土地収用法 不動産の法律

土地収用の手続き:収用の裁決

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土地収用が完了するまでには、長い歳月がかかります。土地収用によって事業を行う者、土地収用によって生活の変化を余儀なくされるもの、土地収用について判断するもの。さまざまな角度から意見が検討されるため、時には争いなどに発展することもあります。

今回の記事では、収用の裁決について解説します。土地収用の手続きにおける最終段階です。収用の裁決が行われると、当事者は裁決の内容に従って、自身のすべきことを履行することに専念します。

[label title="" color="green" icon="icon-ok" text="この記事からわかること" class=""]

・収用の裁決について

・権利取得裁決について

・明渡裁決について


収用の裁決

収用委員会が、収用の裁決の申請を受けた時には、収用の裁決をしなければいけません。収用の裁決は、権利取得採決と明渡裁決の2つで構成されます。それぞれの裁決に範囲や効果が定められており、両方の裁決が必要です。収用を認めないときには、却下の裁決のみが行われます。

権利取得裁決

権利取得裁決では、土地関係の権利の収用と損失補償に関する裁決が行われます。以下のことが裁決されます。

  • 収用する土地の区域
  • 土地または土地に関する所有権以外の権利に対する損失補償
  • 権利取得時期
  • 補償金の支払請求があった場合の差額および加算金
  • 過怠金
  • 残地収容の請求に係る残地に存続する権利
  • 替地による補償
  • 耕地の造成・宅地の造成

基本となるのは上から3つまでです。まず、収用するエリアを決めることで、関係者を確定させます。関係者が確定したところで、各々について補償内容や権利取得時期をどうするか決めます。特殊な解決方法が必要な場合に、細かい対処について裁決するような流れです。

裁決の範囲

裁決には範囲があり、収用委員会は定められた範囲内で裁決をする必要があります。裁決が範囲を超えている場合には、超えている分は無効となり、範囲内でのみ裁決が認められることになります。

土地収用法48条2項により、土地の範囲が決められています。収容する土地の区域は、起業者が申し立てた範囲内で、かつ事業に必要な限度において裁決されます。つまり、収用委員会が「もっと必要じゃないの…?」と考えても、起業者が申し立てた範囲内に限定されます。当然、収用委員会が「これ以上は必要ない」と決めた時には、起業者がより広範囲を申請していても却下されます。

土地収用法48条3項により、補償金の範囲が決められています。補償金は起業者・土地所有者・関係人・準関係人の申し立ての範囲内で採決しなければいけません。起業者側は損失補償額が少ないほうがよいので500万円と言っていたとします。その額が不服な土地所有者側は800万円の申し立てを行いました。このときに収用委員会が1,000万円と判断したとしても、裁決は800万円となります。

また、所有権以外の権利に関して争いがある場合には、その権利があるものとして一時的に裁決が行われます。権利の有無に関して争っているときには、議論が長引きやすいので決着を待つと裁決ができません。なので、あることを前提に、なかったら補償額を変えるといった流れになります。

裁決の効果

権利取得裁決が行われると、2つの効果が生じます。権利取得裁決に係る補償金の払渡しと権利の取得の効果です。

権利取得裁決に係る補償金の払渡しとは、起業者は裁決によって決められた時期までに補償金、加算金、過怠金の払渡しを行わなければならないというものです。ほかにも、替地の譲渡と引渡しや、宅地の造成をする必要があります。ただし、権利者側に不服があり、受領を拒んだときには、権利取得の時期までに供託することができます。

権利の取得とは、補償によって、起業者に土地の権利が移動することです。原始取得と呼ばれる取得形態になり、以前存在していた一切の権利は消失します。新たに取得した起業者が、その土地の初めての所有者として登録されます。

権利取得裁決の失効

以下のときには、権利取得裁決が失効になります。

  • 権利取得時期までに起業者が権利取得裁決に係る損失補償の履行をしないとき
  • 起業者が明渡期限までに損失補償を履行しないことにより明渡裁決が失効したときに、事業認定の告示日から4年が経過しているとき

損失補償の履行が行われないために、失効したときには、裁決手続開始の決定も取り消されたものとみなされます。

裁決に不服があるとき

収用委員会の裁決について不服がある場合には、国土交通大臣に対して審査請求を行います。ただし、一度審査され裁決された損失補償の内容について、審査請求はできません。損失の補償以外について不服があるときには、裁決書の正本送達日の翌日から起算して30日以内であれば審査請求ができます。また、損失の補償以外について取消訴訟を行う場合には、3ヶ月以内とされています。

明渡裁決

権利取得裁決と同時、もしくは権利取得裁決の後に、明渡裁決が行われます。以下の事項が決定されます。

  • 権利取得裁決による損失補償以外の損失補償
  • 土地または建物の明渡しの期限
  • 現物補償について

権利取得裁決による損失補償以外の損失補償とは、物件の移転料や現地の工事費などがあります。現物補償とは、工事の代行、物件の移転の代行、宅地の造成など金銭によらない補償です。

採決の範囲

明渡裁決でも、権利取得裁決と同じような採決の範囲が適用されます。定められている範囲は、補償金の範囲と権利に関し争いがある場合の範囲です。補償金の範囲は、申立ての範囲内で裁決が行われ、権利に関し争いがある場合については、その権利があるものとして裁決が行われます。

裁決の効果

裁決が決定すると、明渡しの期限までに起業者は補償の履行をし、土地所有者は土地または物件を引き渡さなければいけません。土地所有者が明確でないときや、明渡しの履行が十分に行われないときには、起業者から市町村長や都道府県知事に訴えを起こすことができます。訴えを受けた市町村長や都道府県知事は、権利者に代わって明渡しの履行を行います。

明渡しの代行には、以下のような決まりがあります。

市町村長が起業者の請求により明渡しを代行する場合

  • 明渡義務者が、その者の責に帰することができない理由により義務を履行することができないとき
  • 起業者が、過失なくして明渡義務者を確知することができないとき

都道府県知事が起業者の請求により代執行する場合

  • 明渡義務者が義務を履行しないとき
  • 履行が不十分なとき
  • 明渡期限まで完了する見込がないとき

明渡裁決の失効

明渡期限までに起業者が損失補償の履行をしないときには、明渡裁決は失効します。ただし、事業認定の告示があった日から4年を経過していないときには、その期間内に限り、あらためて明渡裁決の申立てをすることができます。期間を経過してしまっているときには、裁決手続き開始の決定も取り消されます。


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