中古住宅と建売住宅について、どちらが売りやすいのかについて解説している記事です。
さくっと要点を知る
- 建売住宅に比べると、中古住宅の方が売りやすい傾向にある
- 建売住宅に比べると、中古住宅は立地条件が良い傾向にあるので、最悪、土地の値段で売れる
- 建売住宅は「新築」なので売りやすいというのは、現実的な意見ではない
- 建売住宅は「一般的な間取り」なので売りやすいというのは本当だが、建物の魅力がなくなれば意味がない
- より売りやすい中古住宅を購入したいのであれば、
・立地条件
・土地の広さ
・建物の大きさ
を意識したい
さらに詳しく
中古住宅の購入ガイドでは、
- 良い中古住宅の効率的な見つけ方
- 割安・割高をしっかりと見分ける方法
- すこしでも安く中古住宅を購入する方法
- 中古住宅にかかる全費用(購入後も含めて)
- 売却や建て替えに適した費用性の高い築年数
など、より賢く、よりお得に、中古住宅を購入する方法についてまとめています。
不動産の基本は「立地条件」
不動産の基本は「立地条件」です。
不動産は、
- 土地
- 建物
によって構成されます。
不動産の価値に、より影響を与えるのはどちらか?と問われれば、間違いなく「土地」です。
銀座などの一等地に小さな土地を購入して、安く建物を建てたら、倍額で売れたというのは不動産転売ではよく聞く話です。
建売住宅は「立地条件」が悪い
建売住宅は、
- 立地条件のあまりよくない土地を仕入れる
- 見込み客の条件にギリギリ合いそうなラインで家を建てる
- 家と土地をセットで販売する
という不動産の販売方法です。
不動産業者の建売住宅用地は、
- 大規模な農地などを安値で仕入れる
- 競売不動産を安値で仕入れる
- 売れ残っている土地を安値で仕入れる
というのが代表的なルートです。
土地だけでは販売が難しい不動産に、建物を建てることで魅力的にみせて、一般消費者に売るのが基本中の基本です。
品質が決して悪いわけではなく、わたしたちからしても安く新築住宅が手に入るのでメリットはあります。
しかし、ほとんどの場合、建売住宅は、それほど立地条件がいいわけではないのは事実です。
中古住宅は「立地条件」が良い
建売住宅に比べると、中古住宅は「立地条件」が良くなる傾向にあります。
中古住宅は、もともと注文住宅として建てられているものが多いので、建て主のこだわりが強くなります。
当然、立地にもこだわっていることが多く、相対的に条件が良くなりやすいです。
また、既成市街地(すでに市街化している成熟したエリア)では、新しい土地が出にくい傾向にあります。
しかし、既成市街地から宅地の売りものはなかなか出ませんが、中古住宅の売りものは頻繁に出てきます。
既成市街地では、
- 商業施設
- 教育施設
- 公的機関
- 金融機関
- 公共交通機関
など、生活の利便性を高めてくれるインフラが整っているので、当然、立地条件が良くなります。
中古住宅は、最低でも「土地値」で売れる
立地条件の観点で考えると、
- 中古住宅:最低でも「土地値」で売れる
- 建売住宅:「土地値」でさえ売れない
ということが言えます。
築25年〜30年を超えてくると、建物の価値はなくなります。
建物の価値がないということは、土地の魅力だけで勝負をしなければいけません。
(※築年数が25年を超えてくると、リフォームをしても「焼け石に水」でしかありません。)
土地の魅力だけで勝負するとなれば、建売住宅は圧倒的に不利です。
そもそも土地としての魅力がないから建売住宅として販売されているので、売ろうと思ったら同じことをしなければいけません。
しかし、中古住宅の場合には、立地条件の悪いところでない限り、土地の魅力で売ることができます。
建売住宅は「新築」だから有利なのか?
建売住宅は「新築」だから有利だという話を聞きます。
確かに、「築10年〜15年まで」は、建物の魅力が伝わりやすいので有利です。
しかし、築10年〜15年を超えてしまうと、とたんに建物の魅力は失われてしまいます。
いつ売るのか?を考えてみてほしいのですが、よほどの事情がない限り、築10年〜15年までに売ろうと考えることはないはずです。
おそらく、本当に売ろうと考えるのは、
- 定年退職をして、広い空間が必要なくなったので、小さなマンションに住み替える
- 住宅ローンの返済も終わり、家も古くなったので、建て替えではなく、売却して賃貸に住み替える
- 子供が相続したが、ほかの土地で生活していて、必要がなくなった
というときだと思います。
すべてに共通して、新築で購入していたとしても、ほぼ確実に、築年数が10年〜15年を大幅に超えています。
となると、建売住宅は「新築」だから有利という点は、現実的な意見ではないことがわかります。
建売住宅は「一般的な間取り」だから有利なのか?
不動産業者が建売住宅を建てるときには、一般的に受け入れられやすい間取りを心がけます。
特徴的な間取りにしてしまうと、客層の幅が絞られるので、なにかと販売に不都合が生じるのです。
(※最近では、一般顧客の飽きに対応するために、特徴的な間取りを取り入れる業者も増えている。)
ですので、間取りだけを考えると、建売住宅の間取りは売りやすい間取りになっていることは間違いありません。
間取りに合わせたセールストークが定型文として用意されているくらいです。
中古住宅の場合には、新築当初、注文住宅として建てられていることが多いので、施主の好みや事情が反映されます。
たとえば、
- 施主の希望で、6畳ほどの小さな書斎を用意した
- 施主の希望で、アイランドキッチンを導入した
- 施主の希望で、ロフトをつけた
などといったケースはよくあります。
中古住宅を購入したい人が同じ考えならいいのですが、
- 中途半端な書斎を作るくらいなら、広い部屋を1つ用意したい
- アイランドキッチンは使いにくいから、対面キッチンがいい
- ロフトは暑いし、狭いからいらない
といった考えをしている人には、ほぼ確実に売れません。
ですので、建売住宅は「一般的な間取り」だから有利というのは、事実です。
しかし、あくまでも「築10年〜15年まで」の話です。
築10年〜15年を超えてしまえば、建物の魅力は、問答無用でなくなります。
どんなに一般的な間取りで、受け入れられやすいとしても、ボロボロでは意味がないのです。
売りやすい中古住宅を購入したい場合の注意点
売りやすい中古住宅を購入したい場合には、
- 立地条件
- 土地の広さ
- 建物の大きさ
に注意してください。
最重要事項は「立地条件」
先述しましたが、不動産の肝は「立地条件」です。
立地条件さえ良ければ、最悪、土地の値段で売ることができます。
後々、手放すことを意識しているのであれば、立地条件にだけはこだわってください。
客層を幅を決める「土地の広さ」
立地条件が良ければ、
- どんなに広大な土地
- どんなに狭い土地
であっても、おそらく売れます。
しかし、より売りやすい状態にしたいのであれば、土地の広さも考えておきましょう。
「50坪〜65坪の土地」が理想的です。
土地柄にもよるのですが、50坪〜65坪の土地は、広すぎず・狭すぎない土地になので、住宅用地としての需要が厚くなります。
50坪以下になると、
- 間口が狭い
- 駐車場が十分に確保できない
- 採光が取りにくい
など、建物に不都合が生じやすくなり、住宅用地としての魅力が減ります。
65坪以上の土地になると、建物の不都合はないのですが、余計な予算がかかるので、買える人が少なくなります。
立地条件に比べれば、重要度は落ちるのですが、意識しておくと後々助けになります。
とくに中古住宅を購入する場合、広い土地が買いやすくなるため、ボリュームゾーンから外れがちです。
できれば、意識してみてください。
売却コストを左右する「建物の大きさ」
購入した中古住宅を売るときには、建物の魅力は、ほぼなくなっています。
土地の魅力だけで勝負することになるのですが、必ずといっていいほど「解体費用」の問題が浮上します。
あなたが売っている中古住宅(ほぼ土地)を購入する側もバカではないので、建物には期待していません。
最初から新築するつもりで、土地を買いに来ています。
すると、解体費用について、
- 買主負担なのか?
- 売主負担なのか?
という話が必ず出て来ます。
ほとんどの場合、売主負担になりますが、土地の値段でしかないとはいえ、できるだけ手元に資金を残したいと考えるのが普通です。
建物が大きすぎると、解体費用が膨らむので、あなたの手元に残る資金が大幅に減ってしまいます。
せっかく中古住宅を購入するのですから、広々としたものを選ぶのは当然です。
しかし、後々のことを考えるのであれば、必要以上に大きい家を購入しないように気をつけましょう。