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【中古住宅の諸費用】5%から10%の詳細な内訳


住宅を購入するときには、諸費用がかかると聞いたことがあるでしょう。この諸費用は、中古住宅を買う時でも必ずかかります。しかし、問題なのは諸費用の額がいまひとつはっきりしないこと。金額が分からないのに購入するなんて不安が大きいですよね?

今回は、中古住宅の諸費用について、ひとつひとつ解説していきます。金額を確定させることはできませんが、おおよその金額は出すことができます。その出し方も解説しますので、これを読んで購入計画をより具体化させましょう。

諸費用の額が、おおよそで分かっているのと、分かっていないのとでは、購入後の新生活にずいぶんと差がつきます。新生活はお金がなにかとかかるもの。トータルで考えて、より良い新生活がスタートできるようにしましょう!

この記事のシチュエーション

築5年の中古住宅を購入
(7月1日に引渡し予定)

価格は3,500万円
(土地:1,500万円、建物:2,000万円)

固定資産税評価額⇒土地:1,000万円、建物1,500万円

住宅ローンは、フラット35を選択。
金利1.2%/35年返済/借入金額3,000万円

この記事からわかること

  • 中古住宅購入の流れ
  • 中古住宅の諸費用:契約と引渡し・融資の準備
  • 中古住宅の諸費用:融資(住宅ローン)の実行
  • 中古住宅の諸費用:物件の引渡し
  • 中古住宅の諸費用:お引越し
  • 引越し費用を節約するコツ

さらに詳しく


中古住宅の購入ガイドでは、

  • 良い中古住宅の効率的な見つけ方
  • 割安・割高をしっかりと見分ける方法
  • すこしでも安く中古住宅を購入する方法
  • 中古住宅にかかる全費用(購入後も含めて)
  • 売却や建て替えに適した費用性の高い築年数

など、より賢く、よりお得に、中古住宅を購入する方法についてまとめています。


中古住宅を購入した時の流れ

中古住宅の諸費用について説明する前に、中古住宅を購入した時の流れについてざっくりと知っておきましょう。今回の諸費用の解説も、各フェーズごとにかかる諸費用をまとめていきます。以下が中古住宅を購入した時の流れです。

  1. 契約
  2. 引渡し・融資の準備
  3. 融資(住宅ローン)の実行
  4. 物件の引渡し
  5. お引越し

まず契約をします。物件が確定し、売主・買主双方ともに納得の上で、売買契約を成立させます。この契約(約束)をもとに、双方が引渡しの準備を進めていきます。

ですので、次は、引渡し・融資の準備になります。引渡しをするには、登記関係をはっきりさせる必要があります。融資(住宅ローン)の実行をするにも、さまざまな準備物があります。

そして、準備が整ったら、実際に引渡しと融資の実行をします。これはフェーズを分けましたが、実際には同日のほぼ同時刻に行われます。というのも、不動産契約は、代金の授受をもって物件を引き渡すものとするとしていることがほとんどだからです。ですが、説明の関係でフェーズは分けました。

もう物件はあなたのものですが、新生活を始めるにあたってお引越しが残っていますね。楽しい引越しですが、いろいろと費用はかかります。引越しの費用についてもしっかりと確認しておきましょう。

中古住宅の諸費用:契約と引渡し・融資の準備

気に入った物件があり、無事契約を終えました。これから決済に向けてひとつずつ進んでいきます。まずは、契約と引渡し・融資の準備にかかる諸費用をみてみましょう。以下が契約と引渡し・融資の準備の諸費用です。

  • 印紙税
  • 仲介手数料
  • 適合証明書

印紙税

印紙税は国税です。契約書に貼りつけるもので、契約の金額に応じて印紙税の納税額が変わってきます。また住宅ローンを借りる時には、金銭消費貸借契約(いわゆるキンショウ契約)にも印紙税を納めなければいけません。

不動産売買契約書の印紙税

今回は、総額3,500万円の中古住宅を購入する契約です。1千万円を超え5千万円以下のものに該当するので、1万円が必要です。本来は2万円なのですが、今は軽減措置が適応され半額です。

金銭消費貸借契約の印紙税

金銭消費貸借契約書にも印紙税を納める必要があります。同じく1千万円を超え5千万円以下のものに該当するのですが、こちらは2万円が必要です。銀行と結ぶ約束を公的にするものなので、住宅ローンを借りる以上は必要です。

印紙税について(一覧表あり)
印紙税について(一覧表あり)

印紙税について解説している記事です。印紙税額の一覧表、軽減措置、課税(および不課税)文書、納税者および納付方法、過怠税などについて記載しています。

仲介手数料

不動産屋さん(不動産仲介業者)に契約のお手伝いをしてもらうときには、仲介手数料がかかります。もちろん、個人間取引で契約を結ぶこともできますが、宅地建物取引士なしでの取引はトラブルの元になりますので、オススメはしません。仲介手数料は、法律で定められた上限額がありますので、それにだけ注意しましょう。

今回の売買では、111万円の仲介手数料がかかります。これに消費税がかかるので、総額では119万8,800円です(消費税8%で計算)。仲介手数料の計算は以下の記事を参考にしてください。

【仲介手数料】計算(速算式)、無料(および半額)、消費税、値引き
【仲介手数料】計算(速算式)、無料(および半額)、消費税、値引き

仲介手数料について解説している記事です。仲介手数料について、「仲介手数料とは」「宅建業法による仲介手数料の決まり」「仲介手数料の計算方法」「仲介手数料に関する税金」「仲介手数料の相場」「仲介手数料が無料(または半額)の不動産業者」「仲介手数料の値引き交渉」「仲介手数料込みで住宅ローンを借りることはできるのか?」を解説しています。

適合証明書(フラット35のみ)

住宅ローンにフラット35を使うときには、適合証明書が必要になります。適合証明書とは、住宅金融支援機構の定める技術基準に適合していることを証明する書類です。これがないとフラット35での借入はできません。マンションの場合は、適合検査を省略できることがあります。

費用は物件によって異なりますが、中古住宅(一戸建て)の場合、おおむね4万円~6万円になります。有る程度、余裕を持っておくとよいでしょう。今回のケースでは、フラット35を使いますので費用が発生します。

諸費用小計:契約から決済まで

科目 費用
印紙税 不動産売買契約書分:1万円

金銭消費貸借契約書分:2万円

仲介手数料 119万8,800円(税込み/8%)
適合証明書 6万円
小計① 128万8,800円

中古住宅の諸費用:融資(住宅ローン)の実行

住宅ローンを借入するときには、さまざまな費用が必要になります。借りる金融商品の種類によっても必要な費用は変わってきます。このケースでは、フラット35を借りたときの諸費用です。以下は、融資の実行にかかる諸費用です。

  • 融資事務手数料
  • 抵当権設定登記費用
  • 抵当権設定の司法書士報酬
  • 住宅ローンの保証料
  • 団体信用生命保険料
  • 火災・地震保険料

融資事務手数料

融資を実行するためには色々な事務処理が必要になります。その事務処理のための手数料です。融資について手伝ってくれる行員さんのお給料だと思いましょう。

フラット35は、いろいろな金融機関が扱っています。金融機関によって融資事務手数料は様々です。だいたいは3万円~5万円くらいになっています。

抵当権設定登記費用

購入する不動産に抵当権を設定する登記にかかる費用です。抵当権を設定することなく住宅ローンを借りることはできません。いわゆる登録免許税という税金が、この抵当権設定登記費用の実態です。

登録免許税の軽減措置

期間:平成27年3月31日まで ⇒ 平成29年3月31日までに延長された。

条件:床面積が50㎡以上であること。中古住宅の場合は、築25年以内(木造は築20年以内)であること

適用される税率:借入額 × 0.4% ⇒ 借入額 × 0.1%

上記が登録免許税の軽減措置です。今回のケースでは、軽減措置が適用されます。よって、登録免許税の金額は、3万円となります。以下のリンクも参考にしてください。

【抵当権設定登記とは】費用(相場)、必要書類、登録免許税の軽減など
【抵当権設定登記とは】費用(相場)、必要書類、登録免許税の軽減など

抵当権設定登記について解説している記事です。「抵当権設定登記の基礎知識」「抵当権設定登記の流れ」「抵当権設定登記の費用」「抵当権設定登記に関する特別なケース」について触れています。登録免許税の軽減に関する情報など、費用負担を大幅に削減する方法も掲載しています。

抵当権設定登記の司法書士報酬

登録免許税の他に抵当権設定登記を間違いなく行ってくれる司法書士の先生に支払う報酬があります。たまに所有権の移転登記などを自分で行って、司法書士報酬額を節約しようとする方がいます。しかし、抵当権設定登記の場合は、銀行にとって重要なことになるので、銀行が認めてくれないでしょう。わたしの意見としても、登記はとても重要なことなので確実に行うことをおすすめします。

司法書士報酬は、司法書士によって変わります。全国的におよそ3万円~5万円となっています。上の参考記事でも解説していますが、抵当権設定登記や抹消登記ではベテランの司法書士を選びましょう。手続きが複雑なので、新人を選ぶとものすごく後悔します。

住宅ローンの保証料

あなたが万が一返済できなくなったときに、銀行は保証料というものを支払って保証会社から保証を依頼します。以前は連帯保証人などをお願いしてということもあったのですが、最近ではほぼありえません。保証会社の保証に加入してもらって、保証を得るようにしています。

これは銀行のリスクを担保する目的がありますので、かならずかかる費用のひとつと割り切ってください。これに加入することなくして銀行がお金を貸してくれることは通常ありえません。ですが、フラット35では保証料が必要ありません。ゼロ円です。

団体信用生命保険料

あなたが万が一、死んでしまったり高度障害状態になったときのための保険です。これに入っていないと、家族はローンだけ残されて困ってしまいます。民間金融機関のローンだと、加入が必須になっていることが大半で、融資の金利に上乗せという形で支払うことが多いです。

フラット35の場合には、先ほどの保証料同様に原則不要です。ですが、ほとんどの方は万が一に備えて加入します。今回は加入したということで話を進めます。

フラット35を利用したときに、団体信用生命保険として機構団信特約に加入すると特約料という形で支払いが発生します。これは借入期間に分割で団体信用生命保険料を支払っていくものです。今回のケースでは、1年目の特約料が16万4,000円になります。

火災・地震保険料

火災・地震保険については、さまざまなプランがあります。昔から付き合いのあるところでもいいですし、安いところを徹底的に探すのもよいでしょう。今回の火災保険の金額は、目安として20万円を適用します。保険期間は10年で、支払いは一括です。

【失火責任法とは】重過失、損害賠償責任、火災保険、賃貸住宅の場合
【失火責任法】重過失、損害賠償責任、火災保険、賃貸住宅の場合

日本では、失火責任法により火事による損害賠償責任について規定されています。失火責任法では、故意・重過失を除き、火事により被害を出しても、火を出した人に責任は問わないされます。失火責任法が制定されたのは明治時代で、今より一層、木造住宅の多い環境にありました。日本の住環境を考えると火災の責任をすべて問うのは、いかがなものか?という考えが根底にあるようです。この記事では、失火責任法について詳しく解説しています。失火責任法と損害賠償の関係や、重過失の例、身を守るための火災保険の重要性などに触れていきます。賃貸住宅の場合に問われる責任についても記載しているので、賃貸住宅に住んでいる方は一度眼を通しておいてください。

諸費用小計:融資(住宅ローン)の実行

科目 費用
融資事務手数料 5万円
抵当権設定登記費用 3万円
抵当権設定の司法書士報酬 5万円
住宅ローンの保証料 ゼロ円
(但し、民間金融機関のローンでは必要)
団体信用生命保険料 1年目の分:16万4,000円
火災・地震保険料 20万円(期間10年分一括)
小計② 49万4,000円

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