不動産は持っているだけで「固定資産税」という税金がかかります。
都市計画税と併せて課税される税金ですが、毎年かかる税金で、税負担も比較的大きい税金です。
本記事では「固定資産税:概要および減額措置」について解説します。
固定資産税については、様々な状況に応じた特例や減額措置が用意されています。
申請が必要ですが、まとまった額の補助が受けられるので、ぜひ活用してください。
この記事からわかること
- 固定資産税の概要
- 住宅用地の課税標準の特例
- 土地に係る税負担の調整措置
- 新築住宅(建物)に係る固定資産税の減額
- 既存住宅の改修工事に係る固定資産税の減額措置
固定資産税の概要
固定資産税は、毎年1月1日(賦課期日)において、市町村の固定資産税課税台帳に、土地、家屋または償却資産の所有者として登録されている者(個人、法人の別を問わない。)に対して課税される税金です。
固定資産税は、所有者に毎年課税され、市町村から送付される納税通知書に従って、
- 4月
- 7月
- 12月
- 翌年の2月
の4回に分けて納付します。
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固定資産評価証明書の取り方・見方と委任状
あなたは、今、売ろうとしている不動産を購入したとき「固定資産税はいくらかかるのだろう?」と考えませんでしたか?親族から相続した不動産だとしても固定資産税の額を気にしたことがある方がほとんどでしょう。これから売る不動産を「買いたいな」と考える人も同じように固定資産税の額が気になります。
今回は、買主が現れた時にすぐに答えを提示する準備として、固定資産評価証明書の取得方法と固定資産税等納税通知書について解説します。1年に1回のこととはいえ、固定資産税の支払いは大きな出費として気になるものです。特にアパート・マンションなどの賃貸住まいから、自宅を構えようとする方は、今まで経験のない支払いで不安を覚えているはずです。きっちりした額を提示して安心させてあげましょう。
また、実際に売買契約が締結した時には、固定資産税等納税通知書も必要です。具体的には清算のタイミングで必要になります。この点についても触れていきますので、不動産を売るための準備としてしっかりおさえておきましょう。
縦覧制度
納税者は、
- 土地価格等縦覧帳簿
- 家屋価格等縦覧帳簿
を活用することで、所有する土地、家屋と同じ市町村内のほかの土地、家屋の評価額を比較することができます。
縦覧期間は、原則として
- 毎年4月1日から4月20日まで
- その年度の最初の納期限の日
のいずれか遅い日までの間となります。
どちらかというと公平性を保つための制度だと考えたほうがよいでしょう。
課税標準と税率
固定資産税の税額は、
課税標準(固定資産税課税台帳の登録価格) × 1.4%(標準税率) = 固定資産税
で計算されます。
課税標準の基礎となる価格を、固定資産税評価額といいます。固定資産税評価額は、3年ごとに評価替えが行われます。
宅地の評価額は、平成6年度の評価替え以降、地価公示価格の70%を目途に評価の均衡化を図っています。
また、原則として市街化区域内に所在する土地や家屋に対しては、別に都市計画税が課税されます。
(※固定資産税と併せて徴税されます。)
都市計画税の税額は、
課税標準(固定資産税課税台帳の登録価格) × 0.3%(制限税率) = 都市計画税
で計算されます。
住宅用地の課税標準の特例
住宅用地には、税負担を軽減するための課税標準に対する特例が用意されています。
以下は、課税標準の特例について、区分ごとにまとめた表です。
区分 | 固定資産税の課税標準 | 都市計画税の課税標準 |
小規模住宅用地 (住宅の敷地で住宅1戸について200㎡までの土地) |
評価額 × 1/6 | 評価額 × 1/3 |
一般の住宅用地 (住宅の敷地で住宅1戸について200㎡を超え、住宅の床面積の10倍までの土地) |
評価額 × 1/3 | 評価額 × 2/3 |
特例の対象となるのは、毎年1月1日において住宅用地である土地です。
誰も住んでいない家で、使い道がないとしても、解体してしまうと住宅用地ではなくなります。
住宅用地でなくなってしまうと、固定資産税が高くなるので、ぼろぼろの家だとしても壊されずに残るという流れです。
この法律に基づき、必要な措置の勧告の対象となった空き家のことを「特定空き家」といいます。
特定空き家等に係る土地については、特例措置の対象から外れます。
併用住宅の場合
家屋が店舗付き住宅のような併用住宅の場合には、住宅用地として認められる範囲がケースに応じて変化します。
家屋 | 居住部分の割合 | 住宅用地の率 |
1.専用住宅 | 全部 | 1.0 |
2.地上5階以上の耐火建築物である併用住宅 | 4分の1以上2分の1未満 | 0.5 |
2分の1以上4分の3未満 | 0.75 | |
4分の3以上 | 1.0 | |
2以外の併用住宅 | 4分の1以上2分の1未満 | 0.5 |
2分の1以上 | 1.0 |
例えば、2以外の併用住宅で、居住部分が4分の1以上2分の1未満である住宅用地の敷地(150㎡)は、
150㎡ × 0.5 = 75㎡
のみ、住宅用地として課税標準の特例の適用が認められます。
土地に係る税負担の調整措置
土地の価格は数年で急激に変化することがあります。
固定資産税評価額は3年ごとに評価替えが行われますが、ときには地価の変動によって急激な税負担の増加が起こることが考えられます。
なので、急激な税負担の増加を抑えるために、前年度の課税標準額に負担調整措置を適用して課税標準額を計算することにしています。
計算方法
以下のいずれか少ない額が固定資産税額となります。
- 当該年度の固定資産税評価額 × 1.4%(税率)
- 負担調整措置による課税標準額 × 1.4%(税率)
負担調整措置による課税標準額
負担調整措置は、負担水準の高低により異なります。負担水準とは、前年度の課税標準額と当該年度の固定資産税評価額を比較した割合のことです。
負担水準の計算
前年度の課税標準額 ÷ 当該年度の評価額 × 100(%) = 負担水準
※当該年度の評価額は、住宅用地については課税標準の特例適用後の額を用います。
計算から算出された負担水準(%)に応じて、固定資産税の課税標準額に決められた措置が取られます。
商業地等の場合
商業地等については、算出された負担水準(%)に応じて、以下の表の税負担の調整措置が取られます。
(※平成29年度まで)
負担水準 | 負担調整措置 |
70%を超える土地 | 当該年度の評価額 × 70% = 課税標準額 |
60%以上70%以下の土地 | 前年度の課税標準額を据え置きます。 (※前年度の課税標準額をそのまま適用する。) |
60%未満の土地 | 前年度の課税標準額 + (当該年度の課税標準額 × 5%) = 課税標準額 ※上限…評価額の60%相当額 下限…評価額の20%相当額 |
商業地の場合、住宅用地のような特例もなく、地価の上昇が固定資産税の納税額にダイレクトに影響を与えます。
急激な税負担増の煽りを少しでも軽減するために、上記のような対策が講じられます。
住宅用地の場合
住宅用地については、算出された負担水準(%)に応じて、以下の表の税負担の調整措置が取られます。
(※平成29年度まで)
負担調整措置 |
前年度の課税標準額 ≦ 当該年度の評価額 × 住宅用地特例率の場合、
前年度の課税標準額 + (当該年度の評価額 × 住宅用地特例率) × 5% = 課税標準額 |