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土地売却での解体更地渡しについて:タイミング・手付解除と損害賠償


土地の売買では、「解体更地渡し」という方法があります。

固定資産税の節税効果も期待できるので、土地売買では一般的な方法として浸透しています。

解体更地渡しの売買では、通常、土地売買契約後に解体に着手し、引き渡しを行います。

とはいえ、契約後、解体に着手したにも関わらず「解約」されたらどうするのか?など不安も残ります。

この記事では、解体更地渡しのタイミングや手付解除と損賠賠償について解説しています。

安心して取引を行うためには、どうすればいいのか参考にしてください。

この記事からわかること

  • 解体更地渡しについて
  • 解体のタイミング
  • 解体と固定資産税の関係
  • 「履行の着手」と「解体の着手」について
  • 手付解除の可能性と損害賠償請求(および違約金)について

「解体更地渡し」とは、既存の家屋を解体して、更地にして買主に引き渡すこと

土地の売買では、解体更地渡しという方法を取ることがあります。

すでに更地(建物が何も建っていない土地)になっているのであれば、そのまま売るだけなので考えることはありません。

しかし、売りたい土地の上に、自宅などの建物が建っているままの場合もあります。

今ある建物を解体して、更地にしてから買主に土地を引き渡すことを「解体更地渡し」といいます。

まごころう
とくに難しく考える必要はありません。

解体して、更地にしてから渡すので「解体更地渡し」といいます。

解体をするタイミングは、契約をしてから引き渡しをするまで

解体をするタイミングは契約後、引き渡しをするまでの間です。

土地売買では、

  1. 土地を売りに出す
  2. 購入希望者が現れる
  3. 交渉をする
  4. 土地売買契約を結ぶ
  5. 土地の引き渡し

という流れで物事が運びます。

解体更地渡しでは、4と5の間に解体をして、更地にします。

1・2・3のタイミングで解体することは基本的に考えられません。

まごころう
よほど魅力的な土地であったり、すでに契約予定者が決まっている場合でない限り、解体はすこしでも遅らせるのが普通です。

固定資産税が高くなるので、先に解体をしない

すこしでも解体を遅らせる理由は「固定資産税」が関係しています。

固定資産税は「1月1日」を基準にして課税の判断がされます。

固定資産税は、土地の上に家が建っている場合、更地に比べて格段に課税額が抑えられます。

ですので、契約者(および契約予定者)が決まっていない段階で解体することは通常考えられないのです。

解体した結果、買い手が決まらず、翌年に持ち越せば、課税額が一気に跳ね上がります。

無駄な支出が生まれるので、できるだけ解体は遅らせたほうがよいのです。

まごころう
ケースによっては、契約者が決まっていても、あえて契約時期をずらすこともあります。

年末に契約に至ったのであれば、翌年の2月ごろまで契約をずらすことで、翌年分の固定資産税が変わるからです。

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契約後の手付解除は、取引の相手方が「債務の履行」に着手したらできない

不動産の売買契約では、手付解除(または手付倍返しによる解除)という契約の解除方法があります。

たとえば、契約時に買主から100万円の手付金を受け取っていたとします。

この場合、

  • 買主が契約を解除したい場合:すでに支払った100万円の手付金を放棄して、契約を解除する
  • 売主が契約を解除したい場合:すでに受け取った100万円に加えて、追加で100万円を買主に渡して、契約を解除する

という方法で、契約を解除することができます。

ただし、手付解除(または手付倍返しによる解除)は「当事者の片方が債務の履行に着手するまで」しか認められません。

債務の履行とは、契約を完結させるための行動(債務)をし始める(履行)ことをいいます。

買主側の債務の履行には、購入資金を準備するための住宅ローンの審査を受けるなどが該当します。

まごころう
契約を完了するために必要な何かしらの行動を始めていれば、「債務の履行」に着手したことになります。

解体更地渡しの土地売買契約では、「解体を開始していること」が、売主側の「債務の履行」になる

解体更地渡しの土地売買契約では、売主側が解体に向けた具体的な行動をとることは、「債務の履行」に該当します。

ですので、土地売買契約後であれば、解体に着手しても、手付解除が行われることはありません。

確かに、手付金が100万円の取引で、解体費用が200万円かかる場合、手付解除をされると損失が発生します。

しかし、現実的には「債務の履行」さえ行ってしまえば、手付解除される心配はありません。

まごころう
とはいえ、手付解除ができないというだけで、やむを得ない事情により契約が解除されてしまう可能性はあります。

解体に着手した後に契約を解除する場合、違約金および損害賠償請求を行うことができる

買主の破産などやむを得ない事情などにより、手付解除以外の方法で契約が解除されることはありえます。

手付金が100万円の取引で、解体費用が200万円かかる場合、契約を解除されると、あなたに100万円の損失が発生します。

このような場合には、手付金のほかに

  • 違約金
  • 損害賠償

によって損失を補うことができます。

民法402条 第3項

違約金は、賠償額の予定と推定する。

違約金については、民法402条 第3項にしっかりと定義されています。

契約内容に違反があったときに支払われるのが「違約金」です。

書面で取り交わした内容が果たされなければ、「違約金」を請求する権利が発生します。

当然、契約が果たされないことも契約違反に該当します。

よって、解体更地渡しの売買契約において、手付解除以外の方法で解除されたとしても、違約金によって損失を補うことができるとなります。

契約時に定められた違約金の範囲を超えて損失が発生している場合には、損賠外相請求によって、損失を補うことになります。

まごころう
違約金の定め方については、いろいろな方法があり、万が一のための書き方が存在します。

万が一のトラブルへの対応力については、数多くの不動産取引をこなして知恵を蓄積した者が、当然、強くなります。


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