仲介手数料について解説している記事です。
仲介手数料について、
- 仲介手数料とは
- 宅建業法による仲介手数料の決まり
- 仲介手数料の計算方法
- 仲介手数料に関する税金
- 仲介手数料の相場
- 仲介手数料が無料(または半額)の不動産業者
- 仲介手数料の値引き交渉
- 仲介手数料込みで住宅ローンを借りることはできるのか?
を解説しています。
仲介手数料の基本的なことについては、
- 仲介手数料とは
- 宅建業法による仲介手数料の決まり
から理解できるようになっています。
- 仲介手数料がかかる不動産取引
(※および、かからない不動産取引) - 仲介手数料の上限額
- 仲介手数料を支払うタイミング
などについて解説しています。
仲介手数料の計算方法では、
- 正しい計算方法
- 速算式
- 早見表
について解説しています。
仲介手数料に関する税金では、
- 仲介手数料にかかる消費税
- 領収証にかかる印紙税
について解説しています。
新築住宅では仲介手数料がかかりませんが、本当にお得なのか?という部分にも触れています。
不動産業者との仲介手数料に関するやりとりについては、
- 仲介手数料の相場
- 仲介手数料が無料(または半額)の不動産業者
- 仲介手数料の値引き交渉
にて解説しています。
仲介手数料とは
仲介手数料とは、不動産業者の仲介によって不動産売買契約が成立したときにかかる手数料です。
仲介手数料がかかる不動産取引
原則として、「仲介取引」を行なった場合、仲介手数料がかかります。
不動産の仲介取引とは、不動産業者が、
- 買主
- 売主
の間に立って売買契約を締結させる取引です。
媒介契約とは
不動産業者が仲介手数料を請求するには、原則として売主と「媒介契約」を締結している必要があります。
媒介契約には、
- 一般媒介契約
- 専任媒介契約
- 専属専任媒介契約
の3種類ありますが、どの媒介契約でも構いません。
媒介契約を結ぶことによって、不動産業者は売主が所有している不動産の売却活動を開始することができます。
媒介契約は「わたしの不動産を売ってくださいね」と売主から委託してもらうための契約です。
仲介手数料がかからない不動産取引
仲介手数料がかからない不動産取引は、
- 買主と売主が直接契約をしたとき
- 不動産業者と直接契約したとき
の2パターンです。
買主と売主が直接契約したとき
買主と売主が直接契約をしたときには、仲介手数料はかかりません。
たとえば、親から土地を相続したAさんが、隣に住んでいるBさんに声をかけたところ、購入をしたいとの返事がありました。
この時に、不動産業者の力を借りずに、自力で契約を締結した場合、
- 売主A
- 買主B
だけしか不動産取引には登場しないので、仲介取引とはならず、仲介手数料もかかりません。
実際には、後々トラブルに発展することを避けるために、契約だけ不動産業者に立ち会ってもらうケースがほとんどです。
(※仲介手数料が発生しますが、わたしが知っている限りでは「半額」などにしていることが多いです。)
不動産業者と直接契約したとき
不動産業者と直接契約をしたときには、仲介手数料がかかりません。
たとえば、
- 不動産業者が買い取ってリフォームした中古住宅を購入するとき
(※買取再販業者からの購入) - 売却を依頼していた不動産業者に中古住宅を下取りしてもらうとき
(※業者買取での売却)
などが挙げられます。
上記の場合には、
- 買主(または売主)
- 不動産業者
の間で不動産契約が結ばれるので、不動産業者はいるものの「仲介取引」ではありません。
宅建業法による仲介手数料の決まり
仲介手数料には「宅建業法(宅地建物取引業法)」による定めがあります。
参考ページ:仲介手数料に関する定め(国土交通省)
仲介手数料の上限額
仲介手数料の上限額は、依頼者の一方につき、不動産の売買代金について、
- 200万円以下の金額:5%(税別)
- 200万円を超えて、400万円以下の金額:4%(税別)
- 400万円を超える金額:3%(税別)
までと決められています。
のちほど詳しく解説しますが、1,000万円の不動産売買契約を結んだのであれば、
- 200万円以下の金額
→ 200万円 × 5% = 10万円(税別) - 200万円を超えて、400万円以下の金額
→ 200万円 × 4% = 8万円(税別) - 400万円を超える金額
→ 600万円 × 3% = 18万円(税別)
となり、依頼者の一方から受け取れる仲介手数料の上限額は「36万円(税別)」となります。
依頼者の一方とは、
- 買主
- 売主
のいずれかという意味です。
両手取引の上限額(買主・売主の双方が仲介手数料を支払うケース)
ある仲介取引について、
- 買主
- 売主
の双方が不動産業者に仲介手数料を支払うことを「両手取引」といいます。
仲介手数料の上限額では、依頼者の一方について上限額を定めています。
ですので、1,000万円の仲介取引(両手取引)では、
- 買主から受け取れる上限額:36万円(税別)
- 売主から受け取れる上限額:36万円(税別)
となるので、仲介手数料の上限額は72万円(税別)です。
片手取引の上限額(買主・売主のいずれかが仲介手数料を支払うケース)
ある仲介取引について、
- 買主
- 売主
のいずれか一方が不動産業者に仲介手数料を支払うことを「片手取引」といいます。
仲介手数料の上限額では、依頼者の一方について上限額を定めています。
ですので、1,000万円の仲介取引(片手取引)では、
買主から受け取れる上限額:36万円(税別)
売主から受け取れる上限額:払わない
となるので、仲介手数料の上限額は36万円(税別)です。
「買主の仲介手数料を負担してください」といった話をして不当に仲介手数料を請求する不動産業者が稀にいます。
宅建業法では、依頼者の一方から受け取れる仲介手数料の上限額を定めているので、相手方の支払いを負担するような請求は違法行為になります。
決して騙されないように気をつけましょう。
複数業者の上限額(不動産仲介業者が複数いるケース)
仲介取引では、
- 買主
- 売主
- 不動産業者A(買主側)
- 不動産業者B(売主側)
のように、複数の不動産業者が介入していることがあります。
複数業者がいる場合には、まとめて1つの不動産業者として考えます。
ですので、1,000万円の仲介取引(複数業者)では、
- 買主から受け取れる上限額:36万円(税別)
- 売主から受け取れる上限額:36万円(税別)
であり、仲介手数料の上限額は72万円(税別)です。
1,000万円の仲介取引で合計72万円(税別)が支払われたのであれば、
- 不動産業者A
- 不動産業者B
で分配方法を話し合うだけです。
仲介手数料の上限額が不動産業者の数に合わせて増えることはないので気をつけましょう。
不動産業者に仲介手数料を支払うタイミング
媒介契約約款(報酬の請求)および(報酬の受領の時期)より抜粋
- 乙の媒介によって目的物件の売買又は交換の契約が成立したときは、乙は、甲に対して、報酬を請求することができます。ただし、売買又は交換の契約が停止条件付契約として成立したときは、乙は、その条件が成就した場合にのみ報酬を請求することができます。
- 乙は、宅地建物取引業法第37条に定める書面を作成し、これを成立した契約の当事者に交付した後でなければ、前条第1項の報酬(以下「約定報酬」といいます。)を受領することができません。
- 目的物件の売買又は交換の契約が、代金又は交換差金についての融資の不成立を解除条件として締結された後、融資の不成立が確定した場合、又は融資が不成立のときは甲が契約を解除できるものとして締結された後、融資の不成立が確定し、これを理由として甲が契約を解除した場合は、乙は、甲に、受領した約定報酬の全額を遅滞なく返還しなければなりません。ただし、これに対しては、利息は付さないこととします。
(※1 甲とは、「依頼者」を指します。)
(※2 乙とは、「依頼を受ける宅地建物取引業者」を指します。)
不動産業者に仲介手数料を支払うタイミングは、原則として「売買契約が成立した時」です。
ただし、不動産業界の商習慣として、
- 不動産売買契約時:半額
- 決済および引渡し時:半額(残りの額)
が主流となっています。
原則として「成功報酬」
仲介手数料は、原則として「成功報酬」です。
ですので、原則としては「売買契約が成立した時」に、はじめて不動産業者は仲介手数料を請求する権利を得ます。
ただし、
- 融資特約が付いている契約で、買主が住宅ローンを借りることができなかった場合
- 期限までにリフォームを行う特約付きの契約で、売主がリフォームを行えなかった場合
など、停止条件付の契約では、条件が成就した時に、はじめて不動産業者は仲介手数料を請求する権利を得ます。
ですので、住宅ローンを使用して購入をする場合には、
- 不動産売買契約時:半額
- 決済および引き渡し時:半額(残りの額)
という流れは、厳密には違法行為になり、「決済および引き渡し時」に支払うのが適法となります。
解約時などの取り扱い
不動産売買契約を締結したものの、
- 心変わりなどによる解約
- 住宅ローンが通過したなかったことによる解約
(ローン特約の適用)
によって解約に至った場合には、仲介手数料は返金されます。
ただし、心変わりなどによる解約をした場合には、
- 買主:手付金を手放す
- 売主:手付金を返し、さらに同じ額を買主に支払う(いわゆる、手付倍返し)
が行われます。
仲介手数料以外の費用に関する定め
不動産業者が仲介手数料以外の費用を請求する場合には、
- 依頼者から特別の依頼を受けていること
- 通常の仲介業務では発生しないものであること
- 実費であること
という3要件を満たしている必要があります。
たとえば、
- 売主から特別に依頼を受けて
- 通常の仲介業務では作成しない路面看板を作成し
- 製作費用および設置費用に20万円がかかった
という場合には、広告費などの名目で費用を請求することができます。
広告であっても、普段から掲載しているような不動産ポータルサイトへの掲載などについては、原則として費用請求ができません。
当然、広告費以外の名目であっても3要件を満たしていなければ不当請求になります。
仲介手数料の計算方法
仲介手数料の計算方法について、
- 正しい計算方法
- 素早く計算する方法(速算式)
- 売買金額ごとの早見表
の順に解説します。
仲介手数料の正しい計算方法
基本的に「400万円より安い不動産」について、仲介手数料を計算するときに使う方法です。
(※400万円以上の物件であっても使える計算方法ですが、普通は「速算式」が活用されます。)
仲介手数料を計算するときには、
基準金額 | 適用割合 | 最大額 |
---|---|---|
200万円以下の部分 | 5% | 10万円 (200万円 × 5%) |
200万円を超えて、400万円以下の部分 | 4% | 8万円 (200万円 × 4%) |
400万円を超える部分 | 3% | - |
となります。
例えば、1,000万円の不動産であれば、
基準金額 | 適用金額 | 仲介手数料 |
---|---|---|
200万円以下の部分 | 200万円 (0万円〜200万円以下の部分) |
10万円 (200万円 × 5%) |
200万円を超えて、400万円以下の部分 | 200万円 (200万円〜400万円以下の部分) |
8万円 (200万円 × 4%) |
400万円を超える部分 | 600万円 (400万円〜1,000万円の部分) |
18万円 (600万円 × 3%) |
となり、仲介手数料は総額32万円(税別)となります。
基本的に「400万円より安い不動産」について、仲介手数料を計算するときには正しい方法が活用されます。
仲介手数料を素早く計算する方法(速算式)
「400万円を超える不動産」について計算するときには「速算式」が使われます。
速算式の計算方法は、
不動産の売買価格 × 3% + 6万円 = 仲介手数料(税別)
となります。
ですので、1,000万円の不動産であれば、
1,000万円 × 3% + 6万円 = 36万円(税別)
となり、仲介手数料は総額36万円です。
速算式で行なっている計算は、
基準金額 | 適用割合 | 調整金額 |
---|---|---|
200万円以下の部分 | 3% | 4万円 200万円 × (5% - 3%) |
200万円を超えて、400万円以下の部分 | 2万円 200万円 × (4% - 3%) |
|
400万円を超える部分 | - |
という風になっていて、全ての金額に「3%」を適用し、
- 200万円以下の部分
→ 5% - 3% = 2%(つまり、4万円) - 200万円を超えて、400万円以下の部分
→ 4% - 3% = 1%(つまり、2万円)
について、最後に調整して6万円を足し算するという流れです。
不動産価格が400万円よりも低い場合には、6万円での調整ができなくなるので、速算式が使えません。
速算式が適用できるのは「400万円を超える不動産のみ」です。
売買金額ごとの仲介手数料の早見表
不動産価格 | 仲介手数料 |
---|---|
100万円 | 5万円(税別) |
200万円 | 10万円(税別) |
300万円 | 14万円(税別) |
400万円 | 18万円(税別) |
500万円 | 21万円(税別) |
1,000万円 | 36万円(税別) |
1,250万円 | 43.5万円(税別) |
1,500万円 | 51万円(税別) |
1,750万円 | 58.5万円(税別) |
2,000万円 | 66万円(税別) |
2,250万円 | 73.5万円(税別) |
2,500万円 | 81万円(税別) |
2,750万円 | 88.5万円(税別) |
3,000万円 | 96万円(税別) |
3,250万円 | 103.5万円(税別) |
3,500万円 | 111万円(税別) |
3,750万円 | 118.5万円(税別) |
4,000万円 | 126万円(税別) |
4,250万円 | 133.5万円(税別) |
4,500万円 | 141万円(税別) |
4,750万円 | 148.5万円(税別) |
5,000万円 | 156万円(税別) |
6,000万円 | 186万円(税別) |
7,000万円 | 216万円(税別) |
8,000万円 | 246万円(税別) |
9,000万円 | 276万円(税別) |
10,000万円 | 306万円(税別) |
仲介手数料に関する税金
仲介手数料に関する税金は、
- 仲介手数料にかかる消費税
- 領収証にかかる印紙税
です。
仲介手数料にかかる消費税
仲介手数料には「消費税」が課税されます。
ですので、
(不動産価格 × 3% + 6万円) × (1 + 消費税) = 仲介手数料(税込)
となります。
1,000万円の不動産であれば、
(1,000万円 × 3% + 6万円) × (1 + 10%) = 39.6万円(税込)
となります。
(※消費税率は10%を採用しています。)
不動産を仲介取引する場合には、
- 土地
- 中古住宅
- 中古マンション
などが主に取り扱われるのですが、仲介取引の場合には、物件価格には消費税が課税されません。
(※仲介取引以外の取引では、物件価格に消費税が課税されます。)
ですので、3,000万円の中古住宅を購入した場合(仲介取引)、
- (3,000万円 × 3% + 6万円) × (1 + 10%) = 105.6万円(税込)
- 3,000万円 + 105.6万円 = 3,105.6万円
となり、購入総額3,105.6万円になります。
(※物件代金と仲介手数料のみ。ただし、諸費用の大半を占めている。)
しかし、3,000万円で新築住宅を購入した場合(非仲介取引)、
- 3,000万円 × (1 + 10%) = 3,300万円
- 仲介手数料はかからない
となり、購入総額3,300万円になります。
(※物件代金と仲介手数料のみ。ただし、諸費用の大半を占めている。)
たまに、建売住宅の広告で「仲介手数料無料!(かかりません!)」といった宣伝文を見ますが、物件価格に直接課税される消費税の方が大きいので注意しましょう。
領収証にかかる印紙税
仲介手数料を支払った場合、不動産業者から領収証を受け取ります。
不動産業者から発行された領収証は、金額に応じて印紙税がかかります。
ただし、印紙税を支払うのは「代金の受け取り手」です。
ですので、仲介手数料を支払った場合には「不動産業者」が納税義務者です。
仲介手数料の相場
以下は、大手不動産会社の不動産売買の「両手比率」を試算したものです。
大手不動産会社の不動産売買の「両手比率」を試算(2018年最新版) 企業名 両手取引比率 手数料率 三井不動産リアルティグループ 57.53% 5.10% 住友不動産販売 62.75% 5.27% 東急リバブル 28.79% 4.17% 野村不動産グループ 21.94% 3.95% 三井住友トラスト不動産 26.11% 4.09% 三菱UFJ不動産販売 24.33% 4.03% みずほ不動産販売 21.73% 3.94% 三菱地所リアルエステートサービス 26.61% 4.10% 大京グループ 42.14% 4.61% 大成有楽不動産販売グループ 33.12% 4.31% 住友林業ホームサービス 42.17% 4.61% 東宝ハウスグループ 42.80% 4.63% 大和ハウスグループ 23.02% 3.99% スターツグループ 37.83% 4.47% 近鉄不動産 61.53% 5.23% 長谷工リアルエステート 28.16% 4.15% 日本土地建物販売 19.65% 3.88% 三菱地所ハウスネット 19.60% 3.88% ポラスグループ・中央住宅 53.37% 4.97% 小田急不動産 37.30% 4.45% すてきナイス(連結) 23.84% 4.01% 京王不動産 37.32% 4.45% 朝日住宅 35.06% 4.38% 相鉄不動産販売 53.64% 4.98% 京急不動産 3.83% 3.36% センチュリー21・ジャパン 44.63% 4.69% イエステーション 67.55% 5.43% 引用元:Zai online
どこの不動産業者も「全額・両手取引」が理想には違いありません。
しかし、
- 紹介可能な物件数
- 競争の激しさ
- 営業エリア
などによって、地域ごとに仲介手数料の状況が変わります。
わかりやすいのは「市場の競争原理が働くかどうか?」です。
市場の競争原理が働くほど、
- 仲介手数料の値引き
- 仲介手数料 半額
- 仲介手数料 無料
- 仲介手数料 無料 & キャッシュバック
- 仲介取引完了後のアフターサービス
などを充実させることで、他者との差別化をします。
上のような差別化策を実施している不動産業者は都市部ではよく見かけるのですが、地方を見てみると、ほとんどいません。
はっきりと言ってしまえば、仲介手数料の相場は存在しません。
仲介手数料を安くしたいのであれば、
- 不動産業者と交渉をする
- 最初から安値を提示している不動産業者を選ぶ
- 不満があるのであれば、不動産業者を変える
という選択をするだけです。
(※不動産業者を選ぶ権利は「買主・売主」にある。)
仲介手数料が無料(または半額)の不動産業者
最近では「仲介手数料が無料(または半額)」の不動産業者が増えてきました。
仲介手数料が無料の場合、
- 買主:仲介手数料が無料
- 売主:仲介手数料を全額支払い
となっていることが多いです。
仲介手数料が半額の場合、
- 買主:仲介手数料を半額支払い
- 売主:仲介手数料を半額支払い
となっていることが多いです。
不動産業界内では「賛否両論」ありますが、消費者側から考えると、これといったデメリットはありません。
個人的な考えですが、仲介手数料の値引きを求めるくらいであれば、最初から無料(または半額)をうたっている不動産業者を活用した方がいいです。
多くの不動産業者は、仲介手数料の値引きを求められることを嫌います。
素人にはわからない範疇で、その後の手続きについて手抜きをされる可能性が高まるので、注意してください。
いずれのケースであっても、すべての仲介取引に対して無条件に適用されるわけではありません。
たとえば、
- 売主が全額支払いを了承している物件のみ
- 問い合わせから最初に案内をした物件で成約いただいた場合
など、不動産業者ごとに条件が用意されています。
よく確認してから活用するようにしましょう。
仲介手数料の値引き交渉
仲介手数料の値引き交渉は「可能」です。
しかし、おすすめはしません。
たとえば、3,150万円で売出されている中古住宅で考えてみます。
この場合、売主に50万円の値引きを承諾してもらうことは「簡単」です。
売主にとっては、売却益(物件価格)に対して「およそ1.5%」だけ値引きをしたことになります。
しかし、不動産業者への仲介手数料50万円値引きを承諾してもらうことは「非現実的」です。
3,150万円の中古住宅では、
3,150万円 × 3% + 6万円 = 100.5万円(税別)
となり、仲介手数料の上限は「100.5万円(税別)」です。
ですので、50万円の値引きを求めることは、唯一の利益である仲介手数料の50%値引きを求めることです。
明らかに
- 売主にとっての50万円値引き
- 不動産業者にとっての50万円値引き
では、重みが違うため、承諾してもらうことは困難です。
先述しましたが、不動産業者は仲介手数料の値引きを本当に嫌います。
仲介手数料の値引きを迫った結果、
- 相手にされなくなる
- 売主側に有利に交渉を進められる
- 契約や引き渡しなどにおいて手続きが雑になる
- 告知義務違反に抵触しない限り、物件について喋らなくなる
- 税務上の優遇措置など、黙っていても問題のないことは告げなくなる
といったことは平気でしますし、値引きも拒否されるのがほとんどです。
仲介手数料の値引きが悪いというのではなく、リスクに対してリターンが見合わないのでおすすめしないという話です。
少しでも安く買うのであれば、物件価格の値引きを狙った方が得策です。
中古住宅の値引き交渉については、「【中古住宅の値引き】交渉成立額の見極め方と上手な進め方・タブー」を参考にしてください。
仲介手数料込みで住宅ローンを借りることはできるのか?
仲介手数料込みで住宅ローンを借りたい場合には「諸費用ローン」を活用します。
諸費用ローンとは、不動産売買代金以外に諸費用分も含めて借りることができる住宅ローンです。
ただし、一般の住宅ローンに比べると、諸費用ローンの金利はかなり高くなるので注意してください。