住宅に限る)
居住状況を確認する
居住状況が、
- 居住中
- 空室
どちらなのか確認してください。
居住中の中古住宅を内覧するときには、詳細を確認することができません。
場合によっては、売主と対面することもあります。
売主の対応がよかったからといって、中古住宅の良し悪しには関係がありません。
「いい人だったから」という理由で話を進めてしまうと、引き渡し後に後悔することがあります。
リフォーム歴を確認する
リフォーム歴を確認してください。
不動産業者がどこまで公開してくれるかわかりませんが、
- リフォームを行なった箇所
- リフォームにかかった費用
- リフォームを行なった理由
について聞くことができると良いです。
リフォームが行われていた場合には、内覧時にリフォーム箇所をしっかり確認してください。
また、中古住宅の価格については、
- 中古住宅の相場価格(未リフォームの状態)
- 中古住宅のリフォーム費用
を合算して、売出価格が決められています。
相場価格と比較するためには、リフォーム費用を知る必要があるので、できるだけ具体的な金額を教えてもらいましょう。
見積書まで見せてくれるところは珍しいと思いますが、あまりにも情報を出してくれない場合には、すこし警戒した方がよいです。
中古住宅の内覧時にすべきこと
中古住宅を内覧するときには、
- 売却理由の確認
- 売主属性の確認
- リフォーム箇所の確認
を行なってください。
売却理由を確認する
売主の売却理由を確認してください。
会話例ですが、

どうして売却することになったんですか?

新しい家を購入されたので、不要になったようです。

そうですか。
では、いけません。
すでに紹介したように、
- 値引きできる可能性が高い売主
- 値引きできない可能性が高い売主
- 値引きできる可能性が読めない売主
のうち、いずれの売主に該当するのかを見極めることが目的です。
先の会話であれば、

どうして売却することになったんですか?

新しい家を購入されたので、不要になったようです。

そうなんですか。
県外にお引越しでもされたんですか?
といったようにして、少しずつ選択肢を絞り込むように進めましょう。
売主の属性を確認する
売主の属性を確認してください。
とくに知りたいことは、
- 年齢
- 職業
- 家族構成
です。
一例ではありますが、
- 20代〜30代前後の夫婦で、築年数が10年前後の中古住宅:転勤、離婚
- 50代〜60代前後の夫婦で、築年数が20年前後の中古住宅:転居、離婚
- 銀行員で、築年数が10年前後の中古住宅:転勤
- 准教授で、築年数が10年前後の中古住宅:転勤
などが推測できます。
あまり突っ込みすぎると警戒されてしまうので、
- 年齢
- 職業
- 家族構成
だけわかれば十分です。
「売主さんは、どんなご家族なんですか?」と問いかければ、ほとんどのことが聞けるはずです。
漏れれていた部分だけ、すこし突っ込んで聞くくらいのスタンスです。

ちなみに経験則ですが、医者など高所得者の家は状態が良いことが多いです。
それだけ手間をかける資金があるからでしょう。
リフォーム箇所を確認する
リフォーム箇所を確認してください。
問い合わせ時点で確認していたことについて、しっかりと見ておきましょう。

目立った施工不備がないかどうかを確認するだけです。
内覧時の振る舞い方
内覧時の振る舞い方ですが、
- 礼儀正しい対応を心がける
- 基本的に中古住宅を褒める
- 少しだけ気になっていることを告げる
- ほかに気になっている中古住宅があることを告げる
(※なければ、適当にある風をほのめかす) - 中古住宅を探している具体的な理由を告げる
ようにしてください。
たとえば、

ご覧いただいていかがですか?

今までいくつか内覧してきましたが、かなり綺麗で驚いています。
エアコンもしっかり各部屋に付いていますし、しっかりした売主さんなんだろうなと思っています。

ありがとうございます。
どこか気になっているところはありますか?

とても印象が良いので、それほど気になっていることはありません。
唯一あるとすれば、娘が通う予定の小学校から若干距離が離れるところでしょうか。
ほかに検討している中古住宅があるのですが、小学校に近いので、娘の安全を考えるとあちらですかね。
来年から小学校なので、できるだけ早めに決めなければいけないんですけどね。
...ただ、すこし高いのがネックなんですよ(笑)
といった感じです。
不動産業者としては、
- 中古住宅のことは気に入っている
(商談には上がれそう) - ほかに気になっている物件がある
(単純には終われない) - 立地条件は負けているようだが、価格で勝てる可能性がある
(交渉の余地あり) - お子さんが小学校にあがるまでに購入したいという具体的な期限もある
(購買意欲が高い)
という情報を持って、内覧後、売主に報告および相談をします。
あくまでも「布石を打つ」のが目的です。
「どうやら気になっているようだ」という印象を与えるだけで、それ以上のことをしてはいけません。
グイグイ行くと、その後の交渉で「強気の態度」を取られやすくなります。
中古住宅の検討時にすべきこと
中古住宅を検討するときには、
- リフォーム費用を計算
- 住宅ローンの事前審査
- ホームインスペクションの可否の確認
を行なってください。

中古住宅の検討時には、具体的な交渉のための材料集めが目的です。
ホームインスペクションの可否を確認する場合には、
- リフォーム費用の計算
- 住宅ローンの事前審査
を先に完了させてからにしましょう。
リフォーム費用を計算する
中古住宅の購入後に、あなたが検討しているリフォームにかかる費用を計算します。
リフォーム業者から見積もりを取得する必要はありません。
あくまでも目安で問題がないので、余計な手間を増やさないようにしましょう。
住宅ローンの事前審査を受ける
住宅ローンの事前審査を受けてください。
不動産業者から「事前審査を受けませんか?」と提案されることがあります。
不動産業者と一緒に受けることについては、拒否してください。
(※ただし、やんわりと)
事前審査は、
- 購入を予定している中古住宅の物件資料
- あなた(買主)の情報
があれば、問題なく受けることができます。
あなたの給与振込に使われている地元の銀行で事前審査を受ければ十分です。
より良い条件のところがないか探すのであれば、インターネットでの一括審査を申し込むのも、ひとつの手でしょう。
住宅ローンの事前審査を受けることは、各関係者の心理を考えると、かなり重要なことで、
- 売主:早く売りたい、トラブルを避けたい
- 不動産業者:確実に売りたい、トラブルを避けたい
を間接的に満たすことに繋がります。
事前審査を通過していることで、
- 購買力を持っている
(商談を進めても問題のない買主) - すでに手続きを進めているので、契約がスムーズに終わる
(早く売ることができる)
ことが伝わります。
間違いなく好印象に繋がるので、受けておくことを推奨します。

もし、事前審査の結果を聞かれたとしても、正直に答える必要はありません。
3400万円(100万円値引き)がしたいと考えているのであれば、
- 本当の結果:4,000万円
- 建前の結果:3,300万円
くらいにして伝えても問題ありません。
また、「不動産業者を経由した方が銀行から良い条件が提示されやすい」と考えている方がいますが、ほぼ関係ありません。
理由については、住宅ローンの仮審査(事前審査)通過後でも、不動産業者は変えていいにて、詳しく解説しているので、参考にしてみてください。
ホームインスペクションの可否を問い合わせる
中古住宅について、ホームインスペクション を受けることができるか確認してください。
問い合わせるときには、
- ホームインスペクションを行うかどうかは未定
- 宅建業法の改正があったことを聞いたので、気になった
- 中古住宅を疑っているのではなく、購入後のリフォーム内容に反映させるため
- 実施する場合には、もちろん買主負担でよい
ということを伝えましょう。
実際に受ける必要はありません。
ホームインスペクションの実施状況については、宅建業法の改正によって重要事項説明の内容に組み込まれました。
しかし、依然として浸透はしておらず、義務でもありません。
当然、あなた(買主)にも費用負担がかかります。
ホームインスペクション を受け入れるのかどうかについて、
- 売主
- 不動産業者
の反応が知りたいだけです。
すでに紹介した内容を伝えた上で、
- 強い態度での拒否
- 憤慨して取り乱す
ような対応を取られたのであれば、何かあると考えてよいでしょう。
中古住宅の指値交渉(申込み)時にすべきこと
中古住宅の指値交渉(申込み)をするときには、
- 値引き幅を探る
- 状況に合わせた指値
を行なってください。

指値交渉(申込み)が、値引き交渉の大詰めです。
不動産業者から値引き幅を探る
不動産業者と良い関係が気付けているのであれば、値引き幅について探りを入れてみましょう。
たとえば、

あれから具体的に検討を進めてきたのですが、
- 小学校までの距離
- 購入後のリフォーム費用
などを考えると、どうしても尻込みしてしまうんですよね。
もう少し安かったりすると、まだ考えることができそうなんですけど。

もう少しというと、具体的にいくらぐらいをイメージされていますか?

金額については、家族と相談できていないので、具体的なことは伝えられないです。
すいません。
ちなみに、初めてのことなのでわからないのですが、一般的にどのくらいの値引きなら応じてもらえるのでしょうか?

そうですね。ご家族で話し合いが必要ですね。
一般的にと言われても、売主様の考え方によってバラバラですが「50万円」くらいの値引きはよくあったりしますね。
といった感じです。
注意点は、
- あなたの目標金額は提示しないこと
- 一般的にどのくらいなのか?といった聞き方をしてみること
です。
「一般的にどのくらいなのか?」と聞かれたときに、不動産業者の頭の中では、
- 売主ならどのくらいに応じるだろうか...?
- 売主は○○万円までと言っていたが、どのくらいで伝えておこうか...?
といったことを考えています。
不動産業者が「50万円」と言ったのであれば、「なるほど、50万円は楽勝なのか」と考えても、ほぼ間違い無いです。
状況に合わせて指値交渉を行う
最終段階ですが、買付証明書を使って指値交渉を行います。
通常、不動産仲介取引では、買付証明書を発行することによって「値引き交渉(指値交渉)」を行います。
指値とは、○○万円であれば、わたしは契約を結ぼうと考えていますと意思表示をすることです。
ですので、中古住宅の価格が3,500万円で、
- あなたの希望価格:3,400万円
- 不動産業者の感触:100万円値引き可能
であれば、指値価格「3,350万円」で申込みを入れてみてもよいでしょう。
ただし、中古住宅の価格が3,500万円で、
- あなたの希望価格:3,200万円
- 不動産業者の感触:50万円値引き可能
であれば、
- 指値を取りやめる(つまり、購入の断念)
- 指値価格「3,400万円」で申し込む
のいずれかにすべきでしょう。

指値交渉をしたからといって必ずしも契約を結ばなければいけないわけではありません。
しかし、指値交渉が成立したにもかかわらず、契約を破棄すると不動産業者から相手にしてもらえなくなる可能性が高いことだけは覚えておいてください。
売主と不動産業者のやりとり
あなた(買主)から買付証明書による指値交渉を受け取った不動産業者は、売主と価格交渉を始めます。

本日、買主様より3,350万円での指値を受け取りました。
先日からお伝えしている通り、
- 娘様の小学校
- リフォーム費用
について、気にされているようで、3,350万円であれば納得ができるとのことでした。
売主様から100万円値引きまでは考えられるとお伺いしていましたが、50万円オーバーしている状態です。

3,350万円か〜...。
売却を依頼して2ヶ月経ったけれど、交渉まで進んだのは初めてよねぇ。
今後、またお話があると思いますか?

そうですね...ないとは言えませんが、売却を開始してから初交渉が2ヶ月経過しています。
通常で考えれば、次の交渉まで2ヶ月以上はかかるのではないでしょうか。
お話の数は減ると思いますので、場合によっては、半年ほど反応がないかもしれません。

そうよねぇ...半年も先だったら、それも辛いわ...。
相場価格はいくらくらいだったかしら?

3,400万円前後です。
ただし、季節的にも動きがなくなってくるので、翌年に持ち越してしまうと、さらに下がる可能性が高いです。

それも困った話よね。
次の話があったときには、3,350万円と変わらないか、それ以下になることも十分考えられるのね。
...わかりました。
3,350万円でお願いします。
うまくいくと、上記のようなやりとりが行われます。
すでに細かくお伝えしてきましたが、うまくいく交渉に不可欠の要素は、
- 値引き後の価格が「相場価格」から離れすぎていないこと
- 値引き後の価格が「値引限度額(予想)」から離れすぎていないこと
- 売主および不動産業者から好印象を得ていること
- 売主に対して、正当な値引き理由を提示していること
です。
中古住宅の値引き交渉術:失敗を引き寄せるタブー
中古住宅の値引交渉術:失敗を引き寄せるタブーについて解説します。
基本的なことは、これまでの解説にて行なっていますが、
- 物件について絶対に悪く言ってはいけない
- 値引額を先入観によって提示してはいけない
- 過度もしくは不適切な値探りは絶対にしてはいけない
- 不動産業者からの提案は、すべてソフトに断った方が良い
- 値引きをするならリフォーム済みの中古住宅は避けた方が良い
- 売主と不動産業者のことを考えれば、事前審査は受けておきたい
- 値引交渉のためにホームインスペクション を導入するのは間違い
- 買付証明書発行後および契約後の値引交渉は、原則としてできない
- 購入について、明確な意思表示をせずに値引交渉をしてはいけない
- 物件価格を大きく値引たいなら、仲介手数料のことは忘れた方が良い
といった、確実に悪い方向に転ぶ行動について、より詳しい解説を行なっていきます。
物件について絶対に悪く言ってはいけない
どんなに状態の悪い物件であっても、悪口のようなことを言ってはいけません。
悪い部分を指摘することで、売主が考え方を改めるかもしれないと考えることがあるかもしれませんが、ほぼ間違いなくありません。
どんな売主であっても、少なからず自分の住宅に愛着を持っています。
実家に対して愛着がないと言っている売主であっても、あなた(買主)に対する愛着に比べれば、違いは一目瞭然です。
突然現れた他人に、自分の住宅を悪く言われれて、良い気のする人間はいません。
ひどいと思った時でも、「○○は気になりますね...。」くらいに止めるようにしてください。
値引き額を先入観によって提示してはいけない
一般的には、
- 50万円〜100万円の値引きは当たり前
- 5%〜10%が値引きの相場
と言われることがありますが、どこにも値引き額の相場は存在しません。
深く考えることなく、「100万円くらい値引きしてくれるのが当たり前らしいから」といったつもりでいると、痛い目にあいます。
過度もしくは不適切な値探りは絶対にしてはいけない
行きすぎた値探りはしてはいけません。
不動産業者としても、
- 仲介手数料の値引きを迫られる可能性ある
- 値引き交渉の成立後に、さらに要求が強まる可能性がある
と考えるので、価格にばかり目がいっている買主は避けたがります。
最悪なのは、売主に「いくらまで安くしてくれますか?」などと直接聞くことです。
売主の中では「売出価格」が答えであり、それ以外は考えていません。
一発退場を言い渡されてしまうので、絶対に避けてください。
不動産業者からの提案は、すべてソフトに断った方が良い
不動産業者から
- 売主様より追加リフォームの提案があります
- 売主様より○○万円値引きの提案があります
などといったことを告げられることがあります。
買付証明書による指値交渉への返答としてであれば、考える余地はあります。
しかし、最終局面に至る前に提案があったのであれば、ソフトに断ってください。
よりよい条件を引き出せる可能性があるからです。
値引きをするならリフォーム済みの中古住宅は避けた方が良い
値引きをするのであれば、リフォーム済みの中古住宅は避けた方が良いでしょう。
リフォームが施されている場合、
- 相場価格が読みにくい
- 売主も投資をしているので、価格に対して敏感になっている
といったことは間違いありません。
購入後のリフォームを検討することは手間かもしれませんが、最終的なコストを下げるためであれば、多少の努力は必要です。
旨味が大きくなると思って、リフォームされていない中古住宅を検討していきましょう。
売主と不動産業者のことを考えれば、事前審査は受けておきたい
売主は、
- できるだけ早く売りたい
- トラブルは避けたい
と考えています。
不動産業者は、
- 確実に売りたい
- トラブルは避けたい
と考えています。
事前審査を受けておくことで、
- できるだけ早く売りたい
- 確実に売りたい
- トラブルは避けたい
という欲求をすべて満たすことができます。
あなた(買主)にとっても、費用がかかるわけではなく、正確な予算を把握するのにも役立ちます。
値引き交渉のためにホームインスペクションを導入するのは間違い
値引き交渉のためにホームインスペクションを導入するのは間違いです。
ホームインスペクションは、住宅の欠陥を発見し、契約後のトラブルなどを避けることが本来の目的です。
ホームインスペクターからしても、値引き交渉の材料のためとわかれば、よい印象は受けません。

正当な理由でホームインスペクションを導入することは、大いに賛成です。
中古住宅の購入では、見えないリスクがあらゆるところにあります。
住宅について、重大な瑕疵が見つかった場合には、契約後に揉め事に発展することも十分に考えられます。
トラブルにまで発展しなかったとしても、リフォーム費用が思ったよりかかってしまい、経済的に苦しくなることも考えられます。
正しい使い方であれば、有益なサービスですので、積極的に検討をしてみてください。
買付証明書発行後および契約後の値引き交渉は、原則としてできない
中古住宅の売買では、
- 買付証明書の発行後
- 契約後
に値引き交渉をすることは、原則として認められません。
法律による制限はありませんが、
- 商習慣
- 信義則
に則れば、明らかに誠意を欠く行為です。
せっかくまとまりかけていた話も、一気に破談になりますし、今後相手にしてもらえなくなる可能性は大です。

ただし、契約後に重大な瑕疵が見つかった場合には、
- 金銭による補填
- 損害賠償の請求
などによる交渉をすべきです。
この場合には、状況に応じて、
- 売主が負担するケース
- 不動産業者が負担するケース
に分かれていきますが、弁護士など然るべき専門家に相談をするようにしてください。
素人判断で動くと、泣き寝入りする可能性が高いです。
購入について、明確な意思表示をせずに値引き交渉をしてはいけない
明確な意思表示とは、買付証明書の発行です。
口で「買います!」と、どれだけ言っても意味がありません。
不動産取引は「書面」による進行が原則であり、「書面」を発行するまではパフォーマンスにすぎません。
買付証明書を発行することもなく、「いくらまで値引きしてくれたら買おうと思うのですけれども...?」といっても相手にされません。

万が一、相手にされたとしても、
- 経験の浅い不動産業者だった
- 約束を反故にすれば、今後はない
のいずれかになります。
経験の浅い不動産業者であれば、今後の取引でトラブルに発展するのは目に見えています。
(※売主側でも同じようなことをするため)
いずれに転んでも、良い方向には進まないので、気をつけるようにしてください。
物件価格を大きく値引きたいなら、仲介手数料のことは忘れた方が良い
不満のある方もいるかもしれませんが、物件価格を大きく値引きしたいのであれば、仲介手数料のことは忘れた方が良いです。
不動産業者にとっては、仲介手数料だけが利益であり、値引きを要求してしまうと、あなた(買主)から一気に距離が離れます。
値引き交渉をしつつ、仲介手数料も安くしたいのであれば、
- 最初から仲介手数料の安さを売りにしている不動産業者を使う
- プロの交渉人に介入してもらう
ようにしてください。
「いい中古住宅」を見つけるなら
力のある不動産業者には、自然と多くの情報が集まります。
彼らには優れた販売力があるので、一般的なポータルサイトに頼ることなく、自社サイトで売却ができてしまいます。
結果として、一般的なポータルサイトに「いい中古住宅」が公開されることなく、大手不動産業者のホームページで消えていくのです。
「いい中古住宅」を見つけるのであれば、三菱UFJ信託銀行グループの三菱UFJ不動産販売が運営する不動産ポータル情報サイト「住まい1」の利用がおすすめです。
三菱UFJ不動産販売が預かっている不動産情報を得ることができます。
「住まい1」を活用することで、ほかのポータルサイトには載っていない情報をより多く集めることができます。
また、会員登録(無料)をするだけで、
・お気に入り物件の保存
・検索条件の保存
・新着物件メールサービス
・最近見た物件の表示
・物件比較
・お問い合わせ物件の保存
などのサービスを受けることができます。
登録は5分で終わります。