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建築条件付き土地とは:値引き交渉、外し方、注意点


いい土地が見つかった!と思ったら、建築条件付きと書いてあって「何のことだろう?」とお困りでしょうか。土地の売り方のひとつに「建築条件付き土地売り」があります。一般の方からするとわかりにくいフレーズなので、どういうことか知りたいという方も多いでしょう。

今回は、建築条件付き土地について解説します。そもそも建築条件付き土地とは何か?といったことはもちろん、建築条件付き土地の特性や注意点なども紹介します。

建築条件付き土地は、もはや土地選びではなく、家選びです。いい土地が見つかった!と浮かれて、土地選び感覚のまま契約してしまうと後悔する可能性は大です。建築条件付き土地を選ぶ心構えについて、知っておきましょう。

【この記事から分かること】

  • 建築条件付き土地とは
  • 建築条件付き土地の値段について
  • 建築条件付き土地の値引き方
  • 建築条件の外し方
  • 建築条件付き土地の注意点

建築条件付き土地とは

建築条件付き土地とは

土地探しをしていると「建築条件付き」と書いてある看板や広告を目にすることがあります。不動産業界の人には、ありふれたフレーズなので通じますが、一般の方にはなかなか分かりにくい表現です。建築条件付き土地とは、何か建てるときには指定業者で建ててもらいますという条件が付いている土地です。

例えば、ある宅地をA建設会社が建築条件を付けて売っているとします。あなたは、この宅地が気に入ったので購入することにしました。すると、あなたの家は必ずA建設会社で建てなければならないことになります。これが建築条件付き土地です。

売り出している業者が必ずしも指定業者とは限りません。例えば、ただの宅建業者が建築条件付き土地を売っているときには、売主が指定業者になることはありえません(建設業ではないから)。この場合、その宅建業者と付き合いがある建築業者が指定されます。宅建業者が付き合いのある建築業者を指定するメリットはといえば、紹介料(バックマージン)をいくらか受け取れるなどといったものがあります。

買い手側からしてみると、家を建てる業者が指定されていることがデメリットです。マイホーム作りでは、いろいろな建築屋さんを回って、「これだ!」と思えるプランに巡り合うことも、ひとつの楽しみです。また、土地はすごく気に入っているけれど、指定業者の坪単価が高すぎて予算的に建てることができないといったこともあります。

建築条件付き土地として売り出しをする宅建業者からしてみれば、買い手のデメリットは承知で条件を設定しています。つまり、それ相応の需要が見込める土地だという自負があるのです。そういう意味では、一等地である可能性などは高いといえるでしょう。大した土地でもないのに建築条件を付けている場合もありますが、見向きもされないのが落ちです。

建築条件付き土地の価格

建築条件付き土地の価格

建築条件付き土地の価格は高いのか?安いのか?というのも気になるところですね。高いか安いかについて正解はありません。宅建業者の考え方次第です。ただし、見た目には安く設定していることが多いです。

建築条件付き土地では、通常の土地と違って不動産業者が利益を乗せられるポイントが増えます。通常の土地売りの場合では、土地が売れた時の仲介手数料などしか利益が出るポイントはありません。しかし、建築条件付き土地では、土地で利益を大きく取ることができなくても、建物などで利益を確保することができます。後から利益を回収すればよいという考えから、土地の値段を下げて、魅力的に見せていることが多いです。

見た目には安く設定しているというのは、こういう仕組みがあるからです。ですので、実際に土地が安かったのか高かったのかは最後まで正解がでません。請負契約(家などの建物の契約)を終えて、最終的な費用が出てはじめて判断ができます。

建築条件付き土地の値引き

建築条件付き土地の値引き

建築条件付き土地の値引きについてですが、値引きできる可能性はあります。通常の土地に比べても、可能性は若干高いのではないでしょうか。理由は、値段でお話ししたように、利益を確保できるポイントが多く残されていることです。

今の時代、土地を買いたいと申し出てくれるお客さんは多くはないので、現れた購入希望者は何としてでも確保したいと考えるのが普通です。ですので、利益は後から何とかして回収するとして、建築条件付き契約でお客さんを掴んでしまおう...!となります。とはいえ、値引きに一切応じない業者もいるので必ずではありません。

値引き交渉のコツ

値引き交渉を上手にすすめるには、ちょっとしたコツがあります。重要なのはタイミングです。土地を買うという話を持ち掛けるのであれば、決算期と閑散期を狙いましょう。

決算期は業者によって異なりますが、閑散期は一般的に「梅雨明け~10月ごろまで」といわれます。雪が降るような地域は、閑散期がさらに伸びます。ひどいところでは「梅雨明け~4月まで」ということもあります。

なぜ決算期と閑散期なのかということですが、普通の土地売りでも、この期間の値引き交渉はねらい目です。しかし、建築条件付き土地の場合、よりねらい目になります。建築条件付き土地は、お客さんの囲い込みを目的としているので、決算期や閑散期のような囲い込みをしたい時期に話を持ち掛けると、囲い込みたい気持ちに拍車がかかるのです。

建築条件の外し方

建築条件の外し方

建築条件は外せないのか?という疑問があるでしょう。建築条件は、外せることもあれば、外せないこともあります。売り出しをはじめてから日が浅い物件では外せないことがほとんどでしょう。

一般的に建築条件を外してほしいと不動産業者に話を持ち掛けた場合、土地の坪単価が上乗せされます。不動産業者の頭の中では「建物で利益を取ればいいや!」と考えています。しかし、建築条件を外すからには建物請負契約が取れるとは考えられないので、土地で利益を取らなければいけません。

結果として、土地の値段を上げることになります。目安としては、相場価格~相場1割増くらいでしょう。わざわざ「建築条件付き!」と掲げているにもかかわらず、「外して売ってくれ!」と言ってくるのは、よほど土地が気に入っているのだなと相手はわかっています。強気で来ることは想定しておきましょう。

建築条件付き土地の注意点

建築条件付き土地の注意点

建築条件付き土地にはいくつか注意点があります。「こんなはずじゃなかった!」というトラブルに巻き込まれるケースもあります。手付契約をしてしまっている場合、高額の解約金を払うわけにもいかず、ずるずるとということもあるので、少し慎重に考えましょう。

土地選びではなく、家選び

建築条件付き土地となっているので、土地選びだと錯覚しそうになりますが、これは家選びです。あなたが「こんな家にしたい!」と理想を掲げていても、指定業者に力がなければ実現はできません。「いい土地だし、家くらいどこも一緒だろう!」と思って、安易に契約してしまうと後悔する可能性は大です。

つなぎ融資(ローン)に関する注意

一般的な建築条件付き土地では、一定期間内(通常、土地の契約から3か月以内)に請負契約を結ぶことを条件としています。とはいえ、自社で建ててくれることが確定している分、融通を利かせてくれることはよくある話です(経営状態が厳しく、決算に何としてでも間に合わせたい業者などは除く)。しかし、これは不動産屋に限った話です。

建築条件付き土地を先に購入するときに、ローンを使うこともあるでしょう。とはいえ、契約時に住宅は建っていませんし、住宅のプランもないのが一般的です。なので「住宅ローン」は使えません。代わりに登場するのが「つなぎ融資」といわれるものです。

つなぎ融資とは、土地の上に建物が建って住宅ローンが開始できるようになるまでをつなぐ融資です。つなぎ融資を実行してから一定期間(通常、6か月程度)は、利息の支払いだけが発生します。つまり、土地の支払いは始まらないので、負担は少なくなります。

つなぎ融資と住宅ローン

住宅ローンの支払いは、

建てた住宅の支払い + 住宅ローンの利息 = 住宅ローンの支払額

です。

対して、つなぎ融資では、

つなぎ融資の利息 = つなぎ融資の支払額

となります。利息の支払いだけで、銀行が土地代を立て替えておくというものです。

注意したいのは、金融機関によって変わりますが、つなぎ融資には期限があります。期限を過ぎれば、まともな支払いがはじまってしまいます。家の計画は進まないのに、土地代だけ支払わなければいけないといったことになります。


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