マンションの売却をはじめて、購入希望者が見つかり、無事交渉が成立したときには、売買契約を結びます。
この記事では、売買契約時にすべきことと費用の概略について解説します。
大きく分けて、
- 売買契約の注意点
- 売買契約時にかかる費用の概略
の2つを解説します。
売買契約では、担当者(宅地建物取引士)が流れの主導権を握ります。
あなたがすることは、ほとんどないのですが、気を付けるべきことはあるので注意してください。
よりよい結果を引き寄せるために、できるかぎりしっかりと準備をするようにしましょう。
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売買契約
マンションの売買契約にあたっては、
- 売買契約書(37条書面)
- 重要事項説明書
- 物件状況報告書
- 付帯設備表
の4つの書類が作成されます。
どの書類も重要な書類なのですが、あなた(売主)にとって重要なのは、
- 物件状況報告書
- 付帯設備表
の2つです。
上記2つの書類は、トラブル防止の意味合いが大きく、適当なことをすると訴訟などの大きなトラブルに発展する恐れがあるので、十分に注意してください。
重要事項説明を受けるのは「義務」
宅建士による重要事項説明は、素人にはわかりにくい表現が並ぶため、あまり聞いても意味がないと考える方もいるでしょう。
本来であれば、わかりやすく注釈などを入れながら説明をするのが宅建士の仕事ですが、そこまでする宅建士もあまりいません。
とはいえ、重要事項説明は受けることが「義務」です。
それほど長い時間はかかりませんし、しっかり聞いていると「聞いておいてよかったこと」もありますので、聞くようにしてください。
重要事項説明を聞いていないと「知らなかった」ではすまないことも起こりえます。
不動産の売買契約は、事後についてもデリケートな部分が多いので、最後まで気を抜かないようにしましょう。
個人間売買に瑕疵担保責任はない
個人間売買では、瑕疵担保責任について特段の定めは設けられていません。
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瑕疵担保責任とは:新築住宅・中古住宅、土地、時効
不動産の取引では、どんな取引でも顔を出す瑕疵担保責任という言葉があります。個人が家を購入するときでも、瑕疵担保責任の範囲はどこそこまでで~などの説明を受けてから購入するのが普通でしょう。業者間の取引でも瑕疵担保責任の範囲などはできる限り明確にしようとします。
瑕疵担保責任の厄介なところは、その範囲が状況に応じて変化したり、ある問題が発生したときに瑕疵担保責任による損害賠償などの定めの中に入るのかどうか判断が難しいということです。なので、素人からすれば結局どうなのか分からず尻込みしてしまうという状況も生まれます。
今回は瑕疵担保責任について、最低でも知っておきたいことを説明します。あまり知らない分野だからといって丸め込まれてしまわないように、基礎知識は身につけておきましょう。
瑕疵担保責任とは、欠陥についての保証責任です。
売買するマンションについて、配管ひび割れなどの瑕疵がある場合に、売主が負う責任の範囲です。
基本的に、個人間売買では、瑕疵担保責任について法的に特別な定めはありません。
ですので、売買契約書(37条書面)の特約条項内に、
「売主は一切の瑕疵担保責任を負わないものとする」
などの条文を追記することがあります。
もともと瑕疵担保責任は、プロ(不動産業者)から一般消費者を守ることが目的の法律です。
ですので、個人間売買においては、瑕疵担保責任を負わないものとする条文を入れることは、当然認められますし、効力も発揮します。
ただし、「隠れた瑕疵(知らなかった、知らせていなかった瑕疵)」は、別なので注意しましょう。
引き渡し後にトラブルに発展してしまった場合には、書面で残っていることがとても重要です。
契約書の内容については、宅建士にほとんどを委ねることになりますが、不明点はしっかりと説明を受けたうえで、対応するようにしてください。
物件状況報告書
「物件状況報告書」は、マンションの売買契約において、あなた(売主側)が注意を払うべき書類の1つです。
物件状況報告書を作成するときには、担当者が立会いのもと、共同で作成することが多いです。
(※書類を渡されて、記入してくださいと言われることもあります。)
物件状況報告書とは、
- 売買契約の対象となるマンションの契約時の状態を記録すること
- 瑕疵を買主に明確に伝えること
- 既知の瑕疵情報を共有すること
などを目的にして作られる書類です。
あなた(売主側)からすると、「このような瑕疵があり、しっかりとお伝えしますので、了承のうえ、ご契約ください。」という意味を持ちます。
買主側からすると、「報告を受けた瑕疵について、しっかりと認識したうえで、契約をします。」という意味を持ちます。
お互いに瑕疵に関する情報を共有することで、あとから「言った言わない」に発展するのを防ぐ役割を担っています。
欠陥を伝えるときには、
- どのくらいまで伝えればいいのか?
- 伝えることで契約が流れないのか?
などといった不安を抱くことがあると思います。
場合によっては、契約に不利になるから伝えないでおこうと考えることもあるかもしれません。
しかし、伝えなかったために契約後トラブルに発展したり、ずっと不安を抱えながら過ごすといったことになるので、知っていることはすべて正直に伝えるようにしてください。
伝えたにもかかわらず、そのような使い方をして買主が壊してしまったときに、あなたが責任を問われる可能性をゼロにすることができます。
また、心理的瑕疵(騒音、臭い、自殺など)についても、しっかり伝えるようにしましょう。
付帯設備表
「付帯設備表」は、マンションの売買契約において、あなた(売主側)が注意を払うべき書類の1つです。
付帯設備表を作成するときには、担当者が立会いのもと、共同で作成することが多いです。
(※書類を渡されて、記入してくださいと言われることもあります。)
付帯設備表とは、
- 契約時に備わっている設備の状況
- 契約後、引き渡し時の設備の状況
を記録する目的があります。
例えば、契約時には、カーテンがついているが、引き渡し時にはカーテンは撤去する場合になどに、内容を明らかにしておく必要があります。
買主からすると、
内覧のときにはカーテンがあったのに、引き渡しを受けたらカーテンがなかった!
ということがあります。
そのような誤解を生じさせないために作成する書類です。
物件状況報告書と同じように、正確に記入するようにしましょう。
売買契約中にかかる費用の概略
売買契約中にかかる費用の概略について解説します。
仲介手数料の半額
売買契約のときに、仲介手数料の半額を支払うことがあります。
不動産業者によって扱いは異なりますが、
- 売買契約時に半額、決済・引渡し時に半額を支払うケース
- 決済・引渡し時に全額を支払うケース
の2つが存在します。
どちらのケースでも、支払う仲介手数料の総額は変わりません。
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【仲介手数料】計算(速算式)、無料(および半額)、消費税、値引き
仲介手数料について解説している記事です。仲介手数料について、「仲介手数料とは」「宅建業法による仲介手数料の決まり」「仲介手数料の計算方法」「仲介手数料に関する税金」「仲介手数料の相場」「仲介手数料が無料(または半額)の不動産業者」「仲介手数料の値引き交渉」「仲介手数料込みで住宅ローンを借りることはできるのか?」を解説しています。
引っ越し費用
売買契約を締結したら、決済・引渡しに向けて、引っ越しを始める方もいるでしょう。
引っ越し費用については、早めの対応をすることで、安くすることができます。
おおまかなスケジュールが決まった段階で、一度見積もりなどを取得してしまったほうがいいです。