越境問題(えっきょうもんだい)
越境問題というと国際的な問題ように思えますが、実際には非常に身近な問題です。不動産における越境問題というのは、土地や住まいの境界線を越えてしまうことによって発生してくる問題です。というのも、お互いに自覚していないだけで実はお互いに越境していたというケースはよくあるのです。
戸建ての場合を考えるとわかりやすいのですが、よく隣の家との土地を分けるようにコンクリートの塀が建てられていることがあります。こういった塀が境界線なのだと思い、お互いに生活しているということもよくあるのですが、実際にはその塀が本当の境界線なのかというと確認してみないことにはわからないのです。
お互いに土地の境界線に対してそこまで執着がないのであればそこまで激しいトラブルには発展しないでしょうが、中には境界線に異常なほどに執着する人もいます。建物の屋根が越境している、木の枝が越境しているなどそういったことがきっかけとなって、激しいご近所トラブルとなることもあります。
越境しないことはもちろんですが、正しい境界線をお互いに把握しておくことが越境問題を防ぐことにつながります。越境問題の際には、書面で契約をして解決に向けて動くようにしましょう。
越境問題のトラブル例:木の枝
越境問題でよくあるトラブルの例に、木の枝が越境しているケースがあります。木の枝が越境しているとは、敷地内に隣の家の木の枝だけがはみ出ている状態です。ほかには何も越境していません。
木の枝が越境しているくらいいいじゃないかと思われるかもしれませんが、一概にそうも言えません。例えば、木の枝があるせいで毛虫などの害虫が敷地内に入ってきてしまうことがあります。そんなことないだろうと思うかもしれませんが、越境問題ではよく聞く話です。
さて、このとき木の枝はどのように対処することができるでしょうか?はみ出してきているのだから、切ってしまえばいい!と考えたなら、ちょっと待ってください。
木の枝がはみ出しているときには、勝手に切ることはできません。かならず木の持ち主(隣の地主)の了解が必要です。了解を得ずして切ってしまったら、それは違法行為になる恐れがあります。
越境問題のトラブル例:木の根
今度は木の枝ではなく、木の根が地下から越境しているケースです。木の根ですから、地下とはいえアスファルトをめくり上げてしまったりします。このときにはどう対処できるのでしょうか?
また隣の地主に了解を得て、木の根を除去しなきゃいけないのか!と思ったあなた。今度は了解を得る必要はありません。ひと思いに切り捨てて構いません。
越境問題では、木の枝と木の根のように、越境している状況によって対処方法が変わるので、十分に注意して話を進めましょう。越境しているのだから、あっちが悪いに決まっている!と感情に任せて行動すると、知らない間に違法行為をしているのは、あなたになってしまいます。