抵当権が設定されている不動産の名義変更について解説しています。
抵当権の対象となる借入の債務状況によって対応が異なるので、あなたの状況に応じた対応を確認してください。
抵当権が設定されている不動産の名義変更をするとき、
- 相続が関係するケース
- 贈与が関係するケース
においては「抵当権抹消登記」を必要としないことが多いです。
とはいえ、後々トラブルに発展することもあり得るので、できれば「抵当権抹消登記」も同時に行なってください。
さらに詳しく
抵当権が設定されている不動産の名義変更
抵当権が設定されている不動産の名義をする場合には、
- 抵当権の対象となる借入が完済できている場合
- 抵当権の対象となる借入が完済できていない場合
によって対応が異なります。
抵当権の対象となる借入が完済できている場合
抵当権の対象となる借入が完済できている場合には、
- 抵当権抹消登記を行う
(※ただし、必須ではないことがある) - あなたの希望する名義変更を行う
となります。
所有権移転登記によって名義変更を行うことになりますが、
- 相続による名義変更
- 贈与による名義変更
- 売買による名義変更
のうち、
- 相続による名義変更
- 贈与による名義変更
では、抵当権抹消登記を必要としないケースが多いです。
売買による名義変更登記では、通常、新所有者が第三者なので「抵当権抹消登記」を行わなければ、不動産取引がストップします。
しかし、
- 相続による名義変更
- 贈与による名義変更
では、通常、新所有者が身内の人間なので、「抵当権抹消登記」を行わなかったとしてもトラブルに発展する可能性が低いことから放置されるケースが多くなります。
ココがポイント
抵当権が設定されている不動産の名義変更をするときに、抵当権の対象となる借入が完済できている場合には、
- 相続による名義変更
- 贈与による名義変更
- 売買による名義変更
に応じて、抵当権抹消登記を実行するか相談し、名義変更(所有権移転登記)を行う。
抵当権の対象となる借入が完済できていない場合
抵当権の対象となる借入が完済できていない場合には、
- 抵当権者(金融機関など)に名義変更(所有権移転登記)を実行してよいか確認する
- 抵当権者(金融機関など)の返答に応じて、抵当権抹消登記を行う
- あなたの希望する名義変更を行う
となります。
抵当権の対象となる借入が完済できていない場合、抵当権の効力が「抵当権者(金融機関など債権者)」に残っている状態です。
つまり、担保にしている不動産について、勝手に権利関係を変更することは、原則として許されません。
また、抵当権設定契約書(通常、金銭消費貸借契約書と一体になっている)には、
- 所有権を譲渡するような場合は、抵当権者の承諾を得ること
- 承諾を得ないまま所有権移転を行なった場合には、一括返済をすること
といった定めがされています。
抵当権者(金融機関など債権者)からの承諾が得られたのであれば、以後の手続きは「抵当権の対象となる借入が完済できている場合」と同じになります。
おそらく抵当権の対象となる借入を完済できる(または完済できる見込みがある)場合でなければ、抵当権者(金融機関など債権者)からの承諾を得ることはできません。
たとえば、返済が滞っている場合に、
- 贈与
- 売買
により登記名義人および所有権を親族に移し、債務者(お金を返す人)を変更することで返済をスムーズにするような話であれば望みがあるかもしれません。
ココに注意
抵当権が設定されている不動産の名義変更において、抵当権の対象となる借入が完済できていない場合には、抵当権者(金融機関など債権者)を必ず得ること。
抵当権者(金融機関など債権者)の承諾を得ずに名義変更(所有権移転登記)を行なった場合、一括返済などをしなければいけなくなることがあります。