都市計画法 不動産関連法令

地域地区とは:用途地域の種類・概要編

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地域地区とは:用途地域の種類・概要編

土地を購入した場合、お金を払ったあなたは所有者であり、すべての権利があなたには認められています。しかし、認められているのは、法的に認められている権利だけであって、禁止されていることはできません。「お店つきの家にするぞ!」と意気込んでも「そこではお店をしてはいけませんよ」と言われてしまうことがあります。

この記事では、地域地区の中でも用途地域について解説します。用途地域こそが土地利用に関する制限を取り決めているものであり、あなたのしたいことができるかどうかに関わっています。都市計画法で定められた決まり事なので、無視することはできません。しっかりと確認しましょう。

この記事からわかること

  • 地域地区とは
  • 用途地域とは
  • 住居系の用途地域(全7種について)
  • 商業系の用途地域(全2種について)
  • 工業系の用途地域(全3種について)

地域地区とは

地域地区とは、都市計画のひとつで、一定の地域について土地の利用方針を細かく決めているものです。どんな利用目的の建物であれば建ててもいいよといった取り決めがメインですが、建物の高さなど建築基準への制限についても触れています。主に都道府県が地域地区を決めますが、条件次第では市町村が決定権者になることもあります。

用途地域とは

用途地域の用途制限表

上に表示したのが、用途地域の一覧表です。全12種類の用途地域がありますが、それぞれに建築可能な建物に関する細かい規定が定められています。大きく分けると、住居系の用途地域・商業系の用途地域・工業系の用途地域の3つです。

住居系の用途地域(全7種)

住居系の用途地域とされるものは、全部で7種類あります。どれも住環境の保護を主な目的としており、商業施設や工業施設の誘致に制限がかけられています。制限の厳しいものから順に解説していきます。

第一種低層住居専用地域

第一種低層住居専用地域では、都市計画によって10mまたは12mの絶対高さの制限が定められています。住環境の保護を最優先している地域であり、ゆったりとした敷地の使い方をしている家が建ち並びます。また、敷地境界線から建物外壁の距離に関する制限(外壁の後退距離制限)も1mまたは1.5m離すように定めることもできます。

専用の商業系施設の設置は認められていません。店舗付き住宅のような一部が店舗、事務所になっているもののみ認められています。そのほかに設置できる施設も、図書館、神社、公衆浴場、診療所、派出所など、過度に人を集めることなく、利便性を向上することができる施設ばかりです。

容積率 ⇒ 50% / 60% / 80% / 100% / 150% / 200%

建蔽率 ⇒ 30% / 40% / 50% / 60%

その他 ⇒ 道路斜線制限 / 北側斜線制限(5m)

第二種低層住居専用地域

第二種低層住居専用地域でも、絶対高さの制限や外壁の後退距離制限が適用されています。第一種低層住居専用地域ほどではありませんが、主に低層住宅にとって良好な住環境を保護するための地域です。

第二種低層住居専用地域では、床面積の合計が150㎡以内の一定の店舗、飲食店などであれば開店することができます。一定の店舗となっているように、150㎡以下であればどんな店舗でも認められるわけではありません。あくまでも近隣に迷惑をかけることなく、利便性を向上できる店舗などに限られます。

容積率 ⇒ 50% / 60% / 80% / 100% / 150% / 200%

建蔽率 ⇒ 30% / 40% / 50% / 60%

その他 ⇒ 道路斜線制限 / 北側斜線制限(5m)

第一種中高層住居専用地域

第一種中高層住居専用地域では、低層住居に限らず、中高層住居の建設が認められます。ただし、中高層住居を建てると、日光を遮って影を作ってしまうことで、近隣住民とのトラブルなどが起こりやすくなります。そのため、第一種中高層住居専用地域では、道路斜線/隣地斜線/北側斜線の斜線制限3種すべてが適用されます。

第一種・第二種低層住居専用地域と比べると、設置できる施設の幅が広がっています。大学や病院が設置できるようになっているので、一定の利便性の向上が狙えますが、同時に様々な地域からの人口流入が考えられます。店舗や飲食店なども500㎡以内までなら設置可能になっています。

特殊な施設として「2階以下かつ床面積の合計が300㎡以下の自動車車庫」が認められています。これはマンションやアパートなどの集合住宅が増えると、平面駐車場のみでは厳しいので、立体駐車場も認めるということです。

容積率 ⇒ 100% / 150% / 200% / 300% / 400% / 500%

建蔽率 ⇒ 30% / 40% / 50% / 60%

その他 ⇒ 道路斜線制限 / 隣地斜線(20m) /北側斜線制限(10m)

第二種中高層住居専用地域

第二種中高層住居専用地域では、第一種中高層住居専用地域に比べて若干だけ規制が緩和されています。2階以下で用途に使用する面積が1,500㎡以下の建物では、開店できる商業施設の幅が広がります。また同様の条件下であれば「火薬類、石油類、ガス等の危険物の貯蔵、処理の量が非常に少ない施設」の設置が認められます。

容積率 ⇒ 100% / 150% / 200% / 300% / 400% / 500%

建蔽率 ⇒ 30% / 40% / 50% / 60%

その他 ⇒ 道路斜線制限 / 隣地斜線(20m) /北側斜線制限(10m)

第一種住居地域

第一種住居地域は、住環境と商環境のバランスが真ん中付近に位置する用途地域です。住環境の保護を優先していますが、商業施設の設置に関する規制もかなり緩和されています。具体的には、3,000㎡以下の建物に限って、ボーリング場やスケート場、ホテル、旅館などを建てることができます。

ホテルや旅館の建設が許可されているように、住居系エリアとしての都市開発が主ではありますが、外からの人口流入をより広く受け入れています。それに伴って、一定の範囲内での娯楽の誘致が許可されているといった感覚です。

容積率 ⇒ 100% / 150% / 200% / 300% / 400% / 500%

建蔽率 ⇒ 50% / 60% / 80%

その他 ⇒ 道路斜線制限 / 隣地斜線(20m)

第二種住居地域

第二種住居地域は、依然として住環境の保護を目的としているものの、商環境の制限がかなり緩和されています。住居系の用途地域としては、ひとつの節目とも言えますが、第二種住居地域ではパチンコやカラオケボックスの設置が許可されます。ですので、宅地としての価値が大幅に落ちるエリアといえるでしょう。

住居系の用途地域は「第一種・第二種低層住居専用地域、第一種・第二種中高層住居専用地域、第一種・第二種住居地域、準住居地域」の全7地域を指します。しかし、個人的な意見としては、甘めにみても第一種住居地域までが住居系の用途地域と考えたほうがよいでしょう。第二種住居地域や準住居地域では、永く将来にわたって住環境の安定が期待できるとはいいがたい制限内容です。

容積率 ⇒ 100% / 150% / 200% / 300% / 400% / 500%

建蔽率 ⇒ 50% / 60% / 80%

その他 ⇒ 道路斜線制限 / 隣地斜線(20m)

準住居地域

準住居地域は、最後の住居系用途地域です。実態としては、著しく住環境を損なう恐れのない施設であれば、どんなものでも建てることができます。禁止されているものを大きくまとめると、キャバレーやナイトクラブといった風俗系施設と、一定の環境汚染が見込まれる工業施設です。

家を建てる場所として考えると、準住居施設は「近所に何でもそろっていて便利!」くらいに割り切れる人以外には住みにくいといえるでしょう。交通量も多くなりますし、治安が良い地域にもなりにくいです。

容積率 ⇒ 100% / 150% / 200% / 300% / 400% / 500%

建蔽率 ⇒ 50% / 60% / 80%

その他 ⇒ 道路斜線制限 / 隣地斜線(20m)

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