家を買うときには、
- 新築住宅
- 新築マンション
- 中古住宅
- 中古マンション
- 賃貸
などの選択肢を比較して検討することがあります。
必ずしも金銭的価値だけが決定打になるわけではないのですが、それでも最低限のことは知っておきたいと考えるのが普通です。
この記事では、新築の木造住宅(以下、新築住宅)の価値について解説しています。
どのようにして新築住宅の価値が移り変わっていくのか、一般的な不動産市場での扱いを紹介します。
当然、
- 周辺環境の変化
- 経済環境の変化
- リフォームなどの手入れ
- 付加価値
によって若干の差は生まれます。
あくまでも目安として参考にしてください。
この記事からわかること
- 新築住宅の土地の価値
- 新築住宅の建物の価値
新築住宅の価値構成
新築住宅の価値は、
- 建物の価値
- 土地の価値
によって構成されます。
それぞれ価値の移り変わりなどに大きな違いがあるので、別々に考えます。
新築住宅の土地の価値
新築住宅の土地の価値は、
- 周辺環境(立地条件)
- 経済状況(景気)
- 人口
などに左右されます。
あまり難しいことを考えても仕方がないので、「路線価」のみを使った簡単な価値の算出を紹介します。
路線価の調べ方がわからない方は、以下の記事を参考にしてください。
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路線価の調べ方(および㎡単価⇔坪単価の計算方法)
土地を売りたい、土地を買いたいなど、いろいろな事情で路線価を調べる必要があるときがあります。ときには相続の関係ということもあるでしょう。路線価は、土地がいくらなのか調べる代表的な指標です。
今回は、路線価の調べ方について解説します。路線価図から目的地を探す方法から、実際に路線価を導き出すまでの解説です。路線価図は白地図に近いので、初見の方にはあまり優しくない地図です。一緒に頑張りましょう。
路線価と倍率
路線価がわかったら「倍率」を使います。
一般的に不動産業者が新しい土地の売値を決めるときには、
路線価 × 倍率 = 売値
という公式を使います。
倍率には、地域性があり、土地が所在しているエリアの状況に応じて変わります。
一般的な幅として、
分類 | 具体的な状況(目安) | 適用倍率 |
郊外A | 中心市街地から離れているが周辺に小さなスーパーやコンビニくらいはあるところ | 1.0 ~ 1.10 |
郊外B | 高速道路の出口付近など立地が良いとは言えないが、人の往来があるところ | 0.9 ~ 1.0 |
郊外C | まわりに商業施設がほとんどなく「村・集落」などと呼ばれるところ | 0.7 ~ 0.9 |
市街地A | 大都市の市街地(※あくまでも居住区であり、商業区などを除く) | 1.25 ~ 1.50 |
市街地B | 中規模都市の市街地(※大都市のベッドタウンなど) | 1.10 ~ 1.30 |
市街地C | 小規模都市の市街地(※ギリギリ新幹線が通っているような都市) | 1.0 ~ 1.20 |
となります。
(※あくまでも参考程度の目安です。)
周辺環境からうまく判断がつかない場合には、
- 最低価値:0.8倍
- 通常価値:1.2倍
- 最高価値:1.35倍
で考えると、ほとんどの土地はカバーできるはずです。
路線価が「300」だった場合
例として、路線価が「300」だった場合の計算を、以下に示します。
①路線価「300」に、1,000円を掛けて「㎡単価」を出す。
300(路線価) × 1,000円 = 300,000円(㎡単価)
②㎡単価を「0.3025」で割って「坪単価」を出す。
300,000円(㎡単価) ÷ 0.3025 = 991,735円(坪単価)
③坪単価に「倍率」を掛けて「土地の現在価値」を出す。
991,735円(坪単価) × 1.2倍 = 1,190,082円(坪単価・土地の現在価値)
よって、路線価「300」の土地の現在価値は、およそ120万円(坪単価)となります。

土地の将来価値
土地の将来価値を予測することは、はっきりいって無理です。
土地の価値は、経済そのものといっても過言ではなく、ノーベル経済学者や天才投資家でも、正確に将来価値を言い当てることはできないはずです。
ただし、バブルなどの特殊な経済状況におかれていないかぎり、土地の価値はあまり変わりません。
- 東京都
- 神奈川県
- 大阪府
- 愛知県
- 福岡県
など国内主要都市では、需要に応じて敏感に上げ下げをすることがありますが、そのほかの都市では「10%(上下)」動くこともないでしょう。
ですので、「土地の将来価値 = 土地の現在価値」と考えても、さほど支障はないはずです。

今後、バブルのようなことが起こればわかりませんが、その可能性も低いでしょう。
新築住宅の建物の価値
新築住宅の価値を考えるうえで、もっとも重要なのは「建物の価値」です。
木造、鉄骨に限らず、新築住宅の建物の価値は大幅に動きます。
厳密に不動産の価値を算出するときには、
- 原価法
- 取引事例非核法
- 収益還元法
という3手法を組み合わせるのですが、一般的な不動産取引では使われません。
ややこしいことを考えても仕方がないので、ここでは「一般的な不動産取引の市場」で建物の価値がどうなっていくのかを示します。

わたしたちが不動産売買をするときに見ている値段は「売主」や「不動産業者」が決めた値段にすぎません。
大きく値段が異なるわけではないのですが、値付けの方法はまったく異なります。
法定耐用年数を基準にした建物の価値
日本では、建物の価値を「法定耐用年数」を基準にして決めている傾向があります。
法定耐用年数とは、税務上の計算を簡単にするために作られた「財産の寿命」のようなものです。
構造 | 耐用年数 |
木造 | 33年 |
軽量鉄鋼 | 40年 |
鉄筋コンクリート造 | 70年 |
上記は、
- 木造
- 軽量鉄骨
- 鉄筋コンクリート造
の建物の耐用年数を表にしたものです。
木造住宅であれば、耐用年数が33年なので「33年経ったら、価値はゼロになる。」という意味になります。
しかし、あくまでも「法定耐用年数」を基準にしているだけなので、実際には異なります。
木造住宅であれば、寿命が33年なので、年平均3%ほど価値が下がっていくと考えられます。
ですが、一般的な不動産取引では「住み始めた瞬間に20%価値が下がる。」とされます。
ですので、実際の傾斜を表すと、
築年数 | 掛け率(および%)の目安 |
築1年 | 0.85 ~ 0.8 (※新築価値の80% ~ 85%) |
築3年 | 0.75 (※新築価値の75%) |
築5年 | 0.7 (※新築価値の70%) |
築8年 | 0.65 (※新築価値の65%) |
築10年 | 0.6 (※新築価値の60%) |
築15年 | 0.4 (※新築価値の40%) |
築20年 | 0.3 (※新築価値の30%) |
築25年 | 0.15 (※新築価値の15%) |
築30年 | 0.05 (※新築価値の5%) |
築33年 | 0 (※新築価値の0%) |
となります。
(※あくまでも目安であり、建物の状態や不動産業者により異なります。)
新築時の建物価格が「5,000万円」の場合
新築時の建物価格が「5,000万円」であった場合、表にあてはめると、
築年数 | 建物価格の目安 (新築時価格5,000万円の家) |
築1年 | 4,000万円 (マイナス1,000万円) |
築3年 | 3,750万円 (マイナス1,250万円) |
築5年 | 3,500万円 (マイナス1,500万円) |
築8年 | 3,250万円 (マイナス1,750万円) |
築10年 | 3,000万円 (マイナス2,000万円) |
築15年 | 2,000万円 (マイナス3,000万円) |
築20年 | 1,500万円 (マイナス3,500万円) |
築25年 | 750万円 (マイナス4,250万円) |
築30年 | 250万円 (マイナス4,750万円) |
築33年 | 0万円 (マイナス5,000万円) |
となります。
(※あくまでも目安です。)

ただし、リノベーション物件などは「見た目のごまかし」によって、0万円の価値を1,000万円や2,000万円に膨らむことがあります。