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【抵当権設定登記とは】費用(相場)、必要書類、登録免許税の軽減など

更新日:


【抵当権設定登記とは】費用(相場)、必要書類、登録免許税の軽減など

抵当権設定登記について解説している記事です。

抵当権設定登記について、

  • 抵当権設定登記とは
  • なぜ抵当権設定登記を行うのか?
  • 抵当権設定登記の関係者(呼称)
  • 抵当権設定登記の一般的な流れ
  • 抵当権設定登記の費用
  • 抵当権設定登記に関する特別なケース

を解説しています。

そもそも抵当権設定登記とは何なのか?について、

  • 抵当権設定登記とは
  • なぜ抵当権設定登記を行うのか?
  • 抵当権設定登記の関係者(呼称)

から理解できるようになっています。

抵当権設定登記について

  • 不動産業者
  • 金融機関
  • 司法書士

と話をするうえで、必要な知識をすべて網羅しています。

抵当権設定登記の一般的な流れでは、

  • 抵当権設定登記が完了するまでの流れ
  • 抵当権設定登記を完了させるのに必要な前提条件
  • 抵当権設定登記の必要書類
  • 抵当権設定登記にかかる期間
  • 抵当権設定登記の申請方法

について具体的な内容を解説しています。

抵当権設定登記の費用では、

  • 司法書士への報酬
  • 登録免許税
  • そのほかの実費

などについて、ケーススタディを含めながら具体的に解説しています。

登録免許税については「一定の住宅家屋の税率の軽減」についても触れているので、費用を安くする参考にしてください。
(※適用を受けることで、抵当権設定登記の費用が10万円前後安くなります。

抵当権設定登記に関する特別なケースでは、

  • 分筆
  • 借り換え
  • リフォーム(および増築)

など特別なケースでの抵当権設定登記の取り扱いについて解説しています。

抵当権を抹消したい場合には、抵当権抹消登記の記事を参考にしてください。


抵当権設定登記とは

抵当権設定登記とは、債務者(借主)が所有する不動産に対して、借入を担保するための抵当権を設定することによって、債権者(貸主)の権利(債権)を保護するための登記です。

たとえば、あなたが住宅ローンを借りるときには、

  • 債務者(借主):あなた
  • 債権者(貸主):金融機関
  • 住宅ローンの担保:土地と建物

がありますが、あなたの土地と建物に抵当権を設定することによって、金融機関は安心してお金を貸すことができるようになります。

抵当権とは

抵当権とは、債務者(借主)が返済の途中であっても、自己使用が認められる財産への担保権利です。

借金のカタ

住宅ローンとは、よく考えてみると不思議なことが起きているのです。

時代劇でよくある「借金のカタに娘は置いていけ!」というシーンをイメージしてください。

時代劇の例では、

  • 債権者(貸主):悪徳商人
  • 債務者(借主):年老いた町人
  • 担保:かわいい娘

となり、年老いた町人は、悪徳商人に全額耳を揃えてお金を返さない限り、かわいい娘を返してはもらえません。

住宅ローンの場合、

  • 債権者(貸主):金融機関
  • 債権者(借主):あなた
  • 担保:マイホーム

となりますが、あなたは、金融機関に毎月の支払いさえ続けていれば、マイホームは手元にあるままです。

よく考えると不思議なお金の借り方を実現しているのが、

  • 担保を手元に置いておけない権利(時代劇):質権
  • 担保を手元に置いておける権利(住宅ローン):抵当権

の違いなのです。

詳しく知りたい方は、担保とは:担保の種類(抵当権・質権との違い)、担保責任・担保物権を参考にしてください。

登記(不動産)とは

登記(不動産)とは、一定のことについて記録を作成し、世間一般に知らせるための制度です。

重要なポイントは「公に主張をしていること」です。

たとえば、貸家の場合、

  • 借主:田中さん(表札がかかっている)
  • 貸主(所有者):鈴木さん(表札はかかっていない)

ということがありますが、ぱっと見の所有者は「田中さん」ですが、登記を確認すると、正しい所有者である「鈴木さん」が記録されています。

ですので、何かあったときには「鈴木さん」は、「それは私の貸家です!」と主張することができます。

詳しいことは【不動産登記の意義】効力(対抗力・権利推定力・形式的確定力)と公信力を参考にしてください。

抵当権設定登記の内容(登記事項)

抵当権設定登記(サンプル)

抵当権設定登記がされたときには、登記事項証明書の権利部(乙区)に、

  • 原因
  • 債権額
  • 利息
  • 損害金
  • 債務者
  • 抵当権者
  • 共同担保

に関する記載がされます。

原因

原因とは、抵当権設定登記が行われた理由です。
(※登記原因ともいう)

抵当権設定登記の登記原因とは、

  • いつ抵当権設定を行うことになったのか?
  • なぜ抵当権設定を行うことになったのか?
  • いつ抵当権設定が行われたのか?

への解答です。

サンプルの場合、

  • 昭和61年8月28日に、
  • 金銭消費貸借契約が取り交わされ、
  • 同じ日(昭和61年8月28日)に抵当権設定が行われた

となるので、「昭和61年8月28日金銭消費貸借同日設定」と記載されています。

抵当権設定登記の主な原因には、

  • 金銭消費貸借
  • 準消費貸借
  • 金銭消費貸借予約(分割貸付)
  • 金銭消費貸借予約(限度貸付)
  • 引渡債権
  • 売買代金債権
  • 請負代金債権
  • 保証金返還債権
  • 請負契約代金債権
  • 損害賠償額の予約契約

などがありますが、一般的に目にするのは「金銭消費貸借」であり、住宅ローンなどが組まれた時に記載される原因です。

S.Kou

住宅ローンを借りる時に、金融機関と結ぶ契約のことを「金銭消費貸借契約」といいます。

金銭消費貸借とは、借りたものを消費して、同額の金銭を返すことです。

難しい名前ですが、「お金の貸し借りをしましたよ」という契約です。

住宅ローンでいえば、

  1. 家を購入するために、銀行からお金を借りる(口座に振り込まれる)
  2. 銀行から振り込まれたお金を使って、不動産業者に代金を支払う
  3. 住宅ローンによって購入した家に住みながら、銀行にお金を返す

となっています。

債権額

債権額とは、借りたお金の額です。

サンプルの場合、4,500万円が債権額になります。
(※金4,500万円と記載されています。)

利息

利息とは、借りたときの金利です。

サンプルの場合、年5.8%が利息になります。
(※年5・800%と記載されています。)

損害金(遅延損害金)

損害金(遅延損害金)とは、返済が滞ったときの損失に対する決め事です。

サンプルの場合、年14%(年365日の日割計算)が損害金(遅延損害金)になります。

たとえば、月々の返済額が10万円で、損害金(遅延損害金)が年14%であった場合に、特定の一月分のみ支払いを1年滞らせると、

10万円 × 0.14(14%) = 1.4万円

となり、10万円の遅延に対して1.4万円の利息が付くことになります。

債務者

債務者とは、お金を返す人(借主)です。

たとえば、あなたが住宅ローンを借りたのであれば、あなたが債務者です。
(※個人情報なので、サンプルでは消しています。)

抵当権者

抵当権者とは、お金を貸している人(貸主)です。

たとえば、金融機関Aから住宅ローンを借りたのであれば、金融機関Aが抵当権者です。
(※個人情報なので、サンプルでは消しています。)

共同担保

共同担保とは、一緒に抵当権が設定されている担保物件のことです。

たとえば、住宅ローンを組む時には、

  • 土地

に抵当権を設定しますが、

  • 土地

が、当該住宅ローンの共同担保になります。

S.Kou

特定の不動産について登記事項証明書を取得する際に、共同担保目録を同時に請求することで、その不動産と繋がっている別の不動産の情報を得ることができます。

抵当権が設定されている財産について、まとめて調べたい場合には「共同担保目録」が使われます。

なぜ抵当権設定登記を行うのか?

なぜ抵当権設定登記を行うのかというと、

  • 債権者(金融機関)がお金を貸した状態で、あなたに安心して家で生活してもらうため
  • 万が一のときに、残債をしっかりと回収できるようにするため

です。

債権者(金融機関)がお金を貸した状態で、あなたに安心して家で生活してもらうため

あなたが住宅ローンなどの借金を抱えたまま、家で生活を送れるのは「抵当権」の性質によるものです。

本来であれば、

  • 土地

は、借金のカタ(担保)なので、返済が完了しない限り、あなたは家を手にすることができません。

債権者(金融機関)としても、

  • 担保を持ち逃げされるかもしれない
    (※不動産なので起こりえない故に、抵当権が設定できる)
  • 担保を破壊されるかもしれない
    (※なので、火災保険などをしっかりかけることが条件になる)
  • 借金を残して逃げられるかもしれない
    (※なので、登記によって財産処分権を確保する)

といった不安があるので、抵当権設定登記を行うことによって、あなたと良好な関係を保つわけです。

抵当権設定登記を「自分で」できない理由

お話ししたように、

  • 債務者(あなた)
  • 債権者(金融機関)

の間に良好な信頼関係を結ぶことができるのは、確実に抵当権が設定されているからです。

抵当権の設定に確実性が失われてしまうと、

  • 債務者(あなた):家で生活を送ることができない
  • 債権者(金融機関):お金を貸すことができない

ということになるので、登記のプロである「司法書士」への依頼にこだわるということです。

S.Kou

「銀行と司法書士が癒着している!」と考える方がいるようですが、そうではありません。

まったくないとは言いませんが、本来の理由は「お互いの利益を守るため」です。

万が一のときに、残債をしっかりと回収できるようにするため

住宅ローンは、返済が完了するまでに長い期間を要します。

30歳のときに、35年ローンを組んだのであれば、

  • 30代:子供が産まれ、妻が一時退職する
  • 40代:子供が中学生〜大学生になり、教育費にたくさんのお金がかかるようになる
  • 50代:子供が親元を離れ、ようやく一息つけるようになる
  • 60代:定年を迎え、収入が減る

など、ごく一般的な流れで生活を続けたとしても、なかなか大変なことです。

場合によっては、職を失ってしまうこともあるかもしれません。

債権者(金融機関)の目線でみれば、相当なリスクを抱えることであり、万が一、返済が滞ったときのために手を打っておく必要があります。

抵当権が設定されていれば、もし返済不能になってしまったとしても、

  • 土地

を売却することで、残った借金を回収することができます。

抵当権には「順位」があります。

たとえば、あなたの家を担保にして、

  • 30歳:金融機関Aで住宅ローンを組む
  • 35歳:金融機関Bで事業用ローンを組む

とした場合、あなたの家に対して、

  • 金融機関A:順位1位
  • 金融機関B:順位2位

の抵当権が設定されることになります。

もしも、あなたが途中で破産してしまった場合、家を売却して現金にするのですが、

  • 金融機関A:残債1,000万円
  • 金融機関B:残債2,000万円

で、売却して得た現金が1,000万円だった場合には、

  • 金融機関A:全額返済を受ける(残債ゼロ円)
  • 金融機関B:残債2,000万円のまま

となるので、正確かつ早く抵当権設定登記を完了することは、債権者(金融機関)にとって何よりも大事なことになります。

抵当権設定登記の関係者(呼称)

抵当権設定登記の関係者には、

  • 債権者
  • 債務者
  • 登記義務者
  • 登記申請者
  • 登記代理人

がいます。

債権者

債権者とは、お金を貸す人(貸主)です。

住宅ローンの場合、金融機関が債権者になります。

債務者

債務者とは、お金を返す人(借主)です。

住宅ローンの場合、あなたが債務者になります。

登記義務者

登記義務者とは、登記によって不利益を受ける者で、主体的に登記の手続きを行わなければいけない者をいいます。
(※あくまでも形式上の利益をいう)

住宅ローンの場合、抵当権設定登記によって不利益を受けるのは「あなた」です。

なので、抵当権設定登記の場合、基本的に「登記義務者 = 債務者」となります。

登記権利者

登記権利者とは、登記によって利益を受ける者で、自らの利益のために登記を行いたい者です。
(※あくまでも形式上の利益をいう)

住宅ローンの場合、抵当権設定登記によって利益を受けるのは「金融機関」です。

なので、抵当権設定登記の場合、基本的に「登記権利者 = 債権者」となります。

登記代理人

登記代理人とは、

  • 登記義務者
  • 登記権利者

の委任を受けて、代理で登記を行う者です。

住宅ローンの場合、「司法書士」が登記代理人です。

抵当権設定登記の一般的な流れ

抵当権設定登記の流れは、

  1. 不動産の売買契約を結ぶ
  2. 金銭消費貸借契約を結ぶ
  3. 建物表題登記を行う
  4. 抵当権設定登記の準備をする
  5. 抵当権設定登記などを行い、融資の実行および不動産の引き渡しが完了する

となります。

不動産の売買契約を結ぶ

不動産業者との間に、不動産の売買契約を結びます。

売買契約を結ぶことによって、担保となる不動産の所有を確実にします。

金銭消費貸借契約を結ぶ

金融機関との間に、金銭消費貸借契約を結びます。

金銭消費貸借契約を結ぶことによって、不動産を担保にしてお金を借りることを確実にします。

建物表題登記を行う

建物表題登記(サンプル)

建物表題登記を行います。

建物表題登記とは、建物について、

  • 所在
  • 種類
  • 構造
  • 床面積

など、基本的な事項を明確にするための登記です。

S.Kou

後述しますが、建物表題登記がされている表題部には、権利に関する内容は記載されていません。

対象の建物について、どのような建物なのかを確定させているだけなので、所有権については、

  • 所有権保存登記(新築住宅の場合)
  • 所有権移転登記(建売住宅、中古住宅の場合)

によって、登記事項証明書の権利部(甲区)に登記が行われます。

抵当権設定登記の準備をする

抵当権設定登記をするために、

  • 前提登記の確認
  • 必要書類の準備

を行います。

前提登記

前提登記とは、ある登記を行うために、事前に完了させなければいけない登記です。

抵当権設定登記の前提登記は、

  • 住所変更登記
  • 名義変更登記
  • 相続登記

です。

S.Kou

抵当権設定登記を行うために、各前提登記について、正常に準備ができていれば問題はありません。

抵当権設定登記を行うためには不備がある状態の場合に、前提登記によって、不備を修正することになります。

住所変更登記

抵当権設定登記の必要書類に「印鑑証明書」があります。

抵当権設定登記を行うためには、

  • 印鑑証明書に記載されている住所
  • 登記事項証明書に記載されている住所(所有者のもの)

が一致していなければいけません。

双方が食い違っている場合に、住所変更登記によって登記事項証明書の住所を修正します。

名義変更登記

抵当権設定登記の必要書類に「印鑑証明書」があります。

抵当権設定登記を行うためには、

  • 印鑑証明書に記載されている氏名
  • 登記事項証明書に記載されている氏名(所有者のもの)

が一致していなければいけません。

双方が食い違っている場合に、名義変更登記によって登記事項証明書の氏名を修正します。

相続登記

先に説明したように、抵当権設定登記では、

  • 印鑑証明書に記載されている住所および氏名
  • 登記事項証明書に記載されている住所および氏名(所有者のもの)

が一致していなければいけません。

相続が発生している場合、所有者の氏名住所が「故人」になっていることがあります。

ですので、相続登記によって登記事項証明書の氏名および住所を修正します。

抵当権設定登記などを行い、融資の実行および不動産の引き渡しが完了する

抵当権設定登記を行うときには、

  • 所有権保存登記(または所有権移転登記)
  • 抵当権設定登記

を同時にします。

所有権保存登記とは、新設された不動産登記に対して、初めて行われる所有権についての登記です。

ですので、新築(および新築に準ずる建設行為)があった場合にのみ「所有権保存登記」が行われます。

所有権移転登記とは、元々の所有者から、新たな所有者に所有権を移転させるための登記です。

ですので、

  • 建売住宅(建売業者が元々の所有者)
  • 中古住宅(売主が元々の所有者)

の場合にのみ「所有権移転登記」が行われます。

すべてが無事完了することによって、

  1. 不動産について、あなたの所有権が確定する
  2. 不動産について、金融機関の抵当権設定が確定する
  3. 金融機関から、あなたに融資が実行される
  4. あなたから、不動産業者に代金が支払われる
  5. 不動産業者から、あなたに不動産が引き渡される

という運びになります。

S.Kou

不動産の売買契約を結んだ場合、不動産業者から「決済と引き渡しは○○銀行にて、同日に行いますので、よろしくお願いいたします。」などと告げられます。

当日は、

  • あなた
  • 不動産業者
  • 司法書士
  • 金融機関担当者

が同席し、1時間〜2時間で一気にすべてを終わらせます。

といっても、あなたはほとんど座って待っているだけなので、特別忙しいわけではありません。

わたしは、抵当権設定登記を依頼するのであれば、

  • 担当の不動産業者
  • 借入をする金融機関

とつながりのある司法書士への依頼をオススメしています。

というのも、同日決済および引き渡しでは、

  • あなた
  • 司法書士
  • 金融機関
  • 不動産業者

のいずれかの準備に不足があると、決済および引き渡しが完了できなくなり、別日に再調整することになります。

当然、融資の実行には金融機関が営業していなければいけないので「平日」しか選ぶことができません。

よって、あなたは会社に有給などを再申請しなければいけないことがあるからです。
(※自分で抵当権設定登記を行うリスクのひとつでもあります。)

抵当権設定登記の必要書類

抵当権設定登記の必要書類は、

  • 抵当権設定登記申請書
  • 登記原因証明情報
  • 金銭消費貸借契約書
  • 代表者事項証明書(資格証明書)
  • 委任状(代理権限証書)
  • 登記済証(または登記識別情報)
  • 印鑑証明書(発行後、3ヶ月以内のもの)
  • 住宅用家屋証明書(登録免許税の軽減の適用を受ける場合)

です。
(※以下の内容は、抵当権設定登記について司法書士に依頼することを前提としています。)

上記のうち、あなた(債務者)が用意しなければいけないのは、

  • 委任状(代理権限証書)
  • 登記済証(または登記識別情報)
  • 印鑑証明書(発行後、3ヶ月以内のもの)
  • 住宅用家屋証明書(登録免許税の軽減の適用を受ける場合)

のみです。

抵当権設定登記申請書

抵当権設定登記申請書とは、法務局に対して、抵当権設定登記を申請するための書類です。

抵当権設定登記申請書は「司法書士」が用意します。

詳しくは抵当権設定登記申請書の記載例(法務局)を参考にしてください。

登記原因証明情報

登記原因証明情報とは、登記の原因による権利変動があることを登記官に証明するための書類です。

住宅ローンの場合では、

  • 金銭消費貸借契約書(兼抵当権設定契約書)
  • 抵当権設定契約書

が、登記原因証明情報として扱われます。

ですので、登記原因証明情報は「債権者(金融機関)」が用意します。

登記官とは、法務局に在籍している登記を管理する人です。

抵当権設定契約書とは、「万が一、返済不能になったときには担保を手放します」と約束する契約書です。

大半の場合、金銭消費貸借契約書兼抵当権設定契約書として、ひとつの契約書にまとまっています。

しかし、金融機関によっては、情報保護の観点から、

  • 金銭消費貸借契約書
  • 抵当権設定契約書

を分けていることがあります。

代表者事項証明書(資格証明書)

代表者事項証明書(資格証明書)とは、

  • 会社法人等番号
  • 名称
  • 主たる事務所
  • 代表者の資格、氏名および住所

が記載されている登記事項証明書の一種です。

通常の場合、代表者事項証明書(資格証明書)は「債権者(金融機関)」が用意します。

ただし、債務者(借主)が法人の場合には、債務者(借主)も用意しなければいけません。

委任状(代理権限証書)

委任状(代理権限証書)とは、登記手続きについて代理人に任せることを証明する書類です。

委任状(代理権限証書)は、「司法書士」が作成し、

  • 債務者(あなた)
  • 債権者(金融機関)

が、署名捺印して用意されます。

捺印するときには「実印」を使います。

登記済証(または登記識別情報)

登記済証(または登記識別情報)とは、あなたに抵当権を設定する不動産の所有権があることを証明する書類です。

登記済証(または登記識別情報)は「債務者(あなた)」が用意します。

S.Kou

ただし、

  • 抵当権設定登記
  • 所有権保存登記(または所有権移転登記)

を同日に行う場合には、登記済証(または登記識別情報)を用意するのは「司法書士」です。

なぜなら、

  1. 決済および引き渡しの日の朝、司法書士が所有権保存登記(または所有権移転登記)を行う
  2. 所有権保存登記(または所有権移転登記)の完了を確認し、新所有者の登記済証(または登記識別情報)を入手する
  3. 新所有者の登記済証(または登記識別情報)を用いて、抵当権設定登記を行う
  4. 決済および引き渡しが行われる金融機関へ向かう

となるので、事実上、司法書士が用意するしかないのです。

印鑑証明書(発行後、3ヶ月以内のもの)

市役所などで取得することができる印鑑証明書です。

印鑑証明書は「債務者(あなた)」が用意します。

発行してから3ヶ月以内のものに限り有効なので、期限に気をつけてください。

住宅用家屋証明書(登録免許税の軽減の適用を受ける場合)

登録免許税について、「一定の住宅家屋の税率の軽減」の適用を受ける場合には、住宅用家屋証明書を用意します。

一定の住宅用家屋の税率の軽減の適用を受けると、

  • 抵当権設定登記の適用税率:0.4% ⇒ 0.1%

になります。
(※一定の住宅家屋の税率の軽減にいては、詳しく後述します。)

住宅用家屋証明書は「債務者(あなた)」が用意します。

S.Kou

一定の住宅家屋の税率の軽減を活用することで、抵当権設定登記にかかる費用を10万円前後安くできるので、必ず確認するようにしてください。

抵当権設定登記の完了に要する期間

抵当権設定登記は、申請をしてから1週間〜2週間で完了します。

抵当権設定登記が完了したときには、司法書士から「事後謄本」を受け取れます。

S.Kou

事後謄本とは、申請を受けた登記が無事に完了したことを証明する書類です。

登記記録については、

  • 電子化される以前:登記簿謄本
  • 電子化されたあと:登記事項証明書

と呼び方が変わったのですが、事後謄本という呼び方は電子化前の名残です。

法務局に抵当権設定登記を申請する方法

法務局に抵当権設定登記を申請する方法は、

  • 直接申請
  • 郵送による申請
  • オンライン申請

の3つあります。

直接申請

法務局に直接足を運んで、登記官に直接書類を渡す申請方法です。

確実性がもっとも高いので、基本的には直接申請が行われます。

郵送申請

法務局に必要書類を郵送して、登記官に郵送で書類を渡す申請方法です。

郵送申請の場合には、

  • 申請に必要な書類を封筒に入れる
  • 郵送する封筒に「不動産登記申請書在中」と記載する
  • 必ず「書留郵便」で送る

のがルールです。

詳しい方法は、不動産登記の申請書様式について(法務局)を参考にしてください。

オンライン申請

登記・供託オンライン申請システムを活用して、インターネット上で登記を申請する方法です。

詳しい方法は、不動産登記の電子申請(法務局)を参考にしてください。

抵当権設定登記の費用

抵当権設定登記の費用は、

  • 司法書士への報酬
  • 登録免許税
  • そのほかの実費

で構成されています。

S.Kou

抵当権設定登記にかかる費用のうち、大部分を閉めるのは「登録免許税」です。

登録免許税は「一定の住宅家屋の税率の軽減」の適用を受けることで、大幅に費用を安くできるので、必ず確認するようにしましょう。

司法書士への報酬(相場)

司法書士への報酬は、

  • 基本報酬:30,000円前後(債権金額2,000万円まで)
  • 追加報酬:以後、債権金額1,000万円につき5,000円前後

が、一般的な価格です。

たとえば、住宅ローンを5,000万円借り入れる場合、

  • 基本報酬:30,000円前後
  • 追加報酬;15,000円前後

となるので、合計45,000円前後です。

司法書士を選ぶ際には、

  • 不動産業者
  • 金融機関

と繋がりがある方を選べるとベストです。

たとえば、

  • 不動産業者:地場の大手
  • 金融機関:地元の銀行(地銀)

の場合、不動産業者から紹介してもらった方がスムーズに物事が運ぶのは間違いありません。
(※ネット系金融機関を使う場合、繋がりがある司法書士はかなり限定されてしまうと考えられます。)

S.Kou

司法書士の報酬については、

  • 個人差(事務所による差)
  • 地域差

などがあるので、あくまでも目安です。

また、ネット銀行系の住宅ローンを使う場合には、提携司法書士に依頼すると、相場よりもすこし高い印象があります。

司法書士から不動産業者へのキックバック(リベート、紹介料)について

まったくないとは言えませんが、原則として、司法書士はキックバック(リベート、紹介料)を支払うことが法律で禁止されています。

ですので、「不動産業者から紹介を受けるとキックバック分の料金が高くなるのでは...?」という心配は必要ありません。

キックバックについては、まったくないとは言い切れません。

しかし、司法書士の報酬については、実働を考えるとかなり安く設定されているので、通常の料金体系であれば、そもそもキックバックをする余裕がありません。

ですので、相場の2倍くらいを請求されるようなことがない限り、キックバックはないと考えて問題ありません。

一般的な範囲の設定額であれば、「10万円を超えてくると怪しいかな?」という印象です。
(※抵当権設定登記の報酬のみでの話です。同時にほかの登記を行う場合には、超えることは十分にありえます。)

登録免許税

登録免許税とは、登記をしたときにかかる税金です。

「登記」と名のつくもの全般に対してかかるので、

  • 所有権移転登記
  • 所有権保存登記
  • 抵当権設定登記

など、あらゆる不動産登記に関係してきます。

抵当権設定登記の場合には、

  • 課税標準:債権金額
  • 適用税率:0.4%

なので、住宅ローンを5,000万円借り入れたときには、

5,000万円(債権金額) × 0.4% = 200,000円

となり、登録免許税額は200,000円です。

一定の住宅家屋の税率の軽減

登録免許税には「一定の住宅家屋の税率の軽減」という特例が用意されています。

一定の住宅家屋の税率の軽減が適用されると、適用税率が、

0.4% → 0.1%

に変わるので、住宅ローン5,000万円借り入れた時には、

5,000万円(債権金額) × 0.1% = 50,000円

となり、適用なしに比べると150,000円も安くなります。

ただし、一定の住宅家屋の税率の軽減を受けるためには、

  • 個人が平成32年3月31日(平成29年度改正により延長)までに新築または取得した住宅用家屋であること
  • 自分の住宅として使用すること
  • 家屋の床面積(登記簿の面積)が50㎡以上であること
  • 新築または取得後1年以内に登記すること
  • 登記申請書に、その家屋所在地の市町村長の証明書(住宅用家屋証明書)を添付すること

という要件を満たす必要があります。

中古住宅を購入する場合には、上記に加えて、

  • 取得の日の以前20年(耐火建築物は25年)以内に建築されたもの
  • 建築基準法施行令第3章および第5章の4の規定または地震に対する安全性に係る基準に適合するもの

のいずれかを満たす必要があります。

S.Kou

要件が多いので難しそうに感じますが、よく見ると難しくありません。

簡単な言葉に言い換えると、

  • すぐに登記すること
  • あなたの自宅であること
  • あなたが法人ではないこと
  • 15.125坪以上の住宅であること
  • 平成32年3月31日までに取得すること
  • 住宅用家屋証明書を市町村からもらうこと

となるので、ほとんどの方が適用対象になります。

そのほかの実費

そのほかの実費として、

  • 登記事項証明書の取得費用
  • 事後謄本の取得費用

などを請求される場合があります。

司法書士の報酬に含まれていることがあるので、必ずしもかかるわけではありません。

S.Kou

1,000円程度の話なので、あまり気にする必要はないでしょう。

抵当権設定登記にかかる費用の例

ケースごとに抵当権設定登記費用の概算を示します。

あくまでも概算なので、目安として考えてください。

5,000万円を借り入れて、マイホームを新築した場合

5,000万円を借り入れて、マイホームを新築した場合、

  • 司法書士の報酬:30,000円前後 + 15,000円前後 = 45,000円前後
  • 登録免許税:5,000万円(債権金額) × 0.1%(特例適用) = 50,000円
  • そのほかの費用:1,000円前後

となり、合計96,000円前後になります。

特例の適用を受けなかった場合、

  • 司法書士の報酬:30,000円前後 + 15,000円前後 = 45,000円前後
  • 登録免許税:5,000万円(債権金額) × 0.4%(特例適用なし) = 200,000円
  • そのほかの費用:1,000円前後

となり、合計246,000円前後になります。

特例適用時との差額は「150,000円」です。

5,000万円を借り入れて、貸家を建てた場合

5,000万円を借り入れて、貸家を建てた場合、

  • 司法書士の報酬:30,000円前後 + 15,000円前後 = 45,000円前後
  • 登録免許税:5,000万円(債権金額) × 0.4%(特例適用なし) = 200,000円
  • そのほかの費用:1,000円前後

となり、合計246,000円前後になります。

3,000万円を借り入れて、中古住宅(自己使用)を購入した場合

3,000万円を借り入れて、中古住宅(自己使用)を購入した場合、

  • 司法書士の報酬:30,000円前後 + 5,000円前後 = 35,000円前後
  • 登録免許税:3,000万円(債権金額) × 0.1%(特例適用) = 30,000円
  • そのほかの費用:1,000円前後

となり、合計66,000円前後になります。

特例の適用を受けなかった場合、

  • 司法書士の報酬:30,000円前後 + 5,000円前後 = 35,000円前後
  • 登録免許税:3,000万円(債権金額) × 0.4%(特例適用なし) = 120,000円
  • そのほかの費用:1,000円前後

となり、合計156,000円前後になります。

特例適用時との差額は「90,000円」です。

3,000万円を借り入れて、中古住宅(賃貸利用)を購入した場合

3,000万円を借り入れて、中古住宅(賃貸利用)を購入した場合、

  • 司法書士の報酬:30,000円前後 + 5,000円前後 = 35,000円前後
  • 登録免許税:3,000万円(債権金額) × 0.4%(特例適用なし) = 120,000円
  • そのほかの費用:1,000円前後

となり、合計156,000円前後になります。

抵当権設定登記に関する特別なケース

抵当権設定登記について、

  • すでに抵当権が設定されている土地を分筆する場合
  • まだ抵当権が生きている不動産について借り換えをする場合
  • すでに抵当権が設定されている建物をリフォーム(および増築)する場合

など、特殊なケースでの対応について解説します。

すでに抵当権が設定されている土地を分筆をする場合

すでに抵当権が設定されている土地を分筆する場合には、

  • 新たに抵当権設定登記を行う必要はない
  • 分筆について債権者(金融機関)に事前に確認をしたほうがよい

といったことがポイントになります。

例えば、土地Aを分筆した場合、

  • 土地A-1
  • 土地A-2

となるのですが、すでに設定されていた抵当権は、自然と両者に引き継がれ「共同担保」となります。

ですので、新たに抵当権設定登記を行う必要はありません。

しかし、50坪の土地を分筆して、

  • 25坪
  • 25坪

などに分けた場合には、50坪のまとまった土地に比べて、25坪の土地を合わせた資産価値が減ります。
(※50坪の土地よりも、25坪の土地の方が利用価値が下がるので、合わせたら50坪であっても資産価値は減ることになる。)

債権者(金融機関)からすると「担保価値」が減ることになるので、分筆する場合には何らかの措置(弁済など)を求められることがあります。

S.Kou

債権者(金融機関)への確認は絶対ではありません。

しかし、後々のトラブルを考えれば、確認だけしておくほうがベターです。

まだ抵当権が生きている不動産について借り換えをする場合

まだ抵当権が生きている不動産について借り換えをする場合には、

  • 今の抵当権を抹消する登記(抵当権抹消登記)
  • 新しい抵当権を設定する登記(抵当権設定登記)

を行う必要があります。

たとえば、残債1,000万円の住宅ローンAを住宅ローンBに借り換える場合には、

  1. 住宅ローンAを返済して、住宅ローンAの抵当権を抹消する
    (※住宅ローンAの抵当権順位が完全に消される)
  2. 新たに住宅ローンBの抵当権を設定する
    (※住宅ローンBの抵当権順位が新たに登録される)
  3. 住宅ローンBが実行される

という流れになります。

すでに抵当権が設定されている建物をリフォーム(および増築)する場合

すでに抵当権が設定されている建物をリフォーム(および増築)する場合には、

  • 既存の住宅ローンに追加融資を受けて一本化する場合
  • 既存の住宅ローンはそのままで、リフォームローンを新たに組む場合

で、流れが変わってきます。

既存の住宅ローンに追加融資を受けて一本化する場合

既存の住宅ローンに追加融資を受けて一本化する場合には、

  1. 既存の住宅ローンを抹消する(抵当権抹消登記)
  2. 新たな住宅ローンに抵当権を設定する(抵当権設定登記)

という流れになります。

S.Kou

つまり、借り換えをする場合と同じ運びです。

既存の住宅ローンはそのままで、リフォームローンを新たに組む場合

既存の住宅ローンはそのままで、リフォームローンを新たに組む場合には、

  • 既存の抵当権設定登記はそのまま
  • 新たに抵当権設定登記をする必要もない

となります。

既存の住宅ローンに対して変更をかけることはないので、何もすることはありません。

また、リフォームローンは、基本的に「無担保ローン」なので、抵当権を設定しません。

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