安部内閣が目指す「1億総活躍社会」の策として特別養護老人ホーム(特養)のへ優遇策が発表されました。来年から制度化する予定ですが、一般的な賃料のおよそ4分の1で事業がはじめることができる制度になるようです。具体的な内容について確認していきましょう。
1.特別養護老人ホーム(特養)とは
特別養護老人ホーム(特養)の概要
「特別養護老人ホーム(特養)」とは、そもそもどんな施設なのでしょうか。
特別養護老人ホームは、別名・介護老人福祉施設とも呼ばれ、社会福祉法人や地方自治体が運営する公的な施設です。この施設に入居を希望される方はたくさんいるのですが、順番待ちのため、なかなか入居できないのが現状です。
入居するためにはいくつか条件が設定されています。65歳以上の方で、要介護1~5の認定を受けており、常に介護が必要な状態だが、自宅での介護が困難な方が対象となります。症状が重度に進行しており、緊急性の高い方が優先して入居していきます。全国でおよそ40万人の方が入居待ちのようです。
特別養護老人ホーム(特養)の利用料
特別養護老人ホーム(特養)の利用料金は、一般的な有料老人ホームに比べると低料金で利用できます。ただし、サービスなどはあまり充実しておらず、個室ではなく相部屋になることが多いようです。
入所費用や利用料金については、様々な条件により変動がありますので、入居前にしっかりと確認をしておきましょう。食費などは別で設定されていることが一般的で、そのほかにも用意はされているが利用するためには別途料金が発生するものが多数あります。施設ごとに違うので、部屋の料金とは別にしっかりと確認しましょう。
2.特別養護老人ホーム(特養)増設と介護離職ゼロの具体策
今回の優遇策は、特別養護老人ホーム(特養)の増設により入居待機者の解消すること、要介護者の家族が介護を理由に離職せざるを得ない状況を解消すること、介護職員の需要を喚起することの3つが狙いです。
特別養護老人ホーム(特養)に国有地を低額で貸し出す
今回の優遇策では、国有地を民間相場のおよそ4分の1で事業者に貸し出す方針を固めました。これにより地代が格安になるため、新規に特別養護老人ホーム(特養)の増設を狙います。より具体的な内容は「1億総活躍社会」の具体策としてまとめ、来年から制度化する予定です。
国有地の貸し出しは、定期借地契約が対象となります。賃貸期間を原則50年とする契約で、事業者向けの賃貸借契約です。貸し出しの対象となるのは、介護施設を運営する社会福祉法人で、いくつかの優遇策が組み合わされます。
国有財産特別措置法の一部を適用
国有財産特別措置法と呼ばれる法律の一部が適用されます。この法律の適用により社会福祉目的で国有財産を貸し出すときには、賃料が最大で半額にすることができるようになります。
国有財産特別措置法は、国有財産法に規定される普通財産について定められている法律です。貸し出しの対象者や措置などが細かく規定されています。
政府や地方自治体の補助金を利用
国有財産特別措置法に加えて、政府や地方自治体がすでに設けている補助金を組み合わせることで、さらに事業者への負担を減らします。
固定資産税がなくなる
通常、民有地(民間人が持ち主の土地)では固定資産税がかかります。固定資産税にも今はいくつかの優遇措置がありますが、組み合わせたとしても特別養護老人ホーム(特養)のような大規模建造物は高額になりがちです。
ですが、今回貸し出しの対象となる国有地では、固定資産税が一切かかりません。これらをトータルで考えると賃料が非常に安くなるので事業者にとっては大きな後押しとなります。
3.まとめ
国有財産特別措置法・政府や地方自治体の補助金・固定資産税ゼロの3つが合わさって、特別養護老人ホーム(特養)の事業者は格安で土地を借りることができます。国も遊んでいるだけの土地を貸し出すことで、賃料収入を得ることができるので、Win-Winの関係が成り立っています。