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【土地活用】市街化調整区域の山林の活用方法


親が亡くなって、土地を相続することになるといいことばかりではありません。こんな土地を相続してしまったけれども、どうすればいいんだろうか…という土地は多いものです。そのひとつに山林の相続というものがあります。

山林を相続した場合、十中八九が市街化調整区域にある土地でしょう。山林というだけでも、活用は非常に困難です。それが市街化調整区域となったらお手上げだ!となってしまうと思います。

今回は、市街化調整区域の山林を相続してしまった時の対処方法について解説します。非常に特殊なケースなので、調査力がとても大事です。それでも、糸口は見えてきますので、頑張りましょう。

【この記事からわかること】

  • 市街化調整区域の山林について
  • 調査方法
  • 一般的な解決方法

ケーススタディ:市街化調整区域の山林

まごころう
今回は、どのようなことでお悩みですか?
ゆい

実は、親からいくつかの土地を相続しました。

その中に、誰も管理をしていない郊外の山があって困っています。

まごころう
なるほど。市街化調整区域にある山林を相続したのですね。
ゆい

不動産を一括で査定してくれるサイトも活用してみたんです。

でも、どこの会社からも”取り扱っていません。”という返事で困ってしまいました。

家さえ建てられない場所ということで、どうしたらいいのかわかりません...。

まごころう

それは困ってしまいましたね。

宅地ではなく、山林ですから固定資産税が安いとはいえ、多少はかかりますから、何とかしたいですね。

一度、整理してみましょう。

トラブルの内容

市街化調整区域にある山林を相続した。しかし、どうすれば売却できるのか分からない。このままでは固定資産税がかかるだけで困っている。

知りたいこと

市街化調整区域にある山林とは、そもそも何なのか?どうすれば売却できるのか?

市街化調整区域の山林とは

そもそも市街化調整区域とは、どういう区域なのでしょか?その中にある山林とは、どのような山林なのでしょうか?まずは、ここから整理していきます。

市街化調整区域

市街化調整区域については、詳しくは別の記事で解説しています。ざっくりと説明すると、市街化調整区域とは、市街化(街になること)を調整(抑制)している区域です。街になることを抑制しているということは、基本的に建物などの建築は許可しない場所ということです。

では、一切なにも建てられないのか?というと、行政が認めたものなら建ててもよいということになっています。ただし、市街化調整区域で建築許可を取得するのは、容易ではありません。市街化区域とは大きく性質が異なります。

山林

そのままですが、山です。木などが生い茂っているところをいいます。山林で困るのは、地境がはっきりしないことです。受け継いだはよいものの、一体どこからどこまでが自分の土地なのかはっきりしないのです。

また、山林は敷地がとても広いので、隣接している地権者がたくさんいます。何か変更を加えるときには、その地権者との話し合いが必要になるので、彼らも知る必要があります。少し調査が難しいところが、山林の難しさです。

調査方法

次は、市街化調整区域の山林について調べる方法を説明します。不動産の調査では、登記事項証明書や公図の取得は当然ですが、行政に話を聞きに行く必要もあります。これらの調査は、先に終えておくべきです。なぜなら具体的な話が出てきたとしても、行政で認めてもらえないものは結局できないで終わってしまうので、無駄な労力を使わないため、事前に調査をしましょう。

市役所

市役所で行う調査を紹介します。

都市計画課

市街化調整区域の指定を受けている地域は、都市計画法によってルールが定められています。また、都市計画法で定められている原則は守りつつも、行政によって個別にルールが定められていることが往々にしてあります。なので、都市計画について管理している都市計画課に話を聞きに行く必要があります。

都市計画課に話を聞きに行くときには、資料をそろえてから行きましょう。具体的には、地図・登記事項証明書・公図・確定測量図などです。建築計画がある場合は、その資料を持っていくと、より具体的な話ができます。

建築指導課

建築指導課には、建物が建築基準法に適合しているのかを確認しに行きます。ですが、市街化調整区域では、都市計画法の定めに適合していることが、何より重要なことになります。ですので、建築指導課に行くのは、都市計画課での話し合いが終わり、都市計画法に適合していることがわかってからです。その前に行っても意味がありません。

林業水産課

林業水産課では、山林がどのように管理されているかなどが分かります。また、山林で何かを行うときには、山林計画というものを提出したり、それに沿った計画の設立が必要になることがあります。資料がある場合には、その山林の敷地図のようなものも手に入りますので、話を聞きに行きましょう。

県庁

県庁で行う調査を紹介します。

農林水産振興課

市役所の林業水産課で行う調査と、ほぼ同じ内容です。管轄が県であったときや、より詳しい情報が必要な時に農林水産振興課に行きましょう。地権者などについては、こちらのほうが詳細に把握していることがあります。

市街化調整区域の山林について一般的な解決方法

当該土地から50m以内にある家屋

市街化調整区域で建築をするときには、そこで建築する理由がもっとも大事になります。正当性や必要性が認められる建物でないかぎり、許可はでません。

この観点から考えると、山林の周辺にある集落の人たちが、その集落の人のために建築するときには許可がでやすいのです。ただし、その山林のすぐ近くにある集落である必要があります。基準としては山林から、半径50m(100mが限度)以内です。この距離より離れると認められない可能性は高いです。

特定の事業者を探す

特定の事業者であれば、正当性や必要性が認められるケースがあります。たとえば、山林であれば林業などです。ほかにも、郊外でよく建てられている介護施設などもあります。これらのほかにも、時代背景に沿って行政が推進している産業があります。それらは許可がでる可能性があります。

建築せずに利用する

建築しない場合には、都市計画法も建築基準法も関係がありません。つまり、駐車場や資材置き場として使用します。このときは注意点が3つあります。

1つ目は、そもそも需要があるのかどうかです。誰も来ないようなところには、駐車場の需要は生まれません。あまりにもアクセスが悪い場所では、資材置き場としての需要も生まれないでしょう。

2つ目は、建物は一切建てられないということです。特に資材置き場についてですが、物置さえ設置させてもらえないと考えてください。市街化調整区域の制約は、それほど強力なものです。ですので、基本的には雨ざらしでも関係のないあても廃材置き場などです。

3つ目は、農林水産振興課や林業水産課に書類の提出が必要なことがあります。駐車場や資材置き場として造成する必要が出てくるでしょう。木の伐採などを行うときには、土砂災害の観点なども含めて、行政から許可を得る必要がありますので、注意してください。勝手にやると犯罪になりかねません。

太陽光パネルの設置

最近、増えてきたメガソーラーですね。日当たりが良好な場所であれば、十分に採算が取れます。特に山林の場合は、固定資産税が安いので損益分岐点には到達しやすいです。ソーラーパネルの設置では、コストをどれだけ抑えられるかが重要です。

まとめ

市街化調整区域の山林とは、建築がとても困難なエリアにある山林です。他の地権者との話し合いや、行政との連携など土地活用をするには、様々な調査が必要になります。確認を怠ると、骨折り損になることが多々あるので注意しましょう。

行政に確認に行くところは、市役所と県庁です。市役所では、都市計画課・建築指導課・林業水産課などです。県庁は、農林水産振興課になります。あくまでも基本的なことの調査ですので、ケースによっては監理課などに行く必要も出てくるでしょう。

土地活用の方法ですが、いくつか選択肢はあります。ここで紹介した内容がすべてではありませんし、とにかく挑戦してみないことには何も始まらないので、可能性がありそうなところにはすべて挑戦しましょう。そのなかでひとつでもOKが出れば、固定資産税の安さを考えると採算が合いやすいです。

まごころう
市街化調整区域の山林では、諦めないことがなにより肝心になります。どんな方法でも積極的に挑戦してみましょう。より深く理解するには、以下の記事を参考にしてください。
市街化区域と市街化調整区域とは:開発許可、建築の確認
市街化区域と市街化調整区域とは:開発許可、建築の確認

大規模な開発を検討していたり、地価の低い郊外で土地を探したりすると、市街化調整区域というエリアにぶつかることがあります。これは都市計画法という法律によって定められたエリアです。セットで市街化区域というエリアもあります。
市街化調整区域で何か建築しようとするときは、市町村役場で相談して許可を得る必要があります。この許可のことを開発許可といい、この許可を得ずに建築することは違法行為となります。
今回は、そもそも市街化区域・市街化調整区域とは何なのかについて説明します。開発許可と開発許可を得るにはどうするのかも一緒に説明しますので、参考にしてください。


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