【一般媒介契約】契約の特徴

【一般媒介契約】契約の特徴

一般媒介契約について、契約の特徴を解説している記事です。

一般媒介契約について、

  • 一般媒介契約とは
  • 一般媒介契約の特徴

を解説しています。

このページでは標準一般媒介契約約款(国土交通省規定)をベースに解説を進めています。

さらに詳しく

各媒介契約の共通点については、不動産の売買における「媒介契約」を参考にしてください。

媒介契約の共通点には「消費者保護のために重要なこと」が多く記載されています。

一般媒介契約とは

一般媒介契約とは、不動産仲介業者に売却を依頼するときに行う契約で、

  • 売主(依頼者)
  • 不動産仲介業者

の双方にとって、もっとも制約の弱い媒介契約です。

明示型

標準一般媒介契約約款(重ねて依頼をする宅地建物取引業者の明示)より抜粋

甲は、目的物件の売買又は交換の媒介又は代理を、乙以外の宅地建物取引業者に重ねて依頼するときは、その宅地建物取引業者を乙に明示しなければなりません。

一般媒介契約の締結時においてすでに依頼をしている宅地建物取引業者の称号又は名称及び主たる事務所の所在地は、一般媒介契約書に記載するものとし、その後において更に他の宅地建物取引業者に依頼をしようとするときは、甲は、その旨を乙に通知するものとします。
(※1 甲とは、「依頼者」を指します。)
(※2 乙とは、「依頼を受ける宅地建物取引業者」を指します。)

一般媒介契約(明示型)とは、売主が一般媒介契約を締結した不動産仲介業者を明らかにしなければいけない一般媒介契約です。

例えば、不動産仲介業者Aと一般媒介契約(明示型)を締結した後に、

  • 不動産仲介業者B
  • 不動産仲介業者C

と一般媒介契約(明示型)を締結した場合には、すべての不動産仲介業者に対して契約の締結状況を知らせます。

ココに注意

一般媒介契約(明示型)を活用する場合には、すべての不動産仲介業者に対して、適切に契約状況を通知してください。

万が一、通知漏れが起きると「損害賠償請求(広告費など)」を受ける恐れがあります。

たとえば、

  • 不動産仲介業者A
  • 不動産仲介業者B
  • 不動産仲介業者C

と一般媒介契約(明示型)を締結していたにも関わらず、不動産仲介業者Cについて、

  • 不動産仲介業者A
  • 不動産仲介業者B

に通知をしていなかったとします。

このときに、不動産仲介業者Cによって売買契約が成立した場合、

  • 不動産仲介業者A
  • 不動産仲介業者B

から、「申告がなかった」として営業にかかった費用の請求を受けることになります。

まごころう

一般媒介契約を正常に機能させたいのであれば、明示型を選ぶようにしてください。

一般媒介契約(明示型)にすることで、不動産仲介業者同士が競合を意識するので、競争を誘うことができます。

ただし、一般媒介契約に、

  • 明示型
  • 非明示型

があることを知らない不動産仲介業者も多いです。

非明示型

一般媒介契約(非明示型)とは、売主が一般媒介契約を締結した不動産仲介業者を明らかにしなくてよい一般媒介契約です。

例えば、

  • 不動産仲介業者A
  • 不動産仲介業者B
  • 不動産仲介業者C

と一般媒介契約(非明示型)を締結したとしても、何もする必要はありません。

一般媒介契約の特徴

以下は、一般媒介契約の特徴を表にまとめたものです。
(※ほかの媒介契約と異なる点です。)

一般媒介契約
業務処理状況の報告義務 なし
指定流通機構(レインズ)への登録義務 なし
複数の不動産仲介業者との契約 可能
自己発見取引の可否 可能

各媒介契約の共通点については、不動産の売買における「媒介契約」を参考にしてください。

媒介契約の共通点には「消費者保護のために重要なこと」が多く記載されています。

業務処理状況の報告義務はない

一般媒介契約では、

  • 広告掲載状況
  • 問い合わせ件数
  • 案内件数

など、不動産仲介業者が売主(依頼者)に対して業務処理状況を報告する義務はありません。
(※標準一般媒介契約約款には、記載そのものがない。)

まごころう

業務処理状況の報告義務がないので、

  • 売主(依頼者)が状況をまったく把握できない可能性がある
  • 不動産仲介業者が物件を預かっていることを忘れる可能性がある

などのリスクが考えられます。

しかし、売主(依頼者)が状況をまったく把握できない可能性があることについては、実はあまり大したことではありません。

というのも、

  • 内覧の申し込みがあったとき
  • 購入希望者から具体的な話があったとき

など、スケジュール調整などが必要な時には必ず連絡が入るからです。
(※不動産仲介業者としては、仕事をアピールできるタイミングなので大事にもしたい。)

本当にリスクとなるのは、不動産仲介業者が物件を預かっていることを忘れる可能性があることです。

不動産仲介業者は複数の物件を預かっているので、売れ筋の物件以外は目立たなくなり、預かっていたことを忘れてしまいます。

あなたが売却に向けて一生懸命に動いてくれていると考えていても、不動産仲介業者は忘れているだけで何もしていないということが往往にして起こります。

一般媒介契約を選んだ場合には、最低でも1ヶ月に1度は、あなたから連絡を取るように心がけましょう。

レインズ(指定流通機構)への登録義務はない

標準一般媒介契約約款(指定流通機構への登録)より抜粋

乙は、この媒介契約において目的物件を指定流通機構に登録することとした場合にあっては、当該目的物件を一般媒介契約書に記載する指定流通機構に登録しなければなりません。
(※1 甲とは、「依頼者」を指します。)
(※2 乙とは、「依頼を受ける宅地建物取引業者」を指します。)

一般媒介契約の場合には、レインズ(指定流通機構)への登録義務はありません。

標準一般媒介契約約款(指定流通機構への登録)にある通り、一般媒介契約書内にて、レインズ(指定流通機構)への登録について「特別の定め」をした場合のみ、不動産仲介業者に登録義務が発生します。

また、一般媒介契約書によって定められているのは「レインズ(指定流通機構)への登録義務」についてだけなので、

  • 自社ホームページ
  • スーモ
  • ホームズ
  • アットホーム

などへの登録は不動産仲介業者の自由です。

複数の不動産仲介業者との契約が可能

一般媒介契約では、複数の不動産仲介業者との契約が可能です。

ただし、

  • 明示型
  • 非明示型

のいずれを選んだかによって、報告義務に違いがあるので注意してください。

自己発見取引が可能

標準一般媒介契約約款(甲の通知義務)から抜粋

  1. 甲は、この媒介契約の有効期限内に1に表示する宅地建物取引業者以外の宅地建物取引業者に重ねて目的物件の売買又は交換の媒介又は代理を依頼しようとするときは、乙に対して、その旨を通知する義務を負います。
  2. 甲は、この媒介契約の有効期間内に、自ら発見した相手方と売買若しくは交換の契約を締結したとき、又は乙以外の宅地建物取引業者の媒介若しくは代理によって売買若しくは交換の契約を締結させた時は、乙に対して、遅滞なくその旨を通知する義務を負います。
  3. 1及び2の通知を怠った場合には、乙は、一般媒介契約約款の定めにより、甲に対して、費用の償還を請求することができます。

(※1 甲とは、「依頼者」を指します。)
(※2 乙とは、「依頼を受ける宅地建物取引業者」を指します。)

一般媒介契約では、

  • 自ら取引の相手方を見つけての取引(自己発見取引)
  • ほかの不動産仲介業者の紹介による取引

を成立させることは可能です。

ただし、契約を成立させたときには、遅滞なく一般媒介契約を結んでいた不動産仲介業者に通知してください。

通知を怠った場合、不動産仲介業者は、販売活動に要した実費(広告費など)について、約定報酬額(つまり、仲介手数料の額)を超えない範囲で請求する権利が生まれます。

【補足】法律上、契約期間の定めはないが、原則として3ヶ月以内

標準一般媒介契約約款(有効期間)より抜粋

一般媒介契約の有効期間は、3ヶ月を超えない範囲で、甲乙協議の上、定めます。
(※1 甲とは、「依頼者」を指します。)
(※2 乙とは、「依頼を受ける宅地建物取引業者」を指します。)

一般媒介契約には、法律上、契約期限の定めがありません。

とくに何も定めることなく、一般媒介契約を結んだ場合には、契約日から3ヶ月が契約期間になります。

ただし、特約によって特別の期間を定めることができます。

とはいえ、標準媒介契約約款では「3ヶ月を超えない範囲で定める」と明記されているので、3ヶ月を超える契約期間は無効になる可能性があります。

まごころう

一般媒介契約を複数の不動産仲介業者と締結している場合には、すべての契約期間を揃えると管理がしやすくなります。

契約期間がバラバラになっていると、どうしても管理が煩雑になるので、できる限り揃えるようにしましょう。

不動産仲介業者に短い契約期間について説明を求められた場合には、「ほかの不動産仲介業者と期間を揃えることで管理しやすくしたい」と告げて構いません。

不動産仲介業者に競合他社を意識させることにも繋がります。