住宅を取得した場合の特例
住宅を取得した場合の特例について詳しく解説します。
新築住宅を取得した場合
- 住宅を新築した場合(増改築を含む)
- 新築未使用住宅を取得した場合
には、住宅の価格から一定額(最大1,200万円)を控除した額が課税標準とされます。
要件 | 住宅1戸あたりの控除額 |
床面積が50㎡(戸建以外の貸家住宅は40㎡)以上240㎡以下であること | 1,200万円 |
※平成20年度改正により、長期優良住宅の普及の促進に関する法律の施行日(平成21年6月4日)から平成30年3月31日(平成28年度改正により延長)までの間に取得された新築認定長期優良住宅について、認定を受けて建てられたことを証する書類を添付して都道府県に申請がされた場合には、当該住宅の課税標準から1,300万円を控除する措置が講じられています。
新築して一定の期間が経過しているものの、人が居住するには使っていない家です。
ちなみに新築の要件は、
- 人が住んだことがないこと
- 築後1年以内であること
の両方を満たしている必要があります。
例えば、会社の近くに家があるが、郊外にも家がある場合などです。
基本的に平日は通勤のしやすい会社近くの家で暮らしていますが、週末には家族の待つ郊外の家に帰ります。
別荘は、日常生活以外の用に供する家屋で専ら保養のように供するものと定義されています。
年に数回しか使わないような家は別荘です。
自己居住用の既存住宅(耐震基準適当既存住宅)を取得した場合
既存住宅を取得した場合には、住宅の価格から一定額を控除した額が課税標準とされます。
一定額は、新築された時において施行されていた地方税法によるため、新築時期によって異なります。
要件 |
(A)自己の居住用として取得すること
(B)床面積が50㎡以上240㎡以下 (C)次のいずれかに該当すること (a)昭和57年1月1日以後に新築されたもの(平成17年度改正により、平成17年4月1日以後に取得した住宅から適用) (b)建築基準施行令第3章および第5章の4の規定または地震に対する安全性に係る基準に適合することが証明されたもの(平成17年度改正により、次のいずれかの証明書類を添付することにより、平成17年4月1日以後に取得した住宅から適用) (イ)耐震基準適合証明書(住宅の取得の日前2年以内にその証明のための住宅の調査が終了したもの。建築士、指定確認検査機関、登録住宅性能評価機関または住宅瑕疵担保責任保険法人が証明 (ロ)建設住宅性能評価書の写し(住宅の取得の日前2年以内に評価されたもので、耐震等級に係る評価が等級1、等級2または等級3であるもの) (ハ)既存住宅売買瑕疵担保責任保険付保証明書(加入後2年以内のもの) |
新築された日 | 1戸あたりの控除額 |
昭和51年1月1日~昭和56年6月30日 | 350万円 |
昭和56年7月1日~昭和60年6月30日 | 420万円 |
昭和60年7月1日~平成元年3月31日 | 450万円 |
平成元年4月1日~平成9年3月31日 | 1,000万円 |
平成9年4月1日以降 | 1,200万円 |
中古住宅・マンションでは、イメージが悪いので「既存住宅」と呼ぶことにしましょうとなりました。
欧米に比べて、日本では中古不動産の流通市場が未成熟です。
まずはイメージからよくしていこうという国土交通省の取り組みです。
例えば、平成9年4月1日に3,000万円(住宅価格)の古民家物件(既存住宅)を購入したとします。
古民家が新築されたのが、昭和51年1月1日であれば、控除額は350万円です。
(3,000万円 - 350万円) × 3% = 79.5万円
と計算します。
税務署は税金がたくさん入ってくればうれしいので、控除が適用される案件と知っていても教えてくれません。
だまーって満額受領します。
控除が適用される案件であれば、あとから自分で申告をして「税金返して!」と手続きしなければいけません。
税金の知識に乏しい不動産屋さんとは付き合いを持たないほうがいいってことね。
耐震基準不適合既存住宅の場合
平成26年度改正により、個人が、耐震基準不適合既存住宅を取得した場合において、
当該個人が、
- 当該耐震基準不適合既存住宅を取得した日から6か月以内に、当該耐震基準不適当既存住宅に耐震改修を行い、
- 当該住宅が耐震基準に適合することにつき証明を受け、かつ、
- 当該住宅をその者の居住の用に供したときは、
不動産取得税は、当該税額から当該耐震基準不適合既存住宅が新築されたときの新築住宅の課税標準の特例により控除するものとされていた額に税率を乗じて得た額を減額するものとされました。
まずは「耐震基準不適合既存住宅」について説明します。
耐震基準不適合既存住宅とは、耐震基準に不適合な既存住宅です。
つまり、耐震基準を満たしていない危険な中古住宅・マンションのことをいいます。
耐震基準を満たしていない中古住宅・マンションを買った場合に、
- 物件を取得した日から6日月以内に、耐震改修を行う
- 耐震基準に適合することの証明を受ける
- 物件を取得した人が居住の用に供する
という3条件をすべて満たしたら控除が受けられます。
ですので、購入(取得)するまえから打ち合わせをして、改修工事に着手しているのが無難でしょう。
無計画な購入では、控除さえ受けられない可能性もあるはずです。
買取再販で扱われる住宅の取得にかかる不動産取得税の特例
平成27年度改正により
宅地建物取引業者が
- 既存住宅(改修工事対象住宅)を取得し、
- 住宅性能の一定の向上を図るための改修工事を行った後、
- その住宅(住宅性能向上改修住宅)を個人の自己居住用住宅として譲渡する場合、
宅地建物取引業に課される不動産取得税について、当該税額から当該住宅が新築されたと時の新築住宅の課税標準の特例により控除するものとされていた額に税率を乗じて得た額を減額する措置が創設されました。
※この特例は、改修工事対象住宅の取得が平成31年3月31日まで(平成29年度改正により延長)の間に行われたときに限り適用されます。
要件 |
(A)宅地建物取引業者が個人に譲渡する住宅の床面積が50平方メートル以上240㎡以下であること
(B)宅地建物取引業者が個人に譲渡する住宅が地震に対する安全性を有するものとして次のいずれかに該当すること (a)昭和57年1月1日以後に新築されたもの (b)一定の耐震基準を満たしていることが次のいずれかの書類により証明されたもの (イ)耐震基準適当証明書(建築士、指定確認検査機関、登録住宅性能評価機関または住宅瑕疵保険責任保険法人が証明) (ロ)建設住宅性能評価書の写し(耐震等級が1、2または3であるもの) (ハ)既存住宅売買瑕疵担保責任保険付保証明書 (C)宅地建物取引業者が個人に対し住宅を譲渡し、その個人が自己の居住の用に供すること (D)宅地建物取引業者が住宅を取得した後、(F)および(G)の要件を満たすリフォーム工事を行って個人に譲渡し、当該個人の居住の用に供するまでの期間が2年以内であること。 (E)宅地建物取引業者が取得した時点で、新築された日から起算して10年を経過した住宅であること (F)工事に要した費用の総額が、当該住宅の個人への売買価格の20%(当該金額が300万円を超える場合には300万円)以上であること (G)当該家屋について、いかのいずれかに該当するリフォーム工事が行われたこと (a)以下に該当するリフォーム工事を行い、工事の合計額が100万円を超えること 改築 増築、改築、建築基準法上の大規模な修繕または模様替 マンションの場合で、床又は階段・間仕切り壁・主要構造部である壁のいずれかのものの河畔について行う修繕または模様替 居室・調理室・浴室・便所・そのほかの室(洗面所・納戸・玄関・廊下)の床又は壁の全部についての修繕・模様替 一定の耐震基準に適合させるための修繕又は模様替 バリアフリー改修工事 省エネ改修工事 (b)50万円を超える、一定の耐震基準に適合させるための修繕または模様替、バリアフリー改修工事、省エネ改修工事を行うこと (c)50万円を超える、給水管、排水管または雨水の侵入を防止する部分に係る工事を行い、給水管、排水管または雨水の侵入を防止する部分の瑕疵を担保する既存住宅売買瑕疵保責任保険に加入すること |
宅地建物取引業者向けの不動産取得税に関する特例です。