住宅用土地を取得した場合の特例
住宅用土地を取得した場合の特例について詳しく解説します。
一定の要件に該当する住宅用土地を取得した場合には、200㎡を限度として住宅の床面積の2倍までの税額を減額する特例があります。
住宅用土地を取得した場合の特例では、
- 取得した土地の上に住宅が新築された場合
- 新築未使用住宅とその土地を取得した場合
- 自己居住用の既存住宅(耐震基準適合既存住宅)とその土地を取得した場合
の3パターンに分かれます。
「200㎡を限度として住宅の床面積の2倍までの税額を減額する」
だけです。
しかし、要件に該当する住宅用土地は3パターンに分かれ、それぞれに細かい要件が設定されています。
要件に該当するかどうかが重要です。
取得した土地の上に住宅が新築された場合
要件 | 新築した住宅の要件 |
(A)取得した土地の上に住宅が新築された場合
土地を取得した日から3年以内にその土地の上に住宅が新築された場合(土地の取得者がその土地を住宅の新築時まで引き続き所有している場合、または住宅の新築が土地の取得者からその土地を取得した者により行われる場合に限ります。 (B)借地して住宅を新築した者がその敷地を取得した場合 土地の取得者がその土地を取得した日前1年以内にその土地の上に住宅を新築していた場合 |
床面積が50㎡(戸建以外の貸家住宅は40㎡)以上240㎡以下であること。 |
家を建てようと思い土地を探していて、いい土地が見つかったので土地を買ったというような流れです。
両親が「土地は持ってるから好きに使え!でも、家のローンはお前が払え!」と気前のいいことを言ったときですね。
この場合、土地を取得したのは両親です。その後、子どもが家を建てています。
両親が取得してから、子どもが家を建てるまでの期間が3年以内であれば、特例の適用を受けることができるということです。
新築未使用住宅とその土地を取得した場合
要件 | 新築未使用住宅の要件 |
(A)自己居住用の場合
(a)新築未使用住宅とその土地を併せて取得したとき (b)土地を取得してから1年以内に新築未使用住宅を取得したとき (c)土地を取得する日前1年以内に新築未使用住宅を取得していたとき (B)自己居住用以外の場合 新築後1年以内の未使用住宅とその土地を併せて取得したとき |
・床面積が50㎡(戸建以外の貸家住宅は40㎡)以上240㎡以下であること
・新築住宅でまだ人の居住の用に供されたことのないものであること |
自己居住用の既存住宅(耐震基準適合既存住宅)とその土地を取得した場合
要件 | 既存住宅の要件 |
(A)土地と既存住宅を同時に取得したとき
(B)土地を取得してから1年以内に既存住宅を取得したとき (C)土地を取得する日前1年以内に既存住宅を取得していたとき |
次のすべての要件を満たすこと
(A)自己居住用として取得すること (B)床面積が50㎡以上240㎡以下であること (C)次のいずれかに該当すること (a)昭和57年1月1日以後に新築されたもの(平成17年度改正により、平成17年4月1日以後に取得した住宅から適用) (b)建築基準法施行令第3章及び第5章の4の規定または地震に対する安全性に係る基準に適合することが証明されたもの(平成17年度改正により、次のいずれかの証明書類を添付することにより、平成17年4月1日以後に取得した住宅から適用) 必要な証明書類 (イ)耐震基準適合証明書(住宅の取得の日前2年以内にその証明のための住宅の調査が終了したもの。建築士、指定確認検査機関、登録住宅性能評価機関または住宅瑕疵担保責任保険法人が証明 (ロ)建設住宅性能評価書の写し(住宅の取得の日前2年以内に評価されたもので、耐震等級に係る評価が等級1、等級2または等級3であるもの) (ハ)既存住宅売買瑕疵担保責任保険付保証明書(加入後2年以内のもの) |
そのうえで、
- 昭和57年1月1日以後に新築されたもの
- 建築基準法施行令第3章及び第5章の4の規定または地震に対する安全性に係る基準
のいずれかに適合している既存住宅である必要があります。
最初の2つの要件は、ほとんどの方が満たしています。
最後の要件についても、ボロボロの物件や危険な物件を避けていれば、ほとんどの物件が該当する条件です。
要件に該当するかどうかよりも、
税金の控除を受けるためには「自分で申告する必要」があることに注意しましょう。
税務署は税金がたくさん入ってくればうれしいので、控除が適用される案件と知っていても教えてくれません。
だまーって満額受領します。
控除が適用される案件であれば、あとから自分で申告をして「税金返して!」と手続きしなければいけません。
減額の特例の計算方法
減額の特例は、
- 45,000円
- 土地の1㎡あたりの価格 × 1/2 ×住宅の床面積の2倍(200㎡を限度) × 3%
のいずれか高いほうが減額されます。
既存住宅(平成5年4月1日築)を敷地と一緒に購入したとしましょう。
もちろん、自己居住用です。
条件は、
- 家屋の固定資産税評価額が2,000万円
- 家屋の床面積は100㎡
- 土地の固定資産税評価額が2,500万円
- 土地の面積は250㎡
とします。
土地に関する通常の税額は、
2,500万円 × 1/2 × 3% = 37.5万円
です。
減額される額は、
2,500万円/250㎡ × 1/2 × (200㎡ × 2) × 3% = 60万円
です。
37.5万円 - 60万円 = -22.5万円
となるので、土地の不動産取得税は払わなくてよいということです。
不動産取得税に関する平成29年度の改正内容
項目 | 改正内容 |
居住用超高層建築物の専有部分の取得があった場合に課する不動産取得税の見直し | 居住用超高層建築物の居住用の専有部分にあっては、当該専有部分の評価額を算出する際に用いる専有床面積を、住戸の所在する階層の差異による床面積あたりの取引単価の変化の傾向を反映するための補正率(階層別専有床面積補正率)により補正する。
※平成30年度から新たに課税されることとなる居住用超高層建築物(平成29年4月1日前に売買契約が締結された住戸を含むものを除く。)について適用する。 |
不動産特定共同事業法の改正を前提に、同法に規定する小規模不動産特定共同事業者、小規模特例事業者および一定の適格特例投資家限定事業者が同法に規定する不動産特定共同事業契約に基づき取得する一定の不動産に係る課税標準の特例措置 | 当該不動産の価格の2分の1に相当する額を価格から控除する課税標準の特例措置を平成31年3月31日まで講ずる。 |
不動産特定共同事業法に規定する特例事業者が不動産特定共同事業契約に基づき取得する一定の不動産に係る課税標準の特例措置 | 適用対象となる特定家屋の範囲を見直した上、その適用期限を2年(平成31年3月31日まで)延長する。 |
特定目的会社が資産流動化計画に基づき取得する一定の不動産に係る課税標準の特例措置 | 適用期限を2年(平成31年3月31日まで)延長する。 |
都市再生特別措置法に規定する認定事業者が都市再生緊急整備地域又は特定都市再生緊急整備地域において、認定事業により取得する不動産に係る課税標準の特例措置 | 適用期限を2年(平成31年3月31日まで)延長する。 |
宅地建物取引業者が取得した既存住宅について、一定の増改築等を行った上、取得の日から2年以内に耐震基準適合要件を満たすものとして個人に販売し、自己の居住の用に供された場合に係る減額措置 | 適用期限を2年(平成31年3月31日まで)延長する。 |
一定の新築のサービス付き高齢者向け賃貸住宅について、一定の新築住宅に係る不動産取得税の課税標準の特例措置および一定の新築住宅のように供する土地に係る減額措置の床面積要件の下限を緩和する特例措置 | 対象となる家屋の戸数要件を10個以上(改正前:5戸以上)とし、床面積要件の上限を210㎡以下(改正前:240㎡以下)に引き下げた上、その適用期限を2年(平成31年3月31日まで)延長する。 |