50代でマンションを購入するとなれば、
- 住宅ローンは借りられるのだろうか?
- 賃貸のほうがいいのではないか?
- 介護が必要になったら、どうすればいいのか?
- 老後資金を使ってもいいのだろうか?
など、様々な不安が頭をよぎります。
とはいえ、今の暮らし方にも不安があるのが現状。
マイホームに暮らしているとしても、
- 足腰が弱ってきたら、階段などがつらい
- 部屋数が多すぎて持て余す
- 車が乗れなくなったら買い物はどうすればいいのか
といった問題があります。
賃貸で暮らしているとしても、
- ずっと入居していられるのか
- 住みやすいように改装したくでも自由にできない
- 家賃を払い続けることができるのか
など、悩みの種は尽きません。
結局、どうするのが今後の人生にとって最適なのかわからないという方が多いでしょう。
本記事では、「50代のマンション購入で考えるべきこと」について詳しく解説します。
結論からいえば、50代でのマンション購入はよい選択です。
50代以降で中古マンションに住み替える人は72.4%!
中古マンションへの関心は年々増加しています。
上のグラフは、国土交通省による「住宅市場動向調査(平成28年度)」から抜粋したものです。
住宅の一次取得者(初めて購入した人)の年齢別の割合を示しています。
中古マンションを購入した人のうち、28.6%(17.0% + 11.6%)が50代以降ということがわかります。
さらに注目したいのは、ほかの住居に比べて、50代以降の方が中古マンションを購入する割合が格段に多いということです。
住宅の二次取得者(住替えなどによる二度目の購入)の年齢別の割合を示しています。
住み替えなどによって中古マンションを購入した人のうち、72.4%が50代以上ということがわかります。
マンション購入者では、50代以上の年齢層がとても目立つ結果になっています。
その理由がわかるのが、以下のグラフです。
中古マンションを購入した方が、どのような理由で中古マンションを選択したのかが示されています。
59%の方が「住宅の立地環境が良かったから」という理由で購入に至っています。
ほかにも、
- 住宅のデザイン・広さ・設備等が良かったから
- 適切な維持管理が見込めるから
といった理由が並んでいます。
マンションは立地がすべてともいわれますが、やはり生活の利便性がとても高いことがわかります。
子育ても落ち着いてきて、今後の人生を楽しむためにも、何かと便利な都心などのマンションに引っ越す方が多いということでしょう。
賃貸と購入の比較
50代からの暮らしを考えたときに、
- 一生賃貸で暮らすのか?
- 購入して暮らすのか?
といった選択に迷うことがあるでしょう。
一度、賃貸と購入について整理してみます。
賃貸住宅の総費用:5,874.5万円
条件
場所 :東京都練馬区
築年数:築28年
タイプ:分譲マンション
面積 :61.39㎡
間取り:2LDK
家賃 :15.5万円
上記の賃貸住宅に、30年間住み続けた場合、
【家賃総額】
15.5万円 × 12ヶ月 × 30年間 = 5,580万円 … ①
【更新料総額】
15.5万円 × 14回 = 217万円 … ②
【敷金・礼金・仲介手数料】
15.5万円 × 5か月分 = 77.5万円 … ③
【総支払額】
① + ② + ③ = 5,874.5万円
賃貸住宅に30年間住んだ総額は「5,874.5万円」となりました。
※引越し費用は除外。
中古マンションの総費用:4,923万円
条件
場所 :東京都練馬区
築年数 :築27年
タイプ :分譲マンション
面積 :58.62㎡
間取り :2LDK
価格 :3,180万円
管理費 :1万2,000円/月
修繕費 :8,000円/月
固定資産税:12万円/年
資金計画 :自己資金1,000万円、借入れ2,180万円(期間15年、固定金利1.5%)
上記の中古マンションを購入した場合、
【住宅ローン総支払額(+自己資金)】
13.5万円 × 12ヶ月 × 15年間 = 2,435万円
2,435万円 + 1,000万円 = 3,435万円 … ①
【管理費、修繕積立金】
(1万2,000円 + 8,000円) × 12ヶ月 × 30年間 = 720万円 … ②
【諸費用】
3,180万円 × 10% = 318万円 … ③
(※一般的な諸費用相場である物件価格の1割を適用。)
【固定資産税】
15万円 × 30年間 = 450万円 … ④
【総支払額】
① + ② + ③ + ④ = 4,923万円
中古マンションに30年間住んだ総額は「4,923万円」となりました。
※引越し費用は除外。
中古マンション購入費用のほうが約1,000万円安い
同じような物件の条件で比較した結果、
- 賃貸住宅の総費用:5,874.5万円
- 中古マンションの総費用:4,923万円
となりました。
選択する物件によって差が出ることはあるものの、中古マンションのほうが総額がかからない計算結果となりました。
同程度の費用で、賃貸より少しグレードの高い部屋に住める可能性もありそうです。
賃貸では大家さんと揉める可能性がある
賃貸住宅に特有の問題として、大家さんと揉める可能性があります。
大家さんと揉めた場合、年齢などの関係上、立場が弱くなりやすく、泣き寝入りする可能性が高いのが現実です。
新居に引っ越すとなれば、
- 保証人の問題
- 引越しの問題
- 物件探しの手間
- 生活の再構築
など、様々な負担が増すことになります。
購入では税制上の優遇が受けられる
中古マンションを購入した場合、
など、税制上の優遇を利用できるケースがあります。
先ほどの例で、住宅ローン控除を利用した場合、
年数 | 年末残高 | 控除率 | 住宅ローン控除額 |
1年目 | 2,018万円 | 1% | 20.18万円 |
2年目 | 1,856万円 | 18.56万円 | |
3年目 | 1,694万円 | 16.94万円 | |
4年目 | 1,532万円 | 15.32万円 | |
5年目 | 1,370万円 | 13.70万円 | |
6年目 | 1,208万円 | 12.08万円 | |
7年目 | 1,046万円 | 10.46万円 | |
8年目 | 884万円 | 8.84万円 | |
9年目 | 722万円 | 7.22万円 | |
10年目 | 560万円 | 5.60万円 | |
合計控除額 | 128.9万円 |
総額でおよそ128.9万円の控除を受けられる可能性があります。
(※所得税額による控除を最大限受けた場合)
マンション購入者の主な購入理由(マンションの魅力)
50代以降に中古マンションを購入した方が、購入に至った主な理由を紹介します。
優れた利便性
マンションは、戸建てなどに比べて周辺環境が整っています。
- 商業施設(スーパーなど)
- 公共施設(市役所など)
- 金融機関(銀行など)
- 公共交通機関(駅など)
などは大体近くにあります。
年齢を重ねてくると、車の運転も不安になってきます。
万が一、車が運転できなくなった時でも、徒歩や公共交通機関を使って簡単に用事をすませることができるのは、マンションの魅力です。
自由にリフォームができる
中古マンションを購入した方の意見に目立つのが、
・中古マンションを購入した場合、好きにリフォームできる
という理由です。
賃貸の場合、どうしても自分の使い勝手のいいようにリフォームすることができません。
大家さんの許可が必要になりますし、許可が下りる保証もありません。
また、原状回復が必要になれば、不要な出費もかさみます。
年齢を重ねるにつれて、自分の暮らしやすいように改装したくなる思いは強くなるので、やはり自由にリフォームができるのは強みと言えるでしょう。
住む場所の不安がなくなる
マンションを購入してしまえば、住む場所の不安はなくなります。
賃貸生活では、急な立退など予定外のアクシデントに見舞われることがあります。
その点、購入してしまえば所有物となるので、住む場所を用意しなければいけなくなることはありません。
高い防犯性
防犯性の高さも、中古マンション購入の魅力です。
常駐の管理人さんや、オートロック、正面玄関のモニターフォンなどが不審者の侵入を阻止してくれます。
万が一、何かしらの事件に巻き込まれてしまったとしても、マンション内であれば監視カメラなどに映像が残っている可能性があります。
ゴミ出しや清掃の負担が軽減
中古マンションは、賃貸や戸建てに比べて、ゴミ出しや清掃の負担は大幅に軽減されます。
とくに戸建ての場合は、町内で決められた場所までゴミを出しに行く必要があります。
毎日することなので、ちょっとしたことかもしれませんが、大きな負担になります。
また、清掃や修繕なども管理費・修繕費さえ収めておけば、管理業者がしっかり手配してくれます。
住む手間が軽減できるのも、中古マンションの魅力です。
売却がしやすい
いざという時に売却しやすいのも中古マンションの魅力です。
戸建てに比べて、需要があるので、流動性が高くなります。
介護施設に入ることになり、住む必要がなくなった時にも現金化しやすいのは大きなメリットになります。
戸建てに比べると、資産価値が落ちにくい傾向もあります。
賃貸収入も得やすい
中古マンションの場合、立地が良いので売却せずに、賃貸に出して収入を得ることも可能です。
便利のいい場所であれば、賃料次第で借り手は比較的簡単に見つかります。
50代以降での購入となれば、間取りも広すぎず狭すぎない需要の見込める間取りと重なる傾向にあります。
資金計画
購入するとなれば、適切な資金計画を無視することはできません。
資金計画について考えてみます。
借入限度額は必ず確認する
いくら借りることができるのかは、必ず確認しましょう。
目安はあくまでも目安でしかありません。
特に、50代以降の借り入れでは
- 年齢
- 退職金
- 勤続予定年数
- 健康状態
などの条件によって結果が大きく変わります。
正確な情報を持たずに物件を探しても徒労に終わってしまう可能性が大です。
ある程度、いいなと思う物件が固まったら、すぐに審査などを行いましょう。
団信(団体信用生命保険)が借入のカギ
50代以降の住宅ローン借入では「団信(団体信用生命保険)」に加入できるかどうかがカギを握ります。
健康状態などによって団信に加入できなかったりすると、借入がまったくできないこともありえます。
10年前後で返済できる額を設定する
年齢や勤続予定年数にもよりますが、期間は10年~15年にしましょう。
退職後にもローンの支払いが続いていることは、やはり大きな負担になります。
ほとんどの方が、定年退職の年齢を意識して期間を決めているのが現実です。
老後資金は必ず確保する
頭金として、どれだけの自己資金を使うか決めるときには「老後資金」の確保を忘れないようにしましょう。
- 年金
- 退職金
- ボーナス
などの予定収入をある程度意識しつつ、今ある資金から使ってもいい額を計算します。
予定収入を当てにして、今ある資金をすべて使ってしまうのはとても危険です。
無理のない人生設計を立てることが重要です。
持ち家がある場合は、売却資金も念頭に
現在、持ち家がある方は「売却資金」を念頭において、資金計画を考えてもよいでしょう。
築15年くらいの物件であれば、売却もスムーズに行え、まとまった資金が用意できる可能性は高いです。
築30年を超えるような物件だとしても、売れないことはありませんし、頭金には十分な額で売却できる可能性があります。
使わずに寝かせていても、固定資産税など余計な出費がかかるだけなので、早めに売却に動きましょう。
50代でマンションを購入した方の体験談
50代でマンションを購入した方の体験談を紹介します。
50歳を過ぎてからマンションを購入し、すぐに完済
主人は普通のサラリーマンでした。
購入の際には、住宅ローンを活用しましたが、老後の暮らしに負担がないように60歳までに返済できるように組みました。
退職金なども活用して、予定通りに完済し、今は管理費・修繕費くらいしかかかっていません。
家賃よりはるかに少ない支出で、年をとっても住むところに不安を感じることなく暮らせているのは、やはり大きいです。
設備などもよく、周辺環境も整っているので、賃貸ではなく購入にして正解だったと思っています。
年齢を重ねるにつれて、使い勝手のいいように改修したくなる
以前住んでいたマンションを売却し、今のマンションに引っ越しました。
賃貸に住んでいた時期もあったのですが、はやり年齢を重ねるにつれて、好きなようにリフォームできないことが負担でした。
すこしの違いですが、どこか落ち着かなかったり、使い勝手の悪さにストレスが日々募る一方で…。
今のマンションに越してからは、自分の好きなように改装することができ快適に過ごせています。
また、賃貸住宅で暮らしていたころには大家さんと揉めたこともありました。
こちらの都合も多少は考えてくれましたが、やはり満点とはなりませんでした。
10年ローンを組んで購入しましたが、以前住んでいたマンションの売却資金もあって、すぐに完済することができました。
今の暮らしに満足しています。
50歳間近で都心に新築マンションを購入
50歳間近でしたが、都心に新築マンションを購入しました。
子育てもひと段落し、あまり広いスペースも必要なかったので、新築ですが、それほど大きな額にななりませんでした。
夫も勤続年数が長かったおかげで、ローンをスムーズに組むことができたので良かったです。
施設に行くときのことも考えると、「都心で新築」なので、売却もすぐにできるだろうと見込んでいます。
いろいろと不安はあったものの、夫の通勤や普段の生活も楽になり、正解だったかなと思っています。