再建築不可物件の査定価格には相場がありません。
再建築不可物件の査定では、ごく普通の不動産のように路線価などを使った画一的な査定ができません。
取り扱いがとても難しく、査定を行う人の知恵や経験によって、価値の付けられ方も大きく異なります。
ある人の査定価格は100万円だったものが、別の人の査定価格は500万円だったということも頻繁に起きます。
なぜ大きな差が生まれるのかについて解説していきます。
なぜ再建築不可物件の査定価格には相場がないのか?
再建築不可物件の査定価格に相場がない主な理由は、
- 不動産を活用できる幅が極めて狭い
- 現在の状況によって活用の幅が極めて異なる
- 享受できる利益の質により査定価格がまったく異なる
です。
不動産を活用できる幅が極めて狭い
不動産の付加価値は、
- 自分が住むために家を建てる
- 賃貸住宅として一般の方に貸し出す
- テナントとして商売をしたい方に貸し出す
など、建物を建てることによって幅が大きく広がっていきます。
しかし、再建築不可物件では、建築確認申請を必要とする建築行為が一切行えないため、
- 住居系
- 商業系
- 工業系
のいずれの活用方法においても、活用の幅に相当な制限がされます。
つまり、誰かが何かをしたいと考えること(需要)を満たすことができないので、価値を感じてくれる人が大幅に減ります。
再建築不可物件は、満たすことのできる需要が大幅に狭まっているので、査定価格に大きなマイナス効果を与えます。
現在の状況によって活用の幅が極めて異なる
上述の状況に加えて、再建築不可物件では、現在の状況がとても重要になります。
具体的な例を挙げると、
- 建物は建っているのか?
- 賑わっている商業地に位置しているのか?
- 商工業地に位置していて、交通利便性が良いのか?
- 周りに何もなく、年間を通して天気の良い地域なのか?
などがあります。
上述の状況では、それぞれ、
- 建物は建っている
→改築(リフォーム・リノベーション)で満たすことのできる需要が大きく広がる - 賑わっている商業地に位置している
→駐車場需要が高く、賃貸収入が見込める - 商工業地に位置していて、交通利便性が良い
→資材置き場などとしての利用価値が見込める - 周りに何もなく、年間を通して天気の良い地域
→太陽光パネルを設置することにより売電収入が見込める
となり、それぞれ活用方法がまったく異なってきます。
隣同士に存在している再建築不可物件であっても、
- 建物が建っている
- 建物が建っていない
というちょっとした違いで満たすことのできる需要がまったく違います。
享受できる利益の質により査定価格がまったく異なる
最終的に再建築不可物件の査定価格を決めるのは、享受できる利益の質です。
隣同士に存在する再建築不可物件だったとしても、
- 建物が建っていて、改築により民泊施設として運用すれば、年間300万円の利益が見込める物件
- 建物が建っていない更地で、商業施設に囲まれているが、駐車場利用しても年間30万円の利益しか見込めない物件
では、査定価格に大きな差が生まれます。
再建築不可物件を査定する場合には、「再建築不可物件なので通常の査定価格から50%割引ます」といった画一的な査定が行えません。
ひとつひとつの物件の状況によって、価値がまったく異なるので、結果として査定相場という概念が存在しないことになります。
また、最初に記載したように、査定をする人の知恵や経験にも大きく左右されます。
なぜなら、見出すことができた活用方法が何かによって大きく価値が違ってしまうからです。
査定を受ける場合には、
- 複数の査定会社に依頼をすること
- 査定価格の根拠をしっかりと確認すること
を忘れないようにしてください。
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