空き家問題の原因
空き家問題がいかに深刻な状態まで進行しているのかについて解説しました。この章では、なぜ空き家問題が今の状態になるまで進行してしまったのか?なぜ分かっていてもなかなか空き家問題が解決できないのか?空き家問題の原因について解説していきます。
ここまで読んでいただいた方は、空き家問題は単純な要素・パターンのみで発生しているわけではないことに気付いていただけたかと思います。空き家問題は、いろいろな制度や計画のほころびから端を発しています。まるでゲリラのように襲ってくるため、特効薬が見当たりません。
よく言われる答えとして「解体すると固定資産税が高くなるから住まなくても放っておくんだよ」というものがあります。しかし、そんなに単純な問題ではありません。ひとつひとつの要因について知って、あなたの周りで起こっている空き家問題についても考えてみてください。
空き家が減らない原因
空き家が増えるとはどういうことか?ひとことで言ってしまえば「需要と供給のバランスが崩れている」ということです。空き家の需要と供給?と言われると、ピンと来ないかもしれません。
空き家とは何か?を考えると「利用価値が見いだせない中古住宅・マンション」です。売るにしても、貸すにしても、使い手が見つかれば空き家にはなりません。見つからなかった結果、空き家なのです。
バランスが取れているときには、増えたとしても、減るはずです。この章では、空き家が減らない理由を解説します。
住宅需要の減少:少子化と人口減少
日本の人口ピラミッドの変化(引用:厚生労働省ホームページ)
日本の社会は、少子高齢化社会へと急激にシフトしてきました。団塊・団塊ジュニア世代の変動の話も興味深いことではあるのですが、この記事では少子高齢化が進んでいるにとどめます。注目すべきは、64歳以下の人口の推移です。
1990年と2013年を比べると、総人口は減るどころか増えています。しかし、64歳以下の人口を比べると、1990年は1億839万人で、2013年には9,540万人に減っています。1,299万人の減少です。
2025年になると8,408万人、2060年には5,209万人にまで減少するといわれています。平成26年 国民生活基礎調査によれば、最新の世帯平均人数は2.49人でした。1990年から2025年までの間に64歳以下の人口が2,431万人減るということは、世帯にして約1,000万世帯減るということです。
世帯数の計算
2,431万人(人口減少分) ÷ 2.49人(世帯平均人数) = 976.3万世帯(約1,000万世帯)
住宅の需要と世帯数は密接に関係しています。同居などの選択肢があるので一概には言えませんが、1990年から35年間で、住宅需要が約1,000万戸減るということです。グラフによれば、2060年には、さらに約1,300万世帯分の需要が消失します。
これが人口減少、少子化による空き家問題の悪化です。出生率を高めたとしても、生まれた命が家を購入する年齢まで育つには時間がかかります。移民などの解決策があるとはいえ、特効薬はないと考えるのが妥当でしょう。
中古住宅市場の未成熟
詳しくは後述しますが、日本の中古住宅市場は他国に比べてかなり未熟です。日本人の性格的な部分もあるのですが、主には政府の無策が原因だといわれています。結論からいえば、あまりにも新築住宅市場を優遇しすぎた結果ということです。
1兆円を住宅の建設に投資すると、約2兆円の最終的な経済効果が期待されるといわれています。経済効果の真偽については疑問視する声もありますが、住宅投資が景気刺激策としてかなりの効果を期待できる点については異論ないでしょう。それゆえ政府は、国民に新築住宅を建てさせる制度を提案し続けてきたのです。
その陰でひっそりと泣いてきたのが中古住宅市場です。最近になってフロー型社会からストック型社会へ転換しよう!という動きが出始めました。最近になって中古住宅のことを「既存住宅」というようにしたのは、固定されたマイナスイメージを払しょくするのが目的です。
フロー型社会とストック型社会
フロー型社会とは、生産に軸を置いた社会です。つまり、必要になれば新たに作る社会。家が必要なら新築します。
ストック型社会とは、蓄積に軸を置いた社会です。必要になっても代替品の活用を考える社会。家が必要なら既存住宅の活用を考えます。
耐用年数の間違った活用
中古住宅市場が活性化しない理由に、耐用年数を使った間違った査定があります。今、あなたが不動産屋さんに査定を依頼した場合、建物の査定は驚くほど原始的な計算が行われます。新築時から27年中何年経過したかをみるだけです(建物の構造や業者によって、何年を分母にするかは若干変わります)。
これは国土交通省が公表している建物の耐用年数をベースにしています。そもそも耐用年数を決めた時の決め方がおかしいとする意見もあるのですが、どちらにせよ耐用年数は減価償却のための基準であり、税法・会計上の指標にすぎません。しかし、全国で浸透してしまった結果、おかしなことがまかり通っているのです。
新築時2,700万円・築10年の木造住宅
2,700万円 × (27年 - 10年) ÷ 27年 = 1,700万円
平均寿命の推計(引用:財務省ホームページ)
上の表は、財務省が公表しているものです。耐用年数ではない建物の平均寿命の推計です。この資料によれば、木造専用住宅の平均寿命は2005年の時点で54年とされています。耐用年数27年のちょうど倍になるわけです。2005年の推計なので、今はさらに寿命が伸びていると考えられます。
このようにあまりにも事実とかい離した中古市場の仕組みが、日本の中古住宅市場から活気を奪い続けてきました。国・銀行・不動産業者が首をそろえて「建物の寿命はせいぜい30年~35年ですね」といえば、素人は信じるほかにありません。一緒にシロアリ被害の写真をみせて「新築のほうがよくないですか?」といわれれば、新築の購入に動くのは道理です。
結果として、本当は価値があったものも売れない。売れずに時間が経って、本当に価値がなくなる。だから、いつまでたっても空き家が減らないという流れです。
固定資産税
空き家が減らない原因は「固定資産税が高くなるからだよ」と聞いたことがある方も多いでしょう。個人的な意見ですが、これは空き家が減らない直接的な原因としては弱いです。正しくは、空き家が壊されない原因です。
不動産を所有している方なら誰しもが納めている固定資産税ですが、土地と建物では別々に課税されています。固定資産税には不思議な制度があるのですが、土地の上に建物が建っていると、土地にかかる固定資産税が安くなるという制度です。それも多少安くなるのではなく6分の1になります。
ということは、ぼろぼろで誰も住みたがらないような空き家でも壊してしまっては損なのです。だから、家主は空き家を壊さないということです。
どうでしょうか?固定資産税が高くなるから壊さないという時点で、その住宅はすでに空き家なんです。なので、固定資産税は別に直接の原因にはなっていません。
「更地にすれば売れる、売りやすくなる」というのは不動産業者の理屈です。更地にしたところで、売れない土地は売れません。どうにもならない空き家だから困るのです。
区分所有法と議決権
分譲マンションなど共同住宅には、管理組合があります。管理費や修繕積立金の管理運用を行っており、清掃などの日常業務も担っています。管理組合にもいろいろな形態があり、自主管理と呼ばれる住人で組織する形態や、専門の業者に委託する形態もあります。
新しく建てられたマンションは問題ないのですが、最近はかなり古いマンションも出てきています。古くなったマンションは、大規模修繕などを行ってリニューアルするか、解体するかを行わないと危険です。古いマンションなので、耐震・免震性能もよいものとは言えず、地震など非常時に倒壊して進路をふさいでしまうなどが考えられます。
「では、さっさと壊してしまいましょう!」といいたいところですが、分譲マンションのような区分所有の不動産は誰かの独断で物事を進めることができません。区分所有法によって、何かを行うためには、一定数の賛同を得なければならないとされています。
建て替えの決議(第六十二条)
集会においては、区分所有者及び議決権の各五分の四以上の多数で、建物を取り壊し、かつ、当該建物の敷地若しくはその一部の土地又は当該建物の敷地の全部若しくは一部を含む土地に新たに建物を建築する旨の決議(以下「建替え決議」という。)をすることができる。
上に示したのは、建て替えの決議ですが5分の4以上の同意を得なければならないとされており、同意を得るだけでも十分に難しい話です。ですが、最近では一体誰が所有者かわからないということも起こっています。所有者がわかっていても認知症が始まっていて意思能力が認められないケースもあります。
空き家が増える原因
どうして空き家が減らないのか解説しました。減らないのであれば、これ以上空き家になる家を増やさなければいい。そう思いますよね。でも、そうはいきません。
この章では、空き家が増えていく理由を解説します。減らない話のなかにも、いくつかヒントはちりばめたのですが、お気付きの方もいらっしゃるでしょう。
これからお話しすることに、すでに巻き込まれている人、これから巻き込まれる人は年々増えるはずです。社会構造上の欠陥によって起きてことなので、回避することはとても困難です。とはいえ、その時のためにどうするのかを決めておくことは一定の効果が期待できるので備えておくとよいでしょう。
新築の供給過多
先述したように、住宅投資はリターンが倍になって返ってくる超優良案件でした。こんなに簡単に景気刺激ができて、税収も増える方法を国が行わないわけはありません。多少の負担をしてでも、国民に新築住宅をどんどん建ててもらおうと考えます。
最近の主な新築増加策としては、住宅ローン控除や住まい給付金などが挙げられます。ほかにも国は様々な優遇策を提示することで、新築の建設を促進していました。結論から言ってしまえば、供給過多になっていますし、国は供給過多にも気付いていました。しかし、劇薬がやめられなかったというだけです。
空き家数、空き家数及び空き家率の推移(引用:平成25年住宅・土地統計調査)
上のグラフをみれば、新築の供給過多は明らかです。総住宅数は、ほぼ安定的に増えていっています。新築供給が安定的に行われている証であり、それに伴って空き家が増え続けるのは家が余っている証拠です。
新築住宅がどんどん供給される裏側には、中古住宅への間違った認識があります。先述した中古市場の失敗と新築の供給過多は、表裏一体の問題であり、決して交わることなく溝が広がっています。「だから、皆さん!中古住宅に住みましょう!」と単純なことをいうわけにはいきませんが、中古住宅(既存住宅)について少し考え直してみることも、わたしたちの今後に重要なことではないでしょうか。
売れない不動産
いつの時代もヒット商品がありました。しかし、ヒット商品の何倍も鳴かず飛ばずの商品が生まれています。不動産にも、売れる不動産と売れない不動産が存在します。
売れない不動産は、空き家になる可能性は大です。利便性などを考えれば建てるべきではない賃貸住宅など、無計画な建設も時にはあります。しかし、思いがけず売れない不動産になってしまうこともあります。それが以下のような不動産です。
既存不適格建築物
この言葉を聞いたことがあるでしょうか。既存不適格建築物(きそんふてきかくけんちくぶつ)といいます。漢字の意味をなぞっていけば、なんとなく意味が分かるかもしれません。既に建っているが、今の法律に照らし合わせると不適格な建物をいいます。
ずいぶんと昔に建てられた時の建築基準法には適合していたのですが、改正が重ねられるにつれて適法ではない建物になってしまう。古い建物では、知らぬ間に既存不適格建築物になってしまったということが、しばしば起こります。災害(地震など)への備えとして、建築基準法が改正されることがあるため、どのように変わるのかは誰にも予測がつきません。
例えば、接道義務といって、建築物のある敷地の2メートル(または3メートル)が、幅4メートル(または6メートル)以上の道路に接しなければいけないとされています。東京の下町などでは、全面道路の幅員が2メートルにさえ満たない土地に建っている古い家もあります。このような家は既存不適格建築物ということです。
様々な緩和策は用意されているものの、面倒な土地には変わりありませんし、時にはどうしようもないということがあります。建物が建てられない土地と分かれば、購入したいと思う人が減るのは当然です。結果として、既存不適格建築物が放置されるというケースがあります。
旧耐震構造・老朽設備物件
既存不適格建築物と似たような流れになるのですが、耐震構造や住宅設備などが古すぎて売れないというケースもあります。日本は地震大国なので、地震があるたびに耐震基準の見直しが行われます。特に昭和56年5月31日以前に建てられたようのものだと、構造上かなり不安視されます。
最近では耐震だけにとどまらず、省エネ性などにも着目されています。トップランナー基準(別名、2020年基準)といわれる省エネルギー性基準があります。今は義務化されていませんが、2020年には義務化される予定なので、2020年以降は基準を満たさない家は建てることができなくなります。
一次エネルギーと二次エネルギーといって、わたしたちが消費するエネルギーには種類があります。エネルギーの種となる石油や石炭などを一次エネルギーといいますが、日本は一次エネルギー保有国ではなく、輸入国であり、外国に頼っています。買っているわけです。
政府は、買っているエネルギーが高騰すると考えています。今後、国力の増強を考えれば、エネルギーコストを引き下げる必要があると考えて、省エネルギー基準の厳格化に至ろうとしているわけです。省エネ性の悪い家に住めば、燃費の悪い車に乗っているのと一緒で、わたしたちの生活も困窮してしまいます。
最近の住宅事情は、大きな流れとして、このような流れがあります。燃費の良い車は売れるけど、燃費の悪い車が売れないのと同じことが住宅でも起きているのです。安全面でも、エアバックが作動するかもわからないボロボロの中古車より、最低限の安全装置が作動する車がいいですよね。
高齢化による弊害
このところ、介護という言葉を耳にしない日は少なくなりました。高齢化に伴って、介護問題は大きな社会問題となっており、老老介護という言葉も生まれました。実は、高齢化(そして、介護)は空き家問題にも密接に関係しています。
実家に戻って親の介護をするという場合は、深刻な問題にはなりません。問題になるのは、実家に戻って面倒をみることができないので老人ホームに入居してもらう場合です。2パターンのシナリオに分かれます。
身寄りがある場合
まず身寄りがある場合ですが、老人ホームに入居した時点で、今まで住んでいた家には誰も住まなくなります。居住者がいなくなった時点で、すぐに売りに出せれば問題はありません。しかし、中には売りに出せないことがあります。
よくあるのが「長年過ごした家への愛着」です。夫婦寄り添って生きてきて、家族との時間を見守ってくれた家。できれば手放したくないというのが人情です。結果として、亡くなるまでは売らないです。
こうなると計画も目処も立ちません。居住者がいないので、家の劣化が急速に進みます。ようやく売却の準備が整った時には、とても売り物になるような物件ではなくなっていた。こんなシナリオが頻発しています。
身寄りがない場合
さらに厄介なのは、身寄りがない場合です。老人ホームに入居すると、家の所有者が暮らしている場所は老人ホームに移ります。しかし、老人ホームに入居したことは不動産登記を確認しても分かりません。
通常、第三者が不動産について調べるときには、登記情報を最初の手掛かりとします。ですが、登記を確認したところで所有者を発見できないので、いきなりストップがかかってしまいます。必死に探せば見つかるかもしれませんが、手を打つのが遅れることは必至です。
そうこうしている間に家は劣化。相続問題も立ちはだかり、売却の目処が立たない。そして、空き家になってしまうというシナリオです。
相続問題
相続問題から空き家になるケースも増えています。こちらも2パターンに分かれます。どちらのパターンも解決が困難な場合がほとんどです。
少しでも解決を早めるのに重要なのは、どちらのケースであっても、実際に相続のタイミングが訪れる前に話し合っておくことです。相続問題では常に言われることですが、相続が決まってから考えるのではあまりにも遅いのです。相続のスケジュールは思っているよりキツキツになっています。
複数の家を所有してしまう
「こんなに家があっても...。」これは決してお金持ちのボヤキではありません。ごく普通の一般的な家庭でも、自宅以外に2つ家を抱える可能性が高まっています。理由は、核家族化の進行です。
ひと昔前であれば、先祖代々暮らしてきた立派な家を引き継いでいくのが普通でした。しかし、日本では核家族化が進み、「親は親の家に、子は子の家に」という構図になっています。夫婦なので、お父さんにも親がいますし、お母さんにも親がいます。
すると、どうなるでしょうか?夫婦で建てたマイホームに加えて、それぞれの実家が1つずつ。合計で3つの家を手にすることになるのです。これもひと昔前なら「やったー!」ともろ手を上げて喜べました。
しかし、今はそうはいきません。売れる物件とは限らない、むしろ売れない不動産である可能性が高まっているからです。先述したようなニュータウン問題に巻き込まれることもあります。先ほど説明したばかりの、老人ホーム問題に巻き込まれることもあるでしょう。
争続問題
もうひとつのパターンは「争続問題」です。相続では、権利者が必ずしも一人とは限りません。共同相続となったときには、兄弟姉妹など、一族全体を巻き込んでの騒動に発展しかねません。
争続問題に発展してしまう理由としては、まず単独での相続にするための手続きなどが、相続が開始してから3ヶ月以内に申告しなければならないということを知らないということがあります。相続人が複数いる状態で、期限を過ぎてしまうと自動的に共同相続扱いになります。想像してほしいのですが、相続の手続きがうまくいかないときというのはどういうときでしょうか?
すでに揉め事になっているときですよね。言い合いをしているうちに大事なことがひとつも決まらず、知らぬ間に手が付けられなくなる。こういったパターンがたいへんよくあります。「相続できる!」とわかったときに喧嘩になることもありますが、それ以前から仲の悪い兄弟で音信不通ということはあります。
そうこうしている間に共同相続になりますが、共同相続になった財産の処分はさらに困難を極めます。売るにしても、貸すにしても、相続人全員の合意が必要です。つまり、全員の答えが一致しない限り、どうすることもできなくなる可能性があります。
結果として、どうにもできなくなった建物が空き家となってしまうこともあります。また、相続問題は途切れることがないのが恐ろしいところです。相続人のひとりが亡くなると、さらに相続が発生して共有者が増えます。考えただけでもゾッとするようなシナリオが待ち受けています。
不動産投資家
意外な落とし穴になっているのが、不動産投資家が絡んでいる物件です。彼らが絡んでいる「不採算物件」は、空き家になる率が高い仕組みがあります。特にマンションやアパートなどの共同住宅で顕著です。
マンションやアパートなどの共同住宅は、一戸建てに比べて建物の規模が大きくなります。当然、建物の規模が大きくなれば、解体費用はけた違いに高くなります。RC造マンションの解体ともなれば、その費用は数千万になることが普通です。
このような物件で、採算が取れていないときにどうなるのか。不動産投資家ですから、収益性だけが興味といっても過言ではありません。収益が見込めなければロスカット(損失の切り捨て)をすることも考えるでしょう。
しかし、解体費用が膨大な物件では、壊さずに固定資産税を払っていたほうがマシという判断も成り立つのです。結果として、ろくに管理もされないボロボロのアパート・マンションが突如として現れるのです。
残飯と空き家
ごく当たり前のことですが、誰だって残り物は食べたくないんです。増えていく空き家は、冷蔵庫に残っている賞味期限が切れた食べ物です。誰だって食べたくないんです。
しかも、その食べ物を買ったのは「わたしじゃない誰か」です。その誰かが残していった食べ物を、どうしてわたしが食べなければいけないのか?好きでもないのに。
みんなでそうやって考えていたら、知らない間に人の数が減ってしまった。異臭を放ち始めて、食べられなくても何とかして片づけなければいけない食品が増えてきた。やばい!片づけよう!と思っても、人手が足りない!
今まで残り物をおいしく食べる方法を真剣に考えてこなかったものだから、料理の仕方もわからない。本当はまだおいしく食べれるのに。残飯をおいしく料理してくれるレストランは、まだまだ準備中。
生ゴミが増えて、増えて、増えて、増えて…。どうしようもなくなる。大げさかもしれませんが、これが空き家問題です。