コラム

マイナス金利を導入した欧州(EU)の今

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日本に先駆けて、欧州(ユーロ圏・デンマーク・スイス・スウェーデン)はマイナス金利を導入しています。いまだ、効果を見極めるには十分な期間とデータが揃っていないといわれていますが、参考になるのは間違いありません。これから日本で起きるかもしれないことを知って、備えておくにこしたことはありませんよね。

今回の記事では、まず欧州で導入されているマイナス金利政策と日本のマイナス金利政策の違いを確認します。欧州と日本では、性質や強さが異なります。日本のマイナス金利政策は、欧州に比べればずいぶんと弱いものなので、過度に脅える必要はないということを理解しましょう。

いいことばかりではないマイナス金利政策ですが、欧州で確認されている副作用もおさえておきましょう。社会環境が日本とは異なるので、まったく同じことが起きるかといえば言い切れませんが、似たようなことは十分起こりえます。


日本は始めてマイナス金利を導入

日本は始めてマイナス金利を導入

平成28年1月29日、黒田日銀総裁はマイナス金利の導入を発表しました。マイナス金利政策の導入に日本が踏み切るのは、史上初の試みであり、どのような影響が出るのかは予測の範囲を出ません。インフレ目標2%達成のために打ち込まれた第3の黒田バズーカがどのような効果を発揮するのか注意が必要でしょう。

限定的なマイナス金利

日本型マイナス金利は、かなり限定的な導入です。市中銀行が日本銀行に預金している準備預金のうち、一部の超過準備額にのみ適用されています。欧州で導入されているような大規模なものとは性質が異なるので、市場の反応も限定的になるだろうとささやかれています。

日本型マイナス金利の詳細については、以下の記事を参考にしてください。

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欧州(EU)のマイナス金利政策

欧州(EU)のマイナス金利政策

マイナス金利政策の歴史は、世界を見渡すと既に導入している国々があります。EUに代表する欧州の国々です。日本で導入されたマイナス金利が、今後どのように作用するのかを判断するひとつの材料ですので、一度確認しておきましょう。

導入日

ヨーロッパでマイナス金利政策の導入を決定したのは、欧州中央銀行(以下、ECB : European Central Bank)です。ECBは、2014年6月に中央銀行預金金利をマイナス0.1%にすると発表しました。ECBは、ユーロ圏の中央銀行ですので、EU加盟国全体にマイナス金利政策が導入されたということです。

これに引っ張られるようにして北欧諸国でもマイナス金利政策の導入が発表されます。同9月にデンマーク、同12月にスイス、翌年2月にスウェーデンがという流れでした。現在、マイナス金利を導入しているのは、ユーロ圏・デンマーク・スイス・スウェーデンということになります。

ユーロ圏で適用されているマイナス金利制度は、超過準備額の全体に及んでいます。法定準備額のみプラス金利です。日本型は既に預けられている超過準備額は関係がありませんでしたが、ユーロ圏では新旧ともに適用されました。(デンマーク・スイス・スウェーデンは、それぞれ異なる枠組みが導入されています。)

なぜ、欧州でマイナス金利が導入されたのか?

ECBがマイナス金利を導入した背景は、日本で黒田日銀総裁が導入を決定した流れとほぼ同じです。基本的には、原油安と中国経済の減速が理由であり、ギリシャ問題・中東との距離・中国への輸出依存度などが日本より不利な状況に合ったので、導入が早かったというところです。

日本がマイナス金利を導入した背景については、以下の記事を参考にしてください。

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しばらくはプラス傾向

欧州で導入されたマイナス金利政策ですが、まだ正確な効果を検証するにはデータも期間も足りないといわれています。ですが、導入された当初の効果はプラスでした。どういう点でプラスの効果が出ていたのか解説します。

まず、マイナス金利の導入後、ユーロ安が進行しました。欧州は輸出国ですので、通貨安になれば輸出に有利になります。その結果、2015年前半の輸出額は増加しました。

また、原油価格の下落は負の影響もあったのですが、個人消費にはプラスの効果もあります。ガソリンの値段が下がるので、家計の負担が減り、消費意欲が高まりました。結果、2015年のGDP成長率はプラス1.5%となりました。

マイナス金利の副作用

マイナス金利の副作用

2015年のGDP成長率はプラス1.5%になった欧州ですが、マイナス金利による副作用もありました。欧州に比べて、日本は限定的な導入ですが、似たような副作用が出る可能性は十分あります。どのような副作用で、どのように影響が及んだのか確認しておきましょう。

一部貸出金利が上昇

マイナス金利の導入直後は、住宅ローン金利が大幅に低下しました。欧州では、住宅ローンの敷居が下がったことで、不動産バブルが起こり、不動産市場が過熱しています。大幅に低下した住宅ローン金利ですが、逆に上昇する銀行も出てきています。

マイナス金利の導入による市中銀行への負担というのは、真綿で首を絞められるように効果を発揮します。一気に体力を奪われることはないものの、何も対策を講じなければ市中銀行の体力はじわじわと消耗します。結果として、消費者に負担を転嫁(=金利の上昇)せざるを得なくなります。

銀行のコスト増

銀行のシステムは、そもそもマイナス金利を想定して作られていません。しかし、マイナス金利が導入されてしまった以上、放っておくわけにもいきません。かなりの銀行がシステムを新しくするために、多額の費用を支出しました。

ちょうど日本でもマイナンバー制度と軽減税率の導入が似たようなことになっています。マイナンバーを軽減税率の適用に使用する場合に、既存のレジシステムでは対応できないので、小売店は相応の投資をする必要があるようです。設備投資費用は年間利益を吹き飛ばすほどの大きな出費になりやすいので、市中銀行には大ダメージがありました。

金庫代の増加

以前は準備預金(超過準備額)として中央銀行に預けてしまえば、市中銀行は何もすることがありませんでした。しかし、超過準備額にマイナス金利が適用される以上、お金を引き上げてこなければいけません。お金を引き上げると、お金を保管する場所(=金庫)を確保する必要があります。結果として、金庫を拡張したり、新調するなど新たな設備投資も発生しました。

警備費用の増加

以前よりたくさんのお金を銀行に保管することになりました。善良な市民は問題ありませんが、中には銀行強盗をたくらむ輩もいます。一般市民から預かっている大事な預金なので、守らなければいけません。結果として警備員を増やすなど、警備費用が膨らみました。

各種手数料の引き上げ

わたしたちが関心を向けるべきところです。様々なコストが上昇した結果、市中銀行は次第に消化不能になっていきます。最後には手数料などを引き上げることで、一般消費者にコストを転嫁せざるを得なくなりました。

マイナス金利の導入を受けて、市中銀行の金利がマイナスになることは非現実的です。しかし、手数料が高くなれば、わたしたちの利用コストも増えたことになります。利用コストが増えたということは、預金金利がマイナスになったのと結果的には変わらないのです。

まとめ

日本で導入されたマイナス金利は、新たに預けられる超過準備額に限定されています。第3の黒田バズーカと称され、市場を慌てさせるだけの力は発揮しましたが、今のところアナウンスメント効果のほうが大きいといえるでしょう。しかし、一度導入された以上、今後拡大する可能性は十分にあります。

欧州で導入されているマイナス金利政策は、すべての超過準備額に及ぶなど、日本よりも強力に作用しています。導入された背景には、原油安と中国経済の減速がありました。まだ効果を判断するには、時期が早すぎるといわれていますが、導入当初はGDP成長率プラス1.5%になるなど、プラスの観測が広がりました。

マイナス金利の副作用は、主に5つです。貸出金利の上昇・銀行のコスト増・金庫代の増加・警備費用の増加・各種手数料の引き上げです。わたしたちに直接影響するのは、貸出金利の上昇と各種手数料の引き上げです。


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