所得税 不動産の税金

住宅の多世帯同居改修工事に係る住宅ローン控除の特例


所得税の減税措置には、住宅の多世帯同居改修工事に係る住宅ローン控除の特例があります。

所得税の減税措置 - 住宅ローン控除:概要、改正内容のうち、「住宅の増改築に係る住宅ローンの控除制度」がベースになっています。

通常の住宅ローン控除では、10年間以上の借入が必要ですが、本特例では5年以上の借入から控除を受けることができます。

ただし、

  • 住宅の増改築に係る住宅ローンの控除制度
  • 住宅の多世帯同居改修工事に係る住宅ローン控除の特例

は選択適用なので、どちらか一方を選ばなければいけません。

基本的には、住宅の増改築に係る住宅ローンの控除制度を活用したほうが控除額は大きくなります。

あなたのケースに合わせて、どちらがお得なのかじっくり考えてみてください。


住宅の多世帯同居改修工事に係る住宅ローン控除の特例

概要

個人が、その者の所有する居住用の家屋について一定の三世代同居改修工事を含む増改築等をして、その居住用の家屋を平成28年4月1日から平成33年12月31日までの間にその者の居住の用に供した場合には、一定の要件の下で、その増改築等に充てるために借り入れた住宅借入金等の年末残高の1,000万円以下の部分の一定割合を所得税の額から控除することができる。

適用要件

ゆい
一定の三世代同居改修工事を含む増改築等は、どんな工事があるの?
まごころう
一定の三世代同居改修工事を含む増改築等は、

  • 調理室
  • 浴室
  • 便所
  • 玄関

のいずれかを増設する工事(改修後、いずれか2つ以上が複数となるものに限る。)で、

  • その工事費用の合計額が50万円を超えるものであること
    (※補助金等をもって充てる部分を除く。)
  • その個人の居住の用に供される部分の工事費用の額が、増改築等の工事費用の総額の2分の1以上であること
  • その工事をした後の家屋の床面積(登記簿の面積)が50㎡以上であること
  • その工事をした家屋が、その個人が主としてその居住の用に供しているものと認められるものであること

を満たす工事です。

ゆい
ほかに要件はないの?
まごころう
あります。

まず「住宅の増改築等に係る住宅ローンの控除制度」がベースになっているので、住宅の増改築等に係る住宅ローン控除制度の要件を満たす必要があります。

さらに、

  • 特定の改修工事をした場合の特別控除の適用を受けないものであること
  • 適用対象となるのは、償還期間5年以上の一定の住宅借入金等および死亡時一括償還にかかる借入金等である

が加えられます。

ゆい
まとめると...?
まごころう
まとめると、

  • 調理室
  • 浴室
  • 便所
  • 玄関

のいずれかを増設する工事(改修後、いずれか2つ以上が複数となるものに限る。)で、

  • その工事費用の合計額が50万円を超えるものであること
    (※補助金等をもって充てる部分を除く。)
  • その個人の居住の用に供される部分の工事費用の額が、増改築等の工事費用の総額の2分の1以上であること
  • その工事をした後の家屋の床面積(登記簿の面積)が50㎡以上であること
  • その工事をした家屋が、その個人が主としてその居住の用に供しているものと認められるものであること

を満たす一定の三世代同居改修工事を含む増改築等であること。

加えて、

  • 住宅取得後6か月以内に入居していること
  • 居住日以後その年の12月31日まで引き続き居住していること
  • 床面積の2分の1以上が、専ら自己の居住の用に供されるものであること
  • 控除を受ける年の合計所得金額が3,000万円以下であること
  • 入居した年以前3年間について、居住用財産の3,000万円特別控除や買換え等の課税の特例などを受けていないこと
  • 入居した年の翌年又は翌々年について、この控除対象家屋とその敷地以外の資産の譲渡に関し、上記(7)の特例を受けていないこと
  • 自己の所有している家屋で、自己の居住の用に供するものの増改築等であること
  • 特定の改修工事をした場合の特別控除の適用を受けないものであること
  • 適用対象となるのは、償還期間5年以上の一定の住宅借入金等および死亡時一括償還にかかる借入金等であること

を満たす必要があります。

ゆい
そられの条件を満たして、平成28年4月1日から平成33年12月31日までの間に住めば、一定の三世代同居改修工事を含む増改築等に充てるために借り入れた住宅借入金等について、何らかの減税措置が受けられるのね?
まごころう
そうですね。

具体的には、借り入れた住宅借入金等の年末残高の1,000万円以下の部分の一定割合が所得税の額から控除されます。

 

選択適用に注意(あくまでも特例)

まごころう
あくまでも「住宅の多世帯同居改修工事に係る住宅ローン控除の特例」です。

なので、住宅の増改築等に係る住宅ローン控除制度との選択適用になります。

つまり、

  • 住宅の増改築等に係る住宅ローン控除制度
  • 住宅の多世帯同居改修工事に係る住宅ローン控除の特例

のどちらを使うのか選ばなければいけません。

ゆい
両方は使えないの?
まごころう
使えません。

住宅の多世帯同居改修工事に係る住宅ローン控除の特例の控除額

住宅の多世帯同居改修工事に係る住宅ローン控除の特例の控除額について、具体的に確認します。

居住の用に供する時期 控除期間 住宅借入金等の年末残高 控除率
平成28年4月1日から平成33年12月31日まで 5年間 1,000万円以下の部分
  1. 一定の三世代同居改修工事を含む増改築等に係る工事費用から補助金等を控除した金額(250万円を限度)に相当する住宅借入金等の年末残高…2%
  2. 1以外の住宅借入金等の年末残高…1%

計算例

まごころう
例に当てはめて考えてみます。

条件

  • 平成28年4月1日から居住を始める
  • 一定の三世代同居改修改修工事を含む増改築等に係る工事費用から補助金等を控除した金額:300万円
    (※月々の支払額:5万円)
  • その他の住宅借入金等:1,500万円
    (※月々の支払額:10万円)

計算例

一定の三世代同居改修工事を含む増改築工事等に係る工事費用から補助金等を控除した金額を「A」とします。

その他の住宅借入金等を「B」とします。

年数 年末残高(合計:A+B) 年末残高(A) 控除率(A) 控除額(A) 年末残高(B) 控除率(B) 控除額(B) 合計控除額(A+B)
1年目 1,520万円 240万円 2% 4.8万円 1,280万円 1% 7.6万円
(※限度額:1,000万円 - 240万円 = 760万円)
12.4万円
2年目 1,340万円 180万円 3.6万円 1,160万円 8.2万円
(※限度額:1,000万円 - 180万円 = 820万円)
11.8万円
3年目 1,160万円 120万円 2.4万円 1,040万円 8.8万円
(※限度額:1,000万円 - 120万円 = 880万円)
11.2万円
4年目 980万円 60万円 1.2万円 920万円 9.2万円 10.4万円
5年目 800万円 0万円 0万円 800万円 8万円 8万円

合計控除額

53.8万円
ゆい
すこし複雑な計算をするのね。
まごころう
そうですね。

よりリアルな控除額を伝えるために年末残高が中途半端になるような計算例を使いました。

5年間ずっと最大控除額をキープするような借入をした場合には、合計控除額は62.5万円になります。

ゆい
最大でも控除額は62.5万円なのね。

あとは

  • 住宅の増改築等に係る住宅ローン控除制度
  • 住宅の三世代同居改修改修工事に係る住宅ローン控除の特例

のどっちがお得なのかを見極めて選べばいいのね。

まごころう
そういうことです。

基本的には「住宅の増改築等に係る住宅ローン控除制度」を使ったほうが合計控除額は高くなります。

この特例のメリットは「5年以上の借入」から使えるというところでしょう。

所得税の減税措置 - 住宅ローン控除:概要、改正内容(平成29年度)
所得税の減税措置 - 住宅ローン控除:概要、改正内容(平成29年度)

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申告に必要な書類

申告に必要な書類は、

  • 住民票の写し
  • 家屋および土地の登記事項証明書
  • 工事請負契約書の写し
  • 改修工事資金に係る借入金の年末残高等証明書
  • 源泉徴収票(給与所得者の場合)
  • 多世帯同居改修工事等の証明書

が必要です。

まごころう
申告しなければ住宅ローン控除を受けることはできません。

忘れずに申告を行いましょう。


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