中古住宅を購入するときの築年数の決め方について、建て替えをする場合の考え方を解説しています。
中古住宅を購入後、建て替えをする場合にかかる、
- リフォーム費用
- 建て替え費用
- 解体費用
を詳しく見ながら、無理のない資金計画を前提とした築年数について解説しています。
あなたの
- 年齢
- 収入
- 貯蓄額
に応じて、柔軟に対応させることができるようになっているので、築年数について迷っている場合の参考にしてください。
さくっと要点を知る
- 中古住宅の購入後、建て替えをする場合には、建て替えの時期に主軸を置いて考える
- 30坪の家であれば、一般的に1,800万円の建て替え費用がかかる
- ローンを利用することを前提に、頭金800万円を用意するつもりで考える
- 中古住宅の購入後、建て替えをする場合には、築10年〜15年が理想的
さらに詳しく
中古住宅の購入ガイドでは、
- 良い中古住宅の効率的な見つけ方
- 割安・割高をしっかりと見分ける方法
- すこしでも安く中古住宅を購入する方法
- 中古住宅にかかる全費用(購入後も含めて)
- 売却や建て替えに適した費用性の高い築年数
など、より賢く、よりお得に、中古住宅を購入する方法についてまとめています。
中古住宅の購入後、建て替えをする場合のシナリオ
中古住宅の購入後、建て替えをする場合には、
- 定期的なリフォーム
- 適切なタイミングでの建て替え
を行います。
家の視点で考えれば、途中から住む人が変わっただけでしかありません。
ですので、施されるべき手入れを怠ることは、あなたの首を締めることにしかなりません。
建て替えの時期に主軸を置くべき理由
中古住宅の購入後、建て替えする場合には「建て替えの時期」に主軸を置きます。
建て替えをする場合には、
- リフォーム費用
- 建て替え費用
- 解体費用
の3つが大きなコストです。
建て替えにかかるのは、
- 建て替え費用
- 解体費用
であり、
- 建物の大きさ
- 建物の品質
などに左右されますが、一般的に、建て替えには1,500万円〜2,000万円ほど費用がかかります。
かなり大きな出費になるので、間違いなく「建て替えの時期」に主軸を置いて考えるべきです。
建て替えにかかる費用
平均的な坪単価の家を建て替えるのであれば、
項目 | 金額 |
建て替え費用 | 坪単価55万円前後 |
解体費用 | 坪単価5万円前後 |
総費用 | 坪単価60万円前後 |
かかるのが一般的です。
30坪前後(100㎡)の中古住宅を購入するのであれば、
30坪 × 坪単価60万円 = 1,800万円
となり、建て替え費用として1,800万円を想定します。
(※若干、強めに予算を設定しています。)
建て替え時の年齢とローン
30歳のときに、中古住宅を購入したのであれば、建て替えをするときの年齢は、45歳〜55歳くらいだと考えられます。
すべて自己資金で補えるのが理想的ですが、なかなか難しいでしょう。
建て替え時にローンを活用した場合、
借入時の年齢 | 45歳 | 55歳 |
借入金額 | 1,000万円 | 1,000万円 |
借入金利 | 1.2% | 1.2% |
借入期間 | 20年 | 10年 |
月々返済額 | 46,887円 | 88,474円 |
となります。
中古住宅の購入時に利用した住宅ローンが完済できていることを前提として、1,000万円ほどの借入であれば、あまり負担を感じることなく支払いができるはずです。
頭金として800万円を貯蓄できるのがいつか?を考える
建て替えの時期がいつかを考えるときには、頭金として800万円を貯蓄できるのがいつか?を考えてください。
30歳のときに、中古住宅を購入したのであれば、
年齢(期間) | 月々の貯蓄金額 |
45歳(15年) | およそ44,500円 |
50歳(20年) | およそ33,500円 |
55歳(25年) | およそ26,500円 |
を、毎月建て替え費用の頭金として貯蓄していきます。
想定する年齢(期間)に応じた貯蓄金額を、
- リフォーム費用
- 住宅ローンの月々返済額(中古住宅の購入に係るもの)
- 住宅ローンの完済予定日(中古住宅の購入に係るもの)
- その他の出費(子供の教育費など)
などの状況を踏まえて選択します。
わたしのおすすめは、25年間(月々貯蓄額およそ26,500円)です。
中古住宅を購入する時に、
借入金額 | 2,500万円 |
借入期間 | 25年間 |
借入金利 | 1.05% |
月々返済額 | 94,785円 |
という条件で住宅ローンを借りた場合、
年齢(期間) | 月々の居住費(返済額 + 貯蓄額) |
45歳(15年) | およそ140,000円 |
50歳(20年) | およそ130,000円 |
55歳(25年) | およそ120,000円 |
となり、一般的に考えられる、居住費の収入割合(3割前後)を適用した場合、
月々の居住費(返済額 + 貯蓄額) | 年収 |
およそ140,000円 | 年収480万円〜560万円 (140,000円 ÷ 0.3 ~ 0.35 × 12ヶ月) |
およそ130,000円 | 年収450万円〜520万円 (130,000円 ÷0.3 ~ 0.35 × 12ヶ月) |
およそ120,000円 | 年収410万円〜480万円 (120,000円 ÷0.3 ~ 0.35 × 12ヶ月) |
となり、平均世帯所得545万8,000円(中央値428万円)を超えない条件が、25年間(月々貯蓄額およそ26,500円)です。
(※平成28年国民生活基盤調査・厚生労働省による)
中古住宅の購入後、建て替えする場合には「築10年〜15年」が理想的
一般的に、築10年を経過したあたりからリフォームをする必要が出てきます。
代表的なリフォームには、
- キッチン
- トイレ(簡易)
- トイレ(全体)
- お風呂
- 給湯器の交換
- 洗面台の交換
- 外壁塗装
- 屋根塗装
- 畳の表替え
- 畳替え
- クロスの張替え
- フローリングの張替え
などが挙げられます。
項目別に、
項目 | 耐用年数の目安 | 金額の目安 | 必要性 |
キッチン | 15年前後 | 50万円前後 | 不便がなければ、故障時のみでよい。 |
トイレ(簡易) | 5年前後 | 5万円前後 | 不便がなければ、故障時のみでよい。 |
トイレ(全体) | 15年前後 | 15万円前後 | 不便がなければ、故障時のみでよい。 |
お風呂 | 15年前後 | 100万円前後 | 不便がなければ、故障時のみでよい。 |
給湯器の交換 | 10年前後 | 20万円前後 | 不便がなければ、故障時のみでよい。 |
洗面台の交換 | 15年前後 | 10万円前後 | 不便がなければ、故障時のみでよい。 |
外壁塗装 | 10年前後 (※塗料の種類による) |
50万円前後 | 定期的に行いたい。 (※躯体に影響を及ぼすため) |
屋根塗装 | 10年前後 (※塗料の種類による) |
30万円〜50万円前後 | 定期的に行いたい。 (※躯体に影響を及ぼすため) |
畳の表替え | 5年前後 | 3万円〜5万円前後 | 美観が気にならなければ、不要。 |
畳替え | 10年前後 | 6万円〜10万円前後 | 美観が気にならなければ、不要。 |
クロスの張替え | 10年前後 | 50万円前後 | 美観が気にならなければ、不要。 |
フローリングの張替え | 15年前後 | 30万円前後 | 美観が気にならなければ、不要。 |
となります。
建て替えをする場合に、リフォームが必要になる可能性が高いものは、
- キッチン
- トイレ(全体)
- お風呂
- 給湯器の交換
- 外壁塗装
- 屋根塗装
の6つに絞られます。
築35年で建て替えをする場合のリフォーム費用を計算すると、
新築 | 築10年 | 築15年 | 築20年 | 築25年 | |
キッチン | 100万円 (50万円 × 2回) |
50万円 (50万円 × 1回) |
50万円 (50万円 × 1回) |
0万円 (50万円 × 0回) |
0万円 (50万円 × 0回) |
トイレ(全体) | 30万円 (15万円 × 2回) |
15万円 (15万円 × 1回) |
15万円 (15万円 × 1回) |
0万円 (15万円 × 0回) |
0万円 (15万円 × 0回) |
お風呂 | 200万円 (100万円 × 2回) |
100万円 (100万円 × 1回) |
100万円 (100万円 × 1回) |
0万円 (100万円 × 0回) |
0万円 (100万円 × 0回) |
給湯器の交換 | 60万円 (20万円 × 3回) |
40万円 (20万円 × 2回) |
20万円 (20万円 × 1回) |
20万円 (20万円 × 1回) |
0万円 (20万円 × 0回) |
外壁塗装 | 150万円 (50万円 × 3回) |
100万円 (50万円 × 2回) |
50万円 (50万円 × 1回) |
50万円 (50万円 × 1回) |
0万円 (50万円 × 0回) |
屋根塗装 | 150万円 (50万円 × 3回) |
100万円 (50万円 × 2回) |
50万円 (50万円 × 1回) |
50万円 (50万円 × 1回) |
0万円 (50万円 × 0回) |
総費用 | 690万円 | 405万円 | 285万円 | 120万円 | 0万円 |
となります。
(※入居時に新品に交換していることを想定)
建て替え準備および建て替え費用を加味すると、
新築 | 築10年 | 築15年 | 築20年 | 築25年 | |
リフォーム費用 | 690万円 | 405万円 | 285万円 | 120万円 | 0万円 |
建て替え費用 | 1,800万円 | 1,800万円 | 1,800万円 | 1,800万円 | 1,800万円 |
総費用 | 2,490万円 | 2,205万円 | 2,085万円 | 1,920万円 | 1,800万円 |
建て替え準備期間 | 35年間 | 25年間 | 20年間 | 15年間 | 10年間 |
月々貯蓄額(頭金準備) | およそ19,000円 | およそ26,500円 | およそ33,500円 | およそ44,500円 | およそ66,500円 |
となります。
ですので、
- 総費用
- 月々貯金額(頭金準備)
を総合的に考えると、建て替えをする場合には、築10年〜15年の中古住宅を選ぶのが理想的だといえます。
(※当然、新築の場合には、購入費用が中古住宅よりも圧倒的に高くなる。)