都市計画法 不動産の法律

都市計画の種類と概要


ひとくちに都市計画といっても、様々な種類があります。一般的には用途地域など、本当に基本的部分のみが語られますが、ごく一部に過ぎません。用途地域だけ調べて、安易に計画を進めると思わぬ落とし穴にはまることがあります。

今回は、都市計画の種類について解説します。建物を建てるには建築基準法だけではなく、都市計画法も守らなければいけません。大規模な建築などでは、建築基準法よりも都市計画法のほうがややこしかったりするので注意が必要です。

※この記事では、各都市計画について概要を説明しています。特に地域地区、地区計画などについては別記事でより詳細に解説しています。

この記事からわかること

  • 都市計画区域の整備、開発及び保全の方針の概要
  • 都市再開発方針等の概要
  • 市街化区域と市街化調整区域との区域区分の概要
  • 地域地区の概要
  • 都市施設の概要
  • 市街地開発事業の概要
  • 市街地開発事業等予定区域の概要
  • 促進区域の概要
  • 遊休土地転換利用促進地区の概要
  • 地区計画等の概要
  • 被災市街地復興推進地域の概要

都市計画区域の整備、開発及び保全の方針

2000年の法改正により規定されたもので、別名都市計画区域マスタープランとも呼ばれています。都市計画区域の整備、開発及び保全の方針では、基本計画を策定するのが目的であり、細かい規制を決めることを目的としていません。あくまでも、都市の人口や産業などの特色から「どのような街にしていくのか」方向性を示すだけのものです。決定権者は都道府県です。

都市再開発方針等

都市再開発方針等は、4つの方針を指します。都市再開発の方針、住宅市街地の開発整備の方針、拠点業務市街地の開発整備の方針、防災街区整備方針の4つです。あくまでも方針であり、具体的に都市計画を決めていくための方向性を提示しているにすぎません。

決定権者は都道府県です。都市再開発方針等はすべての都道府県が必ず定めなければいけないものではなく、必要に応じて定めるものとなっています。

市街化区域と市街化調整区域との区域区分

市街化区域と市街化調整区域との区域区分では、都市計画区域を一定の基準に従って3つのエリアに分けます(線引きといいます)。市街化区域、市街化調整区域、非線引き区域の3つです。線引きは必要なときにだけすればよいものとされていますが、三大都市圏の一定の区域等では必ず決めなければならないとされています。

区域区分の現状

市街化区域

「すでに市街地となっている区域」と「おおむね10年以内に優先的計画的に市街化を図るべき区域」と定義されています。まずは既成市街地を整理して、秩序ある発展を目指します。同時に、今後市街化したい地域について先手を打って計画的な発展を目指すための区域です。

市街化区域は143万ヘクタールあり、国土の3.8%を占めています。人口では8,509万人が暮らしており、全体の67.1%です。

市街化調整区域

市街化を抑制すべき区域です。あくまでも抑制であって禁止しているわけではありません。とはいえ、調整区域に指定されている場合、建物の建造などは合理的な理由などを提示し、認められない限りできません。

市街化調整区域は373万ヘクタールあり、国土の9.9%を占めています。人口では1,205万人が暮らしており、全体の9.5%です。

非線引き区域

区域区分(市街化区域・市街化調整区域)が定められていない都市計画区域です。非線引き区域は482万ヘクタールあり、国土の12.8%を占めています。人口では2,079万人が暮らしており、全体の16.4%です。

地域地区

地域地区は、土地をどのような用途で利用するかを決めているものです。地域地区くらいから規制の色が強くなり始めます。用途地域などは地域地区によって定められる代表的なものです。ほかにも「特別用途地区、高層住居誘導地区、高度地区、高度利用地区、特定用途制限地域、特例容積率適用地区、特定街区、防火地域・準防火地域、風致地区」などがあります。

都市施設

都市施設とは、都市に必要な骨格となる施設です。といっても、大型商業施設などではなく、ライフラインやインフラの性質が強いです。都市計画区域では、都市計画として都市施設の設置を定めることができるとされています。特に必要があるときには、都市計画区域外においても定めることができます。

市街化区域と非線引き区域では、少なくとも「道路、公園および下水道」を定めなければいけません。また住居系の用途地域では、義務教育施設(小・中学校)も定めます。

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