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地目が「山林」の土地に家を建てることはできるのか?


地目が「山林」であっても家を建てることは可能です。

まごころう

ただし、地目「山林」の土地に家を建てる場合には、

  • 森林法の制限
  • 建築基準法の制限
  • 都市計画法の制限
  • 宅地造成等規制法の制限

をクリアしなければいけません。

各制限について、詳しく解説を続けます。


地目「山林」の土地に家を建てるまでの流れ

地目が「山林」の土地に家を建てるまでには、

  1. 建築指導課(市町村)との協議
  2. 開発審査課(市町村)との協議
  3. 都市計画課(市町村)との協議
  4. 林業振興課(市町村)との協議
  5. 「宅地(あるいは雑種地など)」に地目変更を行う

といった手順を踏む必要があります。

建築指導課(市町村)との協議内容

建築指導課(市町村)との協議内容は、

  • 建築基準法上の建築物そのものについて
  • 建築基準法上の道路に接道しているかについて
    (※接道義務を果たしているかどうか)

です。

最大のネックとなるのは、建築基準法上の道路に接道しているのかです。

建築基準法では、建物の敷地は建築基準法上の道路に2m以上接していなければならないとされています。

まごころう

建築基準法上の道路に接道していない場合には、

  • みなし道路などの認定を受ける
  • そもそも道路がない場合には、開発行為により道路を引き込む

などの対策が必要になります。

くわしくは以下の記事を参考にしてください。

開発審査課(市町村)との協議内容

開発審査課(市町村)との協議内容は、宅地造成についてです。

家を建てるにあたって宅地造成工事を行う場合には、宅地造成等規制法の許可を受ける必要があります。

宅地造成とは、

  • 宅地
  • 宅地以外の土地

において行う、土地の形質の変更で政令で定めるものをいいます。

宅地造成工事を規制区域内で行う場合には、都道府県知事から宅地造成等規制法の許可を受けなければ、工事に着手できません。
(※ 都市計画区域は関係がない。)

まごころう

ただし、後述する都市計画法における開発許可を得ている場合には、宅地造成等規制法の許可を重ねて受ける必要がありません。

ちなみに、政令で定める土地の形質の変更とは、

  • 高さ2mを超えるがけを生ずる切土
  • 高さ1mを超えるがけを生ずる盛土
  • 切土と盛土を同時にする場合であって、盛土により生ずるがけが1m以下であっても、切土と盛土により高さ2mを超えるがけを生ずる場合
  • 切土と盛土をする土地の面積が500㎡を超えるもの

が該当します。

都市計画課(市町村)との協議内容

都市計画課(市町村)との協議内容は、

  • 市街化調整区域の制限
  • 都市計画公園の制限
  • 開発行為の制限

の3つです。

市街化調整区域の制限

地目が「山林」である以上、ほとんどの場合、市街化調整区域に位置しています。

市街化調整区域に位置している場合には、建築基準法上の建築物を建てるにあたって、都市計画法上の許可を得る必要があります。

原則として、市街化調整区域では建物の建築が認められていません。

それゆえ、

  • 駐車場
  • 太陽光発電所
  • 特定産業施設

以外には、ほとんど許可を得ることができません。
(※特定産業施設を除き、人が出入りすることができる施設の設置さえ認められません。)

都市計画公園の制限

都市計画法によって都市計画公園に指定されているエリアでは、原則として、建物の設置が認められません。

山林の周辺に公営墓地などがあり、記念施設などが建設されている場合は、かなり広い範囲にわたって都市計画公園に指定されていることがあります。

まごころう

都市計画公園については、都市計画課に相談いっても見落としが多々あります。

計画実行の直前で判明した場合、すべてが無駄になってしまうので、あなたの方から先に確認を行うことをおすすめします。

開発行為の制限

道路を新設する場合には、規模などに応じて、開発許可を得なければいけません。

開発行為とは、主として建築物の建築または特定工作物の建設の用に供する目的で行う土地の区画形質の変更をいいます。

ですので、道路を新設するための土木工事は「開発行為」に該当します。

開発許可が受けられない場合、道路を新設することができません。

まごころう

開発許可には、許可不要の行為も規定されており、

  • 都市計画区域ごとの面積規定
  • そのほか、こまかい状況規定

があります。

開発行為によって道路を通さなければいけない場合、数千万円の費用を要すので、個人での実施は非現実的です。

近年は減りましたが、大規模宅地開発を行うような不動産業者が「ニュータウン」を開発する場合などが該当します。

くわしくは以下のページを参考にしてください。

林業振興課(市町村)との協議

基本的に、建築基準法上の建築物を建設するにあたって伐採が必要な場合には、地域森林計画などに沿って伐採届けを提出しなければいけません。

また、山林で道路を新設する場合には、都市計画法による開発許可に加えて、森林法における林地開発許可も受ける必要があります。

参考になるサイト

まごころう

すべての制限がクリアできた段階で、工事に着工します。

工事完了後、地目を「宅地」に変更して終了となります。

地目が「山林」の土地に家を建てる場合には、

  • 固定資産税の増額
  • 大規模な地盤改良工事

など、家というよりも土地の改良による費用負担が膨れ上がる可能性があります。

予算などを考えるときには、細心の注意を払うようにしてください。
(※予算が間に合わなくなり、山中で放棄されている現場などは意外と多く見つかります。)

また、山林に家を建てるときには、

  • 急傾斜地崩壊危険区域
  • 土砂災害警戒危険区域

などに指定されていないかどうかも確認してください。

指定を受けている場合、生活をするには確実に向いていません。

台風などにより大雨にさらされれば、土砂崩れなどが起きる可能性が高く、巻き込まれて死亡するリスクが格段に高まります。

急傾斜地崩壊危険区域(および土砂災害警戒危険区域)については、以下の記事を参考にしてください。


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